2007年1115日号

中小企業CO2削減は燃料転換が効果的
 中小企業等のCO2排出削減策の検討を行っている経済産業省の検討会が行ったモデル事業で、A重油から天然ガスへの燃料転換を行うことが大きな効果があることがわかった。
 検討会では、業務用建物での熱源転換事業、産業部門で工場の熱源をA重油から天然ガスへ熱源を変更する事業、ガラス工場での総合省エネルギー事業、工場省エネルギー事業プロジェクトの4つのモデル事業を選定し、CO2削減の実際の効果の検証を行った。
 業務用の建物での熱源転換モデルでは、事務所建物の空調熱源設備を燃焼式から高効率ヒートポンプに変更するなどの省エネ対策を実施。工場の総合省エネ事業モデルでは硝子製品製造工場で、熱エネルギーの回収やコンプレッサーの省エネ化などによる大幅な省エネ対策を行った。また工場の省エネプロジェクトとしては高効率照明器具や屋根断熱、モニタリングシステムの採用、また、コンプレッサーやクリーンルームの省エネ制御などの需要側の省エネ対策を中心に行った。
 4つのモデルの中では最も省エネ対策費の回収年限が短かったのはA重油から天然ガスへの燃料転換を行ったもので、導入補助がある場合は2.9年、補助がない場合でも4.3年で投資回収ができることがわかった。CO2の削減率は22%で、4つもモデルの中では3番目だった。
 最も回収年月がかかるのは業務用ビルの熱源転換モデルで、この場合は補助有りで16年、補助なしの場合は27年と、設備更新時期を超える回収年月が必要だということがわかった。しかし、CO2の削減効果は約50%と4つのモデルの中では最も削減率が高かった。


06年度のCO2排出量は1.3%減
 環境省は、2006年度の国内の温室効果ガス排出量(速報値)をまとめた。それによると、排出量の総量は基準年(90年)を6.4%上回る13億4100万トンで、前年度に比べ1.3%減少となった。
 京都議定書に基づく削減約束量は90年比6%減であり、森林吸収分と京都メカニズムの獲得量が計画通りに進んだとしても、現状からは7%の削減が必要となる。政府は目標達成計画で国内の削減対策を進めているが、達成が危ぶまれる状況から追加対策が必要になったとしている。
 基準年の総排出量に比べるとエネルギー起源の排出量は家庭や業務、運輸部門で増加しているが、05年度に比べると排出量は減少傾向に転じている。
 また、原子力発電所の利用率の低下の影響により電力需要によるCO2排出量が計画より大幅に増えていることが削減率の低下に影響しているとしており、基準年比で増加している6.4%のうち3.1%分がそれにあたると試算されている。
 エネルギー起源のCO2排出量を部門別に見ると、工場等の産業部門では基準年比マイナス5.6%の4億5500万トンで、前年度比では0.6%増加。前年度からの増加は製造業の増加分。また、運輸部門は、基準年比17.0%増の2億5400万トンで、前年度比ではマイナス0.9%。業務部門は基準年比41.7%増の1億6600万トンで前年度比では4.4%の減少。家庭部門は30.4%増の1億6600万トンで前年度比ではマイナス4.4%。発電所等のエネルギー転換部門では基準年比11.3%増の7550万トンで前年度比では4.4%減。エネルギー起源の部門別排出量は発電などに伴う排出量を部門ごとに再配分して算出している。
 運輸部門では自家用自動車からの排出量の増加が目立っているものの、前年度に比べると2.0%減少している。
 業務部門の増加は、事務所や小売り等の床面積の増加による影響や、OA機器の増加に伴う電力消費量の増加などが挙げられている。
 家庭部門では、家電機器の大型化や多様化でエネルギー消費が増加していること、核家族化や独居世帯の増加などで世帯数が増えていることなどで排出量が増加している。
 エネルギー転換部門では、電力消費が増大していることが主な原因と見られている。


