2007年825日号

CO2削減目標は未達の見通し 追加対策が不可避に 合同会合が中間報告
 中央環境審議会地球環境部会と産業構造審議会地球環境小委員会の合同会合が開かれ、京都議定書目標達成計画の見直しについて中間報告をまとめた。
 中間報告では、来年から始まる約束期間の中間年に当たる2010年度の温室効果ガスの排出量が、現行の削減対策が最大限、着実に進展した場合でも1.5%の未達で、対策が目標通りに進展しなかった場合には2.7%の不足が生じる見通しが明らかになり、今後、具体的な追加対策を盛り込んだ最終報告を年内にもまとめることになった。
 2010年度のCO2の排出見通しは、80%以上を占めるエネルギー起源の排出量が90年比で4.6%〜5.9%増となり、総排出量は12億7300万トン〜12億8700万トンとなると予測。削減目標からは2千万トン〜3400万トンが超過し、未達成となる。
 この見通しの数値には、予想される原発稼働率の低下分は盛り込まれておらず、原発稼働率を87〜88%に向上させるという現行対策が不十分な場合にはさらにCO2排出量が増加することになる。電力業界では、自主行動計画に掲げる原発稼働率の向上が見込めない場合は、CDMクレジットの買い増しなどで目標達成を図る考え。


国交省が「これからの重点政策」を公表
 国土交通省は、08年度の予算編成などを視野に入れ、現在直面している課題や中長期的に解決すべき問題を盛り込んだ「これからの重点政策」(次世代に引く継ぐ国土づくり・くらしづくり)を公表した。
 同省は、現状を「歴史的な転換期」と捉え、重点政策を活力ある地域づくり、安心・安全で豊かな社会づくりなど5つの柱で構成している。この中の「地球環境時代に対応したくらしづくり」として@住宅・建築物の省エネルギー性能の向上A省CO2型の都市構造の構築など地球環境温暖化対策の強化B200年住宅の実現―などを挙げている。


八都県視首脳会議がCO2削減策と再生可能エネ拡大を要望
 「八都県市首脳会議(座長・堂本暁子千葉県知事)」はこのほど、環境省や経済産業省など7省庁に対し、地球温暖化防止対策の推進を目的にした要望書を提出した。要望書は「実効性ある温室効果ガス削減対策の推進」と「再生可能エネルギーなどの普及拡大」の2点。
 この内、再生可能エネの普及拡大では@導入拡大を急速に進めるため、RPS法において長期導入目標を設置するとともに、2014年までの目標を大幅に引き上げるAすべての電気事業者についてCO2排出係数や再生可能エネルギー導入状況などを公表するB風力発電施設や太陽光発電などの導入に対する補助制度を拡充するCバイオ燃料など新エネルギーの技術開発や導入に対する拡充を図るDエネルギー効率の向上やコスト低減に向けた技術開発を促進するほか新技術の実用化に向けた研究開発を進める―を挙げた。


環境配慮契約法基本方針検討会が始動
 国の機関が電力などを購入契約する場合にCO2などの環境負荷の低減を契約条件に盛り込むことを義務づけた「環境配慮契約法」が成立したが、環境省では「環境配慮契約法基本方針検討会」を設置して、具体的な「配慮基準」の策定に乗り出した。 
 政府は、中央省庁など国の機関のCO2排出量を01年度比で8%削減することを目標としており、使用する電力や自動車などのエネルギー消費機器などを、各省庁が契約を行う場合に基本方針に基づいた統一的な基準で契約を行うことを求める。
 具体的な基準は、@購入する電力のCO2排出量A自動車などの使用時に関するCO2排出量BESCO事業による設備等の改修C庁舎や設備設計等に関するプロポーザル・企画提案での環境性能評価の4点について、統一的な考え方をまとめる。
 検討に当たっては、項目ごとに電気、自動車、ESCO、建築の4つのWGを設置して具体的な基準作りを行う。


