2007年415日号

新日石がガスコージェネでエネルギーサービスを開始
 新日石は、富士フイルムの吉田南工場で大型ガスエンジンコージェネ3台で、合計1万7千kWの電力供給と熱供給を行うエネルギーサービス事業を開始した。同工場へのエネルギー供給の形態は、LNGの調達からLNGサテライトタンク、高効率天然ガスコージェネシステムなどの設置・運転・管理までを新日石が実施する国内最大級のエネルギーサービス事業で、新日石にとっては初めてのBOO事業となる。
 新日石と富士フイルムは05年6月に、富士フイルムの国内3工場で合計5万5千kWの電力供給を含むエネルギー供給事業を新日石が行うことで合意、その後システムの建設などを行っていた。他の2工場の内、富士フイルム九州では、新日鉄エンジニアリングが2万1千kWの天然ガスコージェネで作り出す電力と熱を新日石が調達する形で、昨年10月から、すでに事業を開始している。もう一つの富士フイルムオフトマテリアルの工場(静岡県吉田町)についても新日石が1万7千kWの天然ガスコージェネを建設し電熱供給事業を08年8月から開始することで計画が進められている。
 富士フイルム吉田南工場では、今回の燃料の天然ガス化に伴って、同工場が排出するCO2の年間排出量の15%に当たる、約1万トンが削減できる見込み。吉田南工場に導入された天然ガスコージェネレーションシステムは三菱重工製で、燃料の天然ガスについては、新日石が東邦ガスなどから調達し、ローリー供給される。新日石は、CO2削減などを目的に、国内工場での石油から天然ガスへの燃料転換が活発化しているのに対応して「総合エネルギー企業」として需要家のニーズにあわせて、今後とも石油以外の燃料、エネルギー供給事業を推進、活発化させる方針。


省CO2型官庁街形成へ 政府が新実行計画
 政府は、政府機関が排出するCO2抑制策を、「実行すべき措置」とする実行計画をまとめた。05年3月にまとめた旧実行計画を改め、新たな実行計画として取りまとめた。政府の各行政機関全体が行う全ての事務・事業を対象に、政府機関が購入する物品やサービスについてより環境負荷の少ないものを選ぶことや、庁舎での省エネ、節水、廃棄物の減少などの取組方針を定め、政府機関全体で01年比8%のCO2削減を目指す。
 また、霞ヶ関官庁街をモデル地区として、CO2削減に効果がある新たな技術やシステムを率先的に導入し「省CO2型官庁街」の形成を図る方針も盛り込まれた。モデル地区では、@燃料電池の加速度的導入A太陽光発電、風力発電等の新エネルギーの一層の導入B省CO2に資するエネルギー源の選択C電力負荷平準化に資する蓄熱システムやガス冷房等の導入D庁舎敷地における舗装改修時の保水性舗装等の導入E施設の適正な運用管理の徹底F共用自転車システムの高度化G緑化の一層の推進などを行う。
 新実行計画では、関係省庁は07年度から開始し、10年度から24年度までを目標期間とする「実行計画」を策定。低公害車の使用やエネルギー消費効率の高い機器の購入などのCO2削減の取組を進め、民間事業者や家庭などへの普及に向けた牽引役となるほか、01年度を基準年としてそれぞれの省庁が10年度から13年度までのCO2排出量の平均を少なくとも8%削減する目標を掲げている。
 また、太陽光やバイオマスなどの新エネルギーの活用を進めること煮も重点を置き、庁舎の新築に当たっては、太陽光発電や緑化を活用することや既存建築物では省エネ診断や省エネ改修、ESCO事業の導入、ESCO診断などを可能な限り行うことなどもあげられている。
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 政府はCO2削減に向けた取組を新実行計画としてまとめたが、その中で新築庁舎などの計画には太陽光発電や建物の緑化を全庁舎で原則とすることを盛り込み、このほど、太陽光発電の導入と建物の緑化についての整備の基本的な考え方をまとめ、公表した。
 基本的な考え方としてあげられているのは、@新築の庁舎については、原則として太陽光発電と建物緑化を導入するA既存の庁舎については導入の効果が有効なものを対象とし、B太陽光と緑化の優先順位については、設置階が高層で緑化率が高い庁舎では太陽光を優先、設置階が低層で緑化率が低い庁舎では緑化を優先するとしている。
 また、整備の効果を高めるために、太陽光発電は5kW以上の設備の導入することや建物の緑化は50平方メートル以上とするなど、整備量が大きい庁舎や人口の多い都市に立地する庁舎、大規模庁舎などを優先的に整備する方針を示している。
 既存庁舎への導入は、07年度から6年間を計画期間として地域間のバランスなどに配慮して具体的な整備計画を定めるとしている。 
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 また、実行計画では、ESCO事業の導入についても可能な限り推進する方針が示され、既にESCO事業の導入可能性調査(フィージビリティ・スタディ)が進められているが、関係府省の簡易ESCO診断の実施が必ずしも十分に進んでいないため、@延べ床面積が5千平方b以上の建物A建築年数が10年以上経過している建物を対象に、早急に簡易ESCO診断を実施することを新たな取組として決めた。
 また、国土交通省官庁営繕部が行っているグリーン診断は、建物などハード面のみの見直しに限定されているため、ハード的に有効な改修項目が見当たらない庁舎であっても、ソフト面の設備運用方法で費用対効果の高い対策項目が見つかることが十分考えられるとして、改めて簡易ESCO診断を実施することにした。
 4月中に、各省で施設ごとの削減計画をまとめた後、5月末をメドに実施計画案の提出を求め、6月末に各府省庁の実施計画、秋にCO2排出量の確定値を公表することにしている


