2008年525日号

ヤンマーと大ガス、東邦ガスが発電機能付きGHPを発売へ
 ヤンマーエネルギーシステムは、大阪ガス、東邦ガスと共同で、自己消費電力がゼロとなり、さらに建物内に電力を供給できる発電機付き業務用ガスエンジンヒートポンプエアコン(GHP)「ハイパワーエクセル」(25馬力)を開発したと発表した。10月1日より発売する。
 GHPは、室外機のコンプレッサーをガスエンジンで駆動し、ヒートポンプ運転によって冷暖房を行うガス空調システムで、発売以来20年余りが経過し同社の累計販売台数も20万台を超えている。05年12月には、小型の発電機を搭載し、空調運転時のガスエンジンの余力で1kWの発電を行い、室外機の補機類でで使用する外部電力を電気式ヒートポンプ(EHP)の約50分の1に大幅削減できる「ハイパワーマルチ」(30馬力)を発売していた。
 今回発売する「ハイパワーエクセル」は、従来からの高効率な空調性能に加え、3kWの高効率発電を同時に行えるシステムで、発電電力によって室外機で使用する電力を全て賄った上で、系統連系して建物内に最大2kWの電力を供給することができる。
 空調運転時にガスエンジンの余力を用いて発電するため、冷暖房定格運転時で40%、部分負荷運転時で約40%〜48%と、国内の火力発電設備の平均的な需要端発電効率を上回る高い発電効率で運転できる。
 また、1台当たりの発電出力は最大2kWと電力量は小さいものの、空調機の場合は空調負荷に応じて複数台が設置される例が一般的なため、施設全体では設置台数をかけ算した値の電力が使用できる。空調負荷が250馬力必要な施設で10台を設置した場合には最大で30kWの発電電力が利用できる。空調用の余剰馬力を発電に利用するというコンセプトで、「省エネによる節電」から「空調を行うことによる電力削減」が実現できる。
 通常のコージェネシステムでは、物販店舗や事務所ビル等、熱需要の少ない施設への導入は難しかったが、「ハイパワーエクセル」は、空調負荷があれば設置・発電ができるため、市場用途の拡大を見込んでいる。


リチウムイオン電池を発電機代替電源に 九州電力と三菱重工
 九州電力は三菱重工業と共同で、リチウムイオン電池の新たな用途開発を行い、発電機代替の可搬型電源装置として電力供給が可能なポータブル電源装置3タイプを開発した。商品名は「エレ来てる」。ポータブル電源として、系統電力が利用しにくい建設現場や屋外イベント用の発電機代替のポータブル電源として幅広い用途が期待できるという。
 開発したのは、電磁調理器を内蔵し電源のない屋外イベント会場や宴会場などでもコードレスで利用できる大容量タイプ(最大出力3kW 電源容量6kWh)と、屋外の工事現場やキャンプ場などで可搬型の発電機の代替として使えるキャリータイプ(最大出力600W 電源容量1kWh)、複数の携帯電話端末への充電が同時にできる携帯電話充電タイプ(最大出力60W 電源容量400Wh)の3タイプ。


東京都が環境確保条例改定案 排出権取引など盛り込む
 東京都は、大規模事業所へのCO2削減の義務づけや削減を円滑に実施するための排出量取引制度の導入などを内容とする「環境確保条例」の改正案を6月の都議会に提出することを決めた。
 改正案は3月の環境審議会の答申に基づくもので、@大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務とA排出量取引制度の導入の他、B中小規模事業所に対するCO2排出量等の報告制度(任意、多数の事業所を有する企業等は提出を義務化)C地域におけるエネルギーの有効利用に関する計画制度の創設(大規模開発における省エネ性能目標値の設定、未利用エネルギーの活用検討)D建築物環境計画書制度の強化(対象拡大、再生可能エネルギーの導入検討・省エネ性能の基準適合の義務化)E家庭用電気機器等に係るCO2削減対策の強化(節電・省エネ機器などの設置努力義務、認定制度による普及促進)F小規模燃焼機器におけるCO2削減対策の強化(低NOXかつ低CO2機器の設置努力義務、認定制度による普及促進)などを新たなCO2削減対策として創設、強化を目指す。面的利用の拡大などによって未利用エネルギーや新エネルギーの活用の拡大を促進する取り組み、また、小規模事業所に対する対策としてGHPなどの高効率の熱源機器の導入拡大を目指し、排ガス認定基準に省CO2性を追加することなども盛り込んでいる。

