2007年725日号

川崎重工が高性能高効率の大型ガスエンジンを公開、年内にも初号機を出荷
 川崎重工業は世界最高となる発電効率48.5%を実現した大型ガスエンジン発電設備を完成、7月19日、同社神戸工場で実証機を公開した。
 公開したのはシリーズ最大機種となる7800kW機で、発電効率のほか、NOX排出値についても、希薄燃焼方式によって160ppm(02=0%)と世界最高レベルの環境性能を達成した。
 現在、国内では天然ガスの需給がタイト化しているものの、09年頃には好転するとされている。同社は09年以降の市場獲得に向け、年内にも「東日本でPR用のデモンストレーション設備を設置し」(浅野雄一ガスタービン・機械カンパニー バイスプレジデント)ガス会社や特定規模電気事業者(PPS)などに売り込んでいく。
 開発したガスエンジンは、分散型発電市場で先行するフィンランド・バルチラ社の大型ガスエンジンと同様、着火用の液体燃料を必要としない電気着火方式を採用しており、これによって、工場などのオールガス化戦略を進めるガス会社などに対して、訴求力を高めた点が特徴だ。
 また副室式電気着火方式と併せ、シリンダーごとに点火時期やガス量を個別制御することで耐ノッキング性を高めたほか、燃焼室と副室にはそれぞれ独立した電磁弁でガス供給を行い、噴射タイミングや噴射量の最適化することで、クラス世界最高となる発電効率とNOX排出値を実現した。
 高効率化と低NOX化によって、燃料ガスと脱硝用アンモニアの使用量が削減でき、同クラスのバルチラ「34SG」や三菱重工の「マッハ30G」と比べて「年間6千時間運転した場合、2千万円程度のコスト削減につながる」(桜井秀明機械ビジネスセンター発電・4サイクル課長)という。
 市場投入するのは、18シリンダーの7800kW機を始め16シリンダーの6930kW機、14シリンダーの6070kW機、12シリンダーの5200kW機の4機種。
 環境性能を広くアピールするため、ガスタービン同様「グリーンガスエンジン」と呼称し「早急に海外も含めて年間20台程度、年商100億円規模の事業に育てていく」(浅野バイスプレジデント)計画だ。


06年度ガスコージェネ導入量は41万kW、累計では400万kWに
 日本ガス協会は、06年度の都市ガスコージェネの導入状況を公表した。
 それによると、産業用、業務用、家庭用を併せた06年度末の累計設置容量は400万3千kWとなり、05年度に比べて41万kWの増加(11.4%増)となった。また、累計設置件数は4万3263件で、05年度比で1万6827件の増加(68.7%増)となった。主力の産業用が好調だったほか、業務用、家庭用も堅調に伸びた。
 05年度は、容量にして46万6千kW増加しており今回、06年度1年間で41万kW増加したことから「京都議定書目標達成計画」において、2010年の普及目標とされている累計498万kWの実現に大きく近づいた。全国214の都市ガス事業者による、今年3月末時点の設置状況を調査した。
 用途別にみると、業務用は682件・7万1千kW増加(7.1%増)し、累計容量で4172件・90万8千kWとなった。また産業用は113件・32万1千kW増加(11.7%増)し、896件・305万6千kW。家庭用は1万6827件・1万7千kW増(1.7%増)の3万8195件・3万8千kWという結果。産業用はここ数年続いた5千kW超の大型ガスエンジンの導入が、06年度も比較的堅調だったこともあり、05年度の40万6千kWには及ばないものの32万1千kWの増加となった。
 一方、家庭用は容量では1.7%増だったものの、設置件数では78.7%と大幅に増加。全国的にエコウィルの導入が好調だったほか、大規模実証事業による家庭用の固体高分子型燃料電池の導入も順調に進んだ。調査にはスチームタービン設備は含まれていない。


