2007年1125日号

電力取引所でCO2ゼロ電気やCO2排出権取引も
 卸電力取引所で京都メカニズムクレジットや再生可能エネルギーや原子力などCO2排出係数ゼロの電気の取引を実験的に開始する方向が決まった。11月15日に開かれた電気事業分科会でWGでの検討結果について審議され、WGの検討の結果を承認した。引き続き制度改革の詳細について検討を行い、年明けの1月下旬に基本答申案を取りまとめる。 電気事業制度改革の中で検討されているCO2取引は、卸電力取引所の機能強化の一環として検討されている。その内容は、京都メカニズムクレジットを取引所の商品として売買を行い、国内での京メカクレジットを流通させる機能を持たせるとともに、再生可能エネルギーや原子力発電、水力発電など、発電に伴うCO2排出量がゼロの電気をCO2フリー電力として商品化するというもの。
 CO2フリー電気については、マーケットに提供可能な電力量が限られることが予想されるため当面の間は実験的取り組みとして取引の成立性の検証を目的に実施することを提案している。
 また、クレジットやCO2フリー電気の購入者はPPSを含む卸電力取引所に参加資格を持つ電力事業者で、購入した排出権を自社が販売する電力のCO2排出係数の低減に利用したり、CO2フリー電気を需要家に販売したりできる。 
 同日の分科会では、電力事業者側委員から、「電力事業者は時々刻々と変化する電力需要に対応して自社の持つ電源を臨機応変に運転しており、原子力や水力をCO2フリー電源として切り出して市場に提供することは困難」であり、「あくまでも実験的取り組みとして進めて欲しい」と述べるなど、クレジットの取引やCO2フリー電力の商品化流通には電力業界としては慎重な取扱を求める意見が述べられた。
 制度改革議論は、引き続きWGに戻される形で2回程度の会合を開き具体案についてWGの検討結果をまとめ、12月14日に予定されている分科会に報告される。


デンソーがKHPに非常用発電機能を付加、新日石がモニター設置
 新日本石油とデンソーは、デンソーが開発した非常用発電機能付きの業務用灯油エアコンをガソリンスタンドにモニター設置すると発表した。
 デンソーが開発した発電機能付きエアコンは、灯油を燃料とするエンジン発電機を搭載しており、通常時はエンジンヒートポンプとして空調運転を行い、災害等による停電時には発電運転を行うことで非常用電源として機能できるというもの。新日石はこれをガソリンスタンドに設置し、停電時にはスイッチ操作で空調運転から発電運転に切り替え、計量機や看板、照明、情報機器等に電力を供給、災害時のSSの通常営業を可能とする。08年4月以降、本格的にSSへの導入を図っていく。
 非常用発電機能が付加されることで、災害時のエネルギー供給の防災拠点としてSSが機能できることで、導入費用の1部が国の補助制度である「災害対応型給油所普及事業」の適用対象とできる見込みで、SSの社会貢献の一環としても新日石では自立型のエネルギー供給力の強化を図っていく考え。
 デンソーが開発したシステムは、8馬力と10馬力のエンジンを搭載する4機種(標準仕様と寒冷地仕様)で、冷房能力は22.4kWと28.0kW。発電能力は4kWの200V三相交流電力と1.5kWの単相交流電力が同時に出力できる。定格発電時の燃料消費量は1時間当たり2.4リットル以下。
 開発したデンソーでは、ガソリンスタンド店舗や事務所などでの利用を見込んでおり、特にガソリンスタンドの被災地域でのライフラインの確保の観点から災害対応力の強化につながると期待している。デンソーの業務用・住宅用空調機器の販売・施工会社であるデンソーエースが販売を行う。


カーボンオフセットの指針案まとまる 環境省の検討会
 環境省は、11月20日、カーボン・オフセットのあり方に関する検討会を開き、指針案のとりまとめを行った。
 カーボンオフセットは市民や企業が生活や事業活動を通じて排出するCO2のうち、自ら削減が困難な部分について他者が実現したグリーン電力証書などの削減効果(クレジット)を購入したり、自らが削減事業に参加することによって、排出量の全部又は一部を埋め合わせるという取り組みをいう。環境省では、京都議定書の枠組みの外側で、広く市民や企業が主体的に取り組みを行えるCO2削減制度として広く普及させ定着させたい考え。
 指針は、主として京都メカニズムとして実施されていない「個人、事業者、政府、自治体等が国民運動や公的機関の率先的取り組みの一環として温室効果ガスの排出量削減・吸収量増加に貢献するため」に取り組まれるものを対象として、排出量の算定方法や利用できるクレジット、オフセットの手続きなどについて基準を定めること、第三者認定やラベリング、取り組みに関する相談や・支援を行うプラットフォームの創設を行うことなどを提起する内容となっている。
 カーボン・オフセットの取り組みは、英国を中心に米国や豪州などでもひろがりをみせはじめており、環境省によると2010年には約4億トンのCO2の取引量の市場規模の予測もあるという。


出光興産が日本風力開発に資本参加
 出光興産は風力発電事業に参入する。日本風力開発(東京都港区、塚脇正幸社長)が実施する第三者割当増資の一部を引き受け、増資後の発行済み株式の5.4%を取得、同社と共同で新たな風力発電所を開発していく。
 出光の引き受け株式数は6千株で、取得金額は総額13億3800万円。11月30日に払い込む。今後、09年3月までに両社共同の事業化計画を策定する。
 日本風力開発は9月末現在、青森や千葉など国内で20発電所(発電機100基)、総発電容量で約14万8千kWを保有し、国内シェアは第3位。出光は今回、同社が蓄電池併設型風力発電の技術を世界で唯一有していることから今後、風力発電の拡大が見込めるとして共同事業に乗り出すことにした。


