2008年415日号

グリーン電力の「環境価値」など議論
 グリーンエネルギー利用拡大小委員会の第4回の会合で、ガイドライン案の検討と報告書案の骨子についての検討が行われ、グリーン電力証書のガイドラインの骨格がほぼまとまった。民間の自主的な制度として運営されているグリーン電力証書の信頼性や透明性を高めるため、国がガイドラインを示して利用者の安心を高める。
 ガイドラインでは、認証機関の組織や能力について要件を定め、実施する業務内容や発行する証書やマークの管理などについても整えるべき事項を示し、可能な限り情報公開することで、制度の透明化や信頼性を確保、現在実施されているグリーン電力証書制度をベースに、利用者や提供者、認証機関などに新たな負担が生じないように考慮する。
 RPS電力との重複も認め、RPS電力が利用していないCO2フリーという「環境価値」に着目して証書を発行できるようにすべきという視点からの議論も行われたが、現状のグリーン電力証書制度では重複を排除していることから、ガイドラインには反映させず、今後の検討課題として、小委員会が取りまとめる報告書の中で、改めて議論し反映させることとされた。
 認証機関には経理的基礎や技術的能力A特定者に支配されないなど運営の公平さなどの組織や認証業務の手順の整備、外部監査などを求め、@設備の認定や認定書の発行Aグリーン電力量の認証や相当量の証明書の発行B認証電力の管理(重複利用の排除)C統一マークの管理などの業務を行う。
 情報公開については、@認証機関の組織や業務フロー、監査体制、従事者の技術能力や従事者数などA申請手続きの方法B認定や認証の基準C認定設備の名称、所在地、発電方法、発電容量等の内容D認証した電力量E財務状況F統一マークの使用許諾基準G文書の保存規定などをHP等で公開する。


静かな小型風車のループウィングが2kW機を量産・販売へ
 独自の形状で、運転音が静かで安全性の高い小型風力発電設備の開発を行っているループウイング社(吉田穣代表取締役社長)は、プロペラ型風車の課題を克服した、高い静音性、安全性、耐久性、実効性を持った2kW級のループウイング型風車「μ2850」を開発、7月1日から販売を開始すると発表した。
 開発した2kW機は、風速3m/秒で補助電源なしで回転を始め4mで電力供給を開始できることを沖縄県中東郡に設置して実施した実証試験で確認している。
 μ2850は系統連系することを前提に製品化されており、施設内の補完用にCO2フリー電力として利用でき、事業場の省CO2にも貢献できる。
 ローターの直径は2.85m。約3m/秒の風速で回転を始め過風速の14mで自動的に停止する。支柱を除く風車の重量は約250kg。12.8mの風速で定格の2kWの発電を行う。年間の発電量は平均風速4mで946kWh、6mで2994kWh、8mで5183kWh。年間のCO2削減効果(火力換算)は、風速4mで338kg、6mで1069kg、8mで1850kg。設計寿命は20年。  
 既に、国内外の官公庁や複数の企業で導入が計画されており、発売開始後、生産規模を拡大し供給力を高めていく。また、2kW機に続き、風車の直径4.8mの5kW機と6.7mの11kW機の開発も開始している。また、風車以外にも潮流発電や小水力タービンへの技術の転用も可能で、小水力発電機の開発も視野に研究開発を進めていく。
 2kW機は経産省の「京都議定書目標達成産業技術開発促進事業」の補助を受け国際環境技術移転研究センターとの共同開発を行った。


グリーン電力価値付きで太陽光発電システムを販売
 自然エネルギー関連事業を展開しているネクストエナジー・アンド・リソーシーズ(伊東敦代表取締役・長野県駒ヶ根市)はグリーン電力買い取り契約付き太陽光発電設備の販売を開始した。
 ネクストエナジー社の独自ブランドの190Wの太陽電池モジュールを販売する際に、発電した電力の「グリーン価値(環境価値)」を他者に販売できる権利を付加して販売する。太陽電池モジュールを購入・設置したユーザーは、発電した電力の「環境価値」をネクストエナジー社を仲介者としてグリーン電力証書化して売却・換金できる。
 太陽光発電については、電力会社がRPS法の履行義務を果たす目的などから契約している電気料金と同額で余剰電力を購入する制度が実施されているが、グリーン価値を購入する仕組みはまだない。グリーン電力証書制度は、家庭用では認証を受ける例はほとんど無い。

