2008年115日号

神奈川県が環境税の導入を検討
 神奈川県は、地方自治体が地球温暖化対策を進める一環として、環境税の導入など7項目の温暖化対策のリーディングプロジェクトを内容とする「クールネッサンス宣言」を公表した。
 今年が、京都議定書第一約束期間のスタートにあたっていることや、7月に開催される洞爺湖サミットでも地球温暖化問題が大きなテーマとなり、問題の解決に向けて世界が本格的に動き出す年になるものと考え、自治体ベースで取り組める温暖化対策を積極的に進めていく。
 リーディングプロジェクトは、神奈川県独自で環境税(炭素税)の創設を検討することや太陽光発電の普及拡大に向けた助成制度の拡大、電気自動車の普及推進、温暖化対策を行う事業者や個人向けに低利融資を行う「エコファイナンスプロジェクト」など7項目を取り上げた。
 県独自で環境税の導入を検討することは、県内のCO2排出抑制に効果があるという判断の他、自治体が主導して全国規模で環境税導入に向けた議論が活発になることを期待している。
【神奈川県が検討している温暖化対策のリーディングプロジェクト】
◇神奈川県独自の炭素税=県内CO2排出抑制と全国規模の炭素税導入議論の促進
◇電気自動車の普及促進=導入補助を拡大、税の軽減等を行い、取り組みを全国に発信し、自動車起源のCO2排出量を大幅に削減する。充電インフラの整備や駐車場料金の優遇なども推進する
◇太陽光発電の普及拡大=助成制度の拡充や税の軽減などで普及拡大を図る
◇ノーレジ袋=小売店等でレジ袋の禁止や有料化
◇ノー白熱電球=白熱電球の使用禁止や自粛
◇エコファイナンスプロジェクト=温暖化対策を推進する事業所や個人に低利融資を行う仕組みの検討
◇国際連帯キャンペーン=県内で開催される国際会議等を活用してクールルネッサンスの国際連帯キャンペーンを展開


環境省が自主参加型排出量取引実績を評価
 環境省は、05年度から実施した自主参加型の国内排出量取引制度で、38社が参加して実施した第一期分が3年間の実施期間を終了したことを受けて、制度運営についての評価結果をまとめた。
 削減事業を実施した21社の削減量が、平均で当初目標の21%を上回る29%の実績を上げたことや、13件の目標未達分も排出量取引によって目標を達成できたことなどをあげ、「CO2排出枠を有価取引することがCO2削減機能を補完する有効な機能を持つ」ことが実証できたと評価している。
 また、参加企業は中小規模の事業所が多かったことから、結果的に、中小規模事業所でのCO2削減のポテンシャルが高いことや、単独では削減対策が進められにくい中小企業者に、有価による排出量取引が有効に機能することがわかった。
 環境省では、今後の課題として@排出枠を管理するための登録簿システムや排出量管理システムA排出量取引を支援するネット上の仲介システムB排出量のモニタリング・報告のガイドラインC第3者検証を実施するための検証ガイドラインなどについて制度のインフラ整備を進める必要を指摘、検討会を立ち上げて制度設計の検討を行うことにした。
 第1回の検討会は今月31日に開催される。


LPガス3団体が水平統合へ
 日本エルピーガス連合会(日連、会長・川本宜彦サイサン会長)、全国エルピーガス卸売協会(卸協、同・牧野明次岩谷産業社長)、全国エルピーガススタンド協会(スタ協、同・米田正幸広島ガスプロパン相談役)のLPガス流通3団体は12月25日、都内で記者会見を開き、08年12月を目途に水平統合すると発表した。
 原料価格の高騰やオール電化攻勢、また少子高齢化に伴う需要の頭打ちといった会員各社の厳しい経営環境に対応するため「別々に活動するのは時代にそぐわない」(川本氏)「共同配送や共同充てんなど流通の抜本的な改革が必要」(牧野氏)との判断から、LPガス主要7団体の内、輸入や機器・設備関係を除いた卸・小売り事業者の集まりである3団体が統合することにした。
 3団体ともすでに理事会では承認済みで、今年5〜6月に開かれる各団体の総会で正式決定する。統合は吸収合併の形をとらず、日連を母体に卸協、スタ協が参加する形とする。12月1日の公益法人改革3法の施行と併せて正式発足させる。新団体の名称は社団法人エルピーガス協会とし、会長には川本氏が就任する予定。