グリーン証書で「CO2ゼロ旅行」 自然エネ・コムとJTBらが商品化
 自然エネルギー・コム(山口勝洋社長)は4月4日、旅行会社のJTB関東が販売する「CO2ゼロ旅行」に対し、旅行商品としてはわが国初のグリーン電力証書を発行したと発表した。「CO2ゼロ旅行」は、旅行の移動に使う飛行機やバスなどで排出されるCO2を、グリーン電力証書の利用によって相殺することを目的に、自然エネルギー・コム、JTB関東のほか、環境エネルギー政策研究所(飯田哲也所長)、ソニー・ミュージックコミュニケーションズの4社が共同開発した。
 利用者は旅行代金のほかに、グリーン電力購入代金を支払う。東京―京都間で40人の団体旅行をする場合、1人当たり400〜700円程度の料金が加算される。これによるCO2削減量は、総計30〜60kgを見込む。
 電源には、群馬県・伊勢崎浄化センター内のバイオマス発電施設(設備容量30kW)を始め、全国の自然エネルギー発電所からの電力を充てる予定だ。
 JTB関東では、4月12日に「CO2ゼロ旅行」の販売を開始した。企業での旅行や修学旅行などを対象に、年間1万人の集客を目指すという。
 また、自然エネルギー・コムは4月5日に、音楽専門ケーブルテレビ制作会社のMTVジャパンと、バイオマス発電を電源とするグリーン電力証書契約を結んだ。MTVが制作する音楽番組の収録と、編集に使用する電力の全てをグリーン電力でまかなう。
 バイオマス発電の電源は、やまがたグリーンパワー発電所(2千kW・山形県村山市)。MTVはこの発電所による年間2万1千kWh分のグリーン電力証書を購入した。

ホンダが米国でも家庭用ガスコージェネを販売へ
 ホンダは、家庭用コージェネレーションシステムを米国でも発売すると発表した。米国マサチューセッツ州で現地のクライメートエナジー社にガスエンジンコージェネユニットを供給し、クライメート社が暖房ユニットと組み合わせて商品化し販売する。商品名は「フリーワット」で、日本の「エコウィル」とほぼ同様の供給スタイルとなる。
 ホンダは、日本でも同じコージェネユニットを提供し、東京ガスや大阪ガスなどが「エコウィル」の商品名で家庭用のコージェネシステムを販売しているが米国でも同様のスキームで商品化した。米国では、このような家庭用コージェネシステムを商品化したのは初めてだという。
 日本での販売実績はガス会社を中心にこれまで約4万5千台に上っているが、売国での潜在需要がどのくらいあるか不明であり、暖房需要がある米国北東部のマサチューセッツで試験的に販売を行う。販売価格は1万ドル程度を想定している。米国でも州や地域によって日本と同様に環境負荷の少ないコージェネや再生可能エネルギーシステムなどの導入補助制度があるため、これらを利用する形となる。
 フリーワットの出力は電気が1.2kW、熱が最大3.26kWで、80%程度の熱効率の従来の暖房システムと比べて光熱費が約30%程度節約でき、CO2排出量も約30%程度削減が可能だとしている。日本のシステムは熱利用は給湯だが、米国は暖房用途に使うため温風で供給される。当初の販売計画は年間20〜250台程度。ホンダでは、米国ではまだ家庭用のコージェネシステムは商品化されていないため市場化には時間がかかると考えている。

三菱重工が風力発電の生産能力を3倍に 北米の旺盛な需要に応える
 三菱重工業は、風力発電設備の生産能力を08年度までに現状の3倍程度となる、年間約120万kWにまで増強する。米国などの海外需要が旺盛で、約40億円の設備投資を行って長崎造船所と横浜製作所の製造設備を増強、また、北米向けのブレードの製造拠点であるメキシコ工場でも設備を拡張する。
 今回の設備増強の中心となるのは、現在製造している最上位機種である2400kW機の風車本体とブレードの生産ライン。長崎造船所と横浜製作所でこれまで製造していた同社のベストセラー機である1千kW機の製造を横浜製作所にシフトし、長崎造船所を2400kW機の専用工場とし、生産能力を現状の40万kWから60万kWに高める。
 一方、横浜製作所は、1千kW機と2400kW機の2機種の製造を行うこととし、年間60万kWの生産能力を確保、両工場で120万kWの風車本体の生産体制を作る。北米向けのブレードについては、メキシコ工場を拡張、整備して2400kW機の生産設備を新たに導入して対応する。
 同社では、世界の風力発電市場は今後も年率30%程度の高い成長が見込まれ、10年には2900万kW、15年には5600万kW規模にまで拡大が予測されているとして、主要ターゲットである米国市場向けに大型・高性能の風車の供給を行うため、同社の戦略機種である2400kW機の生産能力を高めることにした。2400kW機は、06年1月から実証試験を行い市場投入し、既に米国向けに287基の受注実績がある。

