2007年95日号

<企画・特集>06年度常用自家発国内導入状況−導入量は半減、ディーゼルは95%減に
 06年度の常用自家発電設備の導入状況がまとまった。日本内燃力発電設備協会が、ディーゼル発電、ガスエンジン発電、小型ガスタービン発電を対象として、国内メーカーを対象に納入実績を調査した。
 06年度常用自家発電設備の市場は長期化するディーゼル燃料の高騰問題を背景にディーゼル発電の新規導入がほぼストップ状態となり、ディーゼル発電は市場を失う状況となった。これによってガスエンジン、ガスタービンを加えた常用自家発市場は前年度比で48.0%減(設備容量ベース)とほぼ半減、厳しい市場環境にあることが数字的に裏付けられた。
 06年度の導入量は、48万4496.8kWで、導入施設数は902施設、設備台数は1205台だった。施設数は29.6%減、台数は42.7%減。
 特にディーゼル発電は設備容量ベースで94.7%減となり、前年度39万2313.9kWだった導入量が2万767kWに激減した。
 原油価格の高騰によりディーゼル発電の主要燃料であるA重油も高騰、常用ディーゼル発電は電力料金に対して価格競争力を維持できなくなったことで、新規設備の導入がストップしたのにとどまらず、運転停止や設備撤去などの事態が起こった。
 特に、常用自家発電分野で、オンサイト型の発電代行サービスという新たな事業形態を確立して市場のリード役だったエネサーブが事業撤退したことで、常用ディーゼル市場は壊滅状態となった。
 ガスエンジン発電は、比較的減少幅は少ないものの33万758.8kWが導入されたが、前年度比で19.6%の減少となった。ガスエンジンの減少は、国内での天然ガスの需要拡大が進んでいることを背景に、一部地域でのガスの供給不足問題が露呈、ガスコージェネの導入が抑えられたことなども需要減の要因として考えられる。
 ガスタービンは、前年度比3.6%増の13万2971.0kWの導入量で堅調に推移したが施設数、台数では減少となった。
 特に減少が目立っているのは旅館・ホテルやポンプ場、官公庁施設などで、工場などの減少幅も大きい。病院、店舗、福祉施設などでは比較的減少幅が少ない。
 メーカー別では、エネサーブの事業撤退によって最多メーカー(設備容量ベース)は三菱重工の17万570.0kWだった。台数、施設数ベースでは、小容量のガスコージェネが好調だったヤンマーエネルギーシステムが台数、施設数とも前年度比で増加しトップメーカーとなっている。
 ディーゼルの激減により常用自家発市場はガスコージェネ中心の市場形態となっており、今後は省CO2や省エネなどの環境エネルギーシステムとして、いかに市場開拓を進められるかが課題となってきている。


三洋電機がリチウムイオン電池を非常電源に、発電機の代替狙う
 三洋電機はリチウムイオン電池を搭載した超小型・軽量の非常用ポータブル電源を開発、08年1月から販売を開始する。幅20cm、高さ7cm、奥行き25cmという大幅な小型化と、重さも2.9kgと超軽量化を実現した。
 他の2次電池を搭載した非常用電源や発動発電機に比べ、容易に持ち運びができることから、災害時の救急医療や、救援活動における医療機器の電源として利用できる。
 また、公共施設や病院、学校などに非常用電源として常備しておけば、各種の電子・電気機器を稼働させることができる。
 オープン価格で当初、月産5千台を目標に販売活動を展開する。
 リチウムイオン電池は携帯機器用の小型以外にも、自動車搭載用や工場などでの瞬時電圧低下対策用に、大型電池の商品化を各社が急いでいるが、コスト面から量産体制に入るまでには至っていない。三洋は中型ともいえる非常用電源としての市場投入を進めることで、低コスト化を狙う。
 充電はACアダプターと車のシガーライターの2方式で、AC100Vで約1時間、DC5Vで約18時間放電できる。また高精度寿命判定機能によって電池交換時期を表示することで、非常用電源としての信頼性を確保している。
 今後は医療機器メーカーと共同で、同電池を搭載した病院向け商品の検討も行っていく


