2008年75日号

09年度にグリーン熱証書制度の創設を検討
 グリーン熱証書制度が具体的な制度設計に向けて動き出した。
 6月に報告書をまとめたグリーンエネルギー利用拡大小委の報告書で、グリーン電力証書と同様のスキームで熱証書制度の創設に向けた具体的な方針が示されたが、認証制度を運用する日本エネルギー総合研究所では、今年度、モデル事業を実施した後、来年度には検討委員会を設置して、具体的な認証基準やガイドラインの策定など制度設計を進める。 先行する形のグリーン電力証書は、カーボン・オフセットの取り組みの一環として普及に弾みがつき始めており、熱についても電力証書と同様のスキームで国が背中を押す形で証書制度の創設が目指されることになった。。
 熱証書制度の仕組みは、バイオマス燃料を使ってコージェネレーションやボイラーなどから生み出さる熱エネルギーを計量して証書化し、購入者が自らのCO2オフセットの全部または一部として利用できる仕組みを作るもので、対象となる熱源は、バイオマス、太陽熱、雪氷熱、地熱、未利用の都市排熱などを想定している。このうち、太陽熱については既に東京都が先行して証書制度の創設に向けて検討会を設置している。
 コージェネやボイラーなどの設備認証やグリーン熱エネルギー量の認定はグリーン電力と同様に認証機構が行う。証書の発行も電力証書と同様に複数の事業者が独自に行い、証書の利用者は発行事業者から証書を購入することになる。
 熱証書の課題として考えられているのは、熱の計量の部分。燃料を燃やして発生した熱の利用量をどの段階で計量するのかという問題で、熱を使って製造した製造物で計量するのか製造段階で使用した熱量で計量するのかなどの問題がある。使用した燃料量で計量するのも一つの方法だが、この場合は熱証書というよりも燃料証書になってしまうため、採用される可能性は低い。
 太陽熱証書の制度化に向けて先行して取り組んでいる東京都では、6月26日に第1回の検討会を開催して、8月上旬を目途に課題を整理した報告書をまとめることにしている。


低炭素電力供給システム構築で研究会を設置
 資源エネルギー庁は、低炭素社会の構築に向けた電力供給システムについて研究するため「低炭素電力供給システムに関する研究会(座長・山地憲治東京大学教授)」を立ち上げる。
 ゼロエミッション電源を2050年までに50%以上の比率にするなどの目標を盛り込んだ福田首相の「低炭素社会・日本」を目指しての実現に向けた電力供給面の課題について検討する。
 低炭素な電力供給に不可欠な新エネルギーシステムが大量に導入された場合の系統安定化対策や需要面の対応、コスト負担のあり方、CO2フリー電気の取引やネットワークの低炭素化などが検討課題となる。


家庭用燃料電池の名前は「エネファーム」に
 家庭用燃料電池の普及を目指す燃料電池実用化推進協議会(会長・西室泰三東芝相談役)は6月25日、家庭用燃料電池の名称を「エネファーム」に統一すると発表した。
 09年度から家庭用燃料電池の販売が本格化するのに合わせ、普及と認知度向上には名称の統一が必要だと判断した。名称の統一に伴い、東京ガスも同日付けで家庭用燃料電池「ライフエル」の名称を廃止した。
 統一名称はエネルギーとファーム(農場)を組み合わせた造語。水素と酸素から電気と熱を作ることと、水と大地で農作物を作るイメージを重ね合わせた。
 統一名称は家庭用燃料電池メーカーのENEOSセルテック(旧三洋電機)、荏原製作所、東芝燃料電池システム、松下電器産業、トヨタ自動車が採用する。また、東ガスのほか新日本石油や大阪ガスといった設置事業者も統一名称を用いる。
 同日、都内で記者会見した渡辺浩之副会長(トヨタ自動車技監)は「いよいよ商用化が見えてきた今、愛される、親しみやすい名前にした」と語った。

CO2分離・回収で事業化研究会社を設立
 火力発電所などで排出するCO2を分離回収し、地下貯留事業の技術開発を行うことを目的に電力や石油元売りなど24社が出資して設立された日本CCS調査が東京都内で設立会見を開き、09年度からCO2を回収・貯留する大規模な実証試験を行う予定で準備に入ったと発表した。
 日本CCS調査は5月26日に設立され、資本金は3600万円。東京電力など電力11社と、新日本石油など石油元売り5社、新日鉄エンジニアリング、三菱ガス化学など24社が出資して設立された。社長には石油資源開発の石井正一常務が就任した。
 当面は、国内での実証試験などを実施、将来は産油国の油田跡などでCCS事業を行うことも視野に入れている。

