2007年715日号

RPS電力供給量は16.7%増
 RPS法に基づく、06年度の新エネ電力の供給量は65億737万8311kWhで、前年度に比べて16.7%増。また、06年度末の認定設備は33万3898件で、発電設備容量の合計は475万6238kWとなり、前年度に比べて6万6983件、100万4355kW増加した。件数の伸び率は25.1%、設備容量の伸び率は28.2%。設備容量の伸び率より新エネ電力を電気事業者が購入した電力量(供給量)の伸び率が下回っており、RPS設備の平均利用率は悪化したといえる。
 06年度のRPS義務量は電力会社10社、特定電気事業者6社、特定規模電気事業者23社の合計39社に対して44億4261万1千kWhで、全事業者が義務量を達成した。また、余剰分を18社が合計53億7075万3千kWhを翌年度にバンキング、別に、発電事業者16社も2億9206万5千kWhをバンキングしている。前年度のバンキング量は37億8116万7千kWhであり、バンキング量も49.8%増と大幅に増加した。バンキング電力量は07年度義務量の86%に達している。


温暖化対策条例案で新エネ導入を義務付け 東京・千代田区
 大型再開発事業が進む東京・千代田区は7月3日、温暖化の原因となるCO2の区内排出量を2020年で25%(90年比)削減することを目標とする「仮称・地球温暖化対策条例案」を作成した。9月に開く第3回定例区議会に提出する。
 条例案には「地球温暖化配慮行動計画書制度」の創設や低炭素型都市づくりの実現などを盛り込んでいる。このため区は、低炭素型都市整備のための指針を作成し公表するほか、一定規模以上の建物の新築・増改築に当たっては省エネ性能の確保や再生可能エネルギーなどの導入を求める。また、都市づくりの機運の高いエリアを「仮称・地球温暖化対策促進地域」に指定し、集中的な温暖化対策を実施、面的な都市づくりと連動してトップランナー都市を目指すことにしている。
 そのほか、温暖化に対する施策を推進するための基金「仮称・地球温暖化対策協力金」を創設する。基金の財源は、区の資金を拠出するほか、民間事業者などから協力を得る仕組みを構築する。
 区は昨年9月に条例策定に向けて懇談会(座長・田中充法政大学院教授)を設置して検討を進めており、今回の公表となった。今後は、条例の考え方に関するパブリックコメントを区民に実施し、8月までにまとめる予定。


地域新エネ交付先、天然ガスコージェネなど147件決まる
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、07年度「地域新エネルギー導入促進事業」の補助金交付先147件を決めた。
 各地域の特色を活かした太陽光発電や天然ガスコージェネなどの新エネを導入する地方自治体、NPOなどに対し、NEDOが設備導入費の一部を補助する。新規に採択された天然ガスコージェネ導入先と設備容量は次の通り(すべてガスエンジン)。
 ▼福生市役所(東京都)=95kW※太陽光発電設備を併設▼公立福生病院=350kW×2基▼滋賀県警察本部=350kW×2基▼織本病院(東京都)=25kW×2基▼大和病院(大阪府)=25kW×2基▼老人保健施設アウン(愛知県)=25kW×4基▼老人保健施設青戸こはるびの里=25kW×2基

SOFCの大規模実証案件決まる NEF
 新エネルギー財団(NEF)は7月9日、今年度からスタートする「固体酸化物型燃料電池(SOFC)実証事業」で初の採択を決めた。「固体高分子型燃料電池(PEFC)大規模実証事業」と同様のスキームで、家庭用SOFCについてもNEFが補助金を交付し一般家庭に設置、データを収集したうえで技術的課題を抽出し、導入促進を図っていく。
 今年度、30台程度の採択を予定していた中、今回「システム提供者」として3社・29台、「設置・運転試験者」として6社・29サイトを採択した。システム供給者は京セラの25台を始め、新日本石油2台、TOTO2台という内訳。また設置・運転試験者は大阪ガスの20サイトを筆頭に、東京ガス3サイト、TOTOと新日石がそれぞれ2サイト、北海道ガス、西部ガスが各1サイトとなっている。
 SOFCの出力は1kW級と2kW級の2種類で、燃料としては都市ガス、LPガス、灯油の3種。一戸建て住宅や業務用設備に設置され運転される(6カ月以上)。
 発電効率が高いことから、熱需要の少ない家庭でも省エネ効果が上がるとして、家庭用SOFCの普及促進が急がれている。SOFC実証事業では、定格時の発電効率25%以上(HHV)で、出力10kW程度までのSOFCを対象に、NEDOの助成を受けて行われる。