環境省がカーボンオフセットフォーラムを設立
 環境省は、カーボン・オフセットの取り組みを推進するため「カーボン・オフセットフォーラム」を設立した。チーフアドバイザーとして末吉竹二郎国連環境計画・金融イニシアティブ特別顧問が就任。
 フォーラムは、2月に策定された指針「わが国におけるカーボン・オフセットのあり方について」に基づき、市民や企業、地方自治体のカーボン・オフセットへの取り組みに関するプラットフォームとして設立された。京都メカニズム相談支援事業の一環として、海外環境協力センター内に設置される。カーボン・オフセットの最新情報収集・提供、普及啓発、相談支援などを行い、低炭素社会の実現を目指す。
 フォーラムの設立に当たり、4月15、16日にそれぞれ東京と京都で「キックオフ・ミーティング」が開催され、フォーラムの紹介や講演などを行った。フォーラムでは今後もこうしたセミナーなどを通じて、カーボン・オフセットに関する情報を発信していくとしている。


08年度の電力供給は横ばいの見通し
 資源エネルギー庁は08年度の電力供給計画を公表、電力の需給見通しを明らかにした。
 07年度の需要電力は、前年度比3.0%増の9169億kWhとなったが、08年度はほぼ横ばいの9165億kWh。新規参入者との競合や中小企業などの需要減で自由化電力や低圧電力需要が減少すると予測している。
 最大電力量も、07年度が10社合計で前年度比3.2%増の1億7565kWだったが08年度はほぼ横ばいの1億7562万kWとなると予測している。

 
その他の主な記事
20年の電力供給計画、電力需要は横ばいの見込み
・19年度の原子力の設備利用率大幅に低下
・新エネ部会で欧州の新エネ導入目標など紹介
・経済対策閣僚会議が成長力早期実施策
・制度改革WGで託送超過利潤など議論
・グリーン電力引取権付き太陽光発電システムを販売
・NTTが代替電源サービス開始
・神奈川県知事公舎に家庭用燃料電池設置
・DOWAが岡山でBDF製造へ
・太陽光発電システム実用化募集と太陽電池標準化調査決まる
・環境対応型ボイラー導入事業
・カーボン・オフセットフォーラム設立
・地域バイオマス熱利用募集
・低炭素地域づくりモデル地域を募集    etc.

 
企画特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略<京セラ編>
ゲスト:京セラ環境経営部長 河合寿朗氏 聞き手:都市エネルギー協会 会長 吉田武治氏
世界有数の太陽光発電システムメーカーでもある京セラは、ファインセラミックス技術を応用した燃料電池の製造開発も手がけている。こうしたクリーンエネルギー事業を展開する京セラが、事業の中でどのような環境保全や企業ブランドの構築に取り組んでいるのかを聞いた。
・経団連が進める温暖化対策の方向<インタビュー>
ゲスト:日本経済団体連合会産業第三本部長 岩間芳仁氏
洞爺湖サミットに向けて日本政府のセクター別アプローチなどの提案が注目される中で、自主行動計画の推進など日本の温暖化対策に大きな影響力を持つ産業界の取り組みの方向について、日本経団連の考え方を聞いた。
   