排出量取引試行で、経済産業、環境両省が試案
 福田首相が、今秋から試験的に導入する方針を示した国内のCO2排出量取引制度について、経産省と環境省がそれぞれ制度試案を公表した。
 経産省の試案は、6月26日にまとめられた「地球温暖化対応のための経済的手法研究会」の中間報告案の中で示され、同省が今秋にも創設を目指している「国内CDM制度」の活用を図り、排出枠については自主行動計画を基にして各企業が自主的に目標を設定するというもの。取引するクレジットは京メカクレジットや国内CDMクレジット、また自主目標を超過して削減したもので認証機関に拠って認証されたクレジットなど。制度への参加は自主参加とするなどが主な内容。
 一方、環境省の案は、同省が既に実施している自主参加型の排出量取引制度をベースとして、自主行動計画で目標設定している企業などを対象に、参加企業や取引メニューを大幅に拡大するというもので、原単位で削減目標を掲げる事業者の参加も認める。また、ベンチマークにより目標を設定する事業者も参加できるようにする。省エネ法や温対法の規制対象となっていない中小企業や森林バイオマスなどもクレジット化できるようにする。6月26日に開かれた中環審の地球環境部会などで試案を示した。
 実施に当たっては、統合した制度として施行されることになる見通し。

その他の主な記事
国内排出量取引制度試案を発表
・風力導入量が減速、NEDOが導入両調査
・日本型風力ガイドラインを取りまとめ
・燃料費高騰で電力5社が料金値上げへ
・ジャパンエナジーが廃プラからナフサを生産
・新日石が新エネなどで住宅用エネシステム
・三洋電機がグリーン電力対応型ホームネットワーク
・三菱商事が東工大と電気自動車充電用インフラ整備へ
・JR東日本が東京駅ホームに太陽光を導入
・三菱重工が超省エネ住宅開発へ
・ポッポお日さま発電所がグリーン電力証書を販売
・バイオマスタウン構想4市町村を公表
・NEFが08年度の新エネ大賞募集
・CDM推進調査、5件決まる
・太陽光発電システム実用化決まる
・伝説工業展製品コンクールル受賞者決まる
・省エネ関連3事業決まる(省エネ連携、BEMS、使用合理化技術戦略)
・ウッドワード社が本社を移転
・新エネ導入支援、4地区で説明会
・08年度優良コージェネを募集
・マイホーム発電で住宅の省エネ 本紙連続セミナー第3回   etc.
             
シリーズ連載
・<新連載>コージェネレーション わが人生
 平田 賢/日本コージェネレーションセンター会長
 第1回 日本コージェネレーション研究会の設立
・解説 カーボン・オフセットF<グリーン電力の拡大を目指す>
・書評:「石油業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本」<秀和システム>
   
コラム
・発電論評<低炭素社会に向かう分散型エネルギー>
・プリズム<グリーンエネルギーに高まる期待>
・ちょっと一休<度胸が必要だった株主総会>
・青空<環境エネルギーを考える好機


低炭素社会に向かう分散型エネルギー【発電論評】

 原油価格の高騰が止まらず、市場は150ドルを窺う状況になっている。安価な石油をエネルギー源として大量に使う時代は、本当に過去のものになったといえるようだ。
 福田ビジョンで示された低炭素社会へ向かう日本の決意と取り組みが国是となりつつある。2050年に60〜80%のCO2排出量を削減させるには、ゼロエミッションな電源比率を限りなく高める必要がある。
 遠い将来の話のようではあるが、地球温暖化の問題は、既に足下から強力な対策が求められているということであり、50年に向かう長期間に渡って技術開発と低炭素社会へ向かう不断の取り組みが求められることになった。
 まず、12年までの京都議定書約束期間があり、13年からのポスト京都の枠組み合意が来年にも交わされることになる。そして、20年、25年の中期目標に向かい、そして2050年の低炭素社会へ向かうというシナリオだ。
 提案されているのは、原子力や再生可能エネルギーの利用拡大とその他のエネルギー源の低炭素化であり、安全性の高い原子力技術の向上と再生可能エネルギーの普及、CCSやエネルギー危機の効率向上などが柱となる。
 コージェネステムや燃料電池、太陽光・風力発電、バイオマス利用などの新エネルギー技術はこうした低炭素社会へ向かうための、まさにキーテクノロジーとして位置づけられるものであり、それを前提として、低炭素社会へ向かうための技術開発が開始されなければならない。
 技術開発では、運用技術の開発も重要になる。エネルギーの利用効率で群を抜く高効率を達成しているコージェネシステムにしても、従来の自家用を中心とした単独システムから、小規模の太陽光や風力設備と組み合わせたハイブリッド型や地産地消型のマイクログリッドの中核システムとして運用できるものとして生まれ変わる必要がある。
 ゼロエミッションなエネルギーシステムとして期待の高い燃料電池も、長い準備期間を経て、自動車や家庭用などの小型のシステムで、複数のメーカーが量産化を開始し、ようやく本格的な市場投入が始まろうとしている。これからの時代のコージェネシステムとして普及拡大に期待が大きい。
 コージェネ技術は、どこで電気を作るのかという提案でもあった。つまり、需要場所で発電することによって廃熱利用を可能にして、エネルギー利用効率を上げるという提案である。燃料電池はそれに加えて、水素を何から、また、どこで作るのかという提案でもある。
 低炭素社会へ向かうという明確な目標が示されつつある今、それを担うエネルギー供給の中核技術として、分散型エネルギーの利用技術の開発こそが重要なファクターを占めてきているといえる。