2007年75日号

ガスコージェネなど向けの省エネファンドを設立、大ガスが事業受託
 大阪ガスは、日本政策投資銀行(DBJ)と環境専門の会計事務所、日本スマートエナジー(JSE、東京都港区)が、共同で設立したCO2排出削減設備の導入を目的としたファンド「エナジーバンク」とファンド運営に関して合意、8月1日にファンドの運用を開始する。エナジーバンクは、初期投資の大きな負担と省エネルギーノウハウの欠如が、民生・業務部門で省エネが進まない要因ととらえ、この要因を解決できるエネルギーサービスに必要な設備投資を対象とする。
 需要家がガスコージェネやガスボイラーなど省エネ設備の導入を決めた場合、エナジーバンクが導入対象設備の省エネ性を検討のうえ、DBJの環境関連制度融資を受け設備を調達、同設備を利用したエネルギーサービスを大ガスに委託する。
 大ガスは需要家と「エコウェーブ契約」を締結し設備の設置、維持管理、保守メンテナンス、エネルギー使用量の測定を行い、サービス料金を受け取るという仕組み。CO2排出削減効果の検証は、JSEなどが有する評価ノウハウを活用し今後、検討していく予定。当初3年間で省エネ設備150億円の導入を目指す。
 運用にあたっては、大型案件を対象とする従来の1対1型の資金調達特別目的会社(SPC)ではなく、複数案件を1つのSPC内に包含することで、1案件あたりの運営コストを低減していく。
 エコウェーブは大ガスがリース会社と組んで、02年から事業を開始したエネルギーサービスのスキーム。全国展開している子会社のコージェネテクノサービスと合わせて、今年3月末時点で業務部門を中心に672件の成約を上げている。


自由化拡大は当面見送りに
 総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会は、今回の検討課題の大きなテーマの一つである電力自由化範囲の拡大の是非について具体的な検討を行うため制度改革WGを設置していたが、6月28日、WGの第1回の会合が開かれ、家庭用まで含めた電力の小売り自由化範囲を拡大することについては当面見送るべきだとする報告書を7月11日に開催予定の次回会合でとりまとめることで合意した。
 電力の小売り自由化範囲については、市場の混乱を避けるということから、段階的に自由化範囲を拡大することとされ、まず契約電力が特別高圧以上の大口需要家、500kW以上の高圧需要家、50kW以上の全高圧需要家とほぼ3年ごとに3段階に分けて実施されてきたが、前回の全高圧需要家までの拡大時には「07年度に家庭用までを含めた全面自由化を実施するかどうかの検討を行う」と、小売り自由化範囲を全面的に行うかどうかについては議論そのものが先送りされていた


東京都などがグリーン電力購入フォーラムを設立
 京都などがグリーン電力購入フォーラムを設立
 自治体などのグリーン電力購入を促進させる目的で、東京都と特定非営利法人の環境エネルギー政策研究所などが中心となり14の都県、市、NPOなどが参加して、「グリーンエネルギー購入フォーラム」がこのほど設立された。地方自治体やNPO、企業などに広く参加を呼びかけ再生可能エネルギーの利用拡大ネットワークとしてグリーン電力証書の購入など、自治体がグリーン電力を購入するノウハウの普及などに取り組む。
 フォーラムは先月22日に文書で全国の道府県知事区市町村に参加を呼びかけを行った。フォーラム発足時の構成団体として、東京都、長野県、岩手県、福島県、神奈川県、香川県の6都県と横浜市、川崎市、越谷市、北九州市、東京都中野区の5区市など合計14の地方自治体やNPOなどが参加している。
 ネットワークの活動としては、@グリーン電力証書の購入A電力調達の際にCO2排出係数や再生可能エネルギーの供給割合などの環境配慮事項を追加することで「電気のグリーン購入」するB省エネ・ESCO導入時などに前述の環境配慮事項を追加するなどの購入電力のグリーン化の普及活動や情報交換、また、グリーン電力証書の購入費を経費計上できるような会計制度の変更要請など、需要サイドからのグリーン電力の利用拡大の取り組を推進する。

