2008年615日号

ガスコージェネを無停電電源装置化 エネルギーアドバンス
 エネルギーアドバンス(ENAC)は、ガスエンジンコージェネシステムと無停電電源装置を組み合わせた無瞬断・無停電電源装置を開発した。従来のガスエンジンコージェネシステムだけでは困難であった停電直後の瞬時電圧低下対策や自立運転中の急激な負荷変動を、長時間の電力供給が行えなかったUPSと組み合わせることで、瞬時電圧低下対策と電力の長時間供給を可能にした。長時間にわたって停電がなく電圧変動に強い電力の安定供給が可能なシステムツールとして、同社が展開するエネルギーサービス事業の中で活用していく。
 350kWの高効率希薄燃焼ガスエンジンコージェネレーションシステムと新開発の無停電電源装置(UPS)を組み合わせた高効率の無瞬断・無停電発電パッケージシステム「ジェネセーフ(仮称)」で、システムは、東京ガス、ヤンマー、ヤンマーエネルギーシステムが共同で開発した。既に販売している高効率ガスコージェネと、東京ガスが富士電機システムズに開発委託した高効率UPSを組み合わせた。
 停電直後などで、ガスコージェネ単独ではカバーしきれない瞬間的な電圧低下時にUPSが無瞬断・無停電で電力の安定供給を継続し、その後、電力負荷をUPSからガスコージェネへ徐々に移行させる。さらに、コージェネ運転時の急激な負荷変動に対しても、需要側の電力負荷の変動を一旦UPSが吸収した後、コージェネ側に一定のスピードで負荷を移行させるUPSのアブソーバ機能があり、コージェネの出力変動を抑制し負荷追従性を高めることができる。また、負荷設備個々に設置していた小型UPSが不要とできるため、コスト削減のメリットも期待できる。特に、瞬時電圧低下対策に対する要望が強い、データセンターや規模の大きい病院などに採用を働きかけ、より大型のガスコージェネシステムへも適用する方向で、ラインナップの拡充を進めて行く。


愛知県が住宅用太陽光からグリーン電力証書を購入
 愛知県は住宅用太陽光発電への支援とグリーン電力証書の活用促進を目的に、今年度から県が率先して同証書を購入するモデル事業を実施する。
 08年4月から12月までに設置する最大出力10kW未満の住宅用太陽光発電設備で、電力会社と電灯契約を締結する設備を対象に環境価値をグリーン電力証書化して購入する。
 購入期間は発電開始後1年間で、購入単価は1kW時当たり20円。購入する環境価値量は発電能力1kW当たり500kW時、1施設当たり2千kW時を上限とする(自家消費電力分にかかる環境価値のみ)。
 第1期の募集を6月2日から始めており、8月末竣工分まで約100件、計300kWを募集する。第2期募集は8月から、第3期は10月から。
 県はモデル事業で購入した環境価値を環境学習プラザや森の学舎(まなびや)など環境学習施設や環境関係イベントで使用する電力に充当し、カーボンオフセットする。


「災害などの停電時には発電」新日本石油がSS向けKHPを発売
 新日本石油は、4月に発売した「災害対応型発電KHP」の1号機を、山梨県都留市に新設オープンした特約店のSSに導入したと発表した。
 昨年11月から3月まで3カ所で実施したモニター運転で良好な結果が確認されたことから、今年4月から本格販売を開始した。
 同社が開発した「災害対応型発電KHP」は8馬力と10馬力の出力で、通常は灯油を燃料として空調運転を行い、商用電源が停電する緊急災害時には空調機能を停止して発電機として運転、5.5kWの発電電力でSSの軽量機や情報盤、照明などに給電してSSの業務機能を維持する。SSに設置する場合には、室外機等導入設備の一部に国の補助金制度「災害対応型給油所普及事業」の活用ができる。
 当面は、サービスステーション用として販売し、来年度以降業務用途向けに販売する。価格は8馬力標準仕様のものが467万円(税込)、10馬力が495万円。装置メーカーはデンソー

