2008年515日号

発電効率60%のSOFC 日本特殊陶業が開発
 日本特殊陶業は5月12日、700度C低温作動型の1kW級固体酸化物型燃料電池(SOFC)スタックとしては、世界最高の発電効率となる60%を達成したと発表した。
 発電セルの燃料極の気孔径と気孔率を最適化したことで、80%を超える高い燃料利用率まで出力電圧を維持でき、高効率と高出力を両立した発電を可能にした。
 また高出力密度の実現で、1kW出力に必要なセル数をわずか16枚(従来の平板型で30〜40枚)と大幅に削減し、各セルへの燃料分配のバラツキを抑制することで高出力を実現した。
 同社では、すでに同スタックを組み込んだ幅50、奥行き40、高さ91cmという世界最小クラスの1kW級発電システムを試作しており、都市ガスを燃料とした発電試験において、定格発電出力時のDC発電端効率で最高57%を確認している。
 今後は発電システムユニット内に系統連系機能を有するパワーコンディショナー、脱硫器、温水製造用の排ガス熱交換器を収容したコージェネシステムを年内に開発し来年度以降、社外実証試験に取りかかる。


三菱防災用発電機PGが新シリーズ 新型デジタル制御盤を搭載
 三菱重工業と三菱電機は非常用・防災用パッケージ発電機の新シリーズとして、新型デジタル制御盤の搭載で操作性と保守性を向上させた「PG−Qシリーズ」を6月2日から発売する。
 主に消火栓や排煙設備などの防災電源として、消防法上設置が義務付けられているディーゼル発電機。最近では一般ビルのほか、10階を超える高層住宅でも非常用として設置が増加している。
 発売するのは10秒始動1時間定格運転の「即時普通形」が20〜460kVA(60H)までの14機種、同1時間超定格運転の「即時長時間形」が415kVA(同)までの14機種。いずれもラジエーター冷却方式。
 PGシリーズは72年にAシリーズを市場投入して以来、現在のPシリーズまで累計3万5千台以上が出荷されており、新型Qシリーズも両社併せて年間2千台の販売を見込んでいる。


DME燃料利用で補助事業を創設 経産省の委託事業でDMEセンター
 ジメチルエーテル(DME)の供給・流通促進を目的に、04年に設立されたDME普及促進センター(代表理事=小西規夫・三菱ガス化学執行役員)は経済産業省の委託事業として、DME燃料利用設備に関する補助金交付事業を今年度から始める。
 既存のボイラーなどを重油焚きからDME仕様に転換する事業者に対し、同センターが設備設置費の2分の1を補助する。08年度の事業規模は約1億5千万円。近く募集を開始する予定で、同センターで準備を進めている。
 DMEは天然ガスなど多様な原料から生産でき、燃焼時に粒子状物質などを発生せず、物性がLPガスに類似していることから、LPガスの補完やディーゼル自動車燃料の代替として注目されている。同事業により「初期段階でのDME燃料需要を創出し、経済的かつ安定した供給確保を図ることが狙い」(中村紘一専務理事)としている。
 5月8日に東京・市ヶ谷で開催された「2008DME普及促進セミナー」で、同センターが事業概要を説明した。
 セミナーでは新たに始まる補助金交付事業の説明のほかDME燃料の実用化に向け、最新の取り組み事例も紹介された。
 三菱ガス化学では6月に新潟で年産8万トンのDME製造プラントを運開させるほか、パプアニューギニアなどで年産170万トン規模のプラント建設を検討中と説明。交通安全環境研究所ではDME自動車の走行試験で、規制を大幅に下回る排ガス性能とディーゼル車並みの走行性能を確認したため、実証モデル事業の創設に向け調査を進めるとした。

八都県市が再生可能エネ拡大で要望書を提出
 東京都などの八都県市は、4月28日、環境省と経産省に再生可能エネルギーの導入拡大についての要望書を提出した。要望書は、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市の首都圏8団体が組織している八都県首脳会議(座長・中田宏横浜市長)がまとめたもので、京都議定書の目標達成を確実なものとするため、@エネルギー政策の基本方針に再生可能エネルギーを大きな柱と位置づけ、導入目標量の飛躍的な引き上げや目標達成のための取り組みを着実に進めるA太陽光発電や風力発電などが制約無く受け入れ可能となるよう電力系統の適切な運用を図り、整備や技術開発を促進するB電力系統に関する情報を関係者で共有できる仕組みを構築すること、の3項目を要望している。

排出枠の割当方法などを提案 環境省の検討会
 環境省は5月9日、国内排出量制度検討会の5回目の会合を開き、排出量取引の中心的な課題である排出枠の割当方法などについて議論した。
 検討されたのは、排出枠の割当について、有償とするのか無償とするのか、また、有償と無償のメリットとデメリットなどで、有償割当については時期尚早とされ、制度導入当初はベンチマーク方式による無償の排出枠を割当することをベースにしてスタートする方向が示された。 
 有償割当は、排出枠を必要とする企業などが国から排出枠を有償で購入するというもので、オークションによって購入量と価格を決めるという方法が有力。市場によって価格が決まることで透明性が担保できることや、CO2削減の取り組みが進んでいる企業にとっては必要量が少なく、企業の省エネ努力を公平に評価できるという前向きな考え方もあるが、反面、購入する事業者側にとっては新たなコスト負担となり、価格転嫁問題や国際競争力の削減による産業の海外移転を促進する、産業の国内空洞化の拡大などの観点から抵抗感が強い。
 検討会では、当面は業種別のキャップにベンチマークを採用する無償割当をベースに、対象業種や基準などを検討することを中心として複数の取引制度の試案を報告書の中で示す。

 
その他の主な記事
日中が気候変動に関する共同声明
・省エネ基準部会が再開
・新日石が中期計画、燃料電池事業など強化
・九州電力が風力連携を募集
・中国電力の風力決まる
・西芝に東芝が増資
・都市ガス3社の08年3月期決算
・バイオマス先導技術
・PEFC次世代技術開発
・07年環境対応型ボイラー導入、交付決定
・08年度省エネ大賞募集
・中小企業向けESCO補助事業創設
・LPガスコージェネ08年度募集    etc.

