2008年325日号

コージェネ・地冷で国際シンポ 幕張で開催
 日本ガス協会と日本コージェネレーションセンターが設立した「コージェネレーション・地域冷暖房普及促進協議会(CHP・DHCコンソーシアム)」(平田賢会長)は3月14日、ホテルグリーンタワー幕張で「CHP・DHC国際シンポジウム」を開催した。
 IEA(国際エネルギー機関)のトマス・M・カー氏が講演の中で、世界的な地球温暖化抑制が緊急課題とされながら、コージェネの導入率は全電源の9%程度にとどまるなど、普及が鈍化している現状を挙げ「政府や産業界が共同してコージェネ普及策を進め、国民に喚起させるべき」とコージェネ普及の必要性を訴えた。また、ヨーロッパコージェネレーション協会のキース・デン・ブランケン会長は、コージェネ事業の利益につながるような国の助成策や、さらなる技術革新の必要性について講演した。
 国内でコージェネを活用したエネルギーサービス事業を展開するエネルギーアドバンス社の三浦千太郎社長が、同社の地域エネルギー供給事業について説明。「都市部でエネルギーの有効利用を行うならエネルギーの面的利用を促進する地域エネルギー供給を普及させるべきだ」とし、高効率ガスエンジンなどの導入による方向性を示した。
 パネルディスカッションでは、日本のコージェネやエネルギーの面的利用の普及について活発な議論が交わされた。村上周三慶応大学教授は「日本は熱需要が少なくライフスタイルも欧米と違う。独自の施策モデルが必要」と提唱。メーカーの立場からは向井茂川崎重工業理事が「エネルギーの有効利用は日本の得意な領域」と、さらなる省エネ・省CO2に向けたシステム開発に取り組むとした。最後にファシリテーターとして、村木茂東京ガス常務が「普及には技術ロードマップを含めた政策づくりが重要」と、地球温暖化抑制に貢献する地域分散型エネルギーシステムの普及の方向性を示した。
 同日は幕張地域冷暖房センターの見学会も行われ、世界最高レベルの発電効率となるバルチラ社製大型ガスエンジンコージェネなどの導入により、大幅な省エネ・CO2削減を実現できた環境調和型「地域エネルギーサービス」モデルを見学した。
 次回のシンポジウムは北海道洞爺湖サミットの開催前となる7月4日に、札幌で開催される。


長期エネ需給見通しまとまる 対策追加で2020年度にCO2マイナス13%(05年度比)に
 総合資源エネルギー調査会の需給部会が3月19日第7回の会合を開き、2030年を最終年度とする長期エネルギー需給見通しをとりまとめた。
 2030年のエネルギー需給を、省エネの進展度合いに応じて@現状の技術水準をベースにした「現状固定ケース」A既存技術の延長線上で継続して効率改善が行われる「努力継続ケース」B高コストだが実用段階の最先端技術を国民や企業に対して導入を強制する一歩手前のぎりぎりの政策を講ずることで劇的な改善の実現を目指す「最大導入ケース」の3つのケースに分け、それぞれの需給見通しを提示した。
 現状固定ケースでは、エネルギー需要(原油換算)は今後とも増え続け、05年度比で、16.7%増の6億8600万kLになるが、努力継続ケースでは2.4%増の6億100万kL、最大導入ケースでは、10.4%減の5億2600万kLになると想定。努力継続ケースでは2020年をピークに、最大導入ケースでは足下からすぐに、エネルギー需要の減少が期待できるとしている。
 見通しの前提は、原油価格が30年度時点で、1バーレルあたり100ドル、GDPの伸びは10年度までが2.1%、10年代が1.9%、20年代が1.2%の想定。
 最大導入ケースでは、石油のシェアは40%を下回り、天然ガス、石炭の消費量も現状よりは減少、原子力、新エネのシェアも増加し、2020年の断面では、CO2排出量が努力継続ケースで05年度比マイナス4%、(90年比プラス7%)、最大導入ケースでは、マイナス13%(同マイナス3%)となると予測。
 また、エネルギー効率の改善と最終エネルギー消費に影響を与える先端技術メニューの一つとしてとしてコージェネ・ヒートポンプ技術を位置づけ、2030年には産業用のコージェネ導入量約1630万kW(うち低地用燃料電池約560万kW)、ヒートポンプ給湯器528万kWの普及・導入を見込んでいる。家庭部門の普及状況は、ヒートポンプ給湯器約1430万台、潜熱回収型給湯器(都市ガス、LPG、灯油)が約1930万台、コージェネは約250万台の導入を見込んでいる。


