2007年925日号

国内排出権取引実施へ モデル事業を開始
 経済産業省は、中小企業が導入する省エネルギー設備のCO2削減効果を認証する第3者認証事業制度を実施する。来年度からの導入を目標に制度設計の検討を行っているCO2の「国産クレジット」制度のモデル事業として、NEDOが実施しているエネルギー使用合理化支援事業費補助制度として実施する。
 具体的には、省エネルギー設備を導入してCO2削減を行おうとする中小企業に対して、導入する省エネルギー設備の導入費用の2分の1を補助する。導入する設備のCO2削減効果については専門機関による認証を受け、CO2排出量が確実に削減できることを担保するとともに、削減したCO2排出量をクレジットとして国内で流通させることができるようにする。認証機関となるのは日本スマートエナジー社。
 モデル事業の対象は、日本経団連が実施している自主行動計画に参加していない中小企業などで、地方自治体などは対象外。補助対象となる経費は設計費、設備費、工事費の総額2分の1以内で、今年度の予算としては5億円を当てる。10月下旬には採択事業を決め、11月からは設備の導入を開始、年度内には第3者認証を終え、来年度からは具体的な削減事業が実施できるようにする。
 CDM/JI制度を模して国内の排出権取引を設備の導入補助と併せて実施するものは、環境省が自主参加型制度として先行的にモデル事業を実施しており、経産省のモデル事業は中小企業対策として独自の新制度として実施が目指される。


白金不要の燃料電池をダイハツ工業が基礎技術を開発
 ダイハツ工業は電極触媒として高価な白金をまったく使用せず、燃料として「水加ヒドラジン」を使用することで、CO2排出量もゼロという省資源・低コストが可能な燃料電池の新たな基礎技術を開発した。
 すでに、白金を使用する水素燃料の燃料電池に匹敵する0.5W/平方cmの高出力を得ており、今後は素材メーカーなどと協力して早期に実用化を図り、燃料電池車への搭載を進める計画だ。
 従来の燃料電池は、電解質膜が強酸性のため高い耐食性が求められ、電極触媒材料に白金の使用が欠かせなかった。1台で100g以上と大量に使用するという。
 これに対して新技術は、アルカリ性電解質膜を用いることで耐食性を必要としない。このため、1gあたり約4500円という白金に代えて、同4〜7円という安価なコバルトやニッケルを電極触媒に使用できる。また、セパレーターなどの構成部品にも安価な材料が使えることで、燃料電池の製造コストを大幅に低減できる。
 一方、燃料には合成樹脂の発泡剤などに用いられる水加ヒドラジンを使用する。液体燃料のため取り扱い性が良く、CO2をまったく排出しないが、劇物に指定されており引火性も高い。
 同社は燃料タンク内で特殊なポリマーによって固体化、発電時には加水して再液体化する技術を開発。固体化することで、衝突時の燃料拡散による被害を最小限に抑えるなど安全性を確保した。


電力のCO2削減目標は未達が確実に 電事連が報告
 電気事業連合会は9月18日、京都議定書第1約束期間(08〜12年度)における電力事業の使用端CO2排出原単位(需要家が1kW時を使用したときのCO2排出量)が、平均で0.37kgになる見通しだと発表した。
 電事連では90年度比でCO2を20%削減する目標を掲げている。これは排出原単位にすると0.34kgになり、今回の見通しだと0.03kg届かないことになる。
 また、見通しでは現在、停止中の東京電力・柏崎刈羽原子力発電所が計画通り運転していることが前提になっており、このまま停止が長引けば、排出原単位はさらに目標値から大きく下回ることも懸念される。
 電事連が電力10社と電源開発、日本原子力発電の運転実績を踏まえて、初めて平均値を公表した。
 06年度の排出原単位は、前年度比0.013kg減の0.41kgとなった。原子力発電の設備利用率が69.9%と前年度から2ポイント落ち込んだものの、豊水によって水力発電の発電電力量が増加し、これに伴い、火力発電電力量が若干減少したことで、排出原単位が引き下げられた。また、06年度のCO2排出量も、前年度から800万トン減って3億6500万トンだった。
 06年度の使用電力量は8890億kW時。これに対して、08〜12年度の5カ年の平均値は9210億kW時と見通されている。使用電力量が増加する一方で、排出原単位が目標値に届かない可能性が出てきたことで今後、電力会社の排出権クレジット購入などの動きも、さらに活発化しそうだ。


省エネ政策小委 意見聴取でコージェネの復活や面的利用の拡大など提案
 総合資源エネルギー調査会・省エネルギー部会の政策小委員会が9月20日に再開され、ESCO事業や都市ガス、電力などの関係委員からの意見聴取などを行った。
 ESCO事業者や都市ガス事業、電気事業などの関係委員がそれぞれの取組の現状について意見を述べた。ESCO事業者の立場からは、省エネを効果的に進めるためにESCO事業の利用が効果的であること、特に独自に省エネ対策を進めることが資金的、ノウハウ的に困難な中小企業で省エネ対策を進める上で、省エネに対する専門知識の豊富なエスコ事業の活用が効果的であり、資金や信用力の乏しい中小企業への与信制度の拡充や、特に省エネ効果が大きいコージェネレーションシステムの活用が促進できる制度設計などを提案して注目された。
 また、都市ガス事業者の立場から、エネルギーの効率利用による省エネルギーの拡大を進めるために、複合施設によるエネルギーの面的利用の拡大、ガスコージェネレーションの利用によるエネルギーの効率利用の拡大、燃料電池などの小型高効率のエネルギー利用システムの拡大によって中小事業場や家庭などでの省エネルギーの進展などが図れることなどを提示した。
 電力事業者の取り組みとしては、高効率のヒートポンプ技術の活用によって、未利用エネルギーの活用を図り、相当効果的な省エネルギーが図れることなどの紹介と提案などが行われた。
 省エネ政策の見直しについては、来年度から京都議定書の約束期間が始まるのを受けて、さらなる省エネルギー政策の強化を図ることを目的に省エネ法の改正も視野に追加対策が検討されている。
 追加対策となる主なものは、省エネ規制対象の中小事業所への拡大と業種や業態事にトップランナー方式のような「省エネベンチマーク制度」を導入することなどが検討されている。


