2007年85日号 夏期特集号

分散型エネルギー市況は停滞、より省CO2指向へ − 本紙がアンケート調査
 分散型発電新聞は、昨年度に引き続き、恒例となった分散型エネルギーの市況についての事業者アンケート調査を実施しその調査結果をまとめた。今年の調査結果では、原油価格の高騰が長引く中で発電用燃料の高騰や天然ガスの供給不足問題などが顕在化し、主に燃料問題から分散型発電市場の市場環境が悪化、オンサイト型のエネルギーサービスの事業撤退などが起きていること、コスト競争力を失っている分散型システム業界は、環境エネルギーシステムとしての性格を強めることで、省エネや省CO2という新たな市場形成を目指す傾向を強めていることなどがはっきりとした傾向として現れてきている。 
 特に、問題点として浮かび上がってきているのは、燃料費の問題。原油価格が長期的に高止まりする中で、発電用燃料の高騰も続いており、常用の自家発やESCO・エネルギーサービス事業用などの発電設備の需要は減少している。特にディーゼル市場は深刻だが、最近では、主に環境対策から導入が活発だったガスコージェネについても天然ガスの不足問題が露呈し、コージェネの導入に待ったがかかるという状況も出現しているといわれている。こうしたことを背景に、アンケートの回答でも市場停滞の要因として燃料費の問題を挙げるものが80%近くに達している。
 また、今後の市場形成の方向としては、省CO2や省エネを取り上げるものが70%近くに達しており、省CO2対策の積極的な実施に期待するものも80%程度を占める一方では、電力自由化への関心が弱まりつつあると見られ、電力とのコスト競争の時代は終わり、電力や他のエネルギーシステムのと共存を図りながら、省エネや省CO2効果の高い環境エネルギーシステムとして市場形成を行っていきたいという方向がより明確に示された調査結果となっている。


関電ギャスコが合併、関電エネルギーソリューションに
 関西電力はグループ会社の関電ガス・アンド・コージェネレーション(関電ギャスコ)と、関電ファシリティマネジメント(KFM)を合併し、8月1日から「関電エネルギーソリューション」として新たな事業展開を開始した。
 関電ギャスコは関電のガス販売を代行するとともに、オンサイト発電サービス、ESCO事業などを、KFMは電気や空調設備のメンテナンス・オペレーションなどを手がけてきた。合併によって、今後は両社のサービスをワンストップで提供していく。
 新会社は本社を大阪市北区に置き、資本金は4億円(関電100%出資)。社長には関電の神野榮・取締役副社長が就任し、従業員数220人の体制でスタートした


シャープが堺で太陽電池量産へ
 シャープは7月31日、いずれも世界最大級となる液晶パネル工場と太陽電池の量産工場を、大阪府堺市に建設すると発表した。
 液晶パネル工場は11月に着工し、2010年3月までに稼働させる計画。約3800億円かけて、新日本製鉄の堺製鉄所に隣接する遊休地127万平方mに建設する。敷地面積は、現行の液晶パネル生産拠点である亀山工場(三重県)の4倍になる見通し。40〜60型パネルを効率よく生産できる「第10世代」(2.85×3.05m)のガラス基板を世界で初めて採用。月産3万6千枚でスタートし、数年内に同7万2千枚に倍増させる。
 また、太陽電池の量産工場は投資額など詳細について現在、検討中としているものの1千億円程度が投じられる見通しで、「結晶型」に比べて、シリコン使用量が100分の1程度で済む最新の「薄膜型」を、2010年3月から年間100万kW規模で生産する計画。「21世紀型コンビナート」として、同じ敷地内にインフラ関連施設や部材・装置メーカーの工場を誘致し、関連企業の集積化によってコスト競争力を強化する。大日本印刷と凸版印刷がパネルの基幹部品であるカラーフィルターの新工場を建設するほか、米ガラス基板大手のコーニングも生産拠点を設ける予定だ。

PPSも自主行動計画を策定 排出原単位を3%削減
 CO2削減の自主行動計画への参加を求められていたPPS各社は、業界の自主行動計画として来年度から12年度までの5年間の平均でCO2排出原単位を3%削減することを決めた。自主行動計画へ参加するのは、ダイヤモンドパワー、丸紅、イーレックス、新日鉄エンジニアリング、エネット、サミットエナジー、新日本石油、GTFグリーンパワー、エネサーブ、ファーストエスコの10社。
 PPS事業が実質的に開始となった01年度の排CO2排出原単位を基準として、使用端の原単位を5年間の平均で3%削減する。環境負荷のより少ない電源設備の導入やエネルギー利用効率の向上、新エネルギーの利用拡大などで対応する。
 国の京都議定書目標達成計画の見直し作業の中で、追加対策として、自主行動計画に参加していない業種や業界に対して自主行動計画を策定し、業界としてCO2削減に取り組むよう、各省庁がそれぞれ管轄する業界への働きかけを強めており、これまで未策定の病院や学校、遊技業界などでも自主行動計画の策定が進められている。

電力の小売り全面自由化は正式に見送り
 総合エネ調の電気事業分科会が7月30日、第27回の会合を開き、家庭用までも含めた電力の小売り自由化拡大について、正式に見送ることを決めた。見送りの理由として、現在の高圧需要家までを対象とした小売り自由化市場でPPSのシェアが2%程度にとどまるなど、全面自由化しても適正な事業者間の競争が実現できそうもなく需要家の選択肢の拡大につながらないこと、自由化するに当たっては計量器の付け替えなどの「自由化コスト」が見込まれるが、それに見合ったコストメリットが見いだせないなど、需要家保護の観点から問題があることなどがあげられた。特にコスト面から自由化拡大の是非についての検討を行ったWGの結論を分科会で承認した。再検討の次期については明示されていない。
 今後の分科会での議論は、現行自由化市場での競争環境の整備について検討が行われる。主な論点としては、卸電力取引所での取引の活発化や託送料金、同時同量制度などがあげられている。

北海道電力が託送収支を公表
 北海道電力は7月31日、同社の06年度収支の内、電力の託送などを行う送配電部門の収支となる「06年度送配電部門収支の算定結果」を公表した。それによると営業収益は1998億円、営業費用は1800億円、営業利益は197億円となった。
 また超過利潤の算定結果については営業利益197億円に対して、事業報酬額179億円、法人税など55億円となり38億円の欠損となった。06年度は災害復旧工事のほか、供給信頼度維持に向けた修繕工事を重点的に行ったことで費用がかさんだ。
 同社では07年度は災害復旧工事費が減少することに加え、年金資産の運用好転などから退職給付費用も減少することで、欠損は解消する見込みとしている。
 託送収支については、電力10社の合計で05年度は約2千億円の超過利潤が発生していることが明らかになっている。このため、電気事業法などで定めた収支算定結果の公表と合わせ、託送料金水準の適切性を判断するため、電気事業分科会報告によって超過利潤(欠損)の算定結果を公表することが求められている。

その他の主な記事
・青森県でバイオ燃料協議会が設立
・総合エネ調が総会、今後の電力政策の課題など示す
・目立つ計画見直しで合同会合が中間報告案
・富士電機が中国での営業体制を強化
・川重がインドネシア企業からGT受注
・JOGMECが海洋資源分野で包括的連携
・北越工業が13KVAの可搬型発電機を発売
・JSRと日本ミクロがリチウムイオンキャパシタで新会社
・東芝がESCO2件受注
・GT定期講演会、岐阜県で
・エネ工研シンポ、バイオマスで
・バイオマス利活用講座、10月から開催
・ラオスで太陽光発電国際実証事業
・エネ使用戦略、中小水力、地域新エネ2次募集
・トヨタがサステイナブルプラント活動開始
・三菱重工がインドネシアの発電設備を受注
・デンソーとボッシュがDPFで合弁設立
  etc.
               