省エネコストは52兆円 エネ庁が試算を提示
 資源エネルギー庁は、新たな需給見通しによる最大限の省エネ努力を行ったケースでは、2020年断面での省エネ設備の導入コストなどが52兆円になるという試算をまとめ、19日に開かれた需給部会に報告した。
 最大導入ケースの裏付けとなる、最先端の省エネ機器の導入を加速化するために必要なコストの全容を明らかにすることで、必要なコスト負担のあり方について今後の議論を進める上での目安とする。産業用や業務用など企業サイドで導入・普及が期待される省エネ機器や家庭用で普及が期待される最大限の技術的ポテンシャルを持つ製品・機器の導入コストなどを試算した。
 企業サイドのコスト負担の合計は、鉄鋼などの業種毎や業種横断的に世界最先端の高効率設備の導入などで、3.7兆円。オフィス対策としてはグリーンITや省エネ照明器具、空調・給湯、ビルの断熱、次世代自動車などで17.2兆円、火力発電の高効率化、新エネやよりCO2排出量の少ない電源構成などに4.7兆円。企業サイド合計では25.6兆円のコスト負担。家庭向けでは、住宅の断熱や太陽光発電の普及などで、12.2兆円、テレビ場どの省エネディスプレイの普及、高効率給湯器、家庭用コージェネの普及などで8.8兆円、次世代自動車の普及や燃費改善などで5.7兆円、家庭全体では26.7兆円のコストの発生が見込めると試算している。


三菱電機がシリコン太陽電池で世界最高の変換効率を達成
 三菱電機は3月19日、15cm角サイズの多結晶シリコン太陽電池セルでは、世界最高の変換効率となる18.6%を達成するとともに、太陽光発電システムの生産体制を大幅に増強すると発表した。
 新開発のセルは受光面の低反射化やpn接合面への受光量増大、集電用グリッド電極の細線化による有効発電面積の増大によって高効率を実現した。今後、さらに低反射技術の量産性を図り10年度以降、大陽電池モジュールのセルに順次、導入していく。
 業界トップクラスとなる電力変換効率97.5%のパワーコンディショナーと組み合わせることで「太陽光発電システムのトータルでの高効率化・高品質化を販売拡大の戦略にしていく」(鈴木愛司・中津川製作所所長)考えだ。
 一方、同社は現在、年間生産能力15万kWの太陽光発電システム生産能力を、今年10月までに22万kWに拡大する。約70億円を投じて、セルを生産する中津川製作所の飯田工場と、モジュールの組み立てを行う京都工場の生産ラインをそれぞれ増設する。
 さらに12年度には年間生産能力50万kW体制の確立を目指す。今後も太陽電池市場が拡大することや、セルの基板となるシリコンウエハーの安定調達でメドが立ったことから生産能力を増大することにした。
 太陽電池の市場は急拡大している。国内では富士電機システムズがフィルム型アモルファス太陽電池の年間生産量を、09年度には約3倍の4万kWに、京セラは多結晶シリコン太陽電池で10年度に約3倍の50万kWに増強、シャープは薄膜型太陽電池で新工場(年間生産能力100万kW)を大阪・堺市に建設する計画を発表している。


コニカミノルタプラザで7万2千kW時のG電力
 コニカミノルタは3月から、同社が運営するコニカミノルタプラザ(東京都新宿区)の、展示で使用するすべての電力にグリーン電力を使用する。
 グリーン電力は日本自然エネルギー(三野治紀社長)から調達する。プラザが使用する電力は年間約7万2千kW時でこの内、約9割の6万5千kW時を森ヶ崎バイオマス発電所(東京都大田区・設備容量3200kW)とバイオマスパワーしずくいし(岩手県雫石町・同300kW)で、残り約1割の7千kW時を駒井鉄工富津工場風力発電(千葉県富津市・同300kW)の電源を充てている。
 コニカミノルタは環境中期計画で、CO2排出量を10年度には00年度比20%削減する目標を掲げた。目標達成に向け国内拠点、海外拠点、物流、製品の側面から、さらにCO2削減を進めていくとしている。

