2008年625日号

熱のRPS制度を検討へ
 熱版のRPS制度の創設に向けて具体的な検討が提言された。洞爺湖サミットを目前に控えて、6月24日に開催された総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会では、今後の新エネルギー政策の基本方向について「新エネルギーモデル国家の構築に向けて」と題する緊急提言を行った。
 緊急提言では、電力会社が販売する電力の一定割合を再生可能な新エネルギー起源の電力とするよう義務づけているRPS法と同様の考え方で、熱についても、石油、ガス事業者に対してバイオマスや水素、太陽熱などの導入を促す法制度の検討を提言した。
 現行のRPS法が再生可能エネルギーの導入を促進する上で一定の効果を上げているという認識の下で、日本の最終エネルギー消費の60%程度を占めている石油や天然ガス分野でも新エネルギーの割合を増やす必要があるとして熱版RPS法の創設を検討するよう提言したもの。
 熱版のRPS制度については、電力業界が電力と同様に新エネのぴっていわりあいの利用を義務づける制度の導入を要望していた。
 対象となる熱源としては、バイオ燃料、バイオガス、太陽熱、未利用熱、水素の5種類が具体的に例示されている。
 バイオ燃料やバイオガスについては、石油や天然ガスなどの燃料と混焼却する形で具体的な利用方法が考えられるが、太陽熱や未利用熱などの既に熱として供給されるものを石油やガス事業者がどのような形で事業化できるのか具体的なスキームの構築や賦存量の確定など困難な課題も多い。
 緊急提言は、新エネの全般の利用拡大について2020年に太陽光発電を現状の10倍程度、30年には40倍程度とすることなど「新エネライフ」の定着させることや、5月に公表された新しい長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースである「再生可能エネルギーを2020年には一次エネルギーの国内供給量の約8.2%、30年には約11.1%」とすることを目標とすることなどを提言している。


環境省が国内VER認証制度を試行
 環境省は、カーボン・オフセットの取り組みを進めることを目的に、VER認証事業とカーボン・オフセットの第三者認定事業を試行する。
 個人や企業などが社会的活動を通じて排出するCO2を他者が削減した排出量をクレジットとして購入し、その全部または一部を相殺するというカーボン・オフセットを国内で定着させ拡大普及させることが目的。透明性や信頼性の高いオフセット用クレジットの創出を目指す。
 カーボンオフセットに取り組んでいる市民や企業などからは海外の排出権プロジェクトだけでなく国内での排出削減プロジェクトに投資したいという要望も強まっていることから、信頼性の高い第三者認証制度やラベリング制度の設計を目指す。
 高知県が実施している、民有林から出る間伐材を石炭の代替燃料として活用する排出削減プロジェクトをVER認証のモデル事業として取り上げ、認証基準や管理のあり方を検討する。さらに、環境省が試行している自主参加型の国内排出量取引制度で蓄積した排出量のモニタリング・報告等や登録簿の運営・管理のノウハウを基礎として活用し基準化する。
 夏以降には、他の国内排出削減プロジェクトについても広く公募し、環境省、有識者及びカーボン・オフセットフォーラムが協力して試行的認証を実施する。


「グリーン電力取引所」を開設 ネクストエナジー社
 自然エネルギー関連の事業を展開する、ネクストエナジー・アンド・リソース(伊東敦社長 本社・長野県駒ヶ根市)では、6月17日、グリーン電力証書専門の販売サイト「グリーン電力証書取引所」の運用を開始した。
 従来に比べ手軽にグリーン電力証書を購入できるのが特色で、オンラインで3千円、5千円、1万円といった定額で、簡単に購入できるメニューを用意したほか、イベントなど短期の利用者向けの「スポット契約」や、継続的利用に有利な「長期契約」、1万kWh以上や特殊な利用目的に対応する大口の「特別契約」などのメニューを用意した。グリーン電力を使って企業活動やイベント、また個人が排出するCO2のカーボンオフセットなどが気軽に行えるようにするのが狙い。
 長野県内3カ所の太陽光発電設備合計500kWをグリーン電力の認証設備で発電する年間約25万kWhの電力を証書化して小口に分割販売を行うという仕組み。証書の単価は1kWh当たり14.5円が標準。
 取引所を運営するネクストエナジー社では、販売状況を見ながらグリーン電力設備の拡充を図っていく方針で、08年度には約4千万円程度の販売を見込んでいる。
 購入者のターゲットは、自ら発電設備を持たないが環境に貢献したいと考える環境意識の高い企業や個人、また、イメージアップやPRに利用したいと考える企業などを想定している。

三菱商事らがバイオ燃料でオンサイト発電事業
 中国木材と三菱商事は、両社が共同で茨城県神栖市の中国木材鹿島工場隣接地に設立したバイオマス発電所が竣工したと発表した。発電所に隣接する中国木材の鹿島工場の製材・乾燥行程で発生する木材樹皮や、おがくずなどの副産物を燃料とするバイオマス専焼の発電所で、出力は2万1千kW。バイオマス専焼の発電所としては国内最大規模となる。
 発電した電力と熱は中国木材の工場で使用するオンサイト発電で事業として運用するもので、バイオマス発電によるCO2の削減効果は、年間6万kL(原油換算)超を計画している。
 三菱商事は、地球環境保全を目的としたエネルギー供給サービスで、オンサイト発電事業を戦略分野と位置づけており、電力や熱供給のアウトソーシングを目的としたオンサイト発電事業会社を顧客毎に設立する形で、オンサイト発電事業の拡大を今後も目指していく方針。

