2007年915日号

シーエナジーが分散型の成約20万kWを達成
 中部電力の子会社でオンサイトエネルギーサービス事業を展開しているシーエナジーは、8月末で分散型電源の成約が20万kWを達成したと発表した。20万kWの内訳は、ディーゼルが約9.6万kW、ガスコージェネが約9.9万kW、新エネルギーが約0.6万kW。成約件数は86サイトで、06年度は約1.8万kW、07年度は8月末までに約5千kWの成約があった。
 シーエナジーは、01年にディーゼルモノジェネシステムを中心に事業展開する電力系のオンサイトエネルギーサービス会社としてスタートしたが、原油価格の高騰などの市場環境の変化に対応して、最近ではガスコージェネに営業の主体を移し、熱需要の多い産業用の需要家を対象に事業展開を図っている。現在は、ガスコージェネを中心に、受変電設備や冷熱源設備なども含めたエネルギー設備全般の設計・施工、維持管理までのワンストップサービスを提供し、工場やビルなどの省エネ、省CO2をトータルに提案する、総合エネルギーサービス事業を中心に、最近の原油・ガスなどの燃料費の高騰により事業環境が厳しさを増す中でも、業績を順調に伸ばしてきている。


電力取引市場でCDMクレジットも取引
 資源エネルギー庁は、卸電力取引市場でCDMクレジットの取引も行う方針を固め、9月3日に行われた電気事業分科会に提案した。
 エネルギーの環境適合が重要な政策課題となる中で、ネットワークで流通する電力については、CO2についての配慮はなされておらず、需要家は購入する電力のCO2量についての選択余地がない状態が続いている。
 こうした現状を改善する一つの方法として、「多種多様な主体が参画した上で、市場メカニズムを十分に活用してCO2排出係数の改善に資する電源調達を可能とする『CO2フリー』の電気の取引や京都メカニズムクレジットの取引を行うことについて検討すべきではないか」として提案した。
 具体的な仕組みとしては、原子力や水力、再生可能エネルギーなどのCO2フリー価値を持つ電力を直接取引できる仕組みや、CDMクレジットなどの排出権の取引が電力取引所を通じて行えるようにする。
 電力のCO2排出係数については、「全電源排出係数」が使用されているが、電源ごとの取引が可能となることで、PPSなどが求めている、CO2ゼロの原子力電力の切り出しなども可能になる条件が整えられる。
 また、火力などのCO2量の多い電源がクレジットと組み合わせることでCO2排出量の見かけ上の低減が図れることになる。
 制度の具体化については、今後、制度改革WGで数回議論して、年内に予定されている分科会でまとめる。


国内CO2に初めての価格
 国内で排出されるCO2に初めて経済的な価値がついた。環境省が初めて実施した05年度の自主参加型国内排出量取引制度の実績をまとめたもので、参加した企業間で期間中24件の排出量取引が行われ、1トン当たりの取引価格は平均で1212円、最高価格は2500円、最低は900円だった。
 05年度に開始した第1期の実施分が8月末に終了したことから、このほど環境省が実績をまとめ、公表した。参加した31社全てがCO2排出量の削減目標を達成し、全体では目標を8%上回る29%の削減ができた。

公共施設に省エネ・新エネを導入 札幌市が導入指針
 札幌市は「公共施設省エネルギー・新エネルギーの導入指針」を策定し、9月10日に施行した。市は新築・改築・改修を行う公共施設に省・新エネルギー技術の導入を推進し、導入前よりも10%以上CO2を削減することを目指す。
 省・新エネ技術の導入については同市の環境局エネルギー担当部が、局長や事業管理者、区長と協議し、事業の計画段階から効率的な導入が図れるよう配慮することにしている。
 望ましい新エネルギー技術として太陽光発電、風力発電、地熱発電、天然ガスコージェネレーション、燃料電池などをあげており、CO2削減量などの確認と補助制度の適用などについても検討しながら「新エネ技術導入予定案」としてまとめる。


リンナイがスターリングコージェネを欧州で大規模実証へ
 リンナイは9月12日、オランダのエナテック社、独・BBT社、伊・MTS社との間で、スターリングエンジン技術を家庭用給湯(暖房)機に組み込んだコージェネシステムの開発、製品化に向けた提携契約に調印したと発表した。
 BBT社とMTS社は08年から2010年まで、リンナイが生産する1kW級スターリングエンジンコージェネを、欧州全域において1千台以上設置し、市場モニター試験を行う。
 その後、試験結果を踏まえてリンナイは日本、北米、韓国、中国市場向けを、BBT社とMTS社は欧州市場向け商用機を企画、2011年から3社が各市場に合ったシステムの販売に乗り出す。
 リンナイは05年からエナテック社、米・インフィニア社と、発電能力1kW級のフリーピストン式スターリングエンジンの開発に取り組んでいる。商用機に搭載する次世代エンジンは、リンナイで2011年から量産に入る予定だ。
 エナテック社は、オランダエネルギー研究センターらが株主のスターリングエンジンのベンチャー企業。BBT社はボッシュグループの暖房・給湯機器メーカー。MTS社は暖房と温水の分野で世界25カ国に45の子会社を保有している。


NEDOが京都で新エネルギーシンポ
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は10月5日、京都市山科区の京都市東部文化会館ホールで「07年度新エネルギーシンポジウム」を開催する。
 「きょうからあしたへ。京都から世界へ。」をテーマに、NEDOが現在、実証運転を行っているマイクログリッドシステム「京都エコエネルギープロジェクト」の紹介のほか、京セラや京都府地球温暖化プロジェクトの担当者らを招き、地域社会での新エネルギー導入に向けたパネルディスカッションを予定している。
 参加費は無料。9月28日まで、新エネルギーシンポジウム事務局(TEL06―6444―2347)で参加を受け付ける。