洋上GTL生産設備を共同開発へ
 東洋エンジニアリングと三井海洋開発、米ベロシス社は11月13日、GTL(ガス・ツー・リキッド)の洋上生産設備の開発・商用化に向けた共同開発協定を締結したと発表した。
 ベロシス社が保有するマイクロチャンネル反応器を用いた新しいGTLプロセスを開発し、12年までにガス田や石油随伴ガスを洋上で液化し、石油類似製品を生産する。
 現在、3千TCF以上の天然ガスが搬出手段がないため未開発となっている。こうした未開発天然ガスや大気放出・燃焼処理されている石油随伴ガスを、有効利用する海洋ガス田開発に新たなツールを提供する。


特集
・「公共建築の日」 記念特集〈中央合同庁舎7号館と新エネルギー〉
11月は「公共建築月間」。公共建築が地球温暖化対策で果たす先導的な役割に期待が集まっている。このほど東京霞が関に完成した中央合同庁舎7号館も、国交省と民間の事業者がPFI方式で整備したもので、各種の環境対策が施されている。「大規模公共施設では初めての燃料電池」(資源エネルギー庁燃料電池推進室)をはじめ太陽光発電、風力発電、コージェネレーション設備など、グリーン化技術が積極的に導入された。公共建築の日にちなんで「7号館と新エネルギー」について、考えてみた。


企画特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略〈佐川急便編〉
ゲスト:佐川急便執行役員安全・環境部部長 青木健三氏 聞き手 都市エネルギー協会 会長 吉田武治氏
物流を担う低公害車といえば、天然ガス自動車。街のあちこちでも見かけるようになったが、その導入をリードしてきたのが、佐川急便である。同社は2003年、WWF(世界自然保護基金)のクライメート・セイバーズ・プログラムに参加し、この天然ガス自動車のさらなる導入を始めとする環境保全活動を今後も進めるという。

 
その他の主な記事
国交省の合同会議で省CO2型都市構想
・環境配慮基本が施行
・国別登録簿が稼働開始
・岩手県、次世代エネパーク整備へ
・三井物産が排出権を小口分割販売へ
・松下電池がリチウムイオン電池を増産
・きんでんが電力量監視システムを開発
・日立造船、水処理事業を統合
・日新電機がキャパシタ瞬低対策装置を発売
・三菱重工が世界最大級のターボ冷凍機を受注
・日新電機の瞬低対策装置
・有機ハイドライド利用で講演会
・大阪でFCEXPO3回目
・ISEPイノベーションフォーラム開催
・1月23日からGTセミナー
・第3回ホロニックシンポ、1月に
・太陽熱のニーズに関する調査委託先募集
・中国で異種バイオマスモデル可能性調査募集
・CDM案件発掘調査委託先募集
・小型風量発電の基準について調査   etc.
 
シリーズ連載
・大変化する米国の新エネビジネスB<データセンターの電力消費が問題化>
・建築計画・工事ニュー


コラム
・発電論評<排出量取引と電源確保の必要性>
・プリズム<EUの電力指令改正案を巡る賛否両論>
・ちょっと一休<キッコーマンの米国進出50周年記念で>
・青空<改革は継続だっ!>
・新刊紹介<ストップ温暖化ハンドブック・昭和堂>


排出量取引と電源確保の必要性【発電論評】

 卸電力取引所で、CO2フリー電気の取引が始められることになりそうだ。現在流通している電気は、CO2価値が考慮されていないので、需要家は電力のCO2排出量に対しては発言権がない。需要家が自らCO2排出削減に取り組むとすれば、CO2クレジットを購入するか、グリーン電力証書を購入するか、CO2負荷の少ない手段で自家発をするかといったことしか考えられない。
 CO2クレジットはまだ流通の仕組みが整っていない。CO2負荷の少ない自家発となると太陽光発電やCO2排出量の少ない燃料を使ったコージェネレーションの導入ということになるが、太陽光は小規模のものしかなくコージェネは誰でもが簡単に導入や運用できるというわけではなく、敷居が高い。
 CO2ゼロの電気には太陽光や風力、バイオマス発電など再生可能エネルギーによる電気や原子力、水力などがある。電力会社が持つ原子力や水力の個別電源種の電力の切り出しは困難だというのが電力業界の見解なので、とりあえず市場取引されるCO2フリー電気は再生可能電力に限定されてしまいそうだ。
 そうなると流通量には限りがある。国内の再生可能起源の電源の大半はRPS電源として囲い込まれているからであり、RPS電力はCO2価値が認められていない。CO2フリー電力として流通させようと思えばRPS電力をやめるしかない。つまりRPSを取るかCO2を取るかという2者択一の選択が迫られる。これは、RPS法制定時から関係者の間では問題点の一つとして認識されていたが、当時はまだCO2の経済的価値が認識されていなかった。
 また、グリーン電力証書によってCO2価値を販売している電源も購入者に移転されたCO2価値が2重カウントされる問題があり、現状では、CO2フリー電力としては流通させることは困難だ。
 ではそれ以外で、どれほどのCO2フリー電源が国内にあるかというと、とても市場流通できるような量とは思えず、既存の電源の市場流通は期待薄だ。
 検討されているのはあくまでも試験的導入ということのようだが、電力自由化の柱として卸電力市場を創設して、電力の市場取引を目指したが、実際の市場取引は販売電力量の0.2%にとどまっているという現状の再現となってしまうのではないかと心配になる。
 CO2フリー電気の活発な市場取引を実現するためには、RPS電源からのCO2価値の切り出しや、グリーン電力証書のCO2価値の移転を可能とするような制度改革も含めて、電源確保の具体的なビジョンが示されなければならない。せっかくの新たな制度を絵に描いた餅にしたくない。