2007年325日号

バイオガス購入メニュー創設を検討
 都市ガス事業にも、電力の余剰電力購入メニューのようなバイオガス購入メニューを設けることを、ガス業界検討していることが明らかになった。
 3月16日に開かれた、新エネルギー部会の席上、ガス業界側の委員として参加している草野成郎日本ガス協会エネルギー利用多角化推進委員会委員長(東京ガス副社長)が、バイオマスの熱利用を促進するための新たなガス業界の取り組みとして、下水汚泥や木質系バイオマスなどから製造されるバイオガスを、都市ガス導管に受け入れるための技術開発や制度改正が行われることを条件に、電力の余剰電力購入メニューを参考にバイオガス購入の制度化を検討中であることを表明したもの。自治体などの地域がバイオマス起源のガス燃料化の取り組みを進める上で促進措置となるような形で燃料化事業を支援するという考え。ただ、実現するには導管に受け入れるガスの組成や、安全対策など技術検証が必要であることや、バイオガスの供給者の中心となると思われる自治体などと協調して取り組みを行うことが不可欠であるため、新年度にガス協会内に取り組みを進める「バイオガス利用促進センター」を設立して集中的に実現に向けての取り組みを進める中で検討を進める。
 設立される促進センターは、バイオガスの利用を進めるために必要な技術・事業・制度についての情報集約や中小ガス事業者への取り組み支援を行うものとして、特に今まで利用技術が確立されていなかった脱水した下水汚泥から燃料ガスを発生させる部分燃焼ガス化技術の実用化や、下水道管理者である自治体、関係省庁との協調を図りながら、発電と排熱利用というコージェネレーション技術によってバイオガスの高度利用を促進していく。
 新エネルギーの利用拡大について、電力利用についてはRPS法での利用義務化など強制力を伴う仕組みが設けられているが、ガスや石油などの熱利用については強制力を伴う利用促進措置がなく、エネルギー間競争の公平性を欠くものとして電力業界側は熱利用についても促進措置を設けることを求めていた。同日の新エネ部会ではバイオマスの熱利用の促進を図る取り組みの一環として石油、ガス業界から取り組みの現状についてヒアリングを行った。この中で、ガス業界では従来のガス業界の目標であった10年度に約22万キロリットルのバイオガスの利用目標を下水汚泥などから新技術である部分燃焼ガス化装置を使って新たに回収できる約30万キロリットルを加え、20年代には45万キロリットル程度のバイオガスの利用が可能になるとの試算も示した。


日本の省CO2はEUに先行 経産省が見解
 EU委員会が将来の地球温暖化防止の取り組みとして2020年にCO2を20%削減、他の国が同様の取り組みを行えば30%の削減を行うと発表したことに対して、日本の取り組みが問われていることに答えるという形で、16日の新エネルギー部会の席上、資源エネルギー庁の上田隆之新エネ省エネ部長は「日本の省エネ技術に対してEUは1.8倍劣っており、日本の省エネ技術をEUがそのまま使えば、それだけで今すぐにでも40%以上の削減が可能となる程度の数字。言い換えれば日本は既に達成済みという程度のもので、日本の対策が決して遅れているわけではない」と資料を使って説明、「次期枠組みの議論では、日本としての提案の中にこうした省エネ技術の普及策を盛り込む必要がある」という趣旨の見解を示した。
 欧州理事会が3月8、9日の首脳会合で「EUが温室効果ガスを20年までに90年レベルから少なくとも20%削減、先進国が相応の排出削減を約束し、途上国が適切な貢献をするのであれば20年までに30%削減する」という趣旨の成果文書を発表し、日本の対策遅れを問うような報道が見られることに対して、見解を述べたもの


