2007年35日号

自由化電力価格は上昇局面に エネ庁が06年度上期分調査
 資源エネルギー庁は、06年度上期の電力価格調査結果をまとめた。それによると、特高産業用の平均単価が9.92円、業務用が11.98円で、特高全体では10.20円となり、前年度同期に比べて産業用は2.90%プラス、業務用は1.24%のマイナス、全体では2.31%プラスと05年度下期に続いて産業用が値上がり、業務用が値下がりした。
 高圧分野では、産業用が3.89%の上昇で13.34円、業務用が1.98%プラスの14.41円、業務用全体でも3.38%プラスの13.75円となった。傾向としては、自由化部門の電力価格は上昇傾向を示しているといえる。
 また、特高、高圧とも業務用と産業用の価格差の縮小傾向が続いており、06年度上期の産業用と業務用の価格差は、特高では、20.8%、高圧では8.0%で、前年度に比べて特高では6.9ポイント、高圧では2.0ポイント、産業用と業務用の価格差が縮小している。一方で、特高と高圧間の価格差は、高圧産業用の値上がり率が3.83%と大きかったことから3.55円と、前年度同期に比べて価格差が拡大している。
 沖縄地区を除く地区別に見ると、特高の電力料金が最も高いのは関東地区で平均単価が10.75円で、全国平均を5.4%上回っている。そのうちの産業用では、中部地区の10.45円が最も高い。業務用では東北の13.13円が最も高い。特高部門で全国平均を上回っている地区は関東、中部、近畿の3地区で、東北の業務用も平均より高い。高圧部門では、最も高いのは関東の14.69円。産業用も関東の14.22円が最高で、業務用は東北の15.38円が最も高い。西日本に比べ東日本地域が電気料金が高めという傾向が見られる。
 特高部門の1需要家当たりの期間中の平均電力需要量は1775万8233kWh。産業用が2223万5002kWh、業務用が780万139kWh。高圧の平均は、106万7175kWhで、産業用が129万9757kWh、業務用が83万1920kWhだった。


年間600万キロリットルのバイオマス生産へ、政府が工程表
 松岡農水相は、国産のバイオマスエタノールを2030年までに年間600万キロリットルの生産を目指す工程表である、「国産バイオ燃料の大幅な拡大」を、2月27日、安倍総理大臣に提出した。工程表は、安倍総理大臣の指示でバイオマスニッポン総合戦略会議でまとめた。
 工程表では、2030年を目指した中長期目標では、稲わらや木材等のセルロース系の資源作物全体から高効率にバイオエタノールを製造する技術開発が不可欠だとして製造・流通・貯蔵・利用など総合的に制度面での整備や技術開発支援などの必要な措置を講ずるなどで、年間600万キロリットルのバイオマス生産を目指す。また、利用面でも高濃度のバイオエタノール車の開発やバイオディーゼル燃料の規格化など制度面の整備も進める。
 当面の目標として、2010年頃までに単年度5万キロリットルの国産バイオ燃料の生産を目指すことや、建設廃材を利用した国産バイオ燃料製造設備の拡充等の支援措置を講ずることなどで、今後、数年以内にとりあえず年産1万キロリットルのバイオ燃料の生産を目指す。また、京都議定書目標達成計画に掲げるバイオ燃料の利用目標である2010年度に原油換算50万キロリットル(国産、輸入合計)を達成することを前提に、石油業界が示している10年度に原油換算21万キロリットルの導入目標などをフォローアップする


07年度自主参加型国内排出量取引参加者の募集始まる
 環境省は、07年度の自主参加型国内排出量取引の参加者の募集を開始した。今回で3期目となる募集で、国内の事業所にコージェネレーションなどの省エネ機器を導入し、CO2削減を行う事業者や、削減されたCO2の取引を行う事業者を募集する。参加事業所がCO2の確実な削減事業に取り組み、その全部または1部をクレジット化して流通させることで、国内でのCO2削減に役立てるという仕組み。05年度からはじめ、今回で3年目となる。
 排出量の削減に取り組む事業者に対しては省エネ設備等の導入に補助菌の交付等の支援を行い、約束通りのCO2削減ができなかった場合は補助金の返還等のペナルティーを課す。削減量の達成にはクレジット取引によっても良い。今回の募集分から設備補助を受けない事業者も参加できることになった。今回の募集対象は、削減目標を掲げ自らCO2削減に取組事業者で、クレジット取引を行う事業者の募集は、07年度後半に行う。
 今回分の補助の総額は30億円で、事業所毎の補助の上限は必要経費の3分の1で、かつ1事業所当たり2億円以下。募集期間は、補助申請を行う場合は3月30日まで、補助を必要としない場合は4月13日まで。
 これまで、05年度の第1期に34社、06年度第2期に23社が参加し、CO2削減事業に取り組んでいる。取引事業者は第1期8社、第2期13社。削減するCO2は第1期分が27万6380トンCO2/年、第2期分が4万6010トンCO2/年が目標。
 CO2削減としてコージェネレーションシステムを導入しているのは第1期が34社中11社。第2期は23社中2社。また、ESCO事業は、それぞれ、16社と7社。

