2008年42555日合併号

家庭用燃料電池の量産開始へ 松下電器が4万時間の耐久性に目途
 松下電器産業は、発電効率や耐久性を実用商品化レベルにまで向上させた家庭用燃料電池システムを開発、09年度からの一般販売に向けて量産体制を確立し6月から生産を開始すると発表した。
 開発した新システムは、最高で39%、実用域で38%以上の固体高分子型としては世界最高レベルの発電効率と耐用年数10年鑑を想定した4万時間の運転時間、起動停止回数4千回の耐久性を実現しており、家庭用システムの実用商品化レベルを十分に確保できたとして来年度からの本格販売を前提に量産化に踏み切った。
 燃料電池の実用化に当たっては、コストの大幅な低減とセルの劣化などに対応する耐久性の向上が大きな課題とされていたが、国の大規模実証試験への参加などの研究成果により、電解質膜の破壊や触媒の能力低下、生成水のつまりなどの劣化メカニズムの解明に成功、4万時間の耐久性の確保に目途を付けた。
 開発した新システムは、一般的な家庭で1年間運転した場合、1次エネルギーが22%(3262kWh)削減可能。CO2の排出量は全電源平均に対しては12%、火力平均では37%の削減が可能で、火力の場合のCO2の年間削減量は1175kgとなる。
 松下電器では、大規模実証事業での使用データの分析によって、最も使用頻度が高い発電出力500W〜1kWの実用域での発電効率を飛躍的に高めることに成功、750kW時に最高効率の39%、500W〜1kW全域で発電効率38%以上、300Wの低負荷時でも34%の発電効率と画期的な高効率での運転ができる。
 従来機は燃料処理機やインバーターの効率が低出力側ほど低かったため、発電効率は定格時が最も高く、低出力になるほど低くなっていた。こうした課題を、高耐久性MEA(膜電極接合体)・セルスタック技術や、高効率で広範囲での安定動作が可能な燃料処理技術、全域ソフトスイッチング昇圧低損失インバーター技術でクリアした。
 松下電器では社内分社である松下ホームアプライアンス社の工場(滋賀県草津市)に生産設備を導入し6月から生産を開始、09年度からの本格的な事業化に取り組む。


NEFが新エネ6分野で導入促進を提言
 新エネルギー財団(NEF)は、燃料電池、風力発電、廃棄物発電、バイオマスエネルギー、太陽エネルギー、地域新エネルギーの6分野で導入促進に関する提言をまとめた。
 NEFでは、毎年、新エネルギーの導入促進に必要な政策や支援措置などについて新エネルギーの種別毎に、必要な項目を提言としてまとめている。今年度の提言は3月18日に開いた新エネルギー産業会議(議長・荒木浩東京電力顧問)で取りまとめた。
 提言の主な内容は燃料電池では、家庭用システムとして固体高分子型(PEFC)の初期市場形成のための定額補助制度や供給事業者への支援制度の創設や既に実用機が販売されているものの市場形成が遅れているリン酸型(PAFC)を病院や防災センター、下水処理場などの公共施設に積極導入を図る市場整備、また、高効率発電システムとして早期実用化が期待される固体酸化物形(SOFC)の開発支援やセル基盤技術研究の加速化などを求めている。バイオマスについては、間伐材や林地残材の収集・運搬費用のコストダウンのための技術開発、食品廃棄物のガス化の促進など。地域新エネでは、ESCOやPFIの手法の活用やグリーン電力証書の活用などによる導入促進の加速化。風力については、長期導入目標の策定など、太陽光については集合住宅への導入支援などの対策を提言している。


国内CDM推進で協議会が発足
 経済産業省が08年度からの創設を目指していた「国内クレジット(CDM)制度」の推進協議会が設立され、4月18日、発起人会を開催した。協議会は、日本商工会議所、日本政策投資銀行など24の企業、団体が参加している。
 協議会は、資金やノウハウがなく削減対策が遅れている中小企業でのCO2削減事業を進めるため、自主行動計画などでCO2削減が必要な大企業が資金や技術を提供しCO2削減事業を行い、発生したCO2削減量をCO2クレジットとして獲得したり転売できる仕組みの構築や制度の普及を目指す。海外でのCDM事業などに流れるCO2クレジットの購入資金の一部を国内に貫流させることで、国内でのCO2排出削減に結びつける効果を狙っている。
 協議会は、参加企業に対して実務的な支援を行うとともに、共同事業を実施する大企業と中小企業の仲介、排出権取引に関する情報提供などを行う。また、洞爺湖サミット向けのPR活動や国内主要都市でのセミナーの開催なども計画し、制度の周知や普及を図る。
 協議会は5月下旬に設立総会を開催して正式に発足する。事務局は日本経済研究所。

