2008年 新年特集号
2007年12月25日 2008年1月5日 合併号


ヤンマーバイオガスマイクロコージェネを本格販売へ
 ヤンマーエネルギーシステムは、25kW級「バイオガスマイクロコージェネ」の販売を本格化させる。
 同社は、都市ガスやLPガスを燃料とするマイクロコージェネをバイオガス仕様に改造、昨年から畜産施設などで試験運転を行ってきた。
 耐久性、信頼性、性能面で問題が無いことが確認できたことから、下水処理場や食品加工工場、畜産施設などメタン発酵を行っている施設を対象に、1月から売り込みを図る。12年度には年間1千台の販売を目指す。
 すでにバイオガスを燃料とした場合、メタン濃度60〜70%で発電効率32%、80〜90%で33%を確認しており、25kW機を1台導入し年間6千時間運転すれば、買電+化石燃料ボイラー使用に対して、約70万トンのCO2削減につながると試算している。
 同社ではまた、温泉地なども有望な市場とみて、自噴ガスをボイラー熱源などに利用するだけでなく「電気と熱」に置き換えることで、国産エネルギーの有効利用につながる点をPRしていく。


東邦ガスがバイオガスコージェネを実証試験
 東邦ガスは、下水汚泥などから発生するバイオガスを燃料とする小型ガスエンジンコージェネシステムを開発、愛知県知多市の協力を得て、12月から同市南部浄化センターで実証試験を開始した。
 今後1年間、発電性能や耐久性を評価するとともに、バイオガスと都市ガスの最適な混焼制御技術などを確立していく。中部地区の下水処理場でバイオマス発電を行うのは今回が初めて。
 システムの出力は9.9kW。ガスエンジンに簡易な改造を行い、バイオガスと都市ガスの混合燃焼を可能とした。これによってバイオガスの発生量や熱量が不足する場合は、都市ガスで補うことでガスエンジンの出力が安定する。
 今後、実証試験に合わせ同システムをガスエンジンメーカーに提案、実用化の検討を進めていく。


東京ガスが生ゴミからエタノールとバイオガスの同時回収試験を開始
 東京ガスは、生ゴミからバイオエタノールとバイオガスを同時に回収する実証試験に、国内で初めて取り組む。従来のメタン発酵によるバイオガス回収方法と比べて、より高効率で、高付加価値の回収システムを構築するのが狙い。
 東京都江東区、東京都環境整備公社と共同で、江東区内の5〜6の小中学校の給食ゴミなどを粉砕し、酵素を加えて糖化。糖化した生ゴミは搾って液分と固形分に分け、液分は発酵によってバイオエタノールを、固形分やエタノールの蒸留廃液などからバイオガスを回収する。
 区内の清掃工場(潮見1丁目)に併設された環境学習情報館「えこっくる江東」の敷地内に、12月17日から設備を建設しており、2月から実証試験を開始する予定。
 1日あたり200kgの生ゴミからバイオエタノール(濃度90%以上)5リットル、バイオガス20立方mの回収を目指す。ガスは発電(9.9kW)とボイラーで、エタノールは教育用として使用する。
 生ゴミからエタノールを製造する取り組みは新日鉄エンジニアリングが北九州市で進めているが、バイオガスを合わせて回収するのは今回が初めてという

新年企画特集〈本格化するか バイオマス発電〉
・地球温暖化の危機が迫っている。京都議定書の約束期間がいよいよ始まる今年。鍵を握るのはエネルギーの低環境不可化を如何に成し遂げるのかということ。脱石油を掲げて30年の日本のエネルギー政策は電源の多様化を図った電力政策の面では一定の成果を上げたといえるが、自動車用燃料などの運輸部門、空調、加温、動力などの熱供給部門などでは、安価な石油に頼りすぎたエネルギー改革の遅れが露呈し、社会のあちこちで、様々な悲鳴が聞こえている。環境エネルギー社会への転換が緊急かつ最大の政策テーマとなる中で、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の更なる開発や利用拡大が求められることになるが、風力や太陽光などの自然エネルギーは環境負荷は少ないものの、必要なときに発電できないという欠点を持つ。こうした自然エネルギーの活用を促すには、出力を平均化、安定化させる手段として、蓄電技術や調整用電源の開発が必要となるが、環境負荷の少ない再生可能エネルギーである、バイオマス資源の燃料化が広がれば、極めて有効な手段となる。コージェネレーションなどの燃料として利用拡大が期待されるバイオマス開発の課題と可能性を新年号で紙上特集した。
・記事構成
 -日本のバイオマス発電の現状と課題<解説/井熊 均 日本総合研究所総発戦略センター所長>
 -バイオマス利用の現状 1 <東京ガスのバイオマス発電/福尾知明 新エネルギー環境プロジェクト室長>
 -バイオマス利用の現状 2 <畜産系バイオマス発電/山藤 泰 関西学院大学大学院客員教授>
 -バイオマス利用の現状 3 <森林木質バイオマス発電/鈴木 誠 日本バイオマス開発社長>
 -バイオマス利用の事例 1 <ファーストエスコ>
 -バイオマス利用の事例 2 <バイオマスエナジー>