大型ガスエンジンでコージェネ専門セミナー
 日本コージェネレーションセンター主催の「第19回専門セミナー」が2月28日に虎ノ門パストラルで開かれ、新潟原動機のガスタービン拡販に向けた取り組みや、三井造船の大型ガスエンジンの技術開発などが紹介された。
 新潟原動機では、高効率吸収式冷凍機の相次ぐ市場投入やガスタービンのコンバインドサイクルへの移行などから、熱を有効利用できるガスタービンの市場性が高いと見込み、大型ガスエンジンとは別に、従来から提携している米ソーラー社製ガスタービンの販売事業に力を入れていく考えを明らかにした。
 これまでに14台の販売実績を持つトーラス70シリーズ(7千kW級)の営業を大規模工場を中心に強化し、さらに6千kW級の日本市場投入も視野に入れ、ラインナップを拡充していく。
 また、ガスタービンの機器が改良・改善された場合、直ちに無償交換するメンテナンスシステムや、東京・辰巳の集中監視センターで運転状況を常時監視するなど、きめ細かいサービスを行うことで顧客の信頼性を確保する。
 一方、三井造船は昨年12月に発表したガスエンジンMD36Gシリーズ(2800〜8100kW)を紹介した。副室のないシンプルな直噴マイクロパイロット方式と希薄予混合燃焼制御技術の採用により、世界トップレベルの発電効率46%と、低NOXを実現。またデュアルフューエル化が可能で、バイオマスなど低カロリーガス燃料にも対応、ディーゼルエンジン並みの確実で安定した機動性を持つという特長を説明した。
 昨年11月からLNG焚き2800kW機の実証運転を同社の玉野事業所(岡山県)で行っており、07年度早期の販売開始を目指している。工場などのリプレース需要のほかPPS(特定規模電気事業)向けを考えており、今後はさらに販路を拡大させたい意向を示した。

燃料電池排熱を融雪に利用 出光が青森で実証試験を開始
 出光興産は、青森県工業総合研究センターと共同で、燃料電池から発生する排熱を融雪や暖房に利用するシステムの研究を進めているが、システムの実用化に向けて同研究センター内で、700Wの家庭用固体高分子型の燃料電池システムに床暖房パネルと屋外に設置した融雪パネル向けの熱回路を接続、熱回路のパターンを変えながら実際に運転して雪を溶かし、効果を比較する等の実験を行い最も効率的な制御システムを研究する。
 従来の家庭用燃料電池では、熱は主に給湯利用されることが多いが、実際の利用状況を見ると熱を使い切っていない使用例が多いことから、熱の利用効率を高めることで、燃料電池の総合効率を向上させることが目的。
 この観点から、燃料電池システムから発生する熱を給湯、暖房、融雪の3方面で有効利用するシステムの構築を目指している。
 青森などの寒冷地では、除雪作業にかかる個人の経済的、肉体的負担が大きく、灯油ボイラを使った温水で融雪する装置なども普及してきているが、車2台分のスペースの融雪には導入費用や燃料費など年間で約5万円程度の費用負担が生じているという。燃料電池の排熱がこうした融雪用途に活用できれば寒冷地での導入コストの低減に結びつくことができるため、寒冷地での燃料電池普及に弾みをつける要素となりうるとして研究を行う。実証運転は来年3月まで続ける。

四国電力が風力を追加募集
 四国電力は、一部事業者の事業中止によって空き容量が出ていた風力発電の連系可能量約3万kWについて2月14日、追加募集の説明会を行った。
 募集規模は入札枠2万kW、抽選枠1万kWで、四国及び淡路島南部に建設される風力発電プロジェクトを募集対象とする。今年9月20日から10月4日まで応募受け付けを行い、10月下旬に抽選会と入札によって事業者を決める。なお、淡路島南部は関西電力の供給区域であるものの、四電が融通送電を行っているため募集対象とする。

その他の主な記事
JOGMECがカナダでメタンハイドレート試験開始へ
・日本バイオマス開発が石川で木くず発電
・FエスコがNTTデータの販売代理店に
・ダイセルがエネ原単位指数の低減に注力
・丸紅がブラジルでバイオディーゼル会社設立
・NEFが燃料電池報告会を開催へ
・三菱重工が原動機事業でアジア地域統括会社設立
・東京ガスが天然ガス自動車燃料を引き上げ
・東邦ガスと西部ガスが託送約款届け出
・東京ガスが役員人事を発表
・エネサーