2008年215日号

グリーン電力証書拡大小委が初会合
 グリーン電力の利用拡大の支援策を検討することを目的に、資源エネルギー庁は、2月8日第1回のグリーンエネルギー利用拡大小委員会(委員長・山地憲治東京大学大学院教授)を開催した。
 小委員会は、総合エネ調・新エネルギー部会に設置され、グリーン電力証書の普及拡大に向けて、国としてどのような支援策が取れるかについて具体的な方策を探る。証書制度は、再生可能エネルギーによる電力の「グリーン価値」を証書化して、企業活動やパーソナルなカーボンオフセットなどに利用できる制度として普及し始めており、コストの高い電力として思うように普及が進まない再生可能エネルギーの導入拡大を需要家側が直接支援する取り組みとして期待されている。政府は洞爺湖サミットで使用するエネルギーをグリーン電力証書を使って「オフセット」することで、日本の再生可能エネルギーに対する姿勢をアピールすることを考えており、国としてのグリーン電力証書に対する扱いを明確化するという目的もある。
 具体的には、グリーン電力の認証機関に対する基準などをガイドライン化して証書の信頼性や公平性を確保することや、共通の表示マークの検討、証書購入費用の損金扱い。また、RPS制度や省エネ法、温対法などの関連する法令との整合性や位置づけなど、公的な活用についても検討する。
 証書支援の取り組みとして、小口化や企業ポイントとのリンク、マーク付き商品の販売などについても検討、環境意識の高い消費者や地方自治体の証書購入の動機付けを支援することも検討する。現在、電力だけでなく、熱についても同様の制度化が可能かどうかについても検討課題として取り上げる。
 グリーン電力の認証機構の事務局である日本エネルギー経済研究所によると、07年末のグリーン電力の認証量は、3億2455万229kWhで、認定された発電設備件数は70件、設備容量の合計は14万7535.28kWで、前年比で21.5%認証電力量が拡大しているという。サミット前の5月を目途に検討結果のとりまとめを行う。


07年上期のRPS価格は値下がり
 資源エネルギー庁は、RPS電力の取引価格の調査結果をまとめた。今回調査したのは07年度上期のRPS相当量(RPS価値分)のみの取引結果で、期間中に購入開始した
ものと価格変更があったものについて調査結果をまとめた。取引価格は、単純平均価格が1年以内の契約のものが4.2円。1年を超える契約のものが4.8円。加重平均価格では、1年以内が4.1円、1年超が5.2円で、前年度同期に比べて1年超の加重平均価格が横ばいだった以外は、いずれも値下がりした。
 調査は1年以内の契約分が19件、1年を超える契約のものが5件、合計24件の取引があり、このうち、回答があった1年以内17件と1年超5件の取引結果をまとめた。


京都府がCO2削減バンク、新年度スタート
 京都府は2月4日、府民が削減したCO2を府内の企業が買い取る「京都CO2削減バンク」を、新年度からスタートすると発表した。こうした取り組みは全国初という。
 バンクに登録した府民が家庭で電気やガスの使用量を減らしたり、太陽光発電を導入するなどしてCO2を減らすとポイントがバンクに貯まり、府内の協力店でポイントに応じて買い物割り引きサービスなどを受けられる。企業はバンクを通じて、協力店が割り引いたポイントを購入する。今春にはバンクに参加する家庭や企業の募集を開始し、秋からバンク運用を目指す。
 府は10年度までに90年度比で10%の温室効果ガスを削減する条例を定め、大規模事業者に削減計画書の提出を義務づけている。バンクに参加する企業はCO2削減分を購入することで、削減計画に反映できる。府では3千世帯・20〜30社が参加すれば、年間1200トンのCO2を削減できると試算している。

ヤンマーがマレーシアにバイオディーゼルの研究開発拠点を設立
 ヤンマーは、マレーシアのコタキナバル市に海外初の研究拠点「ヤンマー・コタキナバルR&Dセンター」を開設した。世界的にバイオ燃料が注目される中、センターでは、パーム油などが大量かつ定期的に入手しやすい立地条件を活かし、廃食油のほか非食用油であるジャトロファなど、各種のバイオディーゼル燃料によるエンジン耐久試験や、エンジン潤滑油への影響などを調査・分析していく。
 将来的には、バイオガスなどアジア地域のバイオマス利用技術や養殖技術といった環境情報発信拠点としての機能、アジア地域のニーズに基づいた研究開発も担っていくことに考えている。20人の陣容でスタートする。