NEDOがPEFC次世代技術開発で12件を採択
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は「固体高分子型燃料電池実用化戦略的技術開発/次世代技術開発」の07年度の研究開発テーマと委託先を決めた。24件の提案の中から評価解析技術8件、要素技術4件の計12件を採択した。評価解析技術では@高輝度放射光を用いた炭素アロイ型燃料電池カソード触媒の評価(東京大学)Aミクロからマクロスケールの水素の動きを追跡する新しい評価技術(日本原子力研究開発機構)B固体高分子燃料電池流路内の流動現象の解明とその数学モデルの開発(大阪府立大学)C白金基電極触媒モデルの実験的構築と表面分子挙動観察(東北大学)など。
 一方、要素技術では@耐1酸化炭素被毒性及び耐腐食性電極触媒の研究開発(筑波大学)A高1酸化炭素濃度対応多元機能アノード触媒の研究開発(北海道大学)など。
 燃料電池自動車などの本格普及期(2020年〜30年頃)に求められる燃料電池技術の実現を図るために、大学や研究機関などの先端的な研究ポテンシャルを活用するのが目的。

その他の主な記事
市場監視小委が託送変更命令基準明確化など報告
・電力CO2削減にCDM成果活用を検討へ
・農水省が温暖化防止戦略
・経産省総合庁舎で電力入札
・規制改革3カ年計画閣議決定
・新エネ・省エネビジョン決定
・太陽光未来技術開発決まる
・07年度優良コージェネ募集
・優秀省エネ機器表彰を募集
・9月に市民発電フォーラム開催
・11日からパシフィコでバイオ展
・NTTファがデータセンター本部を設置
・25日から蓄熱フェア
・07年度省エネ優秀事例全国で募集
・新日本科学が指宿でバイナリー発電
・王子製紙がCO2排出削減を4年前倒しで達成
・住商と昭シェルがLPG事業統合
・川重がギガセルによる風力出力の平準化に成功
・静岡ガスが最大送出量を更新
・東ガス、勝田サテライトが運転開始
・東京ガスのLNGサテライト  etc.
               
企画・特集
・環境時代のコージェネ企業戦略を聞く=川崎重工業編=

シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流G<ドイツの風力発電その3>
・建築計画・工事ニュース
     
コラム
・発電論評<電力自由化拡大見送りと託送制度>
・プリズム<温泉随伴ガスの活用策を>
・ちょっと一休<法相や連合会長が来たご苦労さん会>
・青空<環境対策に思う>


自由化市場の当面の課題【発電論評】

 電力の小売り自由化範囲の拡大が、当面、見送られる方向になった。
 現在の部分自由化市場は、販売電力量からいうと、ほぼ3分の2が自由化対象となっている。全面自由化が実現していない現在は、まだ実証試験段階とでもいうべき自由化市場であるが、事業者間の適正な競争環境を整備するということが目的であるとするのであれば、これまでの市場整備の試みは、見るべき成果があがっていないといえる。そうした中でいたずらに自由化対象を広げることが市場の矛盾を拡大するだけだということで見送られるのであれば、賛同したい。
 国内の電力需要は伸び悩んでいる。製造工場の海外展開や国内産業のサービス産業化など産業構造の変化、人口減少の顕在化などの社会構造変化、省エネルギーの進展などの需要構造の変化などがこの間の自由化市場創出のための制度設計に十分に考慮されていたかというとそうではない現実がある。
 整備されなければならない課題は複数あるが、その一つに託送問題がある。部分自由化が開始されるに当たって、ネットワークは託送制度によって部分的に解放された。しかしこれは、不十分なもので、電力会社はネットワークを従来通り自社保有したまま、送電部門のコストを別会計として切り出し、PPSは、販売電力に応じて託送料金を支払うという方法がとられている。これでは、制度的な公平は担保されているとはいえないだろう。電力会社もPPSも同じ託送料金を「支払う」というわかりやすい制度に改められるべきである。
 託送部門収支は国に届けられ、料金水準の適正化は担保されると説明されているが、例えば、電力会社がコスト削減分は、すぐに事業収支に反映できるが、PPS側が託送コストに反映できるのは次年度以降の託送料金の改定を待たなければならない。
 この問題は、すでに託送部門収支の過剰利益という形で顕在化している。この過剰利益は、単に託送料金の適正化という今後の対策として処理されてしまうことなく、過剰な料金負担を行わざるを得なかったPPS側に還元されるべきものだと思われるがどうか。
 過剰利益の問題は料金水準の変更だけですむ問題ではない。送電部門収支の適合性を図る情報開示が不十分だという問題も背景にある。PPSだけが託送料金を負担するという仕組みが公平感を無くしているのであり、電力会社も託送料金を支払う仕組みに変えれば、この不公平感はかなり改善できよう。
 発送電分離が無理なら、送電部門を子会社化して切り離し、電力会社も、託送料金として公平に負担するという仕組みが一例として考えられてもよい。