ホンダが「エコウィル」ユニットが5万台を突破と発表
 ホンダは、家庭用コージェネレーションユニットが国内販売5万台を達成したと発表した。ガスエンジンで発電、ガス会社などが「エコウィル」の商品名で販売している、エンジン排熱を利用して給湯するコージェネシステムのコアユニットで、163ccのガスエンジンを搭載し、発電出力は1kW、熱出力は2.8kWで、発電効率は22.5%、電気と熱利用を合わせた総合エネルギー効率は85.5%という高効率のシステムで、このほど国内販売台数が03年の販売以来5万台を超えた。ホンダの試算では、エコウィル5万台分の年間CO2削減効果は約4万2千トンに達する。
 家庭用コージェネシステムの需要は着実に増加しており、10年度末の業界の累計普及台数は23万5千台を目標としている。


NEDOが日本型風力ガイドラインで中間報告
 NEDOは、日本型風力のガイドラインを作成しているが、このほど中間報告をまとめ公表した。
 日本型風力のガイドラインは、EUからの輸入風車が大半である大型の風力発電機種が、台風や複雑な地形、雷災害などが多い日本の気候風土を考慮していないことから、輸入後の仕様変更や、設置後の雷災害などが多いことなどで、日本の気候風土にあった風力発電の設置基準を作ることの必要性が指摘されていたことに対応して、05年からガイドラインの策定を3年計画で行っているもので、これまでの検討結果を中間報告として公表したもの。正式なガイドラインは今年度末に取りまとめられる予定。
 中間報告は、IEA基準に基づくEU基準に加えて、日本型として台風などの強風や複雑な地形の影響による強風対策や風向変化に対応するため、風速マップやデータベースを提供して、建設地での風況調査と合わせて風車の選定や建設が行えるようにする。中間報告でも風速マップとデータベースを暫定値としてまとめている。また、雷対策としても、模型を使った実験やシミュレーションを行い対策をまとめた。


グリーン電力証書、新たに758万kW
 「グリーン電力証書システム」を手がける日本自然エネルギーは7月19日、新たに21社・団体と、年間758万2千kW時のグリーン電力証書契約を締結したと発表した。
 契約したのは東京放送(TBS)の200万kW時(世界陸上大阪大会のテレビ放送をグリーン電力で実施)のほか、楽天証券の100万kW時(インターネット証券サービスにかかる電力の一部に利用)、ヤマハの50万kW時(ヤマハリゾートつま恋の音楽イベントをグリーン電力で開催)など。
 今回の契約によって、グリーン電力証書システム契約数は、計122社・団体となり、合計の契約量は、一般家庭約2万4千軒分の電力使用量に相当する8785万6千kW時/年となった。また、CO2削減効果は約3万4千トンを見込んでおり、これは50年生の杉の木約244万本(森林面積約2700ヘクタール)が、1年間に吸収する量に匹敵するという。
 今回契約した主な企業は次の通り。▼東京放送(TBS)・200万kW時(自然エネルギー)▼ナビタイムジャパン・160万kW時(バイオマス・風力)▼千代田区・100万kW時(バイオマス)▼TBSビジョン・100万kW時(自然エネルギー)▼楽天証券・100万kW時(バイオマス)▼ヤマハ(つま恋)・50万kW時(風力)▼リーテム・14万kW時(バイオマス)▼ディバータ・10万kW時(自然エネルギー)▼ダットジャパン・4万kW時(バイオマス)▼横河ディジタルコンピュータ・3万2千kW時


その他の主な記事
中小企業CO2検討会で論点提示
・省エネ部会に政策小委
・省エネ住宅でエコウィルや太陽光を実証
・150億円規模で環境エネ投資ファンド
・住友商事が米国で風車用タワー製造会社を設立
・エネサーブの社長が交代
・東京電力が台湾のIPPに参画
・三井物産がエタノール製造受注
・東北大学が簡単な手法でセルロースから水素製造に成功
・日本自然エネ、グリーン電力で新たに21社と契約
・蓄熱月間で多彩な行事
・笠取風力発電所今秋着工へ
・デンセイラムダが九州のR&Dセンター開設
・環境対応型ボイラー指定機器募集
・富士経済が燃料電池の市場予測
・再生可能エネルギーの需給状況を試算
・国際共同研究、バイオマスなど10件決まる
・ESCO事業で説明会
・全国BDF利用協議会がバイオDシンポ開催
・高効率エネ導入、建築と住宅で決定
・エネ合理化2次と省エネ連携推進(建築物)募集   etc.