ガス自由化の評価・検証作業始まる
 総合資源エネルギー調査会・都市熱エネルギー部会の制度改革評価小委員会(委員長・山内弘隆一橋大学大学院教授)が11月9日に初会合を開き、次期制度改革に向けての課題を抽出することなどを目的に、自由化の現状についての「評価と検証」作業を開始した。
 評価小委ではまず、ガス事業制度改革についての評価・検証項目についての洗い出しを行い、@需要家利益の確保・最大化A効率的・安定的なガス供給体制の整備B公正な競争の確保C託送供給制度Dガス料金制度E効率的なガス導管網形成のための諸制度FLNG基地の第3者利用を促進するための諸制度G簡易ガス事業制度の8項目について個別に評価検証を行っていくことを決めた。
 同日の小委では、評価・検証項目についての確認後は、都市ガス事業と簡易ガス事業からのヒアリングを行い、現状のガス制度改革について、都市ガス事業者側からは、パイプライン網が未発達なままに電力や石油などとのエネルギー間競争が激化していること、輸入するLNG価格は上昇傾向にあるものの事業者の効率化努力によってガス料金は低下傾向で推移していること、家庭用などの規制分野についても効率化効果が反映できていること、料金の内外価格差が縮小していること、制度改正により料金メニューが多様化し、需要家選択肢が拡大していること、高い保安レベルが確保されていること、電力会社などの新規参入が着実に進展していることなど、これまでの制度改革が大きな成果を収めていると評価、今後の検討にあたっては、資源調達環境の変化や製品安全及び保安の向上に対する社会的要請などのガス事業を取り巻く環境変化を十分に踏まえた慎重な対応を求めた。
 また簡易ガス事業者のヒアリングでは、主に、都市ガス供給区域内での簡易ガス事業の柔軟な取扱について可能となるような制度改革を求める意見が述べられた。

韓国の地冷事業向けに川崎重工がGTコージェネを受注
 川崎重工業はグループ会社のカワサキマシンシステムズがソウル市西の光明市に建設される地域熱電併給事業向けのガスタービン発電設備を受注したと発表した。
 受注したのは、韓国大手都市ガス会社の三千里社が光明市に建設する総面積約200万平方メートルの新開発地域内に電力と熱を供給する地域熱電併給事業向けのガスタービンコンバインド発電設備で、川崎重工の自社開発機としては最大のガスタービンL20Aを搭載した1万7千kW×2基と、廃熱ボイラ2基、可変軸機は威圧式の蒸気タービン発電機1基で構成されるシステム。最大で4万5千kWの電力と1時間当たり95ギガカロリーの温水を供給できる。供給する温水は蒸気タービンの軸気と廃棄上記を熱交換器に通気して温水を作る。韓国向けにL20Aを受注するのは初めてで、今回の受注によりL20Aを手記とする発電装置の受注累計は14基となった。
 韓国では、天然ガスを利用した地域熱電併給事業を長期計画で政府が推進しており、光明市のプロジェクトもその中の一つ。韓国の都市ガス会社が地域熱電併給事業にガスタービンコージェネシステムを採用するのは初めての例だという。


ブリジストンが太陽電池向けフィルムを増産へ
 ブリヂストンは太陽電池向けEVA(エチレン・ビニル・アセテート)フィルムの生産能力を増強する。生産拠点の磐田工場(静岡県)に約30億円投資して、能力を現状の月産900トン程度から1.7倍となる同1500トンに拡大する。増産開始は10年1月から。
 世界的に太陽電池市場が拡大していることに対応するもので、市場シェアの約3割を占める同社は、供給体制を拡充することで需要を取り込む。
 EVAフィルムは大陽光線を電気に変換するシリコンセルを、加熱による分子結合でガラス面に固定する接着剤として使用されている。

その他の主な記事
政策小委で省エネ法改正点を議論
・制度改革WGで安定供給と環境適合
・市場監視小委が変更命令発動せず
・30年にガス業界がCO2を4800万トン削減
・大成建設がグリーン電力証書を購入
・新日石が九州大学とFC実証試験を実施
・双日がブラジルでバイオエタノール事業に参入
・荏原、富津市を移転候補地に決定
・日立マクセルがMEAの寿命を2倍に
・日本ガイシが世界最大のナノセラミック膜開発
・三菱総研ら再生可能エネの自立運転に成功
・三菱重工がインドで新合弁会社
・東ガスが館林ガスに卸供給
・三菱化工機の水素製造装置、受注100基目・太陽熱利用でセミナー
・宮城県立がんセンターESCO
・名大研究ESCO
・都立墨東病院ESCO
・第2回地域エネ供給分科会、JHIFが開催
・電設工業展2008出展者募集
・11月29日に大阪でSOFC実証研究報告会
・21日に第3回バイオマスタウンサロン
・次世代電力供給システム技術調査委託先を募集
・地熱開発調査2次は東北電力らに  etc.

