2008年65日号

WGが電力制度改革の詳細設計案 CO2フリー電力取引など
 電力事業の制度改革WGが「今後の望ましい電気事業制度の詳細設計について」と題する報告書を取りまとめた。3月の電気事業分科会の基本答申に基づいて、卸電力市場の競争環境整備や30分同時同量制度のインバランス料金、託送料金の超過利潤の取り扱い、安定供給の確保、電力分野の環境適合などについて制度改革の詳細についての見直し案をまとめた。7月4日に開催予定の電気事業分科会に報告される。
 競争環境整備については、卸電力取引所での当日取引を可能とする「時間前取引市場」創設を盛り込んだ。1日3回、4時間後の電力を取引する時間前市場を創設し、前日取引確定後の発電事故などに対応できる市場として設計する。
 同時同量インバランス制度については、系統エリア毎に一般電気事業者が調整に当てた電力に相当する費用を、一般電気事業者とPPSが公平に負担する形に改められる。これによって、変動範囲内のインバランス料金は平均で0.3%前後の切り上げとなる。
 託送料金制度については、超過利潤の取り扱いについて見直された。
 従来の料金変更命令の発動基準を改めて、連系線などネットワークの整備費用として超過利潤の一部を一定の積み立てとして内部留保することを認めるとともに、利潤の2分の1についても効率化インセンティブとして控除、残った差額分を託送料金に還元する仕組みとする。激変緩和措置として5年間の分割還元を可能とする措置も設けられる。
 環境適合については、CO2フリー電力とCDMクレジットを商品化して卸電力取引所での取引を可能とする。試験的な市場として、取引所の処理能力に過大な負担がかからないような規模に抑える。また、CO2フリー電力の売り手は外部からの参加も認めるがCDMクレジットの取引は売り買いとも取引所の会員に限定する。


風力は500万kW、太陽光は1000万kW 電事連が連携可能量を公表
 勝俣恒久電気事業連合会会長は5月23日の定例記者会見の中で、ポスト京都の電気事業者の環境対策の柱として原子力と再生可能エネルギーの導入拡大を柱とする方針を示し、風力は現状の約3倍の500万kW、太陽光は約7倍の1千万kW程度まで連系が可能だとの認識を示した。再生可能エネルギーの連系可能量を電力業界として示すのは初めて。
 さらに、「狭い国土や気候条件を考えると、建物の屋根に設置できる太陽光発電が風力やバイオよりもポテンシャルが高い」と特に太陽光発電の拡大に向けた取組を行っていく方針を示した。


CO2回収型の石炭火力を建設 Jパワーと中国電力
 Jパワー(電源開発)と中国電力は、CO2分離回収型の石炭ガス化火力発電所の大型実証試験を共同で実施する。中国電力の大崎発電所(広島県大崎上島町)に、15万kWの大型の実証設備を建設し、CO2排出ゼロの石炭火力発電として運用、発電した電力は全量を中国電力に売電する。石炭と酸素を高温のガス化炉で反応させ、CO2と水素に分解、燃料として使用しないCO2を分離回収し、CO2排出ゼロの発電を理論上可能にするもので、実証試験ではシステムの信頼性・経済性・運用性などの検証を行う。
 酸素吹の石炭ガス化技術とCO2分離回収技術はJパワーがNEDOと共同で開発した技術で、2012年度中に建設工事を開始、2016年度中の実証試験開始を目指す。

シャープとエリーパワーが共同で太陽光蓄電用のリチウム電池を開発へ
 シャープとエリーパワーは、太陽光発電システムと連携する大型リチウムイオン電池の共同開発で合意したと発表した。太陽電池で発電した電力をリチウムイオン電池に蓄え、必要なときに使用できるシステムの開発を目指す。
 太陽光発電で昼間に発電した電力を蓄電し夜間等に出力、発電出力が不安定な太陽光発電電力の平滑利用が可能にする。シャープの太陽電池システム技術と、リチウムイオン電池の開発を行っているエリーパワーの技術を合わせて、大型リチウムイオン電池の量産と周辺機器、システムの開発・製造を行い、コスト競争力の高い量産技術を開発する。
 共同開発事業を実施するため、シャープがエリーパワーから第三者割当増資により32.1%の株式の割当てを引き受ける形で資本参加する。