国内排出量取引制度で4つの試案を提示 環境省の検討会
 環境省の国内排出量取引検討会が5月15日、第6回の会合を開き、中間まとめ案について審議、排出量取引制度について4つの試案を提案した。
 排出量取引制度については、化石燃料に対して流通のどの段階でどの業種を対象に割り当てるかということが問題となるが、試案では@化石燃料の生産・輸入・販売業者を対象とする(川上割当)A大口排出者(化石燃料・電力の最終需要家)を対象とする(川下)B電力・産業・業務の大口排出者を対象とする(川下+電力直接排出)C産業・業務部門の大口排出者・電力会社を対象とする(川下(原単位・活動量責任分担型))の4タイプを今後の検討オプションとして示した。
 輸入・精製等の川上事業を対象とする@では、消費量のカバー率は高いものの、製品価格にコスト転嫁されることになり、消費段階での抑制効果に疑問があることから、4つの中では最も採用の可能性は低い。消費段階で割り当てる3つの試案では、小規模需要家に対する割り当てが困難でカバー率は低くなるものの、消費段階での抑制効果が期待できる。系統電力に対する割当を需要家側と供給者である電力事業者に対してどのように割り振るのかということで3つのタイプが示された。
 化石燃料・電力の最終需要家を対象とするAの場合は排出者の参加意識が高まり削減インセンティブは高いと思われるが一般家庭などの小口需要家までを取り込むことは困難でカバー率が低いことや、発電段階での削減インセンティブが低いなどの問題点がある。
 化石燃料の需要家(大口排出者)と発電所を対象とするBの場合は、電力起源のCO2が全量カバーできるものの、需要家には価格転化による間接的な削減抑制にとどまることがデメリットだが、EUや米国などの制度との類似性はある。
 日本型モデルともいえるCは、原単位での削減も認めるのが特徴の一つで、生産量の増加によるの排出増分については排出枠の購入などで対応するというモデル。自主行動計画との親和性が高く導入しやすい反面、国際的な整合性が図りにくいと思われることなどが問題点として指摘されている。

その他の主な記事
コージェネセンターが優良コージェネを表彰
・06年度の最終エネルギー消費は0.2%の減少
・環境省が家庭用太陽光補助など地域の取り組み支援先決める
・環境省の自主参加型排出権取引、第4期は73者が参加
・グリーン電力証書拡大で小委が報告書
・06年度のCO2排出量は減少
・北海道電力が風力連系の募集再開
・産総研が高性能の水素ガスバリアー材を開発
・IBMが集光型太陽光で新技術
・シャープがモバイル機器向け高密度の燃料電池を開発
・キリンがバイオエタノールの簡便な判定法を開発
・東京都とシャープが新型太陽光の共同実証研究
・四国電力管内、新築の80%は電化住宅
・豊田通商が風力事業をユーラスに譲渡
・トヨタが東邦ガスに燃料電池を提供
・日産と神奈川県がEV普及で合意 
・7月にGT学会が教育シンポを開催
・日産とNECがリチウム電池で合弁
・三愛石油がバイオディーゼル軽油を試験販売
・自然エネルギー・コムと小田急電鉄がグリーン電力証書締結
・大阪で風力発電向上テーマに講演会
・排出権ビジネスなどでJPIがセミナー
・経産省がCDM案件12件を承認
・中小水力でNEFが実務研修会
・街区丸ごとCO2削減補助3件決まる(環境省)
・NEDOが蓄電システム基盤研究でワークショップ
・2月末のRPS認定設備状況  etc.
 
シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのK】<分散型エネルギーとバイオマス>
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策F
 <自由民主党政務調査会環境調査会長 川口順子氏(参議院議員)>
・解説 カーボン・オフセットC


コラム
・発電論評<CO2フリー電力の活かし方>
・プリズム<環境省で復活した住宅用太陽光補助>
・ちょっと一休<母校の教室で興奮する大垣先生>
・青空<牛島神社は日本一の神社です>


CO2フリー電力の活かし方【発電論評】

 卸電力取引所で、CO2フリー電力の取引が試験的との条件付きながら始まることになる。電力事業の制度改革の詳細設計を行っているWGでは、取引所でのCO2フリー電力の取引形態について具体的な提案が行われている。
 CO2フリー電力には、真っ先にイメージされる再生可能エネルギーの他、水力発電や原子力発電、京メカクレジット付きの火力発電などもなども対象になっている。原子力起源の電力は取引所に切り出されることはないだろうから、取引はCO2クレジットでカーボンオフセットする火力電力が主流となると考えられる。取引所では京メカクレジットそのものの取引も行われる方向だ。
 取引所で、オフセット電力を取引する意味は、PPSの救済の意味が強そうだ。現在、一般電力会社は大量のCDMクレジットを購入することで、CO2削減の目標達成を目指している。電力会社間でも取り組みの進捗状況には大きな差異があるため、取引所を通じて電力会社間でクレジットの相互融通を図ることや、火力以外の電源が持ちにくく、また、単独ではCDMクレジットの獲得が困難なPPS向けに、クレジット付きの電力やオフセット用クレジットを融通し合う仕組みを作るということのようだ。さらに、火力起源の電力もCO2フリーとカウントできるようにすることで、系統電力の排出係数の低減に役立てるという狙いも見える。どちらかというとこちらの方が主たる目的といえそうだ。
 しかしながら、こうした電力業界の思惑とは別のところで、CO2フリー電力は電力事業の新たな可能性として期待できそうだ。
 現在、市場で流通している商用電力=系統電力は、電源が混合された形でしか販売されておらず、需要家は電源種別毎には購入できない。コシヒカリが欲しくてもブレンド米しか売っていないという状況だと思えばわかりやすい。しかし、電気はどこで、どれだけ発電されたかという記録は残っているので、それに対応した電力を売ろうと思えば売れるはず。実際にグリーン電力証書は北海道で発電された風力発電の電気=環境価値を東京で購入し、カーボンオフセットできるという仕組みを可能にしている。卸電力市場を通じてCO2フリー電力が調達できれば、そのままCO2フリー電力として小売り販売もできることになり、証書によらなくても需要家は直接グリーン電力=CO2フリー電力の購入が 可能になる。
 それには、グリーン電力を直接供給したり市場を通じて調達し、需要家に販売する「電力会社」の出現が必要になる。せっかく電源を特定できる仕組みができるのだから、それを小売りする事業者を育てるという視点も合わせて検討してもらいたい。