2007年65日号

東京都が排出権取引を制度化へ 大企業にCO2削減を義務づけ
 東京都は、6月1日、地球温暖化防止の取組強化を図るため「東京都気候変動対策方針」を策定し、公表した。
 方針では、主な対策として5項目を掲げ、大企業などに温室効果ガスの排出量の削減を義務づけることや、排出削減が進まない事業所には排出枠に余裕のある事業所からの排出枠の購入や中小企業などへの省エネ投資により自社の排出削減枠とすることを可能にするなどの「排出権取引」制度の導入などを目指している。
 都は昨年12月に、「10年後の東京」を策定、その実現に向けて「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」を推進しているが、その基本方針として、「実効性のある具体的な対策を示せない国に代わって」、都が気候変動に対する代表的な施策を先行的に提起し、リードしていく具体的な取組として「対策方針」をまとめた。
 対策方針では、地球温暖化は人類の活動が引き起こした最も深刻な環境問題で、回避するためには15年から20年の間に世界のCO2排出量を減少傾向に転換する必要があるという基本的な認識のもとで、@日本の環境技術をCO2削減に向けた最大限発揮できる仕組みを作るA大企業、中小企業、過程のそれぞれが役割と責任に応じてCO2を削減する仕組みを作るB当初の3〜4年を「低CO2型社会への転換始動期」と位置づけ戦略的・集中的に対策を行うC民間資金、地球温暖化対策推進基金、税制等を活用して必要な投資を大胆に実行していくことを基本方針として掲げた。
 なかでも注目されるのは、大企業に排出削減を義務づけるというキャップアンドトレードの制度化を明確に打ち出していることで、この点でも国の制度化に先行することになった。CO2削減には事業活動だけではなくあらゆる主体が役割と責任に応じて取り組むべきだとして、特にCO2排出量の大きい大企業がより積極的に省エネ投資やCO2削減に取り組むために、トップランナーレベルを基準にして総量削減義務と排出量取引制度を導入、未達や余剰の事業者には排出権の取引を認め、大企業だけではなく中小企業への省エネ投資が促進できる体制を作り出す。また、省エネ促進税制の導入も検討するとしており、環境税的なCO2削減に効果的な制度を税制面でも作り出すことを検討している。


電中研と関西電力が高効率の中小規模バイオマス発電システムを開発
 電力中央研究所と関西電力は共同で、木質バイオマス等を燃料としたガスエンジン発電システムの高効率化に成功したと発表した。定格出力320kWのガスエンジン発電システムで世界最高レベルの発電効率23%を達成したというもので、性状が不安定でカロリー変化が頻繁に起きるバイオガスでも安定した発電が行えることも確認している。
 電中研が開発した発電用の燃料ガスを製造するバイオガス化技術と関西電力の持つ着火力の強いガスエンジン技術を組み合わせ、バイオマスを発電用燃料に転換するガス化炉の高性能化と低カロリーガスに対応できるガスエンジンの改良によって、木質バイオガスを使用して23%の発電効率を実現した。
 バイオマス発電は、数千kWクラス以上の大規模なものを除いては発電効率が低く、採算面から普及環境が整っていないといえるが、電中研と関西電力は中小規模のバイオマス発電の普及を目的に、発電効率をアップさせ、発電コストの低減を図ることを目的に開発を進めた。また、カロリー変化が多く燃料としての性状が不安定なバイオガスでも安定した出力を得るための研究開発も進め、今回開発したガスエンジンでは850〜1200kカロリー/N立方mの範囲でカロリー変化試験を実施、低カロリーでカロリー変化があっても安定した発電が行えることも確認した。
 共同開発にはガスエンジンメーカーである新潟原動機と乾燥機などを手がけるオカドラの2社も参画、ガスエンジンの開発は、関西電力と新潟原動機が着火力の強いマイクロ着火方式で、高効率運転が行えるミラーサイクルの研究開発を進め、開発に成功した。
 また、炭化ガス化炉は、オカドラが既に商用化している高速・縦型のコンパクトな炭化機と電中研が保有している噴流床ガス化技術を組み合わせ、運転条件の最適化とガス化温度の高温化を図ることで安定運転と高効率化が達成できた。
 種類の異なるバイオマスを混合処理することが可能で、低コストでバイオガスが製造できる。また、収集量の不安定なバイオマスの量の確保や季節変動にも対応できる。炭化機で必要な熱源は発電装置の排熱で賄い、日量10トンから数百トン規模の中小サイトでも高効率で低コストの発電が行える。
 関西電力では、自治体や食品加工工場、産業廃棄物中間処理業などでの利用や海外CDM案件での利用などを視野に入れて商品開発を進めることにしている


