2007年115日号

電力託送超過利潤は資金プール方式へ 制度改革WGで合意
 総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の制度改革WGの5回目の会合が10月25日に開かれ、主な検討課題の一つである託送料金制度の見直しをテーマに議論を行った。
 WGでは、現在の託送料金制度の問題点として、超過利潤問題と高圧と特高の料金格差問題の2点について集中した議論が行われた。
 10電力会社の内、北海道電力、東北電力、東京電力を除く7社では2年連続で超過利潤が発生しており、変更命令の発動や料金改定などの対象となる状態となっている。WGではこの問題について、「超過利潤の処分」については現在特段のルールが決められていないことから、超過利潤の一部を連系線などの投資に振り向けることが可能となるようなルールにしてはどうかという事務局側の提案に基づいて、超過利潤の一部についてプールすることを認めることで合意した。そのため、変更命令の発動基準を変更し、具体的には、超過利潤の複数年度にまたがる累積額が一定の水準を超えた場合に発動することに改め、設備投資原資としての資金留保を認める。また、2年間に7%以上の値下げを行っている場合は変更命令を発動しないという現行ルールについては廃止することでも合意した。留保を認める具体的な水準については今後議論する。
 また、託送収支の透明性と負担の公平化を確保する観点から、現在、会計分離されている送電部門収支が営業損益ベースで算出されていることを改めて、当期純利益まで含めた形で算出することとされた。
 託送料金については、特高と高圧の格差についても議論され、より一層の透明性を高める観点から情報開示の充実などを求める方向が示されている。


燃料電池と太陽光発電のW発電住宅を公開 大阪ガス
 大阪ガスは、家庭用固体高分子型燃料電池(PEFC)と太陽光発電システムを組み合わせた「W発電システム」を設置した省エネ住宅を、関西では初めて11月3日から一般に公開している。
 大ガスはすでに、家庭用ガスコージェネ「エコウィル」+太陽光発電のW発電システムの販売を進めているが、これに燃料電池を加え家庭用燃料電池の知名度向上を図る。
 省エネ性は電気は電力会社から購入し、都市ガスで給湯暖房を行う従来システムと比べて、1次エネルギー消費量で約55%、CO2排出量では約70%削減できるという。ガラストップコンロや温水床暖房「ヌック」なども装備している。
 公開は来年5月31日まで。場所は国際文化公園都市として再開発が進む茨木市彩都


都が電気事業者の排出係数を公表
 東京都は10月31日、都内に電力を供給している電気事業者10社のCO2排出係数を公表した。係数は東京電力管内の全電源の平均値。
 東京電力の排出係数は0.339kg(1kW時当たり)で、計画値を8.9%下回った。東京電力以外のPPS9社の中では、最も排出係数の低いのはファーストエスコの0.268kg。GTFグリーンパワーも0.274kgで、この2社は東京電力より排出係数がよかった。前年度より排出係数が良化したのは5社だった。
 都のエネルギー環境計画書制度に基づいて公表された。10社の排出係数は次の通り。(単位はkg/kW時)
▽東京電力0.339▽イーレックス0.378 エネット0.372 サミットエナジー0.517 GTFグリーンパワー0.274 新日鉄エンジニアリング0.653 新日本石油0.864 ダイヤモンドパワー0.421 ファーストエスコ0.268 丸紅0.324


日本自然エネ G証書で17件と契約
 企業・地方自治体など向けに「グリーン電力証書システム」を展開する日本自然エネルギー(三野治紀社長)は10月25日、新たに17社・団体(うち2社は追加契約)と、年間678万3千kW時のグリーン電力証書契約を結んだと発表した。
 新規に契約したのは、国内の全事業所にグリーン電力を使用する東京建物(180万kW時/年)や、グリーン電力証書付きのマンションを販売する伊藤忠都市開発(120万kW時/年)、データセンターでの使用電力増加分にグリーン電力を充てるTIS(132万kW時/年)など。
 これにより、同社のグリーン電力証書システム契約数は、累計137社・団体となり、合計年間契約量は、9463万9千kW時となった。CO2削減効果は約3万7千トンを見込んでいる。
 また同社では、新たなグリーン電源として風力発電設備1地点(駒井鉄工富津工場風力発電設備・容量300kW)、バイオマス発電設備2地点(バイオマスパワーしずくいし・容量250kW、南宮崎ウッドパワー発電所・同1300kW)と契約した。契約済みのグリーン電源は合計で風力発電所6地点、バイオマス発電所14地点、マイクロ水力発電所2地点、地熱発電所1地点となった。

千代田区の温暖化対策条例は見送り
 東京都千代田区が区議会に提出していた「地球温暖化対策条例案」が、10月19日の議会閉会とともに継続審議扱いとなり、今議会での採択が見送られた。
 同条例案では、2012年までに京都議定書目標達成計画の水準を実現し、20年までに区内のCO2排出量を90年比で25%削減するという数値目標を明記。そのための対策として、一定規模以上の事業者に対して、区が定める地球温暖化配慮行動指針に基づく計画書と報告書の提出や、区が創設する地球温暖化対策基金への資金拠出などを求めている。
 こうした条例案は地方自治体レベルでは初めてとされており、議会での扱いに注目が集まっていたが、議会では規制的措置の導入や資金拠出の是非を巡って異論が出されたほか、事前に議会への説明が行われなかったことなどを理由に採決を見送った。

