2007年45日号

供給電力のCO2排出係数など決まる コージェネ按分も
 環境省は、温対法に基づく省エネ指定工場などの事業者別のCO2排出量の届け出が新年度から始まるのを前に、このほど、電力会社から購入する電力の排出係数やコージェネレーションシステムから排出されるCO2量の電気と熱の按分方法などについて基準を定め3月23日付けで公表した。
 4月から、CO2など温室効果ガスを一定量以上排出する事業所に毎年、年度ごとの排出量の国への届け出が義務づけられることになっており、使用した電気のCO2排出量は省令で定めるデフォルト値(0.000555トンCO2/kWh)か、電力購入先の電力事業者ごとに国が定める係数、あるいは実測値のいずれかを用いて算定する仕組みとなっている。
 環境省では、この排出係数を定めるため経産省と共同で、2回の検討会を開きこのほど排出係数を決めた。今回決められたのは係数の算出方法と直近の実績値として05年度の電気事業者別の排出係数(初期値)を確定した。6月までに届け出る06年度のCO2排出量の算出・届け出には、今回公表された排出係数を使う。06年度の排出係数は7月頃に募集公示し8月頃に確定、公表される予定。
 電力事業者別の排出係数は沖縄電力と中国電力を除く電力会社とPPS5社について決定・公表された。公表されたのは、デフォルト値を下回っている電力会社とPPSで、デフォルト値を上回る電力事業者やPPSから購入する電力についてはデフォルト値が使用されることになる。
 排出係数が公表された電力会社の中では、関西電力の0.000358が最も少ない。PPS5社の中ではバイオマス発電などの新エネ利用を積極的に行っているファーストエスコが最も少なく、係数は0.000309。
 一方、コージェネについては、事業所ごとに1次エネルギーを使って発電した電気と熱の排出したCO2の按分方法を電気2.17対1で按分するという原案どおりに決められた。按分比率の決定理由として、環境省では、エネルギーとしての価値が電気の方が熱よりも高いということに着目して決めたとしている。


風力と環境保全の両立で経産省と環境省が研究会を立ち上げ
 風力発電の立地可能性の検討を進めることを目的に、経産省・資源エネルギー庁と環境省が「風力発電施設と自然環境保全に関する研究会」を立ち上げ、3月30日、第1回の会合が開かれた。
 研究会は、風力発電の国内での導入が合計で1000基、100万kWを超え、系統連系や環境保全などの問題から新たな立地が次第に困難となってきている現状を打開するために、比較的風況が良好で、風力発電の立地に適している自然公園地区などで風力発電の導入を行うための景観や、希少生物保護などの環境保全上の問題を整理することを目的に両省が共通の検討の場所として設けたもの。「これまで風力発電の必要性と自然環境の保全に関する課題・問題点等が一体となって議論・把握されていなかったことから、風力発電施設と自然環境保全に関して様々な立場の方々の意見を聞き」、「今後必要な対策等を洗い出す」ものと位置づけられている。
 同様の検討は、03年度に国立・国定公園内に風力発電を導入設置するための条件を整理するとして両省が検討会を設置、風車の高さや稜線を侵さないなどの眺望や展望などの景観基準を基本的な考え方として取りまとめたが、実質的には自然公園内での風力発電の導入は進んでいない。
 今回は、この「考え方」を踏まえて、バードストライクなど希少生物保護や環境保全と自然エネルギー活用の観点から風力発電を環境・生物保全との観点からどう位置づけるのかなど、主に、バードストライク問題と景観保全問題を中心に基本的な考え方が整理されることになりそう。
 第1回の会合では、風力発電事業者と野鳥の会から風力発電とバードストライク問題を中心としたヒアリングが行われた。研究会は6月までに4回の会合を開き、論点をまとめる


産総研らが超小型で高出力密度のSOFCを開発
 産業技術総合研究所と日本特殊陶業は3月29日、超小型で高出力密度の固体酸化物型燃料電池(SOFC)を開発したと発表した。微細なセラミックス管を角砂糖大に集積したマイクロ燃料電池の集積体(キューブ)で、600度C以下の動作温度で、1立方mあたり2W以上という、世界最高レベルの出力を確認した。
 同グループは自動車用補助電源、小型コージェネ、ポータブル電源などに利用できるとみて、小型で高効率のスタックと、数十Wから数kWクラスまでのモジュールの製造を進める。
 新開発したマイクロSOFCキューブは、角砂糖大の1立方mの体積を有し、直径が0.8〜2mmのチューブ型マイクロSOFCが、内部に集積されている構造。SOFCの空気側電極材に使われる通常の導電性セラミックスは、空気をよく通すため多孔質化すると、電気抵抗が増加してしまう課題があった。今回開発した技術では、ランタンコバルト系のセラミックスを最適化して集積用構造とすることで、550度CとSOFCの作動温度としては極めて低温で、水素から1立方mあたり2W以上の電力を得た。