2050年にCO2排出量を半減 環境立国戦略を閣議決定
 阿倍総理大臣が、国内外あげて取り組むべき環境政策の方向を明示するために策定を指示していた「21世紀環境立国戦略」が5月31日閣議決定された。総理の指示を受け環境相の諮問機関である中央環境審議会が特別部会を設けて検討した「戦略案」を閣議決定したもので、2050年に世界のCO2排出量を現状の50%程度に削減することを目標に、短期的には京都議定書の目標達成のための取組強化や主な排出国が全て参加する13年以降の新たな枠組みづくりに向けての取組や対策を示している。
 戦略的取組として示されたのは、自然共生の知恵や伝統、環境、エネルギー技術、郊外克服といったわが国の経験や技術を強みとして、環境と経済の両立を図るために日本型モデルを構築し、アジアや世界の発展に貢献することを目的に示したという位置づけで、今後1、2年で重点的に着手すべきものとして8つの戦略を示している。
 8つの戦略は@気候変動問題の克服に向けた国際的リーダーシップA生物多様性の保全による自然の恵みの教授と継承B3Rを通じた持続可能な資源循環C郊外克服の経験と知恵を活かした国際協力D環境・エネルギー技術を中核とした経済成長E自然の恵みを活かした活力あふれる地域づくりF環境を感じ、考え、行動する人づくりGその他の8項目。
 このうち、温暖化対策の中心となる「環境・エネルギー技術を中核とした経済成長」としては、エコイノベーションの推進や日本の技術の国際標準化、省エネ技術の普及と開発、バイオエタノールなど再生可能エネルギーの利用促進、原子力の利用などを具体的な取組として例示している。
 また、環境立国の仕組み作りとしては、国内排出量取引制度や環境税等の検討、金融面からの環境配慮の推進、グリーン購入の民間拡大などがあげられている。

ディーゼル黒煙を75%以上カット 低コストの装置を開発
 ディーゼルエンジンの起動時や停止時に発生する排ガス中の黒煙を削減するシステムをハタノシステムが開発、ヤンマーエネルギーシステムと共同で販売を開始した。
 ディーゼルエンジンに燃料噴射量をコントロールする簡単な装置を取り付けるだけで、エンジンの始動時に発生する黒煙を75%以上カットできるという画期的な黒煙対策が行える。メーカーや機種に関係なく既設のエンジンにも取り付けが可能であり、非常用や常用の自家発電設備として国内に10万台以上のストックがあるといわれるディーゼル発電設備の黒煙対策として売り込む。
 ディーゼルエンジンは高濃度の燃料を噴射して運転を始め、この「余剰燃料」が主因となって黒煙がごく短時間発生する。京都議定書の発効など国内でも急激に環境意識が高まる中で、発電設備の定期点検時などの起動試験時などに発生する黒煙が火災と間違えられたり、洗濯物が汚れるなど、環境対策上の問題として指摘される例も出てきているといわれる。特に日常的にはほとんど運転しない非常用電源の場合は、発電設備が近隣にあるという印象が特に薄いため、点検運転時の黒煙などが問題視される場合があり、点検時間や回数が制限されてしまうなどの支障が出てきているという
 開発した黒煙削減装置は、電気始動の場合は電磁弁で、エア始動の場合は空気停止ピストンでコントロールし始動時の余分な燃料をカットし、黒煙の発生量を75%以上削減するというもので、排ガスの処理装置ではないためフィルター交換なども不要。また、燃料の過剰燃焼が防げるためエンジンの信頼性の向上やエンジンの内部汚れの軽減、装着部品が少なく省スペース・ローコストでできるなどの特長がある。既設のディーゼルエンジンに取り付ける場合には、調査から取り付け、試運転まで含めて2日間程度でできる。取り付け費用はエンジンの規模によって80万円〜100万円程度で、フィルタを使う処理装置などに比べると極端な低コストで黒煙の低減ができる。同装置はハタノシステム(東京支社電話03−5619−1861)とヤンマーエネルギーシステム(東京支社電話03−3571−5972)が共同で販売する。既に数十台の引き合い・受注があるという。

第5回優良コージェネ表彰式 広島ガスが産業用会長賞
 日本コージェネレーションセンターは5月31日、第5回日本コージェネレーションセンター賞(優良コージェネ表彰)を決め同日、東京・大手町の経団連会館で表彰式を行った。応募件数22件の中から6件が会長賞などに選ばれた。
 会長賞には、産業用部門で広島ガスが同社の廿日市工場に導入したガスエンジンコージェネシステムが、また民生用部門では千葉県の君津中央病院の、同病院内に導入したガスエンジンコージェネシステムが選ばれた。
 受賞した広島ガスのシステムは、6千kW級ガスエンジン(三菱重工業製)2台で構成されている。排熱を全量温水として天然ガスの気化用熱源として使い、低温域まで回収することで70%以上の総合効率を達成したことなどが評価された。君津中央病院は300kW級ガスエンジン(JFEエンジニアリング製)2台をほぼ100%の負荷(深夜を除く)で運転し、深夜は氷蓄熱ターボ冷凍機を使用することで電力とガスのベストミックスを図るほか、三元触媒の採用で窒素酸化物を除去し、環境性も優れていることなどが高く評価された。
 会長賞のほかには、省エネルギー奨励賞1件、環境保全奨励賞2件、新技術奨励賞1件が選ばれた(すべて産業用)。これらの概要と受賞者は次の通り。
 【省エネルギー奨励賞】
 ▼北海道庁周辺地区の天然ガスコージェネ活用型地域熱供給事業=北海道熱供給公社
 【環境保全奨励賞】
 ▼リーンバーンとミラーサイクルを組み合わせたガスエンジンコージェネシステム=大日本住友製薬茨木工場▼ガスタービンコージェネと吸収式冷凍空調機を組み合わせた省エネルギー事業=横浜ゴム三島工場、鈴与商事
 【新技術奨励賞】
 ▼工場で発生したメタンガスをガスタービンのボイラー用に用い、高効率ガスエンジンを組み合わせて総合効率を高めたコージェネシステム=サントリー京都ビール工場

その他の主な記事
風力発電協会が総会 代表理事に江口大旺建設副社長
・省エネ大賞の募集開始
・NEDOが新エネベンチャーを募集
・風力導入実績NEDO
・三菱電機が太陽光変換効率を向上 18%に
・住友ゴムグループ向上にガスコージェネ CO2削減
・三菱商事が韓国でCDM
・三洋電機が太陽光でエコマークを取得
・富士フイルム富士の宮工場にガスコージェネ
・三菱が中国に1000kWの風車技術を供与
・地域バイオマス促進事業者を選定
・移動式ガス供給設備の手続きを簡素化
・CO2海底貯留が可能に
・帝国石油がGT発電で電力卸売り事業を開始
・グリーン庁舎化で取り組みリスト
・三機工業が熱環境ビジネスへ参入
・次世代公共建築研究会を設置
・都が省エネ仕様をモデル化
・2007電設工業展に10万人 過去最大規模
・高効率エネシステム導入調査公募
・新エネ導入支援、4地区で説明会
・省エネ技術戦略調査委託先募集
・太陽光FT委託先募集  etc.
               
シリーズ連載
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<私達にはコージェネレーション技術がある>
・プリズム<穀物価格とバイオエタノール>
・ちょっと一休<群馬県の昭和の森ゴルフ場でゴルフ>
・青空<松岡農水相の自殺>


私たちにはコージェネレーション技術がある【発電論評】

 エネルギー問題を巡る諸情勢は、まさに環境問題に収斂されたような感がある今日この頃である。サミットのトップ議題も環境問題で、ポスト京都の枠組みづくりに焦点が移っている。日本も先日2050年に世界のCO2排出量を半減させるという環境立国戦略を発表した。先日発表された05年度の国内のCO2排出量の確定値では、基準年比7.8%増となり、目標達成には13.8%の削減が必要ということになった。
 エネルギー供給側の問題は、原油価格の高騰が続く中で、電力需要が増えていること。電力は経団連の自主行動計画の目標未達業界7業種のうちの一つであり、今後もCO2削減対策は原子力の稼働率の向上とCDMの活用程度しかない。
 例えば自動車の場合は、バイオマスの利用拡大やハイブリッド車の拡大などが削減対策として話題を集めている。自動車は、運輸の世界では鉄道などの大量輸送手段に比べると輸送規模が小さいが数が多いという意味で、エネルギーの世界の大規模発電と分散型発電の関係に似ている。
 エネルギーの世界でも、省エネ対策は大規模電源対策とともに、需要サイド側の対策も重要で、ボイラーや自家発の効率をあげることや、CO2排出量の少ない燃料への転換を図ることが効果がある。需要側の対策では、ハイブリッドに当たる技術としてコージェネレーションがある。ボイラーと発電機で別々に熱と電気を作り、利用していたものを、同時に供給することでエネルギーの利用効率は80%以上にすることも可能になる。もちろん、発生した熱と電気を無駄にしないことが前提になるが、70%程度の利用効率の施設は既に数多く存在しており、いわば当たり前の技術として使われている。
 コージェネ利用のメリットは多い。一次エネルギーの使用量が減らせることのほか、地域に広く薄く分布しているバイオマスの利用システムとなること。風力や太陽光などの調整用電源としても利用できる。また、需要側で発電するため、購入電力量が抑えられ、火力発電の利用率を抑え、結果的に原子力電力の割合の増加することで、CO2削減に貢献する。さらに、電力会社が、火力電源を需要地近接型の中小規模のコージェネレーションに転換すれば、火力の高効率化に寄与できる。
 地球温暖化問題が深刻化する中で、コージェネ技術は温暖化対策に大きな力を発揮できる技術の一つだといえるが、発生した熱と電気を効率よく使い切る周辺技術の開発が、まだ遅れている。システムのポテンシャルを最大限引き出すようなソフト技術の開発にもっと目を向け、地球温暖化対策の中核技術として広く普及させたい。