2008年45日号

ガス大手3社がガス導管にバイオガスを受け入れ
 東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの都市ガス大手3社は、4月1日から、バイオガスをガス導管に受け入れ購入することにした。3社は、それぞれバイオガス購入要領を策定して、導管に受け入れるガスの性状や圧力、購入料金などについて公表した。
 購入するバイオガスは、下水汚泥や食品廃棄物等を発酵させて得られるメタンを主成分とする再生可能なバイオガスで、性状や圧力がガス会社が販売するガスと同等で、導管に受け入れ可能なもの。ガスの加工費用や導管受け入れのための設備費等は依頼者側が負担する。購入する価格は、ガス会社が販売している同規模の需要家に対する販売価格を参考にして決める。
 都市ガス事業者は、従来から省エネルギーや省CO2などの観点からエネルギー利用効率の高いガスコージェネレーションなどの普及拡大に熱心に取り組んでおり、今回のバイオガスの受け入れは、導管供給するガスのCO2排出係数の削減効果が期待できることや、生産規模の拡大が難しいバイオガスを都市ガス導管に導くことで再生可能エネルギーであるバイオガスの普及拡大に貢献できるとして、導管への受け入れ・購入に踏み切った。
 下水汚泥などのバイオガスは、現地で発酵処理をして燃料化しコージェネレーションシステムで電気と熱エネルギーに転換して自家消費されているのが一般的な利用方法だが、導管供給によって燃料としての流通が可能になり、バイオガスの広域流通の可能性を切り開くものとして期待が高まる。
 購入マニュアルを定めて、受け入れ条件を透明化することで、バイオガスの性状なども標準化され、利用し易くなることも期待できる。
 3社が購入するバイオガスは@中圧導管以上に接続できることAガス会社が導管供給しているガスの性状と同等のものB購入量等が導管能力の範囲内であることやガス供給の妨げにならないことなどを条件にしている。


1L当たりバイオエタノールを40円で 協議会が技術革新計画を公表
 経済産業省は、3月26日、バイオ燃料技術革新協議会(委員長・鮫島正浩東京大学大学院教授)を開き、革新的技術開発を行って2015年に、1L当たり40円を目標にバイオエタノールの生産を目指す「バイオ燃料技術革新計画」をまとめた。政府がこれまで進めてきたバイオマスニッポンで1L当たり100円程度のバイオエタノールを2011年に5万kL生産するという目標に加えて、更なる技術革新を加速化して40円を目標に、2015年に年間10〜20万kLの生産を行うロードマップをまとめた。原料のバイオマスは、食料と競合しない資源作物を遊休地や休耕田などを利用して栽培する。
 協議会は、昨年11月に経産省と農水省が連携して、バイオ燃料に係る技術開発の促進を目的に、産官学のメンバー構成で発足、18回の会合を開いて毛このほど計画をまとめた。計画については、同日午後に都内で開いたシンポジウムで報告した。
 経産省と農水省は、ロードマップに従って、低コストのバイオマス燃料の開発を今後積極的に推進する。


メタンハイドレードから天然ガスの連続生産に成功
 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、国のメタンハイドレート開発促進事業の一環として、カナダ北西部の北極圏で実施している陸上産出試験で6日間連続でメタンハイドレート層から天然ガスの連続生産に成功したと発表した。
 JOGMECが産出試験事業を経産省から受託して、カナダの天然資源省と共同研究の形で実施しているもので、冬期には日中でも氷点下30度C以下になる永久凍土の地下約1100mに存在するメタンハイドレート層から、効率的にメタンガスの製造が行える減圧法の手法を用いて世界で初めてメタンガスを産出することに成功した。
 JOGMECでは、6日間の連続生産が行えたことで、減圧法の有効性が確認できたとして、日本近海の海底下に広い範囲で大量に存在するといわれるメタンハイドレートの資源化にへの第一歩を印すことができたと評価している。
 メタンハイドレートは、メタンガスと水が結びついた固体上の物質で、太平洋沖の東部南海トラフだけでも日本の天然ガスの需要量の約14年分に相当する約1兆1千億立方mの資源量が国の調査事業の中で確認されており、将来の「国産エネルギー」としてその開発が期待されている。