新日石がジャパンエナジーに燃料電池を提供
 新日本石油はこのほどジャパンエナジーにLPガス燃料の家庭用燃料電池を提供し、神奈川県小田原市の一般家庭に初めて設置されたと発表した。出力が700W、発電効率は36%、熱回収効率は42%という三洋電機製の家庭用燃料電池。
 両社は機器を共有化することで量産化によるコストダウンを加速するとともに、より多くの一般家庭に設置し、さまざまな環境下でデータ収集を行うことを目的に昨年6月、燃料電池分野での業務提携に合意していた。


その他の主な記事
千代田区が温暖化対策条例案を提出
・環境省がファンドの中小企業エネサービス事業に補助金
・日中エネルギーフォーラム開催へ
・環境省が温暖化対策技術開発4分野10件を採択
・都市環境エネシンポ10月に開催
・電気事業制度改革の主な論点
・6月末のRPS認定設備
・富士経済がオール電化住宅の普及で見通し
・四国電力が海外受注拡大へ
・東ガスの顧客が1千万件突破
・日本郵船がばいじん除去装置を開発
・三菱重工がエジプトからGTを受注
・松下電工がバイオディーゼルトラック導入
・混合原料からのバイオエタノール生産調査に着手
・三井造船がエタノールの高速連続発酵技術を開発
・荏原羽田工場が移転
・三井造船、尼崎のエコステが完成
・HOSPEX JAPAN2007
・風力発電系統連系対策助成事業公募
・JPIセミナー
・バイオマスエネ高効率転換技術で報告会
・静岡大学ESCO
・岡山県ESCO事業可能性調査
・各地のPFI状況   etc.
 
シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流N<ドイツのバイオマス発電@>
・建築計画・工事ニュー


コラム
・発電論評<防災用発電設備の有効利用を考える>
・プリズム<ディーゼルの時代はまだ終わらない>
・ちょっと一休<93歳の茂在寅男さんにビックリ>
・青空<台湾にいきたいわん>


防災用発電設備の有効利用を考える【発電論評】

 国内で導入される自家用発電設備には、大きく分けて非常用と常用の2種類の市場がある。常用は自家発やコージェネシステムとして利用されているが、最近は、燃料費の高騰で運転停止中の自家発も増えているものの、分散型電源としての自家発は、電源の多様化・分散化の観点や、排熱や未利用エネルギー、新エネルギー活用の観点からも、もう一度その有用性の再確認が求められている。
 もう一つの市場である非常用の自家発電設備は、停電時の電源確保を目的に工場や事業所などに導入される。最大の市場は消防法や建築基準法で義務づけられている防災用のもので、現在、毎年約5千件、70万kW程度の設備が新規導入される市場規模がある。そのほか、コンピューター機器などの急激な普及によって金融機関や大規模事務所などでの無停電電源装置用などでも市場も広がってきている。
 非常用電源として設置される防災用市場の悩みには、メンテナンスが十分に行われないということがあり、これは古くて新しい問題でもある。停電時にしか動かないので、いざというときに確実に起動させるためには普段のメンテナンスが重要なのだが、ビルオーナーなどのユーザー側には非常用発電設備が設置されていることも意識されず、メンテナンス予算が計上されていない例も少なくないという。設備を納入・販売したメーカーにとっても悩ましい点だ。
 防災用の自家発は、消防法によって設置が義務づけられてから、30年以上が経過しており、正確なストックデーターは明らかではないが、少なくとも10万台以上、1千万kWを超える発電設備のストックがあると思われる。
 1千万kWの電源が有効利用されないままに放置されているとすれば実に「もったいない」ことで、例えば夏のピーク用電力として使えば、電力会社のピーク負担がかなり軽減できる。今夏のような原発の長期停止という非常時にもまさに非常用電源として活用できれば、セキュリティー対策として有効に働くことも考えられる。
 しかしながら、すぐに現在設置済みの非常用自家発を目的外に使用することは制度上、運用上の問題がある。制度上の問題はさておくにしても、例えば大半の防災用ディーゼルの場合は新たにNOxなどの排ガス対策が必要になること、また、燃料タンクの増設が必要になるなどの問題がすぐ考えつくことだ。
 改善を要する点はまだまだあるものの、こうした課題が克服できれば、必要に応じて運転できる緊急時の身近な電源として新たな利用価値が見いだせ、休眠資産の有効活用になるし、防災用電源の起動信頼性の向上にも役立つことになる。膨大に眠るストック電源の有効利用の方策を考えてみることは、こちらも古くて新しい問題だ。