エネサーブが省エネCO2削減サービスを事業化へ
 エネサーブは4月から工場や商業施設、オフィスビルで排出されるCO2量を24時間監視し、分析結果を元に、省エネ機器を提案する新事業に乗り出す。
 このほどCO2排出量と、電力設備の部分放電や漏電を遠隔監視する専用システム「G−Pacs(ジーパックス)」を商品化。同システムを同社の約3500社の顧客を対象にレンタル方式で設置し、大和ハウスグループ各社と連携して省エネ機器を販売していく。
 新事業を、06年に撤退したオンサイト発電事業に替わる収益の柱として育てるのが狙い。
 同システムは顧客の冷凍機やボイラー、発電機などに取り付けたセンサーで排出量を計測し、利用者はパソコン画面でモニタリングすることができる。同社では、このデータをオペレーションセンター(大津市)で分析し、必要に応じてヒートポンプチラーやオイルフリースクリューコンプレッサーといったCO2削減機器を提案していく。
 同社がこれまで展開してきた電気設備向け遠隔監視システム「CMS」の代替需要を取り込んでいくことにしている。

 
その他の主な記事
三井と丸紅がLPG事業を統合
・エネサーブとデンヨーの第3四半期決算
・東京ガスがキノコ培地のガス化利用で実証開始
・静岡ガスが料金引き下げ
・ダイキンが2段ターボ冷凍機を7月から受注
・三菱電機が大型キャパシタ用要素技術を開発
・三菱重工がオランダからGTCCを受注
・三菱重工が大型風車用増速機製造で合弁
・日本ガイシが太陽電池など加熱装置の試験場を新設
・2月27日に国際水素貯蔵フォーラム2008
・高効率エネとBEMS支援募集、3月11日から
・3月28日に第5回バイオマスタウンサロン
・技術移転CDM促進調査は日本地域開発へ
・政府が中国などのCDM案件13件を承認
・3月7日にNEFがPEFC報告会
・07年度優秀省エネ機器表彰式を開催
・沖縄図書館ESCO
・静岡県立大ESCO
・千葉ポートアリーナにESCO
・滋賀県がESCO事業    etc.

 
企画特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略<損害保険ジャパン編>
ゲスト:損害保険ジャパンCSR・環境推進室長 関 正雄氏 聞き手:都市エネルギー協会 会長 吉田武治氏
気候変動リスクに備えた積極的な事業戦略を展開している損保ジャパン。地球温暖化によって自然災害が増加するといわれている。こうした状況下で損害保険は、多大な支払いが求められるなどの大きな影響を受けることになるが、地球温暖化防止に向けた新たな商品開発などの事業展開を推進しようとしているのもまた、損害保険業界である。今後の環境ビジネスの展望と事業方針などについて聞いた。
   