ディーゼル排ガスでスターリングエンジンを運転
 海上技術安全研究所をプロジェクトリーダーとする産官研究グループは、世界で初めて400度C程度のディーゼルエンジンの排ガスで、スターリングエンジン(外燃機関)を駆動させることに成功した。
 温度差のある熱源を使い、内部の気体を膨張・収縮させて駆動力を得るスターリングエンジンは従来、1千度C以上の熱源を必要としていた。
 内航船の主機であるディーゼルエンジンの排ガスによってスターリングエンジンを駆動し、発電することで船内電源として活用する「船舶用低温排熱回収システム」として開発した。
 排ガス温度が上がればさらに熱効率が高まるため、船舶用だけでなく、工場や発電所などの400〜600度C程度の排熱利用にも期待がかかる。
 海上技術研を中心に、松下電器産業の社内ベンチャーとして発足したeスター、環境関連の東海運が05年度から開発を進める中、3台のスターリングエンジンを製作し、約400度Cの熱源で1台あたり500Wの発電に成功した。
 発電した電気を蓄電池に蓄電すれば、ディーゼルエンジンを運転して停泊中の船内電源を確保している小型船舶での電源としても利用でき、港内の環境対策も進む。
 今回の成果は鉄道建設・運輸施設整備支援機構と共同で、9月7日に東京都三鷹市の海上技術研で報告する。

エネ特会計は1兆円超、08年度の概算要求
 08年度の資源エネルギー関係予算の概算要求がまとまった。基本的な考え方としてあげられているのは、国際的なエネルギー需要が増大、価格高騰が長期化する中で、あらためてエネルギー資源の低廉勝安定的な供給の確保と地球環境問題への対応をテーマに、地球温暖化対策の推進、革新的なエネルギー技術開発、資源エネルギー外交、次世代自動車・燃料政策、緊急時対応策の充実などを重点に、総額でエネルギー特会分として、1兆233億円億円、一般会計分として86億円を要求している。
 エネ特会分の内訳は地球温暖化対策として494億円増の3128億円を要求。CO2の地下貯留や原子力の利用高度化などの新たなテーマを加えた革新的技術開発を取り組むほか、中小企業CO2対策と石ての排出権取引制度の創設などを新たな政策課題として取り組む。
 省エネ関係では、189億円増の1468億円を要求。業務・家庭部門の省エネ対策を強化、規制と支援の両面からの抜本的な対策を強化するとして省エネ設備の導入支援や省エネ技術開発を積極的に推進する。
 新エネ関係では、182億円増の1247億円を要求。先進的な新エネルギー技術開発等の推進として58億円増の155億円を予算要求し、太陽光、風力、バイオマスなど新エネルギー分野での先進的技術開発を支援する。また、新エネルギーの一層の導入支援策として、地方自治体等が行う地域性を考慮した地産地消型の新エネ利用を集中的に支援する目的で、514億円を配分、燃料電池水素関連の技術開発導入支援として330億円を配分している。
 省エネ関係では中小企業や家庭対策の強化が図られることが新規施策の中心。新エネ関係では、特に目新しい政策展開は予定されていない。
 また、電力の安定供給対策の強化として、分散型電源が増加することを踏まえた系統安定化対策などとして385億円を要求し、ヒートポンプ給湯機などの支援も引き続き推進することにしている。

企業単位でエネ管理へ、省エネ部会がセクター別ベンチマークも検討
 総合資源エネルギー調査会の第11回省エネルギー部会(部会長・石谷久慶応義塾大学教授)が8月28日に開催され、政策小委員会の審議結果を基に今後の省エネルギー政策の方向性について中間整理を行った。
 部会では、今後の省エネ政策の基本的な方向として「規制と支援の両面からの抜本的強化」とする骨子案を承認。国内排出権取引などの中小企業の省CO2対策の促進や企業別のエネルギー管理の導入などを今後の産業・業務部門での省エネ対策の重点に据えることにした。
 また、業種・業態などのセクター別のベンチマーク制度を創設し、省エネ取組の客観的な評価が目に見える形で行えるようにする。
 現在の省エネ法は、第1種工場や第2種工場など一定規模以上の工場や事業所単位で省エネ規制を行う仕組みとなっているが、企業単位でのエネルギー管理とすることで、共通した取組を可能とするほか、コンビニなどの小規模なチェーン店などを企業単位でくくり、省エネ法の規制対象に取り込むことなどをねらっている。
 また、資金やコスト面で取組が進まない中小企業の省エネ支援として大企業が参加できる仕組みとして国内排出権取引制度などを創設し、支援者と中小企業が省エネ価値をシェアできる仕組みの創設などを検討する。
 今後は、基本方針に基づいて、政策小委に議論を戻して具体策の検討を行う。