その他の主な記事
省エネ判断基準、ベンチマーク基準など小委で検討開始
・G8環境大臣会合セクター別の有効性など確認
・エネルギー白書で原油高、環境適合など報告
・エネサーブを大和ハウスが完全子会社に
・海洋探査技術でJOGMECが海洋大と提携
・三井造船が建築廃材で大規模バイオマス発電事業を開始
・チッソら3社が太陽光向けポリシリコン材料を量産化
・バルチラと三菱が共同で舶用環境小型エンジンを開発へ
・伊藤忠がノルウェー社に太陽電池で出資
・三洋電機がリチウムイオン電池の製造を拡大
・2008電設工業展、出展製品も環境仕様に
・グリーンエネ拡大へ統一マーク決まる
・環境省がエコ燃料製造で補助支援先を募集
・PVシステムの国際的実証開発で調査委託先募集
・NEDOがPEFC次世代技術開発で公募
・NEDOがFC・水素技術委託先3件決める(SOFCシステム、PEFC実用化、次世代自動車)
・NEDOが次世代風力発電研究委託先募集(雷、複雑地形対策など)
・エネ学会がエネ転換で若手勉強会を開催へ
・マイホーム発電連続セミナー第2回(5月30日開催レポート)  etc.
             
シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのL】<プラグインハイブリッド自動車>
・インタビュー・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策
 <内閣官房参与 西村六善氏>
・解説 カーボン・オフセットD<CERの利用と無効化手続き>
・書評:「石油がわかれば世界が読める」<朝日新聞出版>
   
コラム
・発電論評<バイオ燃料と分散型利用技術>
・プリズム<平成オイルショックでディーゼル車に注目>
・ちょっと一休<後味の悪い日本経団連の取材拒否>
・青空<建設労災に想う


バイオ燃料と分散型利用技術【発電論評】

 世界食料サミットが開催され、食料の価格高騰とバイオ燃料との相関で激しい議論が戦わされたことが報じられている。高騰する石油代替燃料としてトウモロコシや大豆などの穀物がバイオ燃料に転換され、食用穀物の需給逼迫の大きな要因となっているという問題提起が行われた。年間1億トン程の穀物が燃料転換されたというデータもある。
 さりながら、バイオ燃料は、CO2排出量ゼロの環境エネルギーであり、人為的に生産できる再生可能エネルギーでもあり、石油に代わる次世代エネルギーとしての期待は大きい。この問題での日本の政策的立場は一貫している。食用でない廃棄物系のバイオマスや資源作物を栽培して、食料と競合しない形のバイオ燃料生産を目指した技術開発を進めるというものだ。もっとも、日本の米を始めとする国産穀物は国際市場では桁はずれに高額なため、競争力のあるバイオ燃料の製造は不可能だということもある。
 日本での現状は、家畜の排泄物や食品廃棄物、下水汚泥、建築廃材などの廃棄物系のものから大部分のバイオ燃料が製造されており、次世代の技術開発として、稲ワラやモミ殻、間伐材・林地残材などの未利用バイオマスからの燃料製造が目指されている。さらにその先には、遊休地や休耕田を使った食用には適さない資源作物の栽培や養殖した海藻のバイオ燃料化などの計画もある。
 バイオ燃料は、環境負荷が少ないことの他にも、国産資源でありエネルギー自給率の向上に寄与できること、新たな農水産生産物となり地域産業が活性化し、雇用対策としての経済の活性効果も期待できることなど、その開発利用が大いに期待されている。そのためにも、食糧問題と切り離せる日本型のバイオ燃料の生産について広く世界に理解される形で、開発利用に向けた積極的な取り組みが行われることを期待したい。
 一方で、燃料開発とともに必要なものは、利用技術の開発である。石油や天然ガスなどの化石燃料と異なり、多様な原料から作られるバイオ燃料は低カロリーであったり、新たな排ガス対策の必要性など、技術的対策が求められるものである。燃料側の規格を整備するのか、利用する設備側で対策するのか両面が考えられるが、バイオ燃料の生産は小規模、分散型で行われることを考えれば、その利用についても地産地消的に小規模分散型で行われることになると思われるが、ディーゼルやガスエンジンなどをバイオマス仕様にするためには、燃料側の規格もある程度標準化が必要になるかもしれない。
 環境に優しいはずのバイオ燃料を、環境負荷の少ない形でエネルギー転換するために必要な技術開発も、そろそろ加速させる必要がありそうだ。