燃料電池新聞の主な記事
・FC EXPO 2008 第4回国際水素・燃料電池展の開催概要
・NEDOがPEFCでシンポジウム(レポート)
・670人が参加した水素エネルギーシンポジウムin愛知
・海外ニュース
 -豪CFCL社、パロマ工業などに1kWSOFCシステムを納入
 -英国ガスが家庭用燃料電池の大量販売を計画
 -独SFC社、携帯型燃料電池を4,483台販売
 -携帯電話内蔵の燃料電池が登場
 -ジョンソンコントロールズ社、ハイブリッド車向けにリチウムイオン電池の生産を開始
 -2007年の世界燃料電池出荷台数は12,000台
 -GM、クライスラーが新しい燃料電池車を公開
・燃料電池フラッシュニュース
 -日清紡、カーボンセパレータの生産能力を年間400万枚に拡大
 -東芝、廃熱使いDMEから水素を製造
 -トヨタ、2010年迄にリチウムイオン電池塔載の「プラグイン・ハイブリッド車」を販売
 -ホンダ、2010年までに販売総台数の10%をハイブリッド化
 -新日本石油、LPGと灯油仕様の700W級SOFC燃料電池の実証試験開始
 -高エネルギー加速器研究機構など、水素吸蔵物質の水素放出の過程を解明
 -ダイセル化学、PES型極薄多孔質フィルムを開発
 -福岡県、「水素タウン」構想を推進
 -日産自動車とルノー、2011年からイスラエルで電気自動車の普及を開始
 -東京ガス、2008年度に家庭用燃料電池で新機種を投入
 -サッポロビール、パンくずを微生物処理して水素を取り出し燃料電池の燃料に利用する実証試験開始
 -横浜国立大学、バクテリアを利用した高速水素発生システムの実用化を推進
 -リチウムエナジージャパン、EV用電池のコストを2011年に100万円まで引き下げる
 -東京電力、時間貸し駐車場に電気自動車の充電設備を設置
 -セイコーインスツル、SBHを燃料とする燃料電池を実用化へ
 -山梨大学、NEDOプロジェクトにより自動車用燃料電池の実用化を推進
 -東芝燃料電池システム、出光興産とコロナが開発した灯油改質装置の供給を受けることで合意
・燃料電池インフォメーション
  etc.

シリーズ連載
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<バイオ系燃料C>
・再生可能エネルギー新潮流24
   
コラム
・発電論評<バイオマス開発は高い目標で>
・プリズム<原料費調整制度の役割に対する疑問>
・ちょっと一休<九段中の同期生と沖縄旅行>
・青空<誠実な営業とは>


バイオマス開発は高い目標で【発電論評】

 風力や太陽光のエネルギーから風車や太陽電池を使って電力を取り出す。バイオマスは燃料化してボイラーやエンジンを介して発電する。そして排熱も利用する。
 風力や太陽光発電は、天候に左右されるので出力変動が激しい。しかし、燃料が貯蔵でき、発電量の制御が容易なバイオマス発電と組み合わせると究極のエコ発電として利用できる。組み合わせれば可能性が広がるのである。
 風力や太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも近年その利用量が爆発的に増えている。風力は日本国内では、増設の勢いが失われつつあるが、世界的には特にアジア地域での伸びが目立つようになっている。太陽光発電も、中東や欧州、米国などで急激な拡大が続いている。バイオマスはどうか。
 原油価格の高騰で石油代替エネルギーとして真っ先に期待されるのがバイオマスだが、日本では穀物価格の高騰がクローズアップされ、エネルギーか食糧かという問題にすり替えられた感がある。
 有機資源であるバイオマスは、何も穀物だけが原料ではない。燃料化のせいで穀物価格が上がったのだとする論理の組み立てには賛成できない。穀物値上げの口実にバイオマス燃料が挙げられていると考えられなくもない。
 日本ではどうか。日本の場合は、セルロース系を中心の開発が目標とされ、食糧問題とは一線を画す方針が示されている。間伐材の利用、休耕田や耕作放棄地を使った資源作物の栽培、有機廃棄物を利用する廃棄物発電、下水汚泥などの未利用資源のエネルギー化など、いずれもがコスト問題が障害となって研究開発やプラント建設が滞っている。間伐材、原材料の集積や規模などの仕組み作りだけが問題なのだが、本質的な問題は先送りされたままである。
 国にプロジェクトとして採算を抜きにしてプラントを実際に建設し、大規模に市場化の実証試験をしてみればどうか。実際の現場で、燃料集積コストの低減化やエネルギーの販売コストなど問題点を抽出して改善を図るという手法を取って見ることも必要ではないか。
 机上の計算だけで、実用化に二の足を踏むばかりでは、何も始まらない。月に人間を送り込む宇宙開発の場合なら、採算を度外視して、まずどうすればできるかという技術開発から始まる。バイオマスも石油代替燃料に育てる必要があるのであれば、市場に任せた条件整備が整うのを待つのではなく、どうすればできるのかということから始められるべきである。
 現在、国が掲げるバイオマス利用の目標は600万KL、1L当たり100円のコストというものだが、資源は陸上ばかりではなく海洋にもある。量も価格も目標が低すぎるのではないか。