       
燃料電池新聞の主な記事
・水素エネルギー協会特別講演会レポート
・GM、ダイムラーの燃料電池車開発の現状
・JHFCセミナー報告
・NEFのSOFCは36サイトに決まる
・NEF大規模実証交付先
・海外ニュース
 -米調査会社、世界のSOFC市場は2010年に460億円と予測
 -米運輸省、自動車の燃費規制強化案を発表
 -バラード、物流機器大手とリフトトラックを共同開発
 -プジョー・シトロエングループ、燃料電池車を開発
 -ドイツの研究所、リチウムイオン電池の熱暴走を克服する材料を開発
 -ゼネラル・エレクトリック社(GE)、ノルウェーのシンク社に投資、電気自動車の開発を支援
・燃料電池フラッシュニュース
 -家庭用燃料電池コージェネ、神奈川県知事公舎に導入
 -ホンダソルテック、法人向け太陽電池販売に注力
 -太陽金網、300℃以上の耐熱性を有するシリコーン系耐熱接着剤の市場開拓をスタート
 -三井金属、次世代リチウムイオン電池用のシリコン系負極を開発
 -日本製鋼所室蘭製作所、水素吸蔵合金タンクを7基受注
 -弘前大と並木精密宝石、磁歪合金を利用したマイクロバルブを試作
 -松下電器、家庭用燃料電池を全面改良、最高発電効率39%(LHV)達成
 -神奈川県、電気自動車の導入普及を促す優遇措置を実施
 -新日本石油、東大先端研とコスト半分の太陽電池の共同開発をすすめる
 -経済産業省、「技術戦略マップ2008」を公開
 -TDK、パワーコンディショナー向け部品に新しい磁性素材を開発。電力ロスを1/20に削減
 -三菱自動車、北海道電力と新世代電気自動車「iMiEV」の実証走行試験を開始
 -三洋電機、コストを1/2にできる薄膜型太陽電池の量産を、2010年度を目処に開始
 -ロームと日産自動車、耐破壊性を改善した新構造のSiCダイオードを開発
 -FDK、リチウムイオンキャパシターで大型に特化
 -東芝、用途に合わせたリチウムイオン電池を市場投入。ハイブリッド、電気自動車向けを開発
  etc.
・燃料電池インフォメーション

シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのJ】<分散型エネルギーと無効電力>
・解説カーボン・オフセットB
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策E
 <自由民主党環境部会長代理 北川知克氏(衆議院議員)>
・「21世紀のエネルギー地政学」書評
・インサイト(環境改善技術革新A)
   
コラム
・発電論評<オフセット用クレジットの供給力>
・プリズム<原油価格高騰の仕掛け人>
・ちょっと一休<旧友が7人来て大宴会>
・青空<南洋の国へ行ってきた>


オフセット用クレジットの供給力【発電論評】

 カーボンオフセットなどのCO2削減には、譲渡可能なCO2クレジットの存在が不可欠となる。取り組みがまだ始まったばかりの日本では、カーボンオフセットに使用されているクレジットはほとんどがグリーン電力証書である。自らが排出するCO2を限りなくゼロに近づけたいというカーボンオフセットの考え方と自然エネルギーを活用するグリーン電力証書の考え方に親和性が高いというのもその背景にあると思われるが、その他にも「それ以外のクレジットが入手しにくい」という理由があると思われる。
 太陽光発電や風力発電、バイオマス発電を主要な電源として発行されているグリーン電力証書は、年間約1億kWhが発行されており、製品やイベントの使用電力のオフセット用、またカーボンオフセット旅行などのクレジットとして活用が徐々に広がっている。洞爺湖サミットでも消費する電力を太陽光などのグリーン電力でカーボンオフセットすると発表されて話題となっている。
 排出権取引を国内に導入する動きも活発化している。クレジットの必要量が増せば、供給するクレジットも増やす必要があるのだが、自然エネルギーに頼っているグリーン電力だけでは増大するクレジット供給力としてどこまで期待できるのか疑問がある。風力や太陽光、バイオマスなどのグリーン電力設備は、国内ではRPS法によってそのほとんどのものが電力事業用として囲い込まれ、グリーン電力用の電源とはなりにくいという構造になってしまっていて、グリーン電力証書の発行量の拡大にはおのずと限界が見えている。
 その他のクレジット創出の主な担い手として期待できる電源にはどういうものがあるのか。にわかには想像できにくいのだが、現在は利用が限定的なバイオマスや天然ガスコージェネもクレジットの主要な供給手段として活用する道が開かれるべきだ。
 現在、約400万kWのガスコージェネが国内で稼働中といわれるが、年間発電量などの稼働実績を示す集計データは公表されていない。CO2クレジットの供給力としてコージェネをカウントしようとすると、コージェネを導入しなかった場合の系統電力などの使用量とボイラーで使用した燃料量からのCO2排出量の合計値とコージェネ導入の場合のCO2排出量の差をクレジットとしてカウントできるということになるのだが、残念ながら、データの比較が不可能で、国内のコージェネにはどれほどのクレジット供給のポテンシャルがあるのかという計算すらできない。
 コージェネによる省エネ力や省CO2力を顕在化させる意味でもコージェネの稼働実績などの統計データが整備を急いでもらいたい。