幕張地冷でガスコージェネが竣工
 東京ガスとエネルギーアドバンス(ENAC)は3月19日、幕張地域冷暖房センター(千葉市美浜区)のガスエンジンコージェネ設備工事の竣工式を行った。
 既存の地域冷暖房施設に、9千kW級と7千kW級の大型ガスエンジンコージェネと高効率電動ターボ冷凍機などを導入。この設備改造によって総合エネルギー効率(COP)を従来の0.7から1.2程度と、国内最高クラスに改善するとともに、発電電力の内、1万kW以上を特定規模電気事業者(PPS)のエネットに売電し地冷の事業性を向上させる。
 ENACが「地域エネルギーセンター」モデルとして、今後の事業展開の柱と位置付けるもので、幕張はその第1号となる。
 同日は日建設計、竹中工務店、バルチラ社、タクマ、新菱冷熱工業などの関係者を招き神事と起動式が行われた。
 導入されたバルチラ製8730kWと6970kWのガスエンジンは、いずれも発電効率45.5%以上を実現しており国内では初設置となる。ENACでは運転を通じて性能を確認しながら他の地冷などへの展開を進める。

佐久の大規模ソーラーが竣工
 NTTファシリティーズと長野県佐久市ら6企業・団体で構成する有限責任事業組合「佐久咲くひまわり」は、会員企業5カ所で進めていた計430kWの太陽光発電設備第1次設置工事を竣工、3月15日に竣工式を開いた。
 昨年9月に環境省から委託を受けたメガワットソーラー共同利用モデル事業の一環で、環境省が展開している「ソーラー大作戦」の一つ。同事業は民間事業者が自治体などと協働し、トータルで1MWの太陽光発電を設置して共同利用するもの。設置した5カ所はカウベルエンジニアリング近津工場、樫山金型工業、双信電機浅間工場、中川電機製作所、長野吉田工業ワークス。

メリルリンチが卸電力市場に参入
 メリルリンチ日本証券は3月16日、金融法人として、また外資系企業としては初めて日本の卸電力市場に参入すると発表した。電力会社や特定規模電気事業者(PPS)などで構成される日本卸電力取引所(JEPX)の会員に、関係会社のメリルリンチ・コモディティーズ・インクが同日付けで登録した。
 メリルリンチは一定期間後に受け渡しされる電気の取引を行う「先渡し取引」を含む現物の卸売り電力取引を行う。今月末までに複数の電力事業者との間で、現物決済の売買契約を締結する。

竜飛ウィンドパークの実証事業が終了 風力資産は地元に譲渡
 東北電力は15年間にわたって日本国内でウィンドファーム型の風力発電事業の先駆けとして知られてきた竜飛ウィンドパークの運用を終了すると発表した。竜飛ウィンドパークは92年4月から、風力発電の本格的な普及に先駆け、風況の良い津軽半島の竜飛先に単機出力275kWの風力発電設備5基を建設、国内初の本格的な集合型風力発電の実証試験設備として運用を開始、その後、95年10月には改良型の単機出力300kWの風力発電設備5基を、00年3月には500kWの基やレスか変速風力発電設備1基を増設し、合計出力3375kWで実証研究を実施してきた。
 東北電力では、その後の国内での風力発電事業の急速な発展や機器の大型化により、竜飛での実証研究は役割を終えたと判断、風力発電設備の撤収と実証研究の18年度末での終了を決めたもの。
 実証研究の終了に伴って、建設した風力発電設備は撤収されるが、建設地である外ヶ浜町が竜飛ウィンドパークを観光資源として高く評価しており、竜飛岬での風力発電事業の継続を強く求めていることから、同町と同町が所管する第3セクターの津軽半島エコエネに、風車を除く土地や変電設備などの関連資産を譲渡し、新たなウィンドパークとして運用が図られることになる。実証機として建設された風力発電設備11基は07年末までに撤去される。

