2007年125日号

CCSや燃料電池など、革新的エネルギー技術20を採択
 経済産業省は、来年度から本格的な取り組みを開始する革新的エネルギー技術開発について、重点的に取り組むべき革新技術として、20の技術開発課題を選定した。安倍前総理が提唱したクールアース50の実現に向けて必要となるエネルギーの革新的技術について検討している有識者会議で、案をまとめた。
 石炭火力や製鉄所でCO2の地下貯留技術や水素分離技術を開発することや、天然ガスのコンバインド化などによる高効率技術、発電効率40%超の太陽光発電、燃料電池のコージェネやガスタービンとのコンバインドシステム化などによる高効率技術など分散型発電技術を活用した発電や需要側の高効率化などが追求される。
 技術開発にあたっては2050年を目途とした長期のローッドマップを作成、欧米諸国などとの国際的な連携を行いながら推進する方向で、年度内に計画案をまとめる。
 選定された革新技術は発電・送電、運輸、産業、民生、部門横断の5分野から、発電・送電部門では@高効率天然ガス化力A高効率ゼロエミッション石炭火力B革新的太陽光発電C次世代原子力発電D超電導高効率送電。運輸部門ではE高度交通システムF燃料電池自動車Gプラグインハイブリッド・電気自動車Hバイオマスからの輸送用代替燃料。産業部門ではI革新的材料・製造・加工技術J革新的製鉄プロセス。民生部門ではK省エネ住宅・ビルL次世代高効率照明M定置用燃料電池N超高効率ヒートポンプO省エネ型情報機器・システムPHEMS/BEMS・地域レベルエネルギーマネジメントシステム(EMS)。部門横断ではQ高性能電力貯蔵RパワーエレクトロニクスS水素製造・輸送・貯蔵の合計20技術を選んだ。


排出権取引は採用せず 京都議定書目標達成計画追加対策で
 京都議定書目標達成計画の見直しについて、追加対策の導入などを検討している中央環境審議会と産業構造審議会の合同会合は、11月30日の会合で国内排出権取引制度の導入について初めて本格的な審議を行い、目標達成計画の追加対策としては導入を見送る方向となった。
 6%の削減義務の達成には、その後の増加分も含めると現行の削減対策だけでは不十分であるため、特に運輸部門や中小企業、民生・家庭部門での土地組の強化が必要であるとされている。
 排出権取引制度は、目標以上に削減した企業や、国内でCO2削減事業などを行ったものについて排出枠(クレジット)を発生させて経済的価値を付与し、市場で流通させることで国内のCO2削減を進めるというもの。複数の委員からの提案もあり、合同会合で導入の是非について議論されたが、産業部門では自主行動計画で目標達成を取り組んでいることや排出量の上限を規制することは国際競争力の阻害要因となりかねないなどの反対も多く、追加対策として導入することは合意できなかった。また、環境税についても、追加対策としての採用は見送られる公算。
 排出権取引については、目標達成計画の追加対策とは別に、経産省が省エネ対策や中小企業の省CO2対策として導入を計画している他、東京都も独自の対策として来年度からの導入を目指している


ハンガリー政府から余剰排出枠を購入
 日本政府がハンガリー政府からCO2排出枠を購入する方針であることが明らかになった。
 京都議定書による日本の削減義務を果たすため京都メカニズムとして認められている政府間の排出枠取引としてハンガリー政府から購入する。日本政府は、ハンガリー政府に対して受け取った購入費を太陽光発電などの環境対策として使用することを求め、購入量や金額などを今後、詰める。
 日本政府は、これまで京都メカニズムの内、CDMやJIといった直接温室効果ガスの削減につながる排出枠についてのみ購入する方針を示していたが、外国の余剰枠である「ホットエア」を購入することは、直接CO2削減にはつながらないとして、購入しない方針を示していた。


川重の大型ガスエンジン発電設備、第一号機が稼働
 川崎重工業は、今年7月から市場投入を開始した大型ガスエンジン発電設備の第1号機が、新潟県上越市で建設工事を終え、12月中に系統連系運転を始めると発表した。
 産業用電力や蒸気のほか、電気事業者向け余剰電力の販売を手がける日本エネルギーネットワーク(東京都千代田区)の関連会社「上越エネルギーサービス」向けに建設されたもので、上越エネルギーは昨年4月に日本曹達・二本木工場(上越市)から譲渡された火力発電設備と合わせて運転し、発電電力を外販していく。燃料となる天然ガスは帝国石油が供給する。
 建設された発電設備は、同社が自主開発し「グリーンガスエンジン」と名付けたシリーズの最大機種となる7800kW。発電効率は48.5%、NOX排出値も160ppm以下(O2=0%)と、いずれも世界最高水準を実現している。

新潟原動機が中・小型非常用発電から撤退
 新潟原動機は小・中型の非常用ディーゼル発電装置「NOAシリーズ」(40〜565kVA)の販売を、来年3月31日の工場出荷を最後に中止すると発表した。
 同社は89年以降、米・カミンズ社からエンジン本体を輸入し、小・中型の発電装置としてセットアップしていたが、輸入納期の長期化と材料費の高騰などで、ますます低価格化が進む市場での対応が困難になった。今後は600kVA以上の大型機の製造・販売に特化する。
 火災などの際、スプリンクラーなど消防用負荷への電力供給のために設置される非常用発電装置は毎年、新規に約6千台の市場規模がある。06年度は5830台が設置され、同社は小・中型クラスの34台を中心に計42台を納入している。
 各社がさらに製造コストの見直しを進めるなど厳しい状況が続く中、同社は利益の少ない小・中型機の販売を中止することにした。