その他の主な記事
新エネ部会で燃料電池技術の世界標準化などを提言
・第5回グリーン電力拡大小委で普及策
・日本の国別削減目標を経済同友会が温暖化で提言
・業種別影響など試算、環境省の排出量取引検討会
・川崎重工が大型ガスエンジン発電実証を公開
・新日石と東京ガスの川崎天然ガス火力が運開
・新日石が次世代太陽光で東大先端研と共同研究開始
・ブリヂストンが太陽電池向け接着フィルムを再増産
・カネカが大阪大学と次世代エネで共同研究
・三菱重工が新エタノール脱水システムを開発
・水和物スラリ、川崎アゼリアに導入
・自然エネルギー・コム、新たにG電力2件発行
・風力発電公募(洋上風力F/S調査と高所精査)
・京メカクレジット決まる、CDM/JI推進調査募集も
・2008電設工業展最大規模で開催へ
・電力・瓦斯の事業展開などでJPIがセミナー   etc.
 
シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのI】<分散型システムと変圧器>
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策D
 <社民党地球温暖化防止・環境税創設プロジェクトチーム座長 阿部知子氏(衆議院議員)>
・分散型発電用語の栞<環境改善技術革新@>
・建築計画・工事ニュー


コラム
・発電論評<大規模火力の代替はコージェネで>
・プリズム<問われたのは日本の企業風土なのか>
・ちょっと一休<84歳の恩師と修学旅行>
・青空<本紙は有益な新聞でしょ!>


大規模火力の代替はコージェネで【発電論評】

 エネルギー問題の最重要課題となった感のある省CO2問題を考えるとき、家庭などではまず省エネが話題となる。省エネの取り組みは需要サイドが中心で、電気の使用量などを削減して、結果的にCO2排出削減に貢献し、電気料金も節約できる。
 省エネ家電や省エネ照明器具など、昨今こうした需要に対応する製品開発も盛んになっているが、特に消費者レベルで語られる省CO2はこうした省エネ製品の購入などで終わってしまうことが多い。もう一歩踏み込むことができないのか。
 例えば、現在の電力エネルギーは原子力と水力と火力とほんのわずかな新エネルギーで作られている。火力があるので、CO2ゼロにはならない。電力の使用量が増えれば増えるほどCO2排出量も増えることになり、省エネ家電や省エネ照明はCO2削減に役立つ。
 こうした考え方には矛盾もある。例えば、他の電力会社よりも新エネルギーを大幅に増やして火力の比率を低減、CO2排出量を限りなくゼロに近づけた場合、省エネ家電や省エネ照明を利用しても省CO2効果は弱くなってしまう。グリーン電力証書を購入してカーボンオフセットをする動機付けも減退してしまうことになる。
 実際には、火力発電の比率は高く、こんなことは起こり得ないのだが、やはり、省CO2の本質的な取り組みは、供給サイドでのCO2抑制策にあるということがいえそうだ。
 供給サイドの省CO2対策を進めるためには、需要側からの省CO2電力の供給要請が対策を促す力となる。
 省エネや省CO2の取り組み効果をわかりやすくするために、電源別の排出係数を見える化して、需要家に情報提供することも効果があるのではないか。電源別の選択メニューを可能として電力料金と排出係数を需要側が選択できるようにすることも大きな効果が期待できそうだ。
 需要側が電源選択できるようになればCO2ゼロの原子力電力の人気が高まるかもしれない。排出係数の高い火力発電は人気がなくなり料金の引き下げが必要になるかもしれない。そのため、火力でもCO2の回収や排熱利用によってエネルギー効率を高め排出係数引き下げる対策が進み、全体の排出削減につながることも期待できる。
 大量の排熱を廃棄する大規模火力は存立が困難となり、替わって需要地近接のコージェネがピーク需要などの負荷変動に応じて稼働することになれば、エネルギー高効率利用と省CO2の同時実現にも結びつく。未来を見つめた革新的な技術開発ももちろん必要だが、足下にある技術を使って、ネットワーク全体の省CO2化を図るという視点から、供給システムの現状を見直してみることも必要だ。