その他の主な記事
環境立国戦略、特別部会で論点整理
・環境省がグリーン調達結果を発表
・国交省が環境政策の進捗状況を発表
・政府が府省庁のCO2排出状況まとめ
・国交省07年度営繕工事見通しを公表
・都水道局が環境計画を策定
・風力系統連系助成は二又風力開発へ
・新日石とコスモ石油が燃料電池で提携
・産総研が太陽電池の薄膜技術を開発
・三菱重工がオーストラリアからGTCCを受注
・中国電力の風力連系先決まる
・カネカが新太陽電池を今秋発売
・NTTが環境トータルサービスを提供
・関東天然ガ瓦斯が日本天然ガスを子会社化
・マツダが水素ロータリーエンジンを展示
・東工大、エネルギーワークショップを開催
・大手町合同庁舎跡地で地冷起工式
・環境対応型ボイラー5月に説明会
・地域バイオマス熱利用募集
・太陽熱高度利用FT募集  etc.
             
燃料電池新聞の主な記事
・水素燃料電池実証セミナーレポート
・苛性ソーダ業界での副生水素の利用状況
・シンガポールでバッテリー・燃料電池シンポ開く
・化学工学会
・燃料電池フラッシュニュース
 -出光とIHIが業務用FCの実証を開始
 -東ガスとりそな銀がFC優遇ローン
 -ミクニが水素漏れ検知センサー
 -産総研が超小型高密度のSOFC
 -東海物産がFC分野で米社と提携
・燃料電池インフォメーション
  etc.
                 
シリーズ連載
・再生可能エネルギー新潮流<世界の普及動向>
・今を考えるD<予防原則は安全の救世主か>
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<PFI>
   
コラム
・発電論評<電力自由化に電源選択の視点を>
・プリズム<都知事選結果に見る環境問題>
・ちょっと一休み<牛久沼で恩師と午餐会>
・青空<岡田新一氏の述懐>


電力自由化に電源選択の視点を【発電論評】

 電力自由化についての議論が再開された。自由化範囲を家庭用までも含めた全体に広げることの是非が検討の対象になる。議論再会の前提として、1%前後のPPSのシェアの現状や、電源確保が困難で事業の縮小や撤退が相次ぐPPS事業のあり方をどう位置づけ、「規制なき独占」状態にある市場をどう評価するのか、その方向性が示されなければならない。
 現行の自由化スキームのままに対象範囲をただ拡大するということを期待する声は、ほとんど聞かれない現状で、新たな競争原理をどのように持ち込めるのかが問われることになる。そういう意味で、環境問題がひとつの大きなテーマとなるといえるのではないか。
 電力の部分自由化が始まって以来、電気料金が引き下げられたことが自由化の最大の成果と評価されている。事実、非自由化部門である家庭用などの料金は自由化部門ほど下がっていない。このことでも自由化部門では競争原理が働いたとの評価につながっているのだろう。しかしながら、その間に提起された別の問題、例えばCO2削減問題などについては、市場はなにも機能できなかったといえるのではないか。
 地球温暖化問題の根幹はエネルギー問題であることは論を待たないが、この間の電力市場は、コスト問題に汲々とするあまり、環境問題が置き去りにされたままになっている。コスト負担の増加を理由に、電力会社は新エネの導入拡大に慎重な姿勢を隠さなくなっている。この問題を、掘り下げて考えてみると、新エネルギーは発電の課程では新エネルギーであるが、需要の段階では単なる電気という商品に置き換わっているということに行きつく。つまり、需要家は電源を選べないということである。
 風力やバイオマス、太陽光発電などの再生可能エネルギーを少し割高でもいいから購入したいという需要家の要望に応える商品メニューがないのである。これでは、自ら再生可能エネルギーで自家発電するしかなくなってしまう。
 需要家が購入する電源を選べるような料金メニューができれば、需要家は自分の意志で電源が選択できることになる。今回の自由化の議論の中に、そうした視点を入れることはできないだろうか。需要家の対象範囲を拡大するのではなく、電源の選択を自由化するという視点である。
 電源の環境性を基準として、新エネやコージェネなどの環境性の高い電力は家庭用も含めて自由に販売できるようにする。そうすることで、供給電力全体の環境負荷が下がられることにつながる。料金だけが健全な市場競争ではない。何から作られた電気を使いたいかという、需要家の選択肢を増やすという競争があってもよい。