第3回ホロニックシンポ 分散型エネの系統貢献で議論
 分散型エネルギーと全体のエネルギーシステムとの最適な調和を図る「ホロニック・エネルギーシステム」の構築を目的として、東京ガスの寄附により設立された東京大学ホロニック・エネルギーシステム学講座は1月9日、東京・本郷の東京大学で第3回ホロニック・エネルギーシンポジウムを開催した。
 「分散型エネルギー資源の系統貢献とその実現方法」をテーマに、同大学大学院の教授らが最新の議論を展開した。ガス・石油などのエネルギー関連会社やメーカー、学生など約250人が集まった。


太陽光パネルのリユース事業を開始
 本来なら「金属くず」として処分される中古の太陽光発電パネルを、再生・販売するビジネスが注目を集めることになりそうだ。
 「太陽光発電リサイクルセンター」を運営するネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ヶ根市)が、住宅100軒分に相当する300kWの中古太陽光発電パネルを調達し、性能を確認したうえで1年間の保証を付けて、1月10日から販売を開始した。
 北海道上士幌町が20年経過した町の施設を撤去するにあたって、屋根に設置されていた太陽光パネルを公売にかけ、昨年10月に同社が落札した。同社では、引き取ったほぼすべてのパネルが再利用可能なことを確認。大半は新品時の公称発電性能の90%を維持し、主要メーカーの新品時保証値の81%をも上回っているという。
 販売価格は48Wのモジュール1枚で9800円、一般的な戸建て住宅に設置する3kWでは60万円程度。これに架台やインバーターを付けて、新品の約半値の100万円以下で販売する。11年には約5千件という大量の中古パネルの発生を見込まれるとして、事業の拡大を目指している。


原弘産が中国と韓国から風力発電を受注
 原弘産は中国から25基(総容量5万kW)、韓国から2基(同4千kW)の風力発電機を受注したと発表した。
 中国は内モンゴル自治区に設置されるもので、契約金額は約51億円。08年10月までに納入する。同社は、中国ですでに61基を受注(内2基は引き渡し済み)しており、今回の受注で同国での受注総基数は86基となった。
 また、韓国からの受注は済州島沖合に設置される洋上タイプ。5月までに納入する。受注金額は約5億7千万円。


ユーラスエナジーが太陽光発電事業に進出
 風力発電事業を展開するユーラスエナジーは、新たに太陽光発電事業にも本格参入することを決め、その第1弾として韓国の全羅北道に出力1千kWの太陽光発電所を建設、08年6月からの商業運転開始を目指すと発表した。
 韓国では11年までに総発電量の5%を再生可能エネルギーによって調達する目標を掲げており、風力発電については170万kW、太陽光発電は100万kWという導入目標量を設定している。
 同社は韓国で、同国最大の風力発電所を手がけるなど再生可能エネルギーによる発電事業に積極的に取り組んでいたが、太陽光発電に関しても事業環境を追い風ととらえ、参入することにした。
 100%出資の事業会社を広州広域市に設立し、発電電力は韓国電力取引所(KPX)に売電する。


RPS設備、太陽光以外は伸び悩む
 資源エネルギー庁がまとめた、RPS設備の認定状況によると、07年9月末の設備状況は合計件数が36万2753件(住宅用太陽光を除いた件数は3223件)、設備容量が496万6082kW(バイオマス設備はバイオマス燃料相当分に限定)となり、07年上期の半年間で、2万8855件(同317件)、20万9344kW(同)増えた。
 種類別の認定状況は、風力が338件、159万6423kW。太陽光が36万1623件、134万215kW。バイオマスが318件、184万4148kW(同)。中小水力が395件、17万7991kWで、半期中に最も増えたのは太陽光発電設備だった。
 太陽光は、件数で2万8821件、設備容量では10万8002kW増加した。太陽光以外の設備は、1年前と比べて増加率が激減している。