06年の温室効果ガス排出量を集計 エネルギー起源CO2が87%
 06年度の温室効果ガスの排出量の集計結果が発表された。温対法に基づいて環境省と経済産業省が、対象となる事業所1万4224事業所と輸送事業者1439事業者から届け出のあった排出量の集計をした。排出量の合計はCO2換算で6億4025万トンで、これは日本の排出量全体約13億4100万トンのほぼ半分に相当するとしている。
 温室効果ガスの種類別では、エネルギー起源のCO2が5億5683万トンで報告量全体の87%、非エネルギー起源CO2が5796万トンで9.1%、廃棄物の原燃料使用が661万トンで1.0%でその他のガス(CH4、N2O、HFC、PFC、SF6)が3%という内訳で、CO2が温室効果ガスの97%を占めている。
 業種別に見た排出量は、製造業が最も多く5億3100万トン、88.3%、電気・ガス・熱供給・水道事業が2837万トン、4.7%、サービス業が1649万トン、2.7%、卸売り・小売り業が547万トン、0.9%で、製造業からの排出が約9割を占めている。
 温対法に基づく国内のCO2排出量が明らかになったのは今回が初めて。対象となっているのは一定規模以上の事業所であり、国内の排出量の約半分は、省エネ法や温対法の規制対象となっていない一般家庭や小規模事業所、自家用車などから排出されているということも今回の集計で改めて明らかになった。

海藻重量の16%がエタノール転換可能
 水産総合研究センターは、海草類などを原料とする水産バイオエタノールの生産量について、海藻(アオサ)の場合は乾燥重量の約10%、水生植物(ホテイアオイ)の場合は乾燥重量の約16%程度が期待できると発表した。
 陸上植物からのバイオエタノールの生産は、石油代替燃料として近年研究開発が積極的に行われているが、海洋植物については研究が進んでいない。日本の排他的経済水域は世界で6番目の面積があり、海洋を生産の場としたバイオエタノールの生産技術の開発が進めば、国産エネルギー資源の確保の意味からも大きな期待が持てるとして、07年度から水産庁が「水産バイオマス資源化技術開発事業」を予算化、水産総合センターなどに委託して研究開発を進めている。

三菱重工が小型ディーゼルの生産拡大へ
 三菱重工業は、小型ディーゼルエンジンの生産能力を20万台に規模にまで拡大すると発表した。
 中国やロシアなどのアジアや南米の新興諸国で建機用などを中心に市場が急拡大しており、こうした需要に対応し、現在の年間14万5千台の生産能力を約40%程度拡大して年間20万台の生産体制を構築する。
 増産するのは定格出力11kWから117kWの4サイクル水冷ディーゼルエンジンで、小型ディーゼルエンジンのマザー生産拠点である汎用機・特車事業本部本工場(相模原市)で、性能確認を行う運転ベンチの拡充やクランクケース、シリンダヘッドなどの重要部品の生産設備など生産ラインの増強を図る。12億5千万円の設備投資を行い、今年半ばから順次稼働させる。
 また、2012年に開始される排ガス4次規制をにらんで、そのためのパイロット設備の導入も行う。
 三菱重工では、相模原工場での重要部品の内製化の継続強化を図る一方、国内外のサプライヤーとの協業の拡大、アフターサービスの拡充などの取り組みを進めグローバルでのシェア拡大を目指す方針。

ヤンマーエネルギーが高効率のGHPを商品化
 ヤンマーエネルギーシステムは、通年エネルギー消費効率(APF)が2.14という業界最高効率を達成した高効率ガスヒートポンプエアコン(GHP)「H1シリーズ」(10〜30馬力)を商品化、ビル用マルチ型20機種(うち発電機搭載8機種)、パッケージ型5機種の全25機種を4月1日から発売した。
 APFの向上によってエネルギー消費量を抑え、CO2排出量を低減させるなど環境性と省エネ性を高めた。同社試算では、30馬力機種を10台設置したケースの場合、EHP(APF4.0)と比べて年間CO2排出量で約55トン削減(41%低減)できるという。
 また機器の構造をゼロから見直し、従来機種よりも大幅なコンパクト化(設置面積で15〜30%低減)を可能にすることで設置性も向上させた。

川崎重工が木質バイオマスのガス化発電を受注
 川崎重工業は3月31日、木質バイオマスのガス化発電・熱供給設備を、越井木材工業(大阪市)から受注したと発表した。
 同設備は、木質バイオマスを独自のガス化炉でガス化して可燃性ガスを製造し、ガスエンジンで発電と熱供給を行うもの。今回の受注は4基目となり、完成予定は09年2月。ヒ素系木材保存剤(CCA)処理した木材に対応可能な仕様としては初受注となった。
 CCA処理とは、木材の防蟻・防腐処理のためにクロム・銅・ヒ素化合物を含む薬剤で処理するもので、加圧処理によって木材に注入する。95年ごろまで家屋の土台などに使用されてきており、解体材の有効利用が課題となっていた。同社は越井木材と協力して、CCA処理木材を安全で効率よくエネルギー利用するための技術を開発した。
 同設備は越井木材の平林工場(大阪市)に設置する。すでに積水ハウス浅井工場(滋賀県長浜市)に納入している175kWのガスエンジン発電機、および可燃性ガス製造量450N立方m/時のガス化炉と同規模の設備を設置する。