その他の主な記事
・ノリタケがバイオエタノール製造用糖化システム発売
・NTTが大規模太陽光発電を北杜市に完成
・日本温暖化基金が初のクレジット獲得
・シャープが阪大院と共同研究で合意
・三井造船が岡山県新エネビジョン策定委に参画
・中国電力が汚泥混焼とバイオマス混焼の発電を実施
・三菱重工がケニア向け地熱発電を受注
・岩谷が東日本でLNG販売事業開始
・再生可能エネ関連イベントを来年度から統合
・NEDOが研究成果報告会
・省エネ都市で2つの支援制度
・グリーンフォーラムとバイオマスタウンサロンを開催へ
・省エネセンターが事例発表会
・LPG振興センターが研究成果発表会
・NEDO新エネベンチャー決まる
・省エネ連携推進(建築物)調査も決まる
・洋上風力発電フォーラム開催
・浜田市ESCOで可能性調査
・沖縄県2件にESCO
・浦安体育館ESCO
・鳥取大学ESCO
・埼玉県立循環器ESCO、東電グループへ
・横浜木原学研ESCO
・横浜市3件一括ESCO
・環境配慮契約電力WGが初会合
・環境省の概算要求まとまる
  etc.
                 
シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流L<ドイツの太陽光発電その2>
・建築計画・工事ニュース
     
コラム
・発電論評<オンサイト電源復活へ、新たな対策を>
・プリズム<混戦状態に突入しつつあるLNG市場>
・ちょっと一休<東西若手落語家の競演を聞く>
・青空<第2次安倍内閣と民意>


オンサイト電源復活へ、新たな対策を【発電論評】

 06年度の常用自家発の国内導入の調査データが明らかになり、改めて常用自家発市場の激減ぶりが数字的に明らかにされた。
 新規導入された常用ディーゼル発電は約95%減で、ほとんどの市場を失った。それどころか、設置済みの自家発が撤去される例も相次いでいる。また撤去されないまでも、燃料費の高騰で、運転を停止し、必要な電力は電力会社から購入する、いわゆる「戻り需要」が増加しているともいわれる。
 また、常用自家発のもう一つの中心的な市場であるガスコージェネも減少している。こちらの原因は燃料である天然ガスの供給力不足が主な原因だと考えられている。
 ディーゼルにしろガスにしろ、市場減退の原因はどちらも燃料問題だというところに常用自家発市場の最近の傾向が集約されている。
 常用自家発、特にディーゼル発電は、オンサイト型のエネルギーサービスとして急速に市場を拡大した。電気事業法の規制下では電力販売ができないことから、オンサイト型のエネルギーサービスは自家発の運転代行サービスという形で始まり、安価な石油を燃料にして「電気代が安くなる」ということをキャッチコピーとして、産業用や業務用電力ユーザーを対象に急激に市場を拡大した。電力の需要規模にもよるが、大規模ショッピングセンターや工場などでは年間数千万円から数億円規模で電力コストが削減できる例も多く見られた。
 オンサイト電源市場の拡大と併行する形で、電力制度改革が進行。電力小売市場が段階的に自由化され、産業用や業務用需要家を対象に、オンサイト電源に対抗する形での電力料金の数次にわたる引き下げが行われた。系統電力とオンサイト電源の料金競争が激化する過程で、石油価格が高騰、これが数年間続くという事態の中で、ディーゼル発電を使用するオンサイト型エネルギーサービスは急速にコスト競争力を失った。昨年、最大手のエネサーブの撤退によって、国内の石油型のオンサイト発電壊滅状態となった。
 今回の常用自家発の導入調査データは、こうした市場推移をあらためて明らかにしたことになるが、一方では、自動車用のクリーンディーゼルなどディーゼルの見直しも始まっている。市場環境が最悪といえる現在から、ガスにしてもディーゼルにしても、「環境」をキーワードにして新たな用途が切り開かれなければならない。
 オンサイト型の電源は、高効率であること、再生可能エネルギーとの親和性が高いこと、多様な燃料に対応できることなどの数々の優位性を持つ。市場環境が最悪な現状は、システム開発や用途開発などの新たな市場創出に向けての準備期間だと考えたい。