 
その他の主な記事
エネ特会は温暖化対策に重点配分
・国交省の環境予算グリーン庁舎などに264億円
・目達計画見直しで最終報告案
・省エネ法改正へ報告書
・電気事業分科会、完全自由化再検討は5年後
・IBMが電力量監視ソフトウエア発売
・新日軽がソーラーウォールを開発
・ESCO事業にCO2を付加する新サービス
・マ・マー宇都宮工場でガスコージェネが稼働
・コスモとUAEが東工大と太陽光で共同開発契約
・きんでんが風力タワー塗装用ロボット開発
・ユアサと三菱商事らリチウム電池の新会社設立
・DBJが住友化学に環境格付け融資を実施
・三菱重工がCO2回収技術を供与
・ヤマダ電機がグリーンPPSによる電力供給契約締結
・NTTファシリティーズが直流給電システムの実証試験開始
・3県が連携し名古屋で燃料電池シンポ
・CDM支援募集、交付決まる
・太陽熱利用やFC評価など4事業決まる
・CDM促進調査委託先募集、07年度は決まる
・沖縄でバイオマス視察、参加者を募集
・燃料電池普及やカーボンオフセットなどでセミナー
・中小企業対象CO2クレジット、28件採択
・中国都市部の廃棄物発電可能性調査委託先を募集  etc.


新年特集第2集
=年頭所感=
◆「地球温暖化対策に積極的に取り組む」<甘利明経済産業大臣>
◆「低炭素ビジョンを構築し世界に発信」<鴨下一郎環境大臣>
◆「新たな室の創出をスローガンに」<渡文明石油連盟会長>

企画特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略<ビューローベリタスジャパン編>
ゲスト:ビューローベリタスジャパン 取締役常務執行役員 崎山一茂氏 聞き手:都市エネルギー協会 会長 吉田武治氏
国際排出量取引に欠かせない、第三者検査・認証事業を日本でも展開しているのがビューロベリタスジャパン。EUでは2005年から域内排出権取引制度がスタートしているが、日本ではボランタリーなものは導入されているものの、公的な排出権取引の導入は未だに不透明だ。とはいえ、目に見えないCO2の排出量については、信頼性の高い第三者検査・認証が不可欠だ。この分野においてEUで実績を上げてきたのが、フランスに本社を置くビューローベリタスである。その日本法人であるビューローベリタスジャパンもまた、環境分野における総合的な検査・認証サービスをスタートさせている。今後のマーケットの展望と事業方針などについて聞いた。
   
燃料電池新聞の主な記事
・2008年の燃料電池市場の展望
・水素貯蔵材料の最新動向
・欧米の燃料規制
・海外ニュース
 -アイスランド、一般車両への水素供給を開始
 -パシフィック・フューエルセル社、カーボンセパレータを受注
 -加バラード、米プラグパワー、燃料電池の普及で温暖化ガス116百万トン削減という試算を発表
 -米HPI社、気球向け水素発生装置を開発
 -米スタンフォード大学、リチウムイオン電池の駆動時間を10倍にする技術を開発
 -英アクタ社、アンモニアを燃料電池車の燃料に
 -米バークレー国立研究所、高温でも湿潤の高分子膜を開発
 -アキュメントリクスカナダ社、アンモニアをSOFCの燃料に使用
 -エクソンモービル、オンボード水素製造装置を開発
 -ロンドン市、水素燃料バスを10台導入
・燃料電池フラッシュニュース
 -ソニー、携帯機器用アクティブ型DMFC燃料電池を開発
 -トヨタ自動車、ハイブリッド車向けリチウムイオン電池の量産を検討
 -北海道電力と三菱自動車、電気自動車の寒冷地での走行試験を開始
 -富士重工業、電気自動車事業のロードマップ示す
 -ホンダ、2010年に年間40〜50万台のハイブリッド車を販売
 -コスモ石油、アブダビ政府系企業と連携して太陽熱発電などの研究を開始
 -シチズンファインテック、接触燃焼式ガスセンサー用セラミックスケースを開発
 -信州大学、カーボンナノチューブで金属原子ワイヤーの製造に成功
 -積水ハウスなど、茨城の分譲地で燃料電池タウンの実証試験を開始
 -石油産業活性化センター、SOFCシステムの発電試験開始
 -関西大と宮崎大、白金ナノディスクを作成。燃料電池用白金触媒の削減に有効
 -新日本石油、2009年度に市販灯油を利用できる家庭用燃料電池を商品化
 -三菱自動車、GSユアサ、三菱商事の3社,自動車向け大型Liイオン2次電池製造新会社を設立
 -経済産業省、リチウムイオン電池の発火事故防止にむけた技術基準を法令化
 -大日本印刷、アルミセパレータのサンプル出荷開始
 -東芝、リチウムイオン電池の生産開始、市場に再参入
 -電源開発の常圧150kW級SOFCシステム、累積運転時間3,300時間を達成
 -東北大、リチウム電池用電解質の安全性を高める材料を開発
 -新日本石油、今治市で22台の家庭用燃料電池を住宅団地に設置
・燃料電池インフォメーション
  etc.