出光興産が灯油SOFCで発電効率52%を達成
 出光興産は、灯油を燃料とした固体酸化物型燃料電池(SOFC)で、発電効率52%を達成したと発表した。セラミックス系の固体電解質を使用した1kW級のSOFCスタックで市販の灯油(JIS1号)を使って発電することに成功した。
 開発は石油産業活性化センター(PEC)の研究開発事業の一環として05年度から3年間の予定で進めているもので、都市ガスなどに比べて炭素数が多く、水素改質が難しい改質を吸着脱硫や水蒸気改質などこれまで培ってきた灯油改質技術を応用して発電に成功した。
 SOFCは、作動温度が700度C程度以上と高温で、蒸気などの高温排熱が利用できることや発電効率が極めて高いなどの特長があり、省エネ効果の高いコージェネレーション用機器としての実用化開発に期待がかかっている。SOFC向けの灯油改質には、耐久性や運転条件への対応等にまだ課題を残しており、出光興産では、今後さらに技術の実用性を高めることを目的に研究開発を行うとしている。


2030年の原油価格は50〜60ドルと試算 総合エネ調需給部会で
 総合エネルギー調査会の需給部会の再開後第2回の会合が、7月12日に開かれ、2030年を目標とするエネルギー需給見通しの見直しについて、技術戦略マップに基づく革新的技術開発のブレークスルーを実現する政策課題の抽出などを行い、30年までの石油や天然ガスなどのエネルギーの需給見通し及び価格動向などについての検証した。
 エネルギー価格動向については、経済研究所のレポートにより、石油価格の高騰、高止まりにより、天然ガスや石炭、ウランなどの他のエネルギー価格についても上昇傾向にあること、特に原子力発電の世界的な再評価の動きが活発で、ウラン価格が急騰していることなどが紹介された。
 長期の価格動向については、30年頃の石油価格は需給均衡、需給逼迫、原油の増産、縮小のあらゆるケースが想定されるものの、均衡ケースでは50〜60ドル/バレルで推移すると見る見方が主流であり、供給制約の下で需給が縮小均衡する場合には70ドル程度、需要が減り需給が緩和するケースでは40ドルから50ドル程度で推移するとする予測が紹介された。石油価格に連動する天然ガスの30年の価格予想は、05年度比で、10〜15%増程度上昇するとの予測の紹介もされた。

その他の主な記事
注目集めるアーソリース社の地中熱利用システム
・合同会合で排出権取引など議論
・WGが報告書、自由化拡大は見送り
・06年度末のRPS電力供給と認定状況
・大阪府が優良ESCO事業を表彰
・環境省、VOC表彰制度を創設
・新エネ導入促進補助決まる
・省エネ技術戦略委託先に日鉄情報C
・系統連系円滑化蓄電システム技術開発募集
・中小水力発電開発補助決まる
・太陽熱高度利用決まる、2次も募集
・第3回優良ESCO事業募集開始
・燃料電池内の酸素濃度可視化に成功
・自然エネ市民の会がアンケート調査
・ファーストエスコが新潟で電力事業会社を設立
・川重、インドネシアからGT受注
・松下が環境データの月度決算を開始
・鹿島が技研を建て替え
・佐賀県の太陽光事業、Nファが受託
・オムロンがエネマネジメント端末を発売
・東京発電が高崎市とマイクロ水力事業
・東ガスが野田ガスに卸販売開始
・日本郵船がペレット輸送で関電と契約  etc.

