2008年315日号

大阪ガスがPEFCの4万時間耐久性確保にメド
 大阪ガスは、家庭用個体高分子型燃料電池(PEFC)コージェネレーションシステムで、4万時間の耐久性に目途を付けたと発表した。今後、さらにコストダウンと信頼性の向上を加速させ09年度の商品化を目指す。
 燃料電池システムの商品化はコストと耐久性が古くからの課題で、本格普及には不可欠とされている。特に、システムの心臓部であるセルスタックの劣化メカニズムの解析が大きな課題とされていたが、大阪ガスでは、NEDOの委託事業として実施した劣化解析基盤研究を通じて得られた知見と独自の研究データによってセルスタックの劣化メカニズムを解析に成功、4万時間の長期耐久性の確保にめどを付けた。
 同時に、燃料改質装置についても02年から実施した連続耐久運転で、今年1月に4万時間を超え、世界で初めてPEFC燃料改質装置で4万時間の実稼働時間を達成した。
 セルスタックと燃料改質装置の両方で4万時間の耐久性の確保にめどがついたことから、大阪ガスでは、残された課題であるコストダウンと信頼性の向上に研究の方向性を集中させ、09年の商品化を目指して開発を加速させる。


国内排出量取引制度の制度設計が本格化、環境省と経産省がそれぞれで
 環境省は、国内排出量取引制度の具体的な制度設計に向けた検討を本格化させた。洞爺湖サミットに向けて、ポスト京都のCO2削減に向けた有力な制度として排出量取引制度が浮かび上がってきていることを受けて、先行するEUに対抗して、日本型の排出量取引制度を提示して、議論のリード役を狙う。これまで3年間にわたって実施してきた自主参加型の国内排出量取引制度の評価見直しを目的に設置していた自主参加型国内排出量取引制度検討会を改組、メンバーの大幅な拡充を行った「国内排出量取引制度検討会」を発足させ、改組後の初会合を3月6日に開いた。経済産業省でも、国内排出権取引について「地球温暖化対応のための経済的手法研究会」を設けて検討を開始した。3月7日に初会合を開き、国内排出量取引制度と環境税を含む経済的手法についてを検討課題とし、洞爺湖サミットを念頭に6月を目途に検討結果をまとめる。
 環境省の検討会では、具体的な制度設計に当たって最大の課題となる、排出枠の設定について、欧州などで行われているオークション型や無償配布型などの具体的な内容についての説明や、検討課題、検討会での論点などについて議論された。日本型の排出権取引制度として制度設計案を取りまとめる。
 経産省の研究会での検討の中心は、排出量取引制度となると思われるが、導入を前提としたものではなく今後の議論に備えるためとして、海外の制度の運用の実態調査などを行い、具体的な制度設計や前提条件など制度の詳細まで掘り下げた検討を行う。排出量取引については、@割り当て方法A国際競争力への影響回避B価格の安定性C技術開発の阻害・促進効果D行政の役割(管理コスト等)について検討する。


省エネ法、温対法改正案国会へ 省エネベンチマークや面的利用促進も
 政府は、省エネ法と温対法の改正案をまとめ、今国会に提出した。
 温対法の改正は、温室効果ガスの算定・報告を、従来、事業所単位で行っていたものを事業者単位、フランチャイズ単位に変更すること、また、CDMクレジットなどの政府口座への移転への協力、所管省庁による温室効果ガスの削減指針の策定、植林CDM手続きの明確化、都道府県、指定都市、中核都市、特例市での温室効果ガス抑制等の施策の策定などが主な改正点。省エネ法と合わせて、事業者に対して一定量の省エネを求め、温室効果ガスの排出量の届け出を義務化する。また自治体ベースでの新エネルギーの導入やCO2削減目標などの策定を求め、地域や事業者単位で温室効果ガスの削減に取り組む方向を目指す。
 省エネ法の主な改正点は、従来は事業場単位であった省エネ義務を、原則として企業単位に改め、チェーンストアなどに対しても省エネ義務対象として規制対象者を拡大する。また、住宅などへの省エネの取り組み強化として、対象建物規模の拡大で、中小規模の住宅・建築物に対しても義務の対象とする他、大規模な住宅・建築物に対しては「命令」の発動ができるようにする。また、セクター別のネベンチマーク制度を導入し、使用エネルギーの「見える化」を図ることやエネルギーの相互融通など複数事業者が協力して省エネを進める面的利用などの拡大をはかることなどを盛り込んでいる。
 省エネ法、温対法とも改正の目的はCO2削減効果であり、京都議定書目標達成計画の目標達成の法的な担保措置として機能することが期待されている。ベンチマーク基準などの具体的な基準設計を行った後、10年度からの施行が予定されている。