新年特集
・新年のエネルギー市場の課題について(柏木孝夫 東京農工大学大学院教授)
・関係官公庁・団体・企業の新年の取組
 -資源エネルギー庁 NEDO 省エネルギーセンター LPG振興センター 日本ガス協会 日本コージェネレーションセンター 日本風力発電協会 都市環境エネルギー協会 都市エネルギー協会 日本電設工業協会 エネルギーアドバンス 東邦ガス ヤンマーエネルギーシステム 川崎重工業 ハタノシステム etc. 順不同

その他の記事
シャープ亀山らが環境大臣表彰
・エコプロダクツ展に16万5千人
・ファーストエスコが燃料調達で子会社設立
・東北電力、風力系統連系申し込みは55件66万kW
・積水ハウスら燃料電池タウンの実証試験開始
・JOMOが灯油仕様のSOFCの実証試験開始  etc.

コラム
・プリズム<自由化問題の後は、排出権問題>
・ちょっと一休み<赤い服と白いスニーカーで元気な松島みどり議員>
・青空<ことしはどんな年?


新年の分散型、新エネルギー市場を展望する【概観】

◇コージェネ
 エネルギー価格の高騰によって、国内の分散型市場は低迷している。
 石油系燃料のディーゼル発電はほとんど市場壊滅状態が続いており、回復の見込みは困難という状況だ。原油価格の水準に劇的な変化が生まれない限り、発電用燃料としての石油は歴史的役割を終えたということになってしまうのではないか。コストに加えてCO2削減面でも不利な状況にあり、天然ガスなど代替燃料への切り替えが進められることになる。
 発電用燃料としての天然ガスについては、ここ数年間国内需給が逼迫化しており、ガスコージェネの拡大の足かせになっている面が見られる。燃料転換によりガス燃料価格も上昇傾向にあることや、燃料となる天然ガスの供給不足もまだ一部で継続中だと言われ、ニーズはあっても販売できないという状況が続いている。
 新年度は、こうした状況は少し緩和されるという見通しなので、特に需給がタイト化していると言われる関西地区を中心に、滞っていたコージェネ営業の再開が期待される。
 一方で設備・機器の状況を見ると、近年市場に勢いが見られるのは家庭用などの小型機器の分野であり、ガスエンジンコージェネや燃料電池の拡大などが期待できる。
 家庭用については、電力料金が業務用や産業用に比べて割高な価格設定となっているところから、コージェネでもコストメリットがまだ出せる水準にある。それに加えてCO2削減がカウントできる状況になれば、環境に優しい家庭用エネルギー機器として再認識が進むことになる。
 また、販売方法として期待されるのはオンサイトサービス型の導入だ。システム価格の削減が難しいコージェネなどについて、事業者が機器を保有したまま燃料価格や発生した電気、熱の利用料金として回収する事業スキームが開発できれば、小規模な家庭用や業務用機器を利用したマンションコージェネや家庭用コージェネの市場が大きく展開することも期待できよう。