企画特集
・東京ガスのマイホーム発電戦略 その1
 ◇発電っておもしろいという価値◇東京ガスが推進する「マイホーム発電」戦力の狙いと今後の展開について連載で紹介する第1回目。リビングエネルギー本部の久保田宏明リビング技術サポート部長へのインタビュー。ガスから電気。発電を身近にする東京ガスの戦略の背景が明らかになる。
               
燃料電池新聞の主な記事
・SOFC開発の現状と展望(その2)<日本ガイシのSOFC開発>
・リチウムイオン電池の動向(その1)
・NEDO水素技術開発シンポ報告
・経産省の電池研究会報告(次世代自動車)
・ノリタケがオールセラミックス製の水素分離膜
・ホンダが住宅用太陽電池に本格参入
・燃料電池フラッシュニュース
 -GMが燃料電池量産化へ体制強化
 -NEFが06年度太陽光導入実績を発表
 -三浦工業が高純度の水製造装置を開発
 -ホンダが小型燃料電池をアシモに搭載
 -東京瓦斯ケミカルが小型オンサイトの水素供給装置
 -新日石が灯油仕様のPEFCで連続1万時間運転
 -中国企業が水素ディーゼルの燃焼実験に成功
 -BMWが日本でも水素自動車を公開
 -GMがリチウム電池の開発を加速
・燃料電池インフォメーション
  etc.
                 
シリーズ連載
・再生可能エネルギー新潮流H<ドイツの風力発電 その4>
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<バイオマス発電B>
   
コラム
・発電論評<CO2国内対策とCDMの混同に疑問>
・プリズム<外資系ファンドとエネルギー企業>
・ちょっと一休み<盛大だった長谷川洋三さんを祝う会>
・青空<ある土木建設業界の"いま">


CO2国内対策とCDMの混同に疑問【発電論評】

 電力の小売り自由化の拡大が一頓挫することになった。家庭用まで含めて小売りの全面自由化がスケジュール化されていたのだが、需要家が自由化メリットを受けられないという疑念から見送られることになったということのようだ。
 今後の議論は、現在の自由化市場の改革に移ることになったが、自由化とはいったい何だったのだろうかということにもう一度思いをはせてみる必要があるだろう。自由化市場の現状は、事業者間の競争は行われず、部分自由化後の市場では、自家発との潜在的な競争や石油、ガスなどとのエネルギー間競争が顕在化して、電気料金の引き下げなどの一定の成果があったとされているが、電力自由化とエネルギー間競争は全く次元に違う話で、エネルギー間競争や自家発、オンサイトエネルギーサービスとの競合は電力市場が自由化されなくても起こり得るものであり、これを自由化の成果の一つとして挙げざるを得ないというところに、現状の自由化政策が失敗であったという証明に他ならないということができよう。
 さて、自由化議論が色あせる中でエネルギーの環境問題が待ったなしの状況になってきている。エネルギー消費の中心を占める電力消費はCO2排出削減対策にとっても重要な位置を占めるが、電力事業のCO2対策は遅々として進んでいない。対策の中心は原子力の利用率の向上と、CDMクレジットの獲得というのだから、どちらもCO2削減対策の本質からははずれてしまっている。特に原子力は、新規の電源立地の困難さや、廃棄物の処理問題など解決すべき課題が山積しており、稼働率の向上についても安全確保の問題などから現実的には見通しが立っていない。また、ここにきて燃料価格の高騰も懸念材料の一つに加わってきている。
 CDMクレジットは、本質的なCO2対策とはかけ離れたものであり、国内の排出削減とは直接に結びつかないものであるにも拘わらず、電力事業者からは、この成果を国内で供給する電力の排出係数にも反映させるべきだという要望が出されるようになってきている。国内で新エネ開発に多額の投資を行うより、中国やインドなどでCDM投資を行った方が投資額が少なくてすむというのがその根拠になっているのだが、それによって国内での新エネ投資や省エネ投資が後退するのであれば本末転倒ということになる。マイナス6%という京都議定書の達成が本来の目的ではなくCO2排出量を抑制するというのが温暖化対策なのであり、外国での成果を国内の排出削減量とミックスしてしまうのではなく、CDMは国内対策とは異なる扱いとするという従来の考え方を変える必要はないのではないか。