大日本印刷がフィルム型太陽電池で変換効率7%を達成
 大日本印刷はフィルムを基板とする有機太陽電池で、世界最高レベルとなる変換効率7%を実現した太陽電池セルの製造技術を開発した。
 2酸化チタン、有機色素、電解質溶液を組み合わせた色素増感太陽電池向けのもので、印刷技術を活用したDNPの転写技術を用いることで達成した。また、電解質もゲル状にすることで電解質の形成にも印刷方式を採り入れ、生産性の高い技術を確立している。08年度中にサンプル出荷し、10年に7億円の売り上げを見込んでいる。
 ガラスやシリコンを使用しないフィルム基板の色素増感太陽電池は、材料が安価で製造が簡単なことから、次世代太陽電池として研究開発が活発化している。

霞が関12庁舎に太陽光 国交省まとめ
 国土交通省はこのほど、東京・霞が関の中央官庁街に導入した太陽光発電状況をまとめた。12庁舎に計約450kWが導入されており、官庁営繕部のグリーン対策が着実に推進されていることがわかる。庁舎別の導入実績は次の通り。
 ▼中央合同庁舎1号館=28kW▼同2号館=40kW▼同3号館=46kW▼同4号館=45kW▼同5号館=33kW▼同6号館=55kW▼同7号館=51kW(工事中)▼外務省庁舎=50kW▼経済産業省総合庁舎=40kW▼財務省庁舎=40kW▼内閣府本庁舎=40kW▼特許庁総合庁舎=30kW

その他の主な記事
経産省がガス事業のあり方を検証
・出光エンジがDMEの重油ボイラ利用を可能に
・東京都が電力のグリーン購入でセミナーを開催
・電力供給計画、ガス3社の供給計画を公表
・東ガスとヤンマーが顕熱タイプのGHP発売
・九州電力、風力連系事業者決まる
・中部電力が石炭火力でバイオマス混焼
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・空気調和・冷凍連合会が講演会
・内閣府が電力、ガスなど14分野の規制改革効果を試算
・NEDOが省エネ連携推進の募集を開始
・NEDOが省エネ促進2事業も募集開始と公募説明会
・NEDOが地域新エネ・省エネも公募
・NEDOが使用合理化支援、公募説明会を開催
・NEDOがSOFCの助成事業者を募集
・NEDOが地熱と中小水力募集
・横浜市立大ESCO
・浦安市のESCO
・宇都宮斎場PFI
・流山小PFI
・茨城大PFI
・藤沢市民病院、エネアドへ  etc.
               
シリーズ連載
・再生可能エネルギー 新潮流<普及の重要性と緊急性>
・今を考えるC<風力発電の安全規制>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<安定供給と環境対策は万全か>
・プリズム<信頼を取り戻してこその原子力立国>
・ちょっと一休み<CRC25周年の謝恩パーティー>
・青空<統一地方選の風景>


安定供給と環境対策は万全か【発電論評】

 原発事故の報告漏れが次々と明らかになっている。北陸電力の臨界事故隠しは、電力供給計画から原発をはずさざるを得ない状況にまで追いつめられた。それに伴う電力各社の調査結果では、東京電力でも臨界事故の隠蔽が過去にあったことが明らかになった。事実が公になったこと自体は、事故隠しを反省し、姿勢を改めたためだと評価できるかもしれない。先日、甘利経産大臣も電力会社の隠蔽体質を開示型に改めなければならないと述べたといわれる。
 原子力発電は、いうまでもなく何よりも安全確保が最優先されなければならない。そして、その担保は原発を所有する電力会社への信頼性なのだということは、再認識される必要があるだろう。
 電力事業用の発電設備の約30%は原子力で、供給電力の約40%といわれる。その意味からも原発は安全かつ確実な状況下で適切な運用が行われなければならない。しかし、電力の過半は原発以外の電力によっているのも事実で、それに加えて、自家発も利用されている。この意味からも、原発だけでは全ての電力はまかなえないという事実を、安定供給やセキュリティー確保の出発点とするべきだろう。
 数年間に及ぶ石油価格の高騰で、石油系の自家発の稼働率は大幅に下がっている。石油系電源を使ったオンサイト型のエネルギーサービス事業は影を潜めているが、CO2排出量の少ないガスコージェネやバイオマス利用型のコージェネなどは拡大傾向にある。
 原発の稼働率の向上を主な対策としている電力各社のCO2削減対策も、原発の信頼性が確保されないままだと大変な事態がもたらされることになる。足りない分は京都メカニズムの活用で海外のCDMクレジットを購入するというのが基本的な対策だが、国内対策をお座なりにしたままで果たしてよいのかという懸念を示す声も高まってきている。
 例えば、電力設備の半分近くを占める火力は、クリーンコール技術やコンバインド技術によって発電効率は高まってはきているが、コージェネに比べると遙かに低い水準でしかない。電力需要地から遠い沿岸部に立地していることが多い事業用の大規模発電所は、排熱は利用されることもなく大気中や温排水として海中に投棄されている。こうした排熱が地球温暖化に影響することも懸念要因となるが、何よりもこれをオンサイト型のコージェネ電源として利用すれば、CO2削減対策となるとともに、省エネにもなる。しかも需要地立地のオンサイト電源は分散型の中小規模の多数の電源として構成されるので、供給セキュリティーも飛躍的に高めることができる。
 コージェネの活用こそ電力の安定供給とセキュリティー確保を考える上では極めて効果的な対策だと思える。