08年次世代エネパークに愛知県など7件決まる
 資源エネルギー庁は、「次世代エネルギーパーク」の08年度分の計画として7件を認定した。
 ▼愛知県=愛知万博の理念・成果を継承した新エネ最新実証研究などのエネルギー関連施設
 ▼札幌市=円山動物園内に太陽光発電・小型風力発電などを導入
 ▼六ヶ所村(青森県)=風力、地熱、バイオマスや石油、原子力など幅広いエネルギーを見学する施設
 ▼太田市(群馬県)=北部運動公園内に体験・学習拠点と太陽光発電団地を整備
 ▼山梨市=バイオマスタウン構想と新エネルギービジョンを推進
 ▼出雲市(島根県)=風車が設置される周辺地とその他の新エネ施設を連携
 ▼阿南市(徳島県)=四国最大の電力供給地として、既存の施設と新しい新エネ設備導入により、市内全域をエネパークと位置付ける
 次世代エネパークは、太陽光、風力などの新エネルギー設備や体験施設などを国民が実際に見て触れる機会を増やすことを通じて、地球環境と調和した将来のエネルギーのあり方について理解の増進を図ることを目的に、地方自治体などを対象に公募を行っている。第1回目となった昨年度の公募では、北九州市など6件の計画が認定されている


岩谷産業、「家庭用燃料電池コージェネレーション」の一般家庭での実証運転を開始
 岩谷産業は水素を直接供給する純水素型燃料電池を搭載したコージェネレーションシステムを一般戸建住宅に設置し、6月6日から実証運転を始めた。
 システムには東芝燃料電池システムの純水素型燃料電池発電ユニット(700W)と排熱利用給湯暖房ユニットを採用、敷地内に設けた水素容器保管庫から直接水素ガスを供給し発電する。発電効率47%以上(700W定格出力時、当社実測値)と極めて高効率の運転が可能で、排熱の利用も含めた総合効率は90%以上が期待できる。
 現在、燃料電池システムはLPガスや都市ガスなどの既存インフラを活用し、システムに搭載された改質器で水素を生成して発電する「改質型」が開発の主流となっているが、岩谷産業では、高い発電効率とともに環境負荷の大幅な低減が期待できる純水素型の燃料電池システムを、化石燃料に頼らない水素利用に必要なシステムであると位置づけ、将来の水素パイプラインなどの地域水素供給システムへの対応も視野に、最適化システムの検証を重ねていく方針。


レポート「大阪ガスの総合展示会」
 大阪ガスの「リビングシステムフェア2008」と「エネルギー・環境フェア2008」の会場開場レポート家庭用、工業用・業務用それぞれの「かしこい暮らしウィズガス」製品を中心に多様なソリューションが展開されていた。
   
その他の主な記事
・福田首相が低炭素革命宣言
・G8+3エネルギー大臣会合再生可能エネと原子力
・温対法改正案が成立
・ジャパンエナジー、定置用燃料電池システムが発電2万時間を達成
・シャープが新型太陽光モジュールを販売へ
・ローソンが自店舗の太陽光発電をグリーン電力化
・トヨタが新型FCハイブリッド車航続距離は830km
・三井物産が豪州で風力発電
・住友ゴムが全工場を天然ガス化
・三菱重工がアイスランドの地熱を受注
・民主党が地球温暖化対策基本法案
・IEAのエネルギー技術展望
・地産地消型社会システム枠公募
・08年度省エネ優秀事例募集開始
・電力負荷平準化機器表彰決まる
・風力発電系統連系対策、住友電工らに
    etc.
       