産総研が色素増感型太陽電池を開発
 産業技術総合研究所は太陽光に対する光電変換効率が11.0%と、従来の効率を0.5%ほど上回るタンデム型色素増感大陽電池を開発した。
 単セルを重ね合わせた構造となるタンデム型では、上部のセルは可視光を吸収しつつ光電変換し、赤外光を電気に変換する下部セルに、近赤外光をロスなく透過させる必要がある。
 今回、透明性が高く起電力の大きな酸化チタン電極の作製に成功、上部セルに用いることで高効率化に成功した。今後は形状や製造プロセスの簡略化と、さらなる低コスト化を図り実用化を目指していく。
 色素増感太陽電池は安価な素材を利用し製造プロセスが容易なため、シリコン系に比べて大幅なコストダウンが期待できる。同電池を使ったタンデム型は、通常の単セル型に比べて広範囲な波長の太陽光を利用でき、赤外光を吸収する新規増感色素の開発によって、単セル型をしのぐ光電変換効率の向上が期待されている。


バイオディーゼル燃料の実証試験を開始 JR東日本
 JR東日本はバイオディーゼル燃料の実証試験を開始した。
 JR東日本グループのホテルメトロポリタン(東京・池袋)から排出された廃食用油を原料としてバイオディーゼル燃料を精製し、ジェイアールバス関東が運行する白河市循環バス(福島県)の燃料として使用する。
 廃食用油が一般的には産業廃棄物処理され、飼料や肥料、石けんなどに再利用されているのに対して、グループ内でのリサイクルシステムを確立することで、CO2削減や化石燃料(軽油)使用削減効果を検証していく。
 実証試験は3月5日から始めており2週間程度続ける。

 
その他の主な記事
クールアース革新技術21を発表
・電気事業分科会が基本答申
・第3回グリーン電力拡大小委、ガイドライン素案審議
・岩谷が千葉に液化水素製造設備を建設
・JTB関東などCO2ゼロ旅行を発売
・横浜市のパートナー事業に東ガスが登録
・NEDOが地熱開発促進調査で委託先募集
・NEFがバイオ燃料シンポ開催
・NEDOとNEF、太陽光FTと高度熱利用の説明会を開催
・日本型バイオ燃料サミット開催を計画
・JHIFが第8回会議    etc.

 
企画特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略<カタログハウス編>
ゲスト:株式会社カタログハウス取締役エコひいき事業部長 竹本徳子氏 聞き手:都市エネルギー協会 会長 吉田武治氏
通信販売業界の中でもユニークな存在であるカタログハウス社は、「通販生活」の表紙のコピーを「地球温暖化時代の買い物を考える」に変えた。できるだけ環境負荷の小さい商品を提供し、寿命が尽きた商品は可能な限り再資源化するなど、「商品憲章」に合致しない商品は扱わないのだという。自社で消費するエネルギーも、グリーン電力証書によってカーボンオフセットをするなどの取り組みも続けている。消費者の目からみるエネルギー選択について聞いた。
   