ファーストエスコが筒見前社長に一部事業譲渡
 ESCO事業を展開しているファーストエスコ(Fエスコ)は8月15日に開催した取締役会で、省エネ支援サービス事業の一部を、筒見憲三・前社長が今秋に設立する新会社に譲渡することを決めた。
 譲渡する事業は省エネ支援サービス事業の一つであるエネルギーマネジメント事業。エネルギー使用に関するモニタリングやレポーティングなどを事業内容としており、今春から事業化に向けて検討を進めていたが、従来型の省エネサービスとは事業の性質が異なることから、別会社化を図ることで早期の収益事業化を図ることにした。
 筒見氏は今年5月に社長を辞任しており、9月の定時株主総会で取締役も任期満了となる。その後は、特別顧問として残るもののFエスコの枠組みを離れ、エネルギーマネジメント事業を目的とした新会社を設立し、新規事業モデルの立ち上げに注力する。


世界最小の超小型ガスタービンを開発
 東北大大学院工学研究科の田中秀治准教授の研究グループは、IHIらと共同で、世界最小のガスタービンを開発した。
 開発したガスタービンは円柱形で、直径約10cm、長さ約15cmと片手で簡単に持てる大きさ。発電機を取り付ければ、数百ワットから1kW程度の出力が見込めることから、災害時やパーソナル移動機械の電源として活用が期待される。今後は、IHIが4〜5年後をメドに実用化を図っていく。
 これまでの世界最小ガスタービンは元々、日産自動車が開発し、現在はIHIエアロスペースが販売している「ダイナジェット」(出力2.6kW、縦約80cm、横約40cm、高さ約45cm)だった。ダイナジェットと比べても5分の1以下の大きさだ。
 田中准教授らは燃焼器や、翼車径16mmの圧縮機と翼車径17mmのタービンを付けた回転子(ローター)の小型化で、世界最小を実現した。
 また小型化した場合、回転数を高めなければ大きなエネルギーが得られないが、毎分50万〜60万回転という、従来の5〜6倍の超高速回転を可能にするローターや空気軸受けを開発し、超高速回転を実現した。直径10mmの翼車を毎分約90万回転で回転させることにも成功しており、さらなる小型化も可能という。
 今回開発したガスタービンでは、発電機を取り付けるスペースを内部に確保しており、今後はIHIが、別途開発中の発電機を搭載した超小型ガスタービンの実用化を目指す。


10月10日から幕張メッセで世界新エネルギー展
 再生可能エネルギー協議会(代表・黒川浩助東京農工大学大学院教授)は10月10日〜12日の3日間、千葉県の幕張メッセで「第2回新エネルギー世界展示会」を開催する。新エネルギーの普及促進・技術開発の進展・産業振興などを目的に、展示会や講演会が行われる。
 展示会では「地球環境保全に貢献するエネルギーが新たな社会・新たな産業を広げる」をテーマに、約150の団体・企業が新エネ関連の最新機器を展示するほか、技術・サービスのプレゼンテーションを行う。
 また講演会では、NEDOや新エネルギー財団らが取り組んでいる新エネ導入支援策について紹介する「カンファレンス」なども予定されている。
 昨年10月に開催された第1回展示会をさらに拡大させる目的で、展示会の組織委員会らが今年6月、再生可能エネルギー協議会を設立した。来場者は前回の2万3千人を上回る2万5千人を見込むとしている。


その他の主な記事
新エネ部会が開催
・革新的技術開発
・GMが電気自動車用リチウムイオン電池を共同開発
・Fエスコが電気工事会社と業務提携
・千代田区が新エネ導入義務を条例化へ
・国交省が営繕意見書
・清瀬再生センターガス化炉事業
・07年度新エネ大賞募集
・JHIFが第7回会議
・洋上風力と風力発電の調査を開始
・9月のJPIセミナー
・07年度第2回中小水力研修会
・地域バイオマス熱利用、7件決まる
・昭和シェルが太陽電池を増産
・系統連系円滑化蓄電技術、募集始まる
・100%バイオディーゼル燃料の影響調査募集
・ISEP環境セミナー開催
・北海道ガスが料金引き下げ
・三菱商事が木質ペレット製造販売事業に進出
・三井造船がJA全農からバイオ製造設備を受注
・経産省の電力入札エネットに決まる   etc.

