2008年35日号

高効率大型ガスエンジンを開発 三井造船とダイハツディーゼル
 三井造船とダイハツディーゼルは、世界トップレベルの発電効率46%を達成した大型ガスエンジン発電設備「MD36Gシリーズ」を、4月から本格的に市場投入する。
 今後、大手ガス会社などに積極的に採用を働きかけていく一方、当面は、国内に設置されたダイハツ製ディーゼル自家発のリプレース需要も開拓していく。両社合わせて年間30台の販売を目指す。2月27日、玉野事業所で運転中の2800kW機を公開した。
 市場投入するのは、シリーズのうち2800kW機、3750kW機、5400kW機の3機種。上位機種となる7200kW機と8100kW機については現在、開発中で「投入時期は未定」(福地雅行・ダイハツディーゼル環境エネルギー事業部長)としている。
 三菱重工業の「マッハ30G」やフィンランド・バルチラの「34SG」が先行している。三井造船とダイハツは04年から開発に乗り出し、ダイハツのディーゼルエンジンをベースに、部品の約8割を共通化することで開発期間の短縮とコスト低減を図った。
 開発したガスエンジンは着火時に少量の液体燃料(軽油)を必要とするものの、副室を設けない直噴パイロット着火方式としたことで、ディーゼルエンジン並みのシンプルさと、プラグ交換などを必要としない長耐久性を実現している。
 また同着火方式はランドフィルガス、バイオマスガス、炭鉱ガスといった低カロリーガスでの運転が容易なことから、こうした分野での市場も開拓していく。


グリーン熱証書制度を創設へ グリーンエネ拡大小委で検討
 グリーン電力拡大小委員会が2月29日に第2回目の会合を開いた。太陽光、風力などの分野ごとの現状や、支援制度の拡充、課題などについて委員からの提案を聞くとともに、グリーン熱についても証書制度の創設についてガス業界から提案を受けた。
 現在、証書制度は電力だけを対象にしたグリーン電力証書制度が民間の制度として機能している。グリーン熱証書制度は、これの「熱」版を作ろうというもので、バイオマスや未利用熱、ヒートポンプなどのCO2フリーの「熱」について、電力の場合と同様に証書による間接利用によって、利用範囲の拡大を目指す。電力の場合は、太陽光などの自家消費電力以外は、余剰電力として系統へ供給することで輸送が可能だが、熱の輸送は困難であり、バイオマスの焼却熱などは現地での自家消費や近隣地域での消費に限られる。グリーン熱証書によって、「グリーン熱」の環境価値が第3者へ有料で移転できれば、熱供給者への経済的メリットが与えられ、コストの高い「グリーン熱」プラントの建設の支援措置となる。
 新エネ支援措置として講ぜられているRPS制度やグリーン電力制度はいずれも電力を対象としたもので、熱に対した支援措置はないというのが現状。国の支援措置は電力にしても熱に対してもプラントの建設費の補助など導入支援が中心となっており、グリーン電力証書などのランニング部分に対する支援措置は極めて少なく、実現すればコージェネ排熱などの画期的な支援策として注目される。


下水汚泥ガス化発電で連続運転2千時間を達成
 東京ガスは従来のメタン発酵よりも高いガス化効率を目指し、タクマと共同で進めていた下水汚泥ガス化発電システムの実用化開発において、昨年12月末までに90日間・2千時間の連続運転を達成したと発表した。
 埼玉県の中川水循環センター(三郷市)にガスエンジンコージェネを設置。1日あたり15トンの脱水汚泥を処理し、都市ガスとガス化ガスを混合して燃料とすることで、最大200(ガス化ガス専焼)〜260kW(都市ガス専焼)の発電を行っていた。
 今回、連続運転を通じてシステムの有効性や安全運転性、既存下水処理場への適合性が確認されたことで実用化のメドが立ったとしている。
 システムは含水率75〜80%の汚泥の一部を燃焼し800度C程度にすることで、汚泥を水素や1酸化炭素などの可燃ガスに変換。この可燃ガスで発電を行う。また発電時の排熱を燃焼前の汚泥の乾燥に利用する。
 多くの下水処理場で行われている焼却のような汚泥の量を減らす減容化と、エネルギー回収を同時に実現できるとして注目されている。

原弘産が韓国の洋上風力を受注
 原弘産は、韓国政府が実施する大規模洋上風力発電所向けの風力発電機を受注した。韓国・済州島沖合に韓国政府が建設を計画している2万8千kWの洋上風力発電所向けのもので、今回成約したのはそのうちのパイロットプラントとなる2基。5月から建設に着手する。
 プロジェクトは、沿岸の陸上部に建設する16基(3万2千kW)と合わせて全体で6万kWとなる大規模開発で、洋上風力発電所は、済州島北東部、月汀里沖合1km、水深10〜20mの海域(5km×3km)に建設される。韓国エネルギー技術研究院(KIER)と韓国風力発電開発事業団が出資・建設工事を行い、韓国南部電力公社が運営する形態。09年6月の完成予定。欧州以外では初めての本格的な洋上風力発電所となるもので、また、日本の風力発電機メーカーとしては初めての洋上風力発電機。
 原弘産が納入する風力発電機は、同社が05年にオランダの風車メーカーを買収して設立した原弘産ヨーロッパ社製のもので、ギアレス永久磁石型同期発電機方法を採用。同規模の風力発電機に比べナセル内部品数を大幅に削減し軽量で高品質な電力の供給が可能、メンテナンス容易、騒音源が少ない等の特徴を持つ。
 韓国の風力発電の導入状況は06年末で19万4千kW、設置基数117基導入量は少ないものの、韓国政府は、11年までには154万kWの導入目標を掲げ、再生可能エネルギー拡大の一環として取り組んでいる。韓国の内陸部は風況が良くないため、沿岸地域などでの洋上風力発電の進出を計画しており、韓国内の風力発電メーカーでも2千kW〜3500kW規模の大型風車の開発を積極的に進めている。
 原弘産は、中国でも風力発電の合弁会社を設立しており、国内外での風力発電事業の拡大を目指している。