その他の主な記事
CO2排出量を集計
・ガス事業制度改革で小委を開催
・電力制度改革WGが再開
・川崎天然ガス発電が営業運転を開始
・環境省国内排出量取引検討会が第3回の会合
・シャープ堺工場の太陽電池1GW
・三菱化学がリチウムイオン電池の正極材を量産へ
・グリーンエネルギー統一マークのデザインを募集
・日立マクセルが燃料電池触媒を高活性化
・ヤマハ豊岡工場が燃料転換
・FC・水素技術4件で公募(SOFCシステム、PEFC実用化、水素貯蔵、次世代自動車)
・エコポイントモデル事業決まる
・京メカクレジット公募開始
・三浦工業がグループ会社2社を統合
・ホロニックエネ講座2年延長
・HOSPEX JAPAN2008の出展者募集
・新エネ導入支援と地域新エネ・省エネ、全国で説明会
・使用合理化支援の募集開始
・東ガスがガス料金引き下げ
・風力発電系統連系対策助成事業公募
・地熱と中小水力募集
・三機工業の暖房熱源システム
・炭素日本市場EU会議  etc.
             
シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのG】<分散型エネルギーと発電コスト>
・〈解説〉カーボン・オフセット@【新連載】
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策C
 <自由民主党・エネルギー戦略合同部会長/石油等資源・エネルギー調査会長 深谷隆司氏(衆議院議員)>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<「CO2力」を見える化する>
・プリズム<諸物価値上がりとガス料金>
・ちょっと一休<あわただしく報告会と激励会>
・青空<花見シーズンに都市計画を考える?


「CO2力」を見える化する【発電論評】

 「CO2力」とは、どれだけのCO2の排出量が削減できるかということを数値化して、わかりやすくするということだ。
 ディーゼル発電などのオンサイト電源が、急速に普及した背景には「省コスト力」があった。「系統電力を購入するよりも、同じ電力を消費しながら、コストが20%削減できる」という営業ができることで、かつてのオンサイト電源事業は活況があった。今は燃料費の高騰で、そうした手法は困難になっているが、省CO2にコージェネレーションシステムの普及が貢献できるのだという、業界の主張を正しくユーザーに伝えるための仕組みとして、省CO2の「見える化」が必要になると思われる。
 例えば、電力と熱を消費しているユーザーが、何基のボイラーを使って熱を作り、どれだけの電力を消費しているのかというデマンドデータさえあれば、どういうコージェネシステムを導入すれば、どれほどの省CO2が図れるかということを簡単にシミュレートできれば、それが「CO2力」の「見える化」につながる。
 京都議定書の削減約束期間が日本でもこの4月から始まった。CO2削減に向けた取り組みが、本格的に始まることも意味している。国内排出量取引の導入に向けた検討も始まっている。いかに合理的な手段を使って、低コストでCO2排出量の削減を実現するのか、という知恵の出し比べの始まりということもできる。
 こうした動きに、コージェネレーションはどのような貢献ができるのかということを考えるためにも、コージェネのCO2力を積極的にアピールするための手段としてCO2力の見える化が何とか実現できないものか。
 そのためにはひつようなことには、システムの標準化などが課題として考えられる。コージェネシステムの標準化については、バイオマス燃料など燃料の性状なども考慮した上で、100kWのシステムを導入した場合、200kWのしステムを導入した場合、1千kWのシステムを導入した場合などの機種別の標準的な省CO2力の見える化や標準的なモデル事業所に複数のシステムを組み合わせて導入した場合の省CO2量が数値として簡単にわかりやすく示されることが重要になると思われる。
 ユーザーの前で、「このコージェネシステムを導入して、こうした種類の燃料を使えば、この事業所でのCO2排出量が現状よりもこれだけ減らせます。」「減らしたCO2を排出権クレジットとして売却すれば、この程度のコストメリットが得られます。」ということの提案ができれば、コージェネの導入の強力なアピールができるようになろう。界関係者の衆知を集めたい。