2007年515日号

エネ庁、未利用エネの「面的活用促進」でガイド作成
 地球温暖化問題に取り組んでいる経済産業省資源エネルギー庁は、エネルギーを有効活用する手段の一つである「未利用エネルギーの面的活用熱供給導入促進ガイド」を同庁のホームページに掲載した。未利用エネルギーを使った面的利用の正しい理解を広め、地域での計画的な導入を普及させたい考えだ。
 未利用エネルギーは、工場などからの排熱、河川水、下水などの温度差エネルギーなど、これまで利用されていなかったエネルギーの総称。近年のヒートポンプ技術の進展や地域の特性に応じた効率的なエネルギーシステムが整備されたことで、未利用エネルギーで民生用の熱需要をまかなうことが可能になった。また、ガスエンジン、ガスタービン、燃料電池などを利用したコージェネシステムの導入により、ビルや工場での排熱利用も進んでいる。
同庁の調べでは、未利用エネルギー源から1km以内にある都市開発地区は首都圏・近畿圏を中心に全国179カ所に存在しており、年間約20万トンのCO2削減効果が期待されるとしている。
 ガイドでは、地域で導入するには、まず関連自治体や事業者に十分な理解を求め、関係者の共通認識の上で、都市開発などと合わせた導入の可能性を検討することを推進している。検討手順として@関連する地域情報の把握A地域情報マップの作成B導入適地を明らかにするC事業者などと協力しながら導入の可能性を検討する―を挙げている。


需給見通しの改定作業始まる
 長期エネルギー需給見通しの見直し作業が始まった。経済産業省は、総合資源エネルギー調査会の需給部会(黒田部会長)を再開し、05年度に策定した長期エネルギー需給見通しの改訂に向けた見直しを始めた。
 現行の需給見通しは、その後2年間の急激な石油価格の高騰や中国、インドなどの急激な経済発展により、石油や天然ガスなどの国際エネルギー市場は逼迫感を強め、資源獲得合戦といえる状況が強まっている。改訂作業は、今後約1年間をかけて行われる予定で、途中では京都議定書目標達成計画の改訂があり、それに伴うCO2抑制の追加対策も反映させた格好で新見通しが策定されることになる。
 需給見通しの位置づけについては、委員の質問に答える形で、事務局の見解が示された。前回の需給見通し策定後、昨年、新国家エネルギー戦略が閣議決定され、それに合わせてエネルギー基本計画が見直され、2030年を視野に入れた、当面のエネルギー政策の方向が示されている。需給見通しはこうしたエネルギー政策を、エネルギーの量的な需給面から検証しサポートするというもの。
 委員側からは、目達計画の達成が困難になっており、特に10年度の見通しに環境対策をどのように取り込むのか、また、30年時点では、社会構造の変化や産業構造の変化、特に産業の海外移転の問題など国際的な視点をどのように取り込むのかなどの課題が示された。また、石油や天然ガスだけでなく原発燃料であるウランも高騰しており、CO2対策として今後国際的に原子力回帰の現象が起きれば、ウランの安定確保などの問題も生じることなどの問題も提起された。また再生可能エネルギーの導入活用やコージェネレーションなどを活用したエネルギー転換の効率化の促進なども需給見通しの中でどのように織り込んでいくのか、など多様な検討課題が示された


エネサーブが大和ハウスの子会社に
 エネサーブは4月25日、大和ハウス工業がTOB(株式公開買い付け)によって、50.43%の株式(2082万1070株)を保有する親会社になったと発表した。3月7日からTOBが開始され、4月24日に終了した。3月19日にはエネサーブが大和ハウスに第三者割当増資を行い、33.91%を保有する筆頭株主になっていた。
 今回のTOBはエネサーブ社長の深尾勲氏が保有する株式を大和ハウスに売却したもので、すでに第三者割当増資によって第2位の株主になっていた同氏の保有株式は1.21%となる。また、エネサーブは同日付けで役員の異動と組織変更も行った。木下賀夫・専務取締役(管理本部長)が副社長(事業本部長)に、松尾昌明・常務取締役(事業本部長)が専務取締役(管理本部長兼経営戦略室長)に昇任した。これによって、経営戦略室長も兼務していた深尾氏は代表取締役社長に専念し、社長、副社長、専務各1人体制によって事業の再構築を図っていく。
 組織面では従来の管理本部と事業本部の下に置かれていた各事業部・部を再編し、管理本部は総務部と財務部の2部にするとともに、事業本部には西日本事業部と東日本事業部を置き、各エネルギーセンター、事業所、営業所を統括する体制とした。

バイオガソリンの試験販売開始
 石油元売り9社が首都圏でバイオガソリンの販売を4月27日から開始した。初日だけで約400万キロリットルのバイオガソリンが出荷され、首都圏50箇所のガソリンスタンドで一斉に販売された。
 バイオガソリンはバイオエタノールとイソブデンを合成したバイオETBEを3%混入し、レギュラーガソリンと同様の燃料として販売される。小売価格もレギュラーガソリンと同一に設定されている。石油業界では10年には全国展開する計画で、国の導入計画に従って原油換算で21万キロリットル相当分のバイオガソリンの販売を目指しており、ガソリン販売量の20%程度をバイオガソリンに置き換えてCO2削減につなげる。バイオエタノールは国内での生産、流通が整備されていないことから当面は輸入バイオ燃料が利用されることになる。

グリーン電力証書契約が100件を突破
 日本自然エネルギーは、グリーン電力証書の契約企業・団体が100を超えたと発表した。06年度中に新たに30社・団体と新規契約、また既契約社2社との追加契約を合わせて1456万kWhのグリン電力証書の発行を行い、これによって、発行済みのグリーン電力証書は104社・団体、年間契約量7030.9万kWhとなった。CO2の削減効果としては約2万7300トンが見込まれる。
 日本自然エネルギーでは、新たなグリーン電源として風力発電設備1地点、バイオマス発電設備2地点と契約し、契約済みのグリーン電源は合計で風力発電所5地点、バイオマス発電所12地点、マイクロ水力発電所2地点となった。

その他の主な記事
・風力と環境保全研究会が2回目の会合
・IPCC報告書を公表
・国交省が大規模停電で対策をフォローアップ
・技術戦略マップを公表
・RPS認定状況公表時期を変更
・JR川崎火力発電所
・太陽光発電シンポ
・7月にGT教育シンポ開催
・次世代蓄電システム技術開発委託先決まる
・コージェネ基礎セミナー
・CDM/JI支援事業の募集
・中小水力研修会
  etc.