企画・特集
・分散型エネルギー市況アンケート調査結果報告
 本紙が毎年この時期に行っている、分散型エネルギー関連事業者に市況感について聞くアンケート調査の結果を集計。原油価格の高騰や天然ガスの供給不安などの燃料問題を背景に、新エネと分散型システムとのコラボによる環境エネルギーシステムとしての市場形成を目指している業界の様子が明らかになっている。
・国に先行する東京都の気候変動対策 
 東京都は、今年6月に「気候変動対策方針」を策定、大企業へのCO2排出削減を義務づけ、中小企業へも対策を波及させるために「国内排出量取引制度」の導入やグリーン電力証書の普及拡大などを目指すことを明らかにした。国の「目標達成計画」の進捗が遅れ、新たな追加対策が打ち出せないでいる中で、国に先駆けて、自治体によるCO2削減の新たな対策として注目されている。新制度で東京都が目指す、自治体でのCO2削減対策の狙いと方向について、担当者に聞いた。
・東京ガスのマイホーム発電戦略そのA
 都市ガスを使って自宅で発電し、発電時に出る熱を給湯や暖房に利用する「マイホーム発電」。これまでは産業用や業務用で使われていたコージェネレーションの技術を、家庭でも使えるようにした。このため、家庭でのエネルギー消費量が削減できるほか、CO2排出量の削減にも貢献する。ガス業界挙げて進めるマイホーム発電事業。「東京ガスのマイホーム発電戦略」の第2回目は、戸建て住宅分野での展開について。

シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流J<再び原子力拡大路線の危険性を指摘する>
・建築計画・工事ニュース
     
コラム
・発電論評<分散型発電が目指すもの>
・プリズム<原子力立国政策と風評被害リスク>
・ちょっと一休<名門川奈での久しぶりのプレー>
・青空<07参院選を終えて>


分散型発電が目指すもの【発電論評】

 原油価格の高止まりがメルクマールとなり、エネルギー環境が激変している。エネルギーセキュリティー問題はエネルギーの化石燃料を奪い合う安全保障問題へと様相を帯びてきており、原子力発電の再評価から燃料のウラン価格の高騰にもつながっている。最早、20世紀型の「安価なエネルギーを豊富に使う」という時代は過ぎ去った感がある。
 さらに、新たな問題として気候変動問題に端を発するエネルギー分野の環境対策、地球温暖化防止対策という課題が出現し、エネルギー源の確保と経済性、環境性の確保という複数の課題を同時に解決することが求められてきている。
 そうしたエネルギー利用の根本的な解決には革新的なエネルギーの利用供給技術の開発が必要となるが、エネルギーの利用効率の追求によってかなりの問題の解決に結びつくというのがこの間のエネルギー関係者の間では常識化しつつある。つまり「いかに限られたエネルギーを無駄なく利用し尽くすか」ということで、その革新技術の中核に古くて新しいコージェネレーション技術がある。
 熱は熱、電気は電気というのは古い考え方。そういう意味では、電気だけを流通させる電力ネットワークは化石時代の産物だといえる。いつまでもそれにしがみついていては革新的なエネルギー利用技術は育たない。IT技術が情報の「流通」のあり方を革新的に変革し、情報にとどまらず社会構造全体の根本的な改革を促したように、また、物流の世界が鉄道から航空機や高速道路に主体が移り変わっていったように、現状の電力ネットワークが鉄道だとするとそれに変わるあるいは補完する、あるいは競合できるエネルギー流通のネットワークの構築が考えねばならない時代になってきている。
我々が普及を目指す分散型のエネルギーシステムは、1次エネルギーのポテンシャルを最大限に引き出す高効率のコージェネレーションシステムやで新エネルギー利用システムであり、こうした分散型エネルギーシステムによって未利用エネルギーの複合的な利用や化石燃料の効率利用を可能とするものである。
 かつて、自家発電などの分散型システムは発生した熱や電気は自家消費することしか技術的にも制度的にも困難で、そのため、個々の内部でのエネルギーバランスをとることが難しく、効率性の追求や経済性の追求に、システムが潜在的に持つポテンシャルを最大限に利用し尽くせないというジレンマがあった。しかしながら、IT技術の利用によってそのジレンマの多くが解決されようとしているということである。
 エネルギーの高価格時代の中で、高効率利用技術として分散型システムがさらに注目される必要がある。