燃料電池新聞の主な記事
・FFCEXPO2008開く =注目のセミナーをレポート=
 -日本の燃料電池自動車
 -海外メーカーの動向(プラグパワー社、バラードパワーシステムズ社、メディス・テクノロジーズ社)
 -新日石の定置用燃料電池
 -GMの燃料電池開発
・CMR社が超小型FC、混合反応型を公開
・海外ニュース
 -セラミックフューエルセル(CFC)、SOFC家庭用燃料電池システムを5万台受注
 -英航空会社、リムジンカーとしてGMの燃料電池車を導入
 -GM、燃料電池車開発路線を転換か?
・燃料電池フラッシュニュース
 -NTT、携帯電話機向け燃料電池を公開
 -東芝、燃料電池内蔵携帯電話を発表
 -トヨタ自動車の燃料電池車、実用レベルの航続距離を達成
 -大阪ガス、複数の家庭用コージェネシステム間で電力融通させる技術を開発
 -日立製作所、出力100Wの可搬型燃料電池を展示
 -東北大と日本製鋼所、アルミ水素化物による水素貯蔵
 -東京理科大、有機ハイドライド水素発生装置を開発
 -山梨県、燃料電池開発を戦略分野に指定
 -旭化成ケミカルズとトクヤマ、DMFC用のカチオン型炭化水素系電解質膜の性能を大幅に向上
 -大阪大と名古屋大、イオン液体を利用したナノ粒子の製造法を開発
 -オムロン、燃料電池向けのMEMSフローセンサを発売
 -さがみはら産業創造センター、燃料電池で駆動する監視カメラを試作
 -兵庫県立大、ステンレスセパレータの製造コストを低減
 -ナノフュージョン、マイクロ燃料電池用水ポンプをサムスンと開発
 -新コスモス電機、燃料電池車向け水素センサーを開発
 -JパワーのSOFC燃料電池、100kW超で運転成功
 -バンテック、ハイブリッド駆動装置にキャパシタを採用
 -カサタニ、マグネシウム合金製の燃料電池セパレーターを開発
 -クラレ、燃料電池車用の炭化水素系電解質膜などを開発
 -バイオコーク技研、水素貯蔵材料である水酸化マグネシウムの量産技術を開発
 -広島大学と太平洋セメント、150度Cで5.5重量%の水素貯蔵材料を開発
 -シンガポールのホライゾン社がPEFC発電機を2008年中に日本で販売開始
 -フジクラ、ヒートパイプ技術を応用したパッシブ型DMFCを開発
 -コロナと出光興産、多様な燃料種に対応可能なマルチ改質器を開発
 -グンゼ,固体電解質を使った新水素ガスセンサを開発
 -日本製鋼所,質量39gで12.9Lの水素を貯蔵できる小型タンクを開発
 -積水ハウス、燃料電池付きエコ住宅を2008年夏から標準装備で発売開始
 -大阪ラセン管工業、70MPa対応の水素充填用高圧金属ホースをサンプル出荷開始
 -ニッポン高度紙工業、自動車向けの低コスト、高温作動可能な無機・有機ハイブリッド型電解質膜に注力
 -栗田工業、樹脂を使って軽量化した家庭用燃料電池向け水処理機を開発
 -炭化水素からCO2を排出しないで水素を製造できる触媒
 -グンゼ、カーボンナノチューブを利用したガス拡散層基材など燃料電池部材の開発を進める
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのE】<分散型エネルギーと無効電力>
・再生可能エネルギー新潮流27<インドの再生可能エネルギー>
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策A
 <民主党副代表・地球温暖化対策本部長 岡田克也氏(衆議院議員)>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<グリーンエネルギーの供給力拡大を>
・プリズム<原油高時代の代替エネルギーは>
・ちょっと一休<4年越しで実現した講演会>
・青空<安物買いの銭失い?>


グリーンエネルギーの供給力拡大を【発電論評】

 温暖化対策が喫緊の課題となる中で、エネルギーには「環境力」が求められる時代になった。CO2負荷の少ないエネルギーということだ。かつて、評価が極端に分かれていた原子力がCO2フリー電力としてその価値が見直されている。確かに、今、原発を全基停止させれば、6%削減どころではないということになろう。
 原子力とともに、温暖化対策と切り札として、再び脚光を集め始めたのが再生可能エネルギーだが、注目度の割には、力不足の感が否めない。絶対量が不足しているからだ。
 個人や、企業が取り組める、エネルギーベースでの温暖化対策への貢献として、グリーン電力の利用が拡大している。グリーン電力証書を購入して、グリーン電源の建設を支援したり、個人や企業活動で利用するエネルギーのカーボンオフセットを行うことができる。現在、グリーン電力証書の発行量は年間1億kWh程度といわれる。
 グリーン電力証書制度の後押しするために、公的な位置づけの検討も始まった。電力だけでなく「熱証書」についても制度化を後押しするという。
 受容者側からの利用拡大への取り組みは始まっているが、問題は、グリーンエネルギーの「供給力」にあるのではないか。現状は、発電設備の絶対量が500万kW程度しか無い上に、多くのものがRPS電力として消費され、グリーン電力として使用できる電力はその中のごく一部に限られてしまっている。
 グリーンエネルギーへの期待が高まり、利用者が増えれば増えるほど、供給力不足が顕在化することが懸念されるが、供給力を増すための工夫や議論はまだ始まっていない。
 温暖化対策の取り組みが遅れている個人や業務部門、運輸部門などの対策の強化の必要性が指摘されているが、グリーン電力・エネルギー証書は、こうした小口の需要家で、自らが排出削減を行うことが困難なものが利用できるという意味で、極めて有効度が高い仕組みだといえる。そうした期待に応えるためには、熱供給も含めた本格的なグリーンエネルギー供給力強化の抜本的な対策の必要性があるのではないか。グリーン電力を購入したいと思っても、「売り切れです」ということでは困る。
 そのためには、需要と供給のバランスを「市場」任せにするのではなく、3年後、あるいは5年後の利用目標量を定めて、必要なグリーンエネルギー設備を確保するという考え方も必要になると思われる。また、グリーン電力の利用拡大が、温暖化対策に貢献するという目的であるのなら、CO2クレジットとしての価値も認められる制度として機能させたい。バイオマスの混焼など、部分的なグリーン価値にも目を向けて欲しい。