 
燃料電池新聞の主な記事
・東京モーターショー
・マツダがノルウェーに水素自動車
・日本特殊陶業
・燃料電池の国際基準
・バラードが燃料電池から撤退
・サイエンスラボラトリーズ
・海外ニュース
 -米・ボーイングが水素エンジンによる無人飛行機の飛行に成功
 -独スマートフューエルセル社がDMFCポータブル電源を拡販
 -米ハイドラフューエルセル社が住宅用燃料電池システムを開発
 -アキュメントリクス社が欧州のガス会社と家庭用燃料電池コージェネの実証試験を開始
 -米プラグパワー社が流通最大手のウォルマートからリフトトラック用燃料電池を受注
 -三星電機が水で動くマイクロ燃料電池を開発
 -シャープと米ナノシス社がナノテクノロジーを応用して燃料電池を共同開発
・燃料電池フラッシュニュース
 -明電舎、シーメンスとSOFC事業に進出
 -トナミ運輸、紙パックから水素の取出し装置開発
 -戸田工業、安価なニッケル系触媒を開発
 -日清紡、セパレーター生産能力を増強
 -九州大学、TOTOなどとAPUを開発中
 -長崎総合科学大、白金使用量削減技術を開発
 -丸八、炭素繊維強化水素タンクを開発
 -モリポリマー、リチウムラミネート電池開発
 -ホンダ、PHEVの開発は推進しないと表明
 -三菱自動車、2009年に電気自動車を市場に投入
 -フジキン、70MPa対応の制御弁、遮断弁を開発
 -サムテック、高圧水素タンクを開発
 -NECトーキン リチウムイオン電池を試作
 -大阪ガス、SOFCの設置面積を30%以上縮小
・燃料電池インフォメーション
  etc.

シリーズ連載
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<バイオ燃料@>
・大変化する米国の新エネビジネスA
・再生可能エネルギー新潮流R
   
コラム
・発電論評<国内版CDMへコージェネの役割>
・プリズム<原油価格の高騰に歯止めがかからない>
・ちょっと一休<20年ぶりのホールインワン>
・青空<知人からの贈り物>
・キーパーソン<日本カーボンオフセット代表理事 末吉竹二郎さん>
・「ガソリンの本当の値段」(書評)


国内CDM導入へコージェネの役割【発電論評】

 CO2排出量の増加にようやく歯止めがかかった。環境省が発表した06年度の国内のCO2排出量は90年比6.4%増となり、前年度より1.3%のマイナスとなった。本格化してきたCO2排出削減の取り組みがようやく成果を上げてきたというところだが、京都議定書の削減義務をあわせると12.4%の削減が必要となるという厳しい状況には変わりがない。
 いよいよ削減義務を負う5年間の約束期間が始まる。国内の削減対策も追加措置の導入も含めて一段と強化される見通しで、その一環として省エネ法を改正し、業種・業態事に省エネ基準を可視化する「省エネベンチマーク制度」が導入される。これは、トップランナー方式の業界版ともいうべきもので、この考え方は、日本がポスト京都の国際的な枠組みとして提案しているものだ。国内での取り組みを先行して実績を上げることで、日本案の説得力を増すという考えもあるようだ。
 また、国内での中小企業対策として、「国内版CDM」も導入される。自主行動計画やベンチマーク制度によって新たなCO2削減が必要な企業が、削減余地がありながら、資金やノウハウが不足しているために取り組みが遅れている中小企業などに資金や技術を提供して対策を実施し、削減したCO2排出量をクレジットとして自社に持ち帰ったり、クレジット化して他社に販売できる仕組みを整えようというものだ。これによって日本の資金が外国に流れるという京都メカニズム資金の一部を国内に環流させるという効果も期待されている。
 省エネや省CO2の取り組みは、エネルギーの効率利用やよりCO2負荷の少ない1次エネルギーへの転換を進めることが現実的で効果的な取り組みとなる。そういう意味ではガスコージェネレーションの普及が大いに役立つと思える。
 自家発としてのコージェネは、燃料費コストの増大などから自由化によってコスト競争力を増した系統電力との競争に敗れ、ここ数年は滞り気味であるが、原発稼働率の低下などによる電力のCO2排出削減の取り組み遅れを補完する意味でも、あらためてコージェネの普及を目指す必要がある。
 とはいえ、システムの運用面などで、専門的な知見が必要であり、国内版CDM事業としてコージェネを活用するためには、CO2削減を必要とする資金提供者と実際にコージェネを導入する中小企業などに技術を提供するESCO事業者やエネルギーサービス事業者を加えることがカギになる。そのためには、コージェネ普及を目指す事業者や設備を提供するメーカーなどが集まって、導入が円滑にできる仕組み作りを行っていくことを考えて欲しい。