<特集>面的エネルギーを考える
【都心環境整備と都市再生 −都市環境エネルギーシンポジウムから−】
●都市環境エネルギー協会(尾島俊雄理事長)が10月10日、東京・青山の東京ウィメンズプラザで「都心再生に寄与する新しい都市環境インフラ」をテーマにシンポジウムを開催した。都市再生とコンパクトシティーをキーワードに開かれたシンポジウムでは、省エネ型の都市再生を考える概念となる「コンパクトシティー」、「地方都市の再生」、「環境立国」についての講演や、「都心再生に都市環境エネルギー協会の果たす役割」をテーマとしたパネルディスカッションが行われ、東京駅周辺の都心再開発の考え方や電力、ガス事業者の地域冷暖房事業のほか、エネルギーの面的利用の取り組みなどについて話し合われた。シンポジウムの模様を特集した。
●パネルディスカッション出席者▽コーディネーター 尾島俊雄都市環境エネルギー協会理事長▽パネラー 腰塚武志筑波大学副学長 大西隆東京大学教授 小林光環境省大臣官房長 竹内直文国土交通省技術審議官 長島俊夫三菱地所代表取締役専務執行役員 鎌倉賢司東京電力都市エネルギーソリューション部長 皆川量一東京ガス都市エネルギーサービス部長

その他の主な記事
・川重が非常用GTの最大機種を受注
・三菱化学がリチウムイオン電池の電解液を増産へ
・新日石がコスモ石油に燃料電池をOEM供給
・風力エネルギー利用シンポ開催へ
・南信州お日さまファンドが新ファンド募集
・ループウイング型風車がベンチャー技術大賞を受賞
・IBMが廃棄ウェハーを太陽電池に再利用
・昭和シェル、第2工場の建設地決定
・川重冷熱が3重効用吸収冷温水機を発売
・ABBが世界最大洋上風力の送電システム受注
・アルバックが中国進出
・三菱化工機の水素製造装置、受注100基目
・三浦工業の子会社が合併
・新日鉄エンジ、松江市からガス化溶融炉受注
・三菱重工が舶用ディーゼル、DUに製造委託
・風力発電の事故調査、2件に決まる
・日本自然エネが新規に17社とG契約
・BEMS支援3次募集開始
・ベトナムの産廃発電モデル事業化調査を募集
・燃料電池のライフサイクル評価調査委託先を募集
・エネ合理化、戦略開発、民生部門モデル評価2次決まる
・コージェネシンポ゚2007開催へ
・07ガスの記念日式典を開催
・EITのポスト京都シンポ開催
・産総研が分散型エネでシンポ
・ガス3社の中間決算
・上期のガス販売量
・07年度上期の販売電力量
  etc.
                 
シリーズ連載
・大変化する米国の新エネビジネス(新連載)
 イーソース年次フォーラムに参加した著者が米国の新エネビジネスの大変化を読み解く新シリーズ 山藤 泰:関西大学客員教授のレポート
・建築計画・工事ニュース
     
コラム
・発電論評<エネルギーの電力化とコージェネの役割>
・プリズム<次世代自動車の中核は電気自動車>
・ちょっと一休<あわただしかった大雨の土曜日>
・青空<こんどは守屋問題なのだそうである>


エネルギーの電力化とコージェネの役割【発電論評】

 原油価格の高騰がとどまるところを知らず100ドル原油も現実味を帯びてきた。高価な石油を前提にしたエネルギーの効率利用の努力がますます必要となっている。
 エネルギーの効率利用技術の代表的なものは、コージェネレーションだ。エネルギーの高価格が当たり前の時代にはコージェネレーション技術にもっと注目が集まる必要がある。
 石油価格の高騰とともに、化石燃料の代替として電気の利用が増えている。石油系燃料を使う自家発を止め、電気を購入する需要家も増えている。
 系統電力は、この間、原子力の拡大や、火力発電の効率向上などによってCO2排出原単位の向上を図ってきた。
 しかしながら、日本の発電設備の約半分はまだ火力発電だ。火力発電の効率は、コンバインドサイクルなどによって最新型のモデルでは50%を超えるが、遠隔地に立地し、はるばると送電される。電気は運べても熱は運べないので、排熱は温排水として海洋投棄される。古くて効率の悪い火力も多く残されているので、これらの効率化のためにもコージェネの活用が有効になる。
 老朽化した火力の代替として需要地にコージェネを導入し発電する。コージェネだと都心のビルにもおける。複数のビルにコージェネを置き、地域内の自家発やコージェネをネットワーク化して熱と電気を融通しあう。そんな構想がエネルギーの面的利用として徐々に広がる気配を見せ始めている。
 建物単独から規模の大きい面的利用まで、コージェネレーションの活用技術の開発は相当に進んでいるが、実際の導入にはなかなか弾みがつかない。
 この原因として考えられるのは、コージェネの導入や面的利用が、需要側からの取り組みにとどまってしまっているからではないかということ。
 ビルの建て替え計画や、地域再開発などの計画時にコージェネの導入が構想されることはまだ少ない。燃料費が高騰しており、コスト面から見送られることが多い。比較の対象は従来型の系統電力と熱源などだが、比較すらされないで、従来型システムが採用されることが圧倒的に多い。
 エネルギー需要の中で電気の占める割合がますます増え、燃料電池車やハイブリッド車も含めて自動車までも電気で動く時代が目指されている。エネルギーの「電力化」が進展する時代では、何から電気を作るのかが問われる。
 火力の一定割合を需要地で発電するコージェネに置き換えていくという視点を電力政策の中で考えてみる必要がありはしないか。