燃料電池新聞の主な記事
・燃料電池セミナー報告
・オール電化住宅の最新事情
・海外ニュース
 -バラード、インドの通信会社とバックアップ電源供給契約を締結
 -FUEL CELL TODAYが予測、08年の燃料電池車の生産台数は500台
 -ダイムラー、燃料電池バス走行実証で200万キロを達成
 -GMの燃料電池車の大規模走行試験、DOEも参加
 -ロンドン市、タクシーに燃料電池車導入を計画
 -欧州議会、燃料電池開発に750億円を投資
・燃料電池フラッシュニュース
 -日産自動車とNECなどリチウム電池を事業化、09年中に量産開始
 -パナソニックEVエナジー、GMにニッケル水素電池を供給
 -日本特殊陶業、SOFCで発電効率60%を達成
 -日清紡、関東地区にも家庭用燃料電池セパレータの量産拠点の設置を検討
 -シャープ、補機類を必要としない積層タイプのDMFCを開発
 -経済産業省、一般住宅の太陽光発電をグリーン電力として認めるモデル事業を開始
 -産総研と九工大、水素タンク用の軽量安価な複合素材を開発
 -07年度の太陽電池の国内出荷量は21万kW
 -パナソニックEVエナジー、宮城県と本社工場内に新工場建設、年100万台分を生産
 -ホンダ、燃料電池車「クラリティ」を向こう3年で200台リース販売
 -住友電工、レアメタルをナノ粒子化し燃料電池・触媒材料に利用
 -ソニーが色素増感型太陽電池を開発。発電効率10%
 -電力業界、再生可能エネルギー受け入れ拡大
 -住友化学、リチウムイオン電池のニッケル・マンガン系正極材を事業化
 -三洋電機、HEV用リチウムイオン電池を2009年から量産開始
 -三洋電機、独フォルクスワーゲングループと次世代リチウムイオン電池システムの共同開発で合意
 -ルノー・日産アライアンス、新しい燃料電池車を共同開発
 -郵便事業会社、集配車21,000台を順次電気自動車に切り替え
 -ハマイ、ホンダ向けのインタンク電磁バルブを開発
  etc.
・燃料電池インフォメーション

シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのM】<水素社会を支える直流システム>
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策G
 <自由民主党 経済産業部会長 谷本龍哉氏(衆議院議員)>
・インサイト(環境改善技術革新B)
・インタビュー・メーカーの「今」を探る
 <玉田稔ヤンマーエネルギーシステム社長に聞くコージェネビジネスの戦略>
   
コラム
・発電論評<既存技術で可能な省CO2の取り組み>
・プリズム<原油価格と金融レポートの相関>
・ちょっと一休<遅れている日本の環境対策>
・青空<虹は不吉の前兆>


既存技術で可能な省CO2の取り組み【発電論評】

 UPSと組み合わせたガスコージェネを東京ガスとヤンマーが共同開発した。ガスコージェネが無停電電源装置化する。無瞬断で無停電の電力供給が可能となり、需要家側が停電対策として負荷設備個々に取り付けていたUPSが不要になるのでコスト削減にもなる。先日は、大阪ガスら複数のガス会社とヤンマーが発電機能をつけて外部出力できるガスエンジンヒートポンプを開発したというニュースもあった。空調運転するエンジンの余剰馬力を利用して発電するので最高で48%の高効率の発電が可能になるというものだ。48%とは5千kWクラスの大型ガスエンジン並みで、とても小型エンジンでは考えられない、まさに常識はずれの発電効率といえる。
 熱と電気が同時に供給できるという意味では、コージェネシステムなのだが、この発電機能付きガスエンジンヒートポンプは、あくまでも空調用が主目的で、発電は副次的なものという考えなのだ。これまでのコージェネはエネルギーとしての価値の高い電力供給に主眼をおいていたので、回収した排熱を使い切ることが難しかったが、発電機能付きヒートポンプの場合は、熱供給の本分を忘れず、電力の不足分は系統など外部から供給するという考えなので、空調用の余剰馬力を有効利用するため、48%という超高効率の発電効率が可能となった。
 無停電コージェネも画期的だ。コージェネによる電力がUPSによって極めて高品質の電力として供給できることになるので、負荷側のUPSが削減できるだけでなく、連系に必要な保護装置などが簡素化できるだろうし、データセンターなどのICT機器や防災センター、病院などの高品質で確実な電力供給が必要な施設には歓迎されるのではないか。
 無停電ガスコージェネにしても発電機能付きガスエンジンヒートポンプにしても共通していえることは、何も新開発の技術が採用されたものではないということだ。ガスコージェネにしてもガスエンジンヒートポンプにしても、UPSにしても、どれも古くから使われているシステムで特段の目新しさはないのだが、それを組み合わせることで全く新しい画期的な用途、製品が生み出されたという点で高く評価されるものだ。
 CO2に価値がつき、削減分はクレジット化できる時代が近づいている。2050年に60〜80%削減するという日本の長期目標も示されたばかりだが、何も革新的技術開発を待たなくても、既存の技術で画期的な製品を生み出すことがまだまだたくさんあるるということの一例だ。コージェネやヒートポンプなどの省エネ機器を使ってできる省CO2システムの開発は、これからまさに本番を迎える。