◇代替エネの開発
 エネルギー価格の上昇が長期化し常態化する中で、なかなか進まなかった代替エネルギー開発がようやく加速化しそうなムードになってきた。開発が期待されているのは環境の時代にふさわしく、風力発電や太陽光発電などの自然エネルギーとバイオマスを加えた、再生可能エネルギーの活用である。
 風力も太陽光もバイオマスも再生可能エネルギーとして一くくりにされることが多いが、風力、太陽光とバイオマスは人工的に生産できるかどうかという点で根本的な違いがある。
 風力や太陽光は、まさに天然・自然に備わっているものであり、利用できるエネルギーは限られている。ところが、バイオマスは植物などの生物由来の原料を工業的に加工することによって、エネルギー資源として利用できるものだ。
 バイオマス燃料のもととなる植物や動物排泄物などは、いずれもガス化、液化、あるいは固体燃料として利用できる状態にまで加工する過程が必要となる。燃料化した後の利用法は石油や石炭、天然ガスといった従来からのエネルギー利用技術がそのまま使えるが、CO2フリーの環境エネルギーだ。
 またもう一つの大きな相違点は、自然エネルギーがまさに風まかせ、天気まかせで、必要な時に必要なだけという需要側のニーズをまかなうには極めて不適切なものであるのに対しバイオマスは、燃料化した後の貯蔵や輸送技術などは既存の社会インフラが活用できるため、まさに必要な時に必要なだけという、需要側のニーズに応じた極めて効率的なエネルギー利用・管理が可能となる。
今年の新エネ市場は京都議定書の時代だというのに、マーケット的にはなかなか困難な時代が続く。新エネの中では、太陽光が有望か。
 太陽光は世界的な再生可能エネルギーブームの中で、欧州を中心に需要が急拡大している。中国なども大型機種の大量導入を計画しており、国内よりも海外市場が急拡大している。
 一時期心配されたシリコン不足も、薄膜技術やシリコンを使わない次世代型など、拡大する市場に併せて技術・製品開発も活発化している。
 また、フィルム型などの太陽光発電システムも開発され、壁面や携帯型など燃料のいらない太陽電池の用途はまだまだ広がりそうだ。やがて、生活のあらゆる局面で太陽光フィルムが使われる時代の入り口に立っているのかもしれない。
 太陽光と同じ再生可能エネルギーである風力の場合はどうだろう。太陽光と違って風力には勢いが見られない。系統との連系問題は改善されないまま、大規模なウィンドファームの開発に有力な計画は見られない。新たな動きとしては、ようやく洋上風力展開への試みが始まろうとしていることだ。
 複雑な地形、変化の激しい風向きや風力、高電圧の日本の雷など、大型風車の大半が欧州製という中で、日本型の風力の開発の必要性が唱えられてから久しいが、需要がないところには技術開発も行われないということで、太陽光とは対象的な市場展開となりそうだ。
 バイオマスについては、あまり目立った進展はない。石油価格の高騰が続き、代替エネルギーとしてバイオマスへの期待が高まっているが、市場まかせではバイオマスの燃料化は極めて困難であることを考えれば、エネルギー政策の中で方向付けが必要という段階。
 他では、新たな国産エネルギー資源として注目されているメタンハイドレードなどの技術開発の進展にも注目したい。

◇新技術
 新技術の筆頭は、今年も燃料電池になるだろう。燃料電池の開発は家庭用を中心に進められており、国の大規模実証事業により耐久性やコストダウンに向けた技術開発が懸命に進められている。
 耐久性やコストダウンなどの開発努力が少しずつ成果を上げており、ブレークスルー技術の開発をきっかけに一気に市場が拡大する機運は見えてきている。また、固体高分子型燃料電池(PEFC)に代わる固体酸化物型燃料電池(SOFC)も実証段階に入りつつあり、定置用はSOFCの方が市場化で先行するのではという見方も出てきている。

◇エネルギー需給
 07年はエネルギー政策が大転換した時代であったと総括できる。
 昨年、正式に電力の全面自由化が先送りされることが決まった。次期の制度改革は5年間行われない。政策の後押しもないままに市場参入した新規参入者(PPS)にとっては、新たにCO2排出係数の削減という課題も加わって厳しい市場環境が続くことになる。
 昨年は燃料価格の高騰や原子力発電所の被災など、エネルギーの安定供給のあり方が根本的に問い直される事態が相次いだ年でもあった。
 次期制度改革までの5年の間に市場を活性化させ、需要家利益を増進させるという本来の目的を踏まえて、自家発やコージェネなど分散型システムも取り込んだベストな需給のあり方が検討される必要がある。

◇CO2
 電力業界は、自主行動計画のCO2削減目標の達成のために多量の京都クレジットを購入することにしている。購入予定は1億2千万トンで、1トン2千円ならば毎年2400億円が必要となる。
 これは当然コストとして電気料金に反映されることになるが、その分を省エネ法や温対法でCO2排出係数の低減にカウントできる方向となっている。これによってCO2排出係数は自主行動計画目標の0.3〜0.35程度が達成できる見通しで、PPSなどに対する競争力がさらに高まることになる。
 今年は京都議定書の第1約束期間開始の年に当たっており、電力・エネルギー分野での省CO2の新たな取り組みとして卸電力取引所でのCO2フリー電力の取引や、クリーン開発メカニズム(CDM)クレジットの商品化などが開始される見通しとなっている。
 CO2フリー電力の取引は再生可能エネルギーや原子力、水力などの電力を市場を通じて切り売りするもので、実現すれば画期的な取り組みとなりそう。ある程度の電力量が確保できればPPSなどの排出係数の低減という当初の目的を越えて、CO2フリー電気を需要家に直接販売できる可能性を秘めているという意味で大いに注目される。