   
その他の主な記事
新エネ部会で、風力、太陽光、蓄電の課題を抽出
・日本型バイオマスでシンポジウム
・G20対話でセクター別アプローチを提案
・中環審地球環境部会が低炭素ビジョンで論点を整理
・経産省と環境省が自主行動計画のフォローアップ開始
・日本風力開発が風力蓄電電力を販売へ
・イビデンが工場内に太陽光発電所
・イオンがCO2、30%削減目標を設定
・川重冷熱がイフリートで低NOX仕様発売
・冷凍空調セミナーと幕張地冷見学会
・新エネ支援などNEDOが下旬から募集
・エネ管理特別研修、6月に開催
・革新的太陽光技術開発を募集
・4月のJPIセミナー   etc.
     
シリーズ連載
・再生可能エネルギー新潮流(最終回)<再生可能エネルギー普及に向けた日本の課題>
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのF】<分散型の設置性>
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策B
 <公明党政務調査会長 斉藤鉄夫氏(衆議院議員)>
・分散型発電用語の栞<品質別電力供給>・建築計画・工事ニュース


コラム
・発電論評<コージェネに「CO2力」を>
・プリズム<実現するか、太陽光発電新時代>
・ちょっと一休<山田厚志君の裁判報告会>
・青空<要不要のインフラの真贋>


コージェネに「CO2力」を【発電論評】

 エネルギー起源のCO2排出量を削減するには、利用する化石燃料の量を減らすことが必要だ。そのための方法は3つ。無駄を省き、少々の不自由さは我慢をしてエネルギーの使用量を減らすという省エネだ。無駄を省くのはいいが、我慢を強いるのはどうか。
 2つ目は、効率を上げる省エネ。最も代表的なものはコージェネレーション技術だ。3つ目は、再生可能エネルギーなどのCO2フリー型のエネルギーの利用。CO2フリー型のエネルギーだけでまかなうことができればよいが、コストや絶対量の不足の問題がある。
 必要なエネルギーを確保しながら、エネルギー起源のCO2排出量を抑制するには、当面、CO2フリー型のエネルギーと、化石燃料の効率的な利用という組み合わせが不可欠になるが、その場合の課題は、化石燃料を如何に効率よく利用するかということが重要になる。高価格化する化石燃料を使い続けるためにも、無駄を省き、少しでも効率よく化石燃料を消費するというコージェネ技術の有効活用が期待される。
 コージェネレーションに必要なCO2力とは、システムを導入することによって削減できる施設のCO2排出量のことだ。
 CO2排出削減量をカウントするためには、システム導入前のCO2排出量、すなわちエネルギー使用量の把握と導入後のエネルギー使用量の把握が必要になる。一見簡単なようだが、問題は、「標準」がないということだ。エネルギー使用量の把握は、施設毎に、また、季節毎、生産状況などの設備の使用状況によって異なる。つまり、同一のコージェネシステムを導入しても、施設毎にCO2削減量は異なってしまったり、逆に、CO2削減に結びつかないことも大いに考えられる。導入するユーザーにしてみれば、これでは困る。
 CO2削減を目的にコージェネ導入を考えるとき、目安となる削減量の表示ができないものか。例えば、標準的な業種や事業上のモデルを作り、使用設備や使用燃料を例示して、重油ボイラーの使用台数や使用電力量などに応じてCO2排出量をモデル化して、コージェネ導入後のCO2削減量を目安地としてカタログに記載するということぐらいはできるのではないか。
 ユーザー向けにそうした例示ができるようになれば、ESCOやエネルギーサービスの営業にも大いに有効なツールとして利用できる。その場合は、メーカー各社がバラバラに自社基準を作るというよりも業界標準的なモデル基準を作ることが望ましい。CO2削減が最大の社会問題化している現在、分散型エネルギー業界からの一つの提案として考慮してみてもよいのではないか。