その他の主な記事
・バイオディーゼル普及協議会が発足
・技術戦略マップ検索サービスを公開
・風車倒壊で事故報告書
・都、太陽光エネ利用で拡大会議
・東北電、蓄電池併設風力候補者を選定
・新エネ部会がRPS報告書を承認
・目達計画見直しへ省庁ヒアリング開始
・2月のRPS設備認定状況
・鳥取県、風力発電でガイドライン
・Jパワーがポーランドで風力
・LPG振興センターが07年度事業計画
・電中研がコージェネ導入に苦言
・環境省が大防法施行状況まとめ
・電力10社が託送料金3銭引き下げ
・千代田化工がかながわ新エネ賞受賞
・北海道電力が解列枠風力を決定
・トステム名張工場にガスコージェネ導入
・宇部マテリアルズがバイオディーゼル用触媒開発
・東ガス、LNG受入量1千万d突破
・三菱重工、中国からGTCC受注
・Jパワーが海外投資ファンドの増配要求を拒否
・デンソーCDMが日本政府承認
・日本政策投資銀行が九州製太陽電池でレポート
・ミクニが高効率水素センサー開発
・地熱開発促進調査募集
・バイオマスサロン開催
・NEFが07年度大規模燃料電池実証募集開始
・沖縄でバイオマスセミナー
・自動車用蓄電システム技術開発募集
・広島県庁舎ESCO
・大阪府ESCO2件
・島根県立中央病院ESCO
・宮城県立がんCにESCO
・都下水道局PFI3件入札
・都がんセンターPFI  etc.
                 
シリーズ連載
・電力自由化と分散型発電C<系統電力の役割>
・今を考えるB<原因と結果は経験から>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<バイオマス利用の拡大に向けて>
・プリズム<慣れが甘さを生んだのか原子力事故>
・ちょっと一休み<世界一のすばる望遠鏡を見る>
・青空<原発事故隠しに思う>


バイオマス利用の拡大に向けて【発電論評】

 バイオマスの利用拡大に向けて拍車がかかってきた。16日に開かれた新エネルギー部会ではバイオマスの熱利用の拡大を一つのテーマとして石油業界と都市ガス業界からバイオマス利用の現状と取り組みについてプレゼンテーションが行われた。
 バイオマスなどの新エネルギーの利用拡大を図ったシンボリックな仕組みとしてRPS法があるが、RPS法施行後4年を経てまだ販売電力量の1%にも満たない段階で、電力会社から早くも悲鳴が上がっている。RPS法に定める新エネルギーはバイオマスと風力と太陽光、これに地熱と中小水力が加わるが、地熱と中小水力の実績は乏しく、実質的にはバイオマスと風力と太陽光が支えているといってよい。これらのRPS電力はコスト負担が大きく、CO2削減が目的ならCDMの方がずっとコスト負担が少ないのでCDMで代替するべきだというのが電力会社側の見解。
 新エネルギーの利用拡大は地球温暖化対策が大きな目的の一つであることには間違いないが、それ以外にも、再生可能な国産エネルギーであること、エネルギー源の多様化に結びつくこと、技術開発によって地球規模でのエネルギー対策や新たな産業創出につながることなど様々な理由があり、コスト面だけを取り上げてCDMか新エネかという問題設定はそもそもなじまないものである。
 そうした電力会社からの問題提起の一つとしてバイオマスの利用は電力だけが利用義務を負うのは公平性に欠け、電力以外のバイオマスの利用拡大をエネルギー間競争の公平性の観点から進めるべきだというものがある。そうした経緯もあって、次期目標量の増加を受け入れる代わりのような格好でRPS法の次期目標量の検討を主題にした小委員会の報告書でもバイオマスの熱利用についても検討の必要がある旨の記述が盛り込まれた。
 新エネ部会ではこれを受ける形で、バイオマスの熱利用についての取り組みとしてガスと石油業界の現状についてのヒアリングが行われたという経緯であるが、新エネ活用に慎重な姿勢を増しつつある電力とはうってかわって、ガス業界の積極姿勢が目についた。
 ガス業界では、現在バイオガスの利用目標を約22万キロリットルと定めて利用拡大に取り組んでいるが、主に原料不足が原因で目標達成が危ぶまれている。しかしながら、下水汚泥から新たな技術開発によって現行目標を上回る利用可能なバイオガスの製造が可能となる見通しで、これを加えた現行目標の2倍以上のバイオガスの利用拡大に取り組むことを明らかにした。バイオマス資源は地域偏在型で、都市部における集中利用は困難な問題があるが、ガス業界ではこの問題解決にも余剰電力購入メニューのような都市ガス導管へのバイオガスの受け入れ策を検討し、都市ガス利用者にもバイオガスの利用を可能にする制度を打ち出そうとしていることも表明された。
 ガス業界事業者の姿勢を評価し、エネルギー業界全体での取り組みが求められる。