企画・特集
・東京ガスのマイホーム発電戦略そのB
 都市ガスを使って自宅で発電し、発電時に出る熱を給湯や暖房に利用する「マイホーム発電」。これまでは産業用や業務用で使われていたコージェネレーションの技術を、家庭でも使えるようにした。このため、家庭でのエネルギー消費量が削減できるほか、CO2排出量の削減にも貢献する。ガス業界挙げて進めるマイホーム発電事業。「東京ガスのマイホーム発電戦略」の第3回目は、集合住宅などで戦略的に進めるマンションコージェネ。

シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流K<ドイツの太陽光発電その1>
・建築計画・工事ニュー


コラム
・発電論評<ピーク電力不足と分散型電源の役割>
・プリズム<電力供給不安と分散型電源の存在感>
・ちょっと一休<ピンチヒッターがホームラン>
・青空<原発の免震化を思う>


ピーク電力不足と分散型電源の役割【発電論評】

 たった一カ所の大型の原子力発電所が、地震という自然災害にって停止を余儀なくされ、首都圏の夏期ピーク電力の供給不足問題を招来、社会生活や企業の生産活動に不安を与えた。お盆休み明けの22日には、東京の気温も37度Cを記録、恐れられていた工場などへのピークカットが現実に行われる事態となった。また、節電の呼びかけに対して、空調機器の使用控えやスカレーターの一部停止、照明の一部使用中止などを行った事業所も多く見られた。
 そもそも、電力会社は地域独占で供給義務を負うという電力政策の下で育成、整備されてきた。電力販売の段階的な自由化が進み、ピークカット契約を結んでいるとしても、必要な電力を必要なだけ供給できなかったという意味で、電力確保の責任を担う電力会社と電力政策当局には、大いなる反省と対策の再構築が求められる。
 そもそも、今回の電力供給不安は、大規模原発の運転停止問題を直接的な原因としているが、その背景には、脆弱な電力ネットワークに対する電力融通体制の根本的な整備や緊急・災害時を想定した自家発等の電源確保策など、これまで指摘されながら真剣に対策を講じてこなかった電力政策の根本的な不備が指摘できる。
 この夏の電力ピークは過去最大を記録した訳ではなかった。電力の総需要量がそれほど大きな伸びを示さない中で、この程度の発電所の事故を想定したピーク対策がおろそかにされていたのだとすると、大いに問題を残したといえるのではないか。
 ピーク電力の不足の背景には、長期化する石油価格の高騰によって、工場や事業所などで相次いでいる自家発の停止や撤去問題による「戻り需要」の増大も大きな要因を占めていると思われる。これについては、本欄でも過去に、オンサイト型の自家発電力の削減がピーク電力の不足を招きかねないという懸念を指摘していた。
 しかしながら、最近の電力・エネルギー政策では、省CO2対策として重点が置かれているのはCO2回収による石炭火力の拡大と原子力の依存度の拡大などで、これまで以上に大規模集中化が目指されている。
 大規模電源の効用を決して否定する訳ではないが、今回のピーク電源不足問題を一つの契機として大規模電源の事故や故障を想定した電源確保策を講ずる必要があろう。
 ユーザーが自己責任で整備してきた自家発などを、ESCO事業者や電力、ガスなどのエネルギー事業者が保有し、必要に応じて電力ネットワークに電力供給するということも、その気になればすぐにでも実現できる有効な対策になる。
 もう一度、電力供給の信頼度向上の観点から分散型電源の役割を、改めて見つめ直して見る、いい機会ではないか。