新日石が三洋電機の燃料電池事業を買収
 新日本石油が三洋電機の燃料電池事業買収し新会社を設立することが、11月29日、両社から発表された。
 三洋が定置用燃料電池事業を分離して新会社を設立、その発行済み株式の81%を新日石が取得する。設立は08年4月の予定で、資本金は1億円。新会社の名称は未定だが、本社は三洋の東京製作所(群馬県大泉町)に置き社長、取締役などの役員は新日石が派遣する。
 新会社で燃料電池システムの開発企画、システム設計、生産管理を行い、製造・組み立ては三洋東京マニュファクチャリングに委託する。新日石は新会社からシステムを仕入れ販売していく。
 新日石は、コスモ石油やジャパンエナジーと業務提携し燃料電池の提供を行うなど、市場での主導的地位の確保を進めており、三洋の燃料電池事業を買収することで、開発のスピードアップを図り、製造効率の最適化によってコストダウンを進める。

その他の主な記事
・省エネ法改正へ報告書
・制度改革WGで託送料金など
・バイオ燃料協議会が発足
・丸紅が米国バイオマス発電所を買収
・新コスモス電機が漏洩ガス識別装置発売
・東電が冬の供給力は確保
・シャープが葛城工場の生産能力をアップ
・エクソンがリチウム電池向け新フィルム技術開発
・新コスモス電機の識別装置
・東ガスが地域新社設立で第一弾
・伊方ウインドファーム、風力発電の基礎に着手
・原油価格の影響調査
・8月末のRPS認定設備状況
・岸和田文化会館ESCO
・岡山県のESCO
・改正都市計画法施行へ
・宮前・麻生ESCO
・全日本ボイラー大会
・横浜市の北部処理場PFI
・太陽光発電システム利用可能性調査募集
・環境対策技術調査、三菱エンジへ
・バイオマスシンポ、ビッグサイトで
・高効率エネ2次決まる
・水素社会受容性調査はみずほ総研
  etc.
                 
シリーズ連載
・大変化する米国の新エネビジネスC<学校と連携してデマンド管理・カナダの事例>
・建築計画・工事ニュース
     
コラム
・発電論評<排出権取引とセクター別ベンチマーク>
・プリズム<効率化の追求と安定供給の相関>
・ちょっと一休<MXテレビの社長になった大木さんの激励会>
・青空<原油高の影響各所に>
・新刊紹介<「きれいな地球は日本から」大木浩著 原書房>
・キーパーソン<ジェニファー・モーガンさん>


排出権取引とセクター別ベンチマーク【発電論評】

 年が明ければ、京都議定書第1約束期間が始まる。日本の温暖化対策も本番を迎えるが、政府は早々と目標達成が困難であることを前提に、排出枠余剰国からの購入も含めて京都メカニズムで不足分を賄う方針を明らかにした。だからといって、国内での削減努力をおろそかにしていいというわけではなく、目標達成計画に追加対策を盛り込む方針で、現在見直し作業が進められている。
 その追加対策の有力なものの一つと考えられていた国内排出権取引制度の導入は、あっさりと見送りの方向となった。CO2削減に取り組み、その成果をCO2クレジットとして市場で流通させ、CO2に経済的価値を持たせるというのが排出権取引なのだが、排出枠の上限を定めることは生産量の拡大を制限することになり、企業の成長の阻害要因となりかねないことや、工場などの海外流出を招きかねないこと、また、既に自主行動計画に取り組んでいるので、規制を上乗せするような排出枠制限は必要ないなどの反対意見が多く、見送られることになった。また、現在までの省エネ・省CO2努力も含めて公平な排出枠が設定できるのか疑問であることなどが懸念材料として示されている。
 しかし、反対されているのは目標達成計画の追加対策としてであり、CO2に経済的価値を与えるという排出権取引そのものに対してではない。反対理由を眺めてみると、公平な排出枠の設定が可能で、国際競争力や企業の事業拡大の妨げにならないような制度であれば反対しなくなるとも理解できる。つまり、少ない投資で、確実な省CO2の成果が得られ、さらに経済的なインセンティブが付加されれば、受け入れられるということになるのではないか。
 省エネ法が改正され、業種や業態毎に省エネ基準を定めるベンチマーク制度の導入も主要な改正点の一つになっている。家電製品などで既に実施済みのトップランナー方式を製品から事業体へと対象を変えて、業種毎に省エネ基準を設けて、達成した事業者にはインセンティブを未達事業者にはペナルティーを与えるという取り組みになる。こちらは特に大きな反対もなく、導入が決められた。法改正後の具体的な基準作りは困難が予想されるが、省エネの取り組みとして受け入れられたことには大きな意味がある。
 ベンチマーク制度は一種の排出枠を定めるという意味で、将来、排出権取引制度が導入されるときには、このベンチマーク基準が排出基準の重要な参考指標となると思われる。
 事業者に負担を与えることよりも、削減事業としてインセンティブを与え、前向きに取り組むことを支援する、そんな制度設計となることを期待したい。