企画・特集
・京都議定書時代を生きる企業戦略−イオン編
 ◇ゲスト イオングループ環境・社会貢献担当(前環境社会興研部長)上山静一氏
 ◇聞き手 都市エネルギー協会会長 吉田武治氏−
 ショッピングセンターをはじめとする総合小売業の最大手であるイオングループのエネルギー環境対策の方向性についてインタビュー。新規出店など業容の拡大を積極的に指向しているイオングループだが、事業は拡大してもグループ全体ではCO2の総量削減を現実的な課題として目指している。3つの柱で取り組む「エコストア」などのイオングループの取組を紹介する。

シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流I<ドイツの風力発電その4>
・建築計画・工事ニュー


コラム
・発電論評<原発被災と電力の安定供給>
・プリズム<原子力発電は別会社にという内部の声>
・ちょっと一休<井上さんのハワイアンバンド>
・青空<新潟県中越沖地震>


原発被災と電力の安定供給【発電論評】

 新潟中越沖地震で柏崎・刈羽原子力発電所が被災し、日本中に衝撃が走った。被災した原子力発電施設は、変圧器の火災事故がテレビ中継されたことやその後の被災状況が明らかになるにつれ、被災状況の深刻さが認識されてきている。なによりも衝撃であったことは、「安全」であったはずの原子力発電所の施設が、原子炉本体などの重要施設以外は、せいぜい一般の工場施設と同様の耐震力しかなく、原発は地震に強くなかったということが明らかになってしまったことだろう。
 いち早く、安全宣言は出されたものの、その後も次々にトラブル事例が報告され続けたことで不安が増進され、発電所の運転開始どころか、同一の耐震基準で多数建設されている全国の原子力発電所の安全対策が根本から問い直される事態になっている。
 さらに、原子力発電所の停止問題は、電力の供給不安という問題も顕在化させてしまった。総発電規模700万kWを超える原発電力の喪失は、にわかに首都圏の夏のピーク電力の供給不安問題に結びつき、電力の安定供給問題に根本的な見直しを迫る事態となっている。地震国日本では、今回程度の地震は日本中どこで起きても不思議ではないということであれば、この問題を相当深刻にとらえる必要があるということではないか。
 昨年改訂されたエネルギー基本計画では、電力供給の中核に原子力を据え、CO2削減も含めて今後の長期の電力政策の骨格としているが、今回のような地震災害による原発の停止は想定されているわけではない。おりしも、現在、長期エネルギー需給見通しの改定や電力政策の見直し作業が始まっている中で、電力の安定供給やCO2削減対策が、原子力に頼りすぎることに警鐘が鳴らされたといえるが、新エネルギーや高効率利用機器の活用などにさらに重点を置くという視点で、改めて、抜本的な見直しが行われる必要が出てきたということではないか。
 700万kWの電源は家庭用の1kWの燃料電池では700万戸分。ビルや中小規模の事業場などに導入設置される1千kW程度のコージェネレーションシステムなら7千カ所。
 地震などの災害に大規模電源と分散型の中小規模電源のどちらがセキュリティー面で優れているかは明らかなことだが、問われていることは、ベストミックスということであり、それは1次エネルギーの多様化に加えて、電源設備などのエネルギー供給設備の規模のベストミックスという両面で達成されなければならないということである。大規模と分散型を最も効率の良い形でネットワークする電源規模のベストミックスという観点も今後の電力政策の見直しの中に、しっかりと位置づけられることが必要ではないか。