燃料電池新聞の主な記事
・佐藤ライト工業サンプル出荷
・NEFの定置用燃料電池報告会
・ライブニューの水素製造技術
・大阪ガスが4万時間の耐久性を確認
・リチウムイオン電池のエトキ
・リチウムイオン電池の可視化
・ライブニュー 水熱分解装置
・燃料電池インフォメーション
・リチウム可視化に成功
・海外ニュース
 -英国のエネルギー会社、家庭用SOFC燃料電池コージェネの導入を加速
 -ボーイング、小型燃料電池飛行機を開発
 -2007年の小型燃料電池市場は2500台
 -米バイオレット・フューエルセル社は体積出力密度15kW/リットルのSOFCを開発
 -バイオレット・フューエルセル社のSOFCセル
 -ドイツテレコム、燃料電池カーゴバイクの走行試験を実施
 -カリフォルニア州、ZEV導入規制を見直し
 -ホンダ、2009年販売のハイブリッド車にニッケル水素電池を採用
・燃料電池フラッシュニュース
 -豊田中央研究所、マイクロ波応用の水素製造技術を開発
 -神戸製鋼所、CO選択吸着剤を利用した水素製造プロセスの実証試験を開始
 -SGLカーボン、ロール芯径を半分とした燃料電池向けガス拡散層基材を開発
 -ルネッサンス・エナジーなど、ランタン添加で性能劣化を抑制したPEFC向け改質触媒を開発
 -日本製鋼所、携帯機器用に軽量化した水素吸蔵合金タンクを開発
 -戸田工業、リチウムイオン電池の3元系正極材のライセンスを取得
 -太陽電池の国内市場、07年は約21万kWで大幅減
 -東京工業大学、SOFC電極材料でイオン拡散経路を解明
 -日産、ニューヨーク自動車ショーで電気自動車コンセプトカーを発表
 -日本無線などメタノールの濃度変化などが検出できる弾性表面波センサーを開発
 -萩尾高圧容器、LPG仕様燃料電池の脱硫装置の連続実証運転に成功
 -ホンダ、09年発売のハイブリッド専用車にニッケル水素電池を採用
 -東北大、水素吸蔵時の発熱量を半減した水素吸蔵合金を開発
 -日立マクセル、高活性金・白金合金触媒を開発
 -三菱化学、自動車用リチウムイオン電池正極材市場へ格参入
 -日産・ルノー、デンマークに電気自動車を供給
 -TOTO、家庭用SOFCを11年に販売、価格を100万円に引き下げ
 -山梨大の燃料電池研究、NEDO事業に採択、総事業費70億円
 -三菱総研、海藻からバイオ燃料を製造するプロジェクトを産学協同で立ち上げ
 -日産自動車、米で10年に電気自動車を発売
 -理研、シロアリ腸内共生微生物が水素を発生することを確認
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのH】<分散型エネルギーと製造コスト>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<メタンハイドレートとバイオマス開発>
・プリズム<エコキュートの省エネ性の計り方>
・ちょっと一休<教育の再生が日本の未来を拓く>
・青空<ドイツ企業の真髄に触れた>


メタンハイドレートとバイオマス開発【発電論評】

 20世紀が、石油の時代だったのだとすると、どうやら21世紀は、メタンハイドレートなどのガスとバイオマスの時代ということになるのではないか。
 まずガスでは、メタンハイドレート開発への期待が高まっている。先般、国のプロジェクトの陸上産出試験で、メタンハイドレート層からメタンガスの連続生産に成功したというニュースが流れた。日本近海のメタンハイドレート層からメタンガスの産出も可能性が現実化してきた。
 日本近海には、日本の天然ガス需要量の100年分以上のメタンハイドレートが存在すると推定されている。天然ガスに限らず、エネルギー資源の大半を海外に依存している日本にとっては、貴重な国産資源であり、開発が始まれば、日本は一躍エネルギー資源大国になるのもあながち夢物語ではなくなる。
 国産エネルギーへの期待といえば、バイオマス燃料の開発も本格的に始まろうとしている。再生可能エネルギーであるバイオマスは、水力や風力、太陽光などとともに地球温暖化抑制に資するエネルギー源として注目が高まっているが、風力や太陽光などの自然エネルギーとの決定的な違いは、人為的に生産できるという点だ。
 食品廃棄物や家畜排泄物、間伐材、建築廃材など多様な廃棄物を回収しエネルギー資源として再利用する。ゴミを資源に変えるという画期的な取り組みだといえるが、これまでは、安価な石油に対してコスト競争力が不足し、資源化されることなく廃棄物としてコストをかけて処理されていた。
 原油価格が100ドル超の時代が出現したことで、石油代替燃料としてのバイオマス燃料の開発が現実味を帯びている。先日、政府は40円/Lのバイオエタノールの製造技術の開発を2015年までに実現するというロードマップを発表した。
 廃棄物の利用だけでなく、遊休地や休耕田などを利用した食用を目的としない資源作物の栽培も開始されようとしている。また、国の補助事業として日本海で海藻を養殖するプロジェクトで大量のバイオエタノールを製造するという計画も実施されようとしている。
 再生可能エネルギーとしてバイオマスの優れている点は、太陽光や風力などの自然エネルギーが発電量のコントロールができないのに比べて、農水産資源として生産量がコントロールでき、また、必要なときに熱や電力としてエネルギー利用できるということだ。
 21世紀に日本を一躍エネルギー大国に押し上げるポテンシャルを秘めているバイオマスやメタンハイドレートの開発動向に注目するとともに、その利用技術として分散型エネルギーシステムの利用、拡大にも目が向けられなければならない。