シリーズ連載
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<バイオ燃料B>
・再生可能エネルギー新潮流21
   
コラム
・発電論評<環境と経済の両立を目指す>
・プリズム<省エネ型エアコンでエコ生活?>
・ちょっと一休<人が少なめの今年の新年賀詞交換会>
・青空<08年の景況は…>
・<新刊紹介>「ポスト京都時代のエネルギーシステム」


環境と経済の両立を目指す【発電論評】

 京都議定書元年の08年が始まった。今年から、5年間の約束期間に入った。12年までの5年間は90年比マイナス6%の削減義務を負っている。国が掲げる目標達成計画の「環境と経済の両立」の実質が問われる時代がいよいよ訪れたということだ。
 地球温暖化問題は、結局のところエネルギー起源のCO2排出量を如何に削減するかということに帰結するということになったわけで、とりわけ、産業革命以降の機械文明を象徴した石炭や石油起源のCO2が地球温暖化の元凶だとしてやり玉に挙がっている。しかし、石油や石炭無くして現代文明が成立しなかったということを考えると、温暖化のデメリット以上に、化石燃料がもたらせた現代文明の恩恵は地球規模で広がっているということを前提に考えを進める必要がある。
 その上での、地球温暖化である。温暖化の結果、地球規模での気候変動が、地球上の生物の存亡を左右しかねないという昨今の議論の帰結を肯定的にみれば、温暖化の進展をいかにして食い止めるのかという命題が現代社会を構成する一人ひとりに問いかけられることになる。
 エネルギー起源のCO2排出量を削減できれば地球温暖化が防止できるのだとすると、我々が取りうる手段は極めて限定的である。CO2排出量の多いエネルギー源の使用制限とCO2排出量の少ないエネルギー源の利用拡大ということである。前者は石油や石炭であり、後者は風力、太陽光、水力などの自然エネルギーや生物起源のエネルギー、また原子力などである。
 石油や石炭などの化石燃料は、CO2を大量に排出するが、利用量を減らせないのであれば、より無駄のない効率利用を心がける必要がある。熱効率30%の装置に比べて60%の装置では石油や石炭の量は半分ですむ。例えば自動車のエンジンの熱効率は30%に満たないが、コージェネなどで熱利用した後の電気で自動車を走らせれば、石油の使用量が大幅に減らせる。その結果、CO2の排出削減が可能になる。原子力や水力だけでエネルギー需要がまかなえればCO2排出量はほぼゼロにできる。再生可能エネルギーだけでエネルギー需要がまかなえれば同様にCO2排出量がほぼゼロにできる。
 しかしながら、環境と経済の両立を図る観点で、資源量や運用コストを含めてエネルギーセキュリティーを考える時、残念ながら原子力や水力、再生可能エネルギーだけでは問題解決は図れそうもない。
 環境負荷の低減とエネルギーの安定確保、エネルギーのベストミックスなど総合的な視点に立って、マイクログリッドやエネルギーの面的利用などがキーテクノロジーとしてもっと利用策が講ぜられる必要がありはしないか。