その他の主な記事
IHIら365kWの超電導モーターを開発
・東京ガスが水冷式GHPを販売
・環境配慮でESCOWGも会合
・電力WGが裾切り基準など検討
・セーレンが天然ガス化を一部終了
・SUMCOが太陽光シリコンを増産へ
・テストー、新燃焼排ガス分析計を発売
・明電舎の本社ビルが完成
・北海道が新エネ表彰で募集
・小牧市がESCO導入
・ESCO協議会が展示会
・マレーシアのバイオ燃料製造モデル事業FS募集
・VOC削減ワークショップ開催
・07年度太陽光FT委託先決まる
・地熱開発調査で2次募集
・自然エネルギー・コムがプロ野球公式戦にグリーン電力
・次世代熱電変換技術調査はエン振協に  etc.


企画・特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略 三菱UFJ信託銀行編
 ◇ゲスト:三菱UFJ信託銀行・フロンティア戦略企画部長/野崎 知氏
 ◇聞き手:都市エネルギー協会会長/吉田武治氏
 近年「環境と金融」というテーマが注目されてきた。投融資を通じて環境保全に貢献しようという考えに基づく「社会的責任投資(SRI)」という世界的な潮流にもなっている。こうした流れをいち早く取り入れた三菱UFJ信託銀行では、信託の仕組みを使い、温室効果ガスの排出権のを小口の債権化し、必要な企業に配分するという新たなサービスをスタートさせた。金融の側面からの環境投資の新たな仕組みとして、どのように育っていくのか、環境への金融機関の取組について聞いた。

燃料電池新聞の主な記事
・大阪で燃料電池移動体に関する初めてのシンポジウム
・ソニーがぶどう糖で発電するバイオ電池を開発
・理化学研が新しいレーザー分光法を開発
・08年度の燃料電池関係予算要求状況(経済産業省)
・燃料電池フラッシュニュース
 -中国が「再生可能エネルギー中長期計画」を発表
 -中国最大の電動自動車に特化した研究開発拠点設立
 -経済産業省、省エネ規制対象をコンビニや外食産業にも拡大
 -日本製鋼所、水素貯蔵用アルミニウム水素化物の合成技術を開発
 -トヨタ自動車、家庭充電式ハイブリッド車でフランス電力公社と提携
 -京都工繊大の陣内准教授、コンピューター断層撮影手法を応用した電子顕微鏡で「エルンスト・ルスカ賞」を受賞
 -新コスモス電機、燃料電池用の小型一酸化炭素測定装置を開発
 -昭和シェルソーラー、太陽電池の新工場建設、生産能力6万kW
 -岡崎製作所、超極細熱電対を開発
 -東京農工大、セルロースを加熱することなく溶解する新しいイオン液体を開発
 -戸田工業、独HCスタルク社の電池材料事業を買収
 -日立化成、リチウムイオン電池負極である黒鉛材料の生産能力を拡大
・燃料電池インフォメーション
  etc.

シリーズ連載
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<CO2貯留技術A>
   
コラム
・発電論評<いよいよ始まる国内CO2取引>
・プリズム<ディーゼル発電の復活はあるか>
・ちょっと一休<台風9号で関空に下ろされる>
・青空<体力を強化するぞ!って?>


いよいよ始まる国内CO2取引【発電論評】

 卸電力取引所を使って、電力とCDMなどの排出権取引を行うという構想が資源エネルギー庁から示され、電気事業分科会での検討課題として追加された。
 CDMクレジット等が市場を通じて調達できれば、電力会社は販売する電力のCO2排出量を必要に応じて低く抑えることができるようになる。石炭火力などは大量のCO2を排出するが、発電に伴い排出したCO2に見合うクレジットを購入すれば、見かけ上CO2ゼロの電力の販売もできる。また、CO2排出量の調整もきることになる。もともと、発電に伴うCO2ゼロの新エネ電力や原子力、水力などはCO2クレジット付きで販売できることにもなるかもしれない。
 構想の背景には、電力会社が「自主行動計画」の目標達成のために購入するクレジット調達手段の拡大や、流通する電力にCO2価値という新たな評価基準を付加すること、国内でのCO2クレジットの発掘や流通の促進などの考えもありそうだ。
 PPSなど新規参入事業者にとっては、市場を通じてCO2クレジットやCO2ゼロ電力が調達可能となることで、自社の排出係数の改善の手段が増えることになる。PPS側は、電力会社側に原子力や水力電力の取引市場への提供を求めているが、電力会社側は「電源は運用計画に基づいて一体運用をしており、個別電源の切り出しは困難」だとして反対している。
 取引市場を所管する行政当局にとっては、CO2クレジットの取引環境を整備することで、電力事業者の不満を解消しながら、CO2の取引市場として、成長、認知されることによって、国内の排出権取引を実質的に支配リードできるという思惑も垣間見える。
 常用自家発、コージェネ、新エネ等分散型エネルギー市場への影響はどのようなものが考えられるのか。
 まず、CO2に経済的価値が付加されることで、省エネ、省CO2のエネルギーシステムとして分散型電源の追い風になるということ。新エネやコージェネなどによって発生したCO2クレジットが販売できることで経済的価値が増すことも期待できそうだ。
 デメリットは、石炭火力などの大規模電源がCO2フリー化することや大量の余剰電力を持つ、原子力の電力が流通することなどで、ネットワーク電力の競争力がますます強まるということなどが考えられる。
 しかしながら、分散型電源はネットワーク電力との競合するではなく、補完しあって安定供給や環境性の向上に貢献するという視点に立てば、CO2クレジット取引制度が整備されることは、歓迎されるべきだといえる。