北海道電力が小型風力を随時系統連系へ
 北海道電力は、6月16日、定格出力20kW未満の小型風力発電について系統連系の受け入れを随時行うことにしたと発表した。
 これまで風力発電については、電力系統への影響を与えない範囲の条件で公募によって連系案件を決めてきた。これまで解列条件付きの5万kWを含めて36万kWを連携上限として受け入れてきたが、連系枠の余裕がなく、新規の募集は行っていなかった。今回は、大型風車に比べて出力変動の影響が少ない小型の風力発電に限って、随時系統連系を受け入れる方針に改めた。

その他の主な記事
ガス制度改革、託送制度や簡易ガス事業などが課題に
・メタンハイドレート開発プロが第2フェーズへ
・デンソーがバイオマスヒートポンプ
・東ガスと江東区のバイオ燃料回収事業、順調に稼働
・バイオマスでオンサイト発電事業
・ホンダが燃料電池車のライン生産を開始
・旭化成がバイオマス発電
・三浦と神鋼が省エネタイプのコンプレッサー
・山武がグループ会社と排出量取引
・住友電工が超電導自動車を試作
・東京応化とIBMが次世代太陽光開発で提携
・08年度の事業者別RPS義務量を公表
・ガス協会が総会
・ゼロエミッションハウス設置
・グリーンエネルギーパートナーシップ、30日に設立総会
・水素製造・貯蔵システム革新的次世代技術検証公募
・集中連系型PVシステムモデル構築募集
・バイオマス転換要素で募集
・JHIF第9回会議案内
・コージェネ基礎セミナー、7月に東京と名古屋で  etc.
 
シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのN】<分散型エネルギーの概念>
・インタビュー・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策
 <経済産業省資源エネルギー庁省エネ・新エネ部長 上田隆之氏>
・解説 カーボン・オフセットE<グリーン電力証書に追い風>
・<新連載>原油価格高騰の真相@


コラム
・発電論評<低炭素社会とエネルギー利用効率>
・プリズム<東電が口火を切る電気料金値上げ>
・ちょっと一休<ロータリークラブを5年で退会>
・青空<謝罪マニュアルの功罪>


低炭素社会とエネルギー利用効率【発電論評】

 洞爺湖サミットの開催を目前に控えて、エネルギー業界の話題は温暖化対応一色という趣となっている。
 サミットでの温暖化対策問題の最大の焦点は、ポスト京都の枠組みづくりに進展があるのかどうか。とりわけ、国際的にほぼ合意ができつつあるといわれる「2050年に世界の温室効果ガスの排出量を半減させる」という長期目標に向かって、全ての主要排出国が参加する形で枠組みづくりに向けた進展があるのかどうかというところにある。
 こうした中で、日本の温暖化対策は省エネと原子力発電、再生可能エネルギーの利用・拡大・推進といったところが中心となる。あとは革新的技術開発として燃料電池の実用化や発電効率が飛び抜けて高い次世代太陽光、CO2の分離回収・地下貯留などが期待される技術として示されている。
 低炭素社会に向かうという目標が示されている。いかにCO2排出量の少ないエネルギーを使いながら、エネルギー利用の無駄を省く取り組みを進めるのかということにつきる訳だが、しかしながら、見落とされがちで重要なもう一つの視点として、エネルギーの利用効率を上げるということがある。省エネ型の製品を使ったりこまめにスイッチを切る、省エネ運転を心がけるなどの需要側の省エネも、無駄を省くという意味では効率利用に貢献するが、供給サイドの無駄を省くこと、エネルギーのポテンシャルを無駄なく使い尽くすことが、より効果的で重要な意味を持っている。
 例えばCO2を排出しない原子力発電や太陽光発電でも、エネルギーの利用効率では20%に満たないのが現状で、原子力や光エネルギーの持つ80%以上が電力に転換されないままに廃棄されていることになる。原子力の排熱利用や太陽光発電では利用されない太陽熱エネルギーなどについても無駄なく利用する「コージェネ化」ともいうべき技術の開発が行われれば、さらに多くのエネルギーを生み出すことも可能になる。
 こうした見落とされがちな発想を大切にして身近なエネルギーを見直すと、使われないままに棄てられてしまっているエネルギーの無駄に気がつくことが多い。
 風力発電や太陽光発電などは、そもそもエネルギーとして利用されていなかったという意味で未利用エネルギーの典型みたいなものだが、さらにこの利用効率を上げるという技術開発も必要になるだろうし、また、蓄電池やコージェネシステムなどと組み合わせてネットワーク全体の利用効率を上げるという運用技術の開発も重要である。
 低炭素社会に向かうためには、無駄のないエネルギー供給システムの構築が重要な課題として浮かび上がっている。