シャープが太陽電池生産200万kWを達成
 シャープは2月27日、太陽電池生産量が07年末に世界で初めて累計200万kWを達成したと発表した。63年から生産を始めて以来、49年目に実現した。現在、世界の累計総生産量は約800万kWとみられ、世界の約4分の1が同社製太陽電池ということになる。
 灯台用や衛星向けにスタートした同社の太陽電池事業は、94年から住宅用補助金制度の開始とともに本格的に民生用に展開。05年にはタンデム型の薄膜電池の量産を開始する一方、07年にはシリコン材料を生産する冨山事業所を立ち上げている。
 今後は、年間100万kW規模の生産能力を持つ大阪府堺市の新工場が09年度に稼働することによって、10年に発電コストを現在の半分となる23円/kW時にすることを目指す。

その他の主な記事
国際燃料電池・太陽電池展に5万人
・LPG国際セミナー2008開く
・都がカーボンマイナス10年プロジェクト進捗状況を報告
・ガス制度改革は託送コスト算定などが課題に
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・3月14日、G20対話 幕張メッセで
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・包括的太陽電池評価技術に関する標準化で募集
・国内排出量取引4期公募、3期は25社採択
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・東工大が先進エネマネジメントなどで国際シンポ  etc.
             
シリーズ連載
・再生可能エネルギー新潮流26<激増する大規模太陽光発電所>
・分散型エネルギー最前線【08年編 そのD】<分散型エネルギーと送電ロス>
・キーパーソン(グリーンファンド代表取締役 山内浩一さん)
・政治家に聞く・洞爺湖サミットに向けての温暖化対策@
 <自由民主党・環境部会長 中川雅治(参議院議員)>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<グリーンエネ証書への期待>
・プリズム<クリーンエネ時代を切り開く分散型電源>
・ちょっと一休<戦争の傷跡を感じた沖縄の3日間>
・青空<贅沢とは


グリーンエネ証書への期待【発電論評】

 グリーン熱証書制度の創設に向けて、検討が始まった。グリーン熱とは、グリーン電力と同様に、再生可能エネルギーで作り出す熱エネルギーを証書化することで、価値の移転や流通を行おうとするものだ。
 先行するグリーン電力証書は、風力や太陽光、バイオマスなどの環境価値を証書購入者に移転することで、購入者のカーボンオフセットの取り組みを助け、再生可能エネルギーの支援もできるというもの。自らが再生可能エネルギーを直接利用できない需要家に、間接的にグリーン電力を利用できるようにしようというものだ。現在、国内で年間1億kWh程度のグリーン電力が証書化され、利用されている。
 この仕組みを借りて、再生可能熱にも同様の制度を作ろうというのだが、課題も多そうだ。
 熱は、電力と違って、輸送手段がほとんど無いことや、発生させた熱エネルギーが有効に利用できたことを検証することが難しい。先行する電力証書にしても一般的な認知度はまだまだ低い。需要側が利用しやすくすることや、CO2削減価値が社会的に広く認知されることなどが必要だ。法的な裏付けのあるRPS制度とは違って、民間の自主制度である証書制度は、RPSで利用されていない電力に限られてしまっていることや、証書の購入者へのCO2価値の移転が担保されないなどの不満が聞かれる。購入者の意識も再生可能エネルギーに対する支援金という意識が強いともいわれ、これを、改めて、CO2クレジットとして流通させていく制度とするのかどうかも検討課題だといえる。
 RPSの場合は、移転されるのはRPS価値だけであり、CO2価値は電力とともに購入する地元の電力会社の排出係数の中にカウントされており、CO2クレジットとしての役割はもともと期待されていない。グリーン電力の場合は、現在は証書に本来含まれるべきCO2価値が公的に認められる制度ができていないため、証書を購入しても企業のCO2削減分として認められることはないが、証書購入者の動機が温暖化防止に寄与するということなのであれば、CO2価値の移転は今後、より不可欠なものとなる。現在の証書制度には、その他にも、会計処理上、証書購入費が損金処理ができないことなども証書購入意欲のマイナス要因として指摘されている。
 残された検討課題のハードルは決して低くないといえるが、特に小規模な需要家がCO2削減価値を取得する手段として証書制度には魅力的な点が多い。熱証書が加わることで、遅れている熱分野でのCO2削減対策の有効な手段ともなる。熱と電気を合わせたグリーンエネルギー証書として円滑な流通制度の実現を期待する。