企画特集
・京都議定書時代を生き抜く企業戦略<清水建設編>
(◇ゲスト:清水建設株式会社安全環境本部地球環境部部長 岩本和明氏 ◇聞き手:都市エネルギー協会 会長 吉田武治氏)
               
燃料電池新聞の主な記事
・東京大学、トヨタ自動車など、燃料電池触媒のリアルタイム解析に成功
・関空の水素ステーションが完成
・石油化学業界での副生水素の利用状況
・日本特殊陶業、MEMS熱伝導式水素センサを開発
・GM、燃料電池自動車「シボレー・ボルト」を発表
・トヨタ自動車、定置用燃料電池大規模実証に28台
・ヤマト運輸、中部新国際空港周辺地域で燃料電池車のモニター試験開始
・日産自動車とNEC、自動車用リチウムイオン電池で合弁会社を設立
・NEF、2007年度の定置用燃料電池大規模実証事業の交付先を発表
・燃料電池フラッシュニュース
 -NOK、フレキシブル基板一体型セルシールを開発
 -大阪市立大、燃料電池で動く魚型ロボットを開発中
 -東海大、金属間化合物の水素吸蔵材料を開発
 -神戸製鋼所、天然ガスから高効率で水素を回収できる新しい吸着剤を開発
 -日産自動車、ディーゼル車を2010年に投入
 -独BASF、日本に燃料電池拠点を開設
 -山口県周南市で水素タウンの実証事業スタート
 -新日本石油と山口大学、新しい水素貯蔵材料を開発
 -大阪府立大学、硫化コバルトで全固体リチウム電池を高出力化
 -岩谷産業と関西電力、液化水素型移動式水素ステーションを共同開発
 -日立製作所、日立ビークルエナジーを子会社化
 -新日本石油とコスモ石油、燃料電池分野で業務提携
 -GSユアサ、三菱自動車ら、リチウムイオン電池製造の合弁会社設立
・燃料電池インフォメーション
  etc.
                 
シリーズ連載
・再生可能エネルギー新潮流<新潮流の契機となったデンマーク>
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<バイオマス発電@>
   
コラム
・発電論評<温暖化対策に不可欠なコージェネレーション技術>
・プリズム<量産化時代が始まる大型リチウムイオン電池>
・ちょっと一休み<林田・国立新美術館館長を励ます>
・青空<堤清二氏の経営の変転>


温暖化対策に不可欠なコージェネレーション技術【発電論評】

 最近、地球温暖化問題、とりわけCO2抑制についての報道が目立って多くなった。IPCCの報告書で、産業革命以降の気温上昇を2度C程度に抑えるには現状からCO2排出量を80%程度削減しなくてはならないという報告書が発表され話題を集めた。環境映画も話題となった。そうした一連の報道と、夏の集中豪雨や暖冬などの異常気象が気候変動に対する実感となって地球温暖化への関心が急激に広がりを見せているのだと思われる。 来年度からは、京都議定書の第1約束期間が始まる。2012年までの5年間の平均で日本は90年比で6%、現状からはほぼ14〜15%程度のCO2排出量の削減が求められることになる。先日議定書締約国では初めて、カナダが「未達成宣言」を行って、約束期間の開始前からその履行に赤信号がともってしまった。しかし、日本は目標達成に向けて更なる努力を傾注すべく追加対策を含めて「目標達成計画」の改訂作業に取り組んでいる。先月の連休前にはバイオガソリンの試験販売も始まって話題を集めた。
 温暖化対策は「京都」で終わるわけではなく、13年以降の「ポスト京都」、中国やインドの新興国、議定書を離脱した米国も含めて全世界的な温暖化対策の枠組みを作るということに関心の比重が移りつつある。日本は、「京都」の名を冠した削減目標を達成し、環境対策面で発言力を強め、13年以降の次期枠組みの構築で世界をリードしたいというのが基本的立場である。
 さて、温暖化対策の柱となるCO2抑制は、ひとえにエネルギー問題に帰結する。産業革命以来、石炭、石油、天然ガスといった化石燃料の大量消費によって現代文明は成立している。エネルギー利用の過程で大量にCO2を排出するこれらの化石燃料を抑制することは文明の衰退にもつながりかねない大問題であり、とても受け入れられる解決策ではない。現実的な解決策として考えられているのは、原子力と、風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーの活用だ。それで不足する分を化石燃料で補う。化石燃料の使用量が抑制できてCO2対策となるという理屈だが、それだけでは急激な経済発展を遂げようとしているアジア新興国のエネルギーの大量消費に対して十分な解決策にはなり得ないと危惧されている。
 忘れてはならないのは、1次エネルギうーから電力や熱を作り出す過程での効率を上げるという対策だ。熱と電気を同時に作り出すコージェネレーション技術がそこにある。熱も電気もその特徴は貯めることが難しいということ。コージェネレーション技術をCO2抑制策の重要技術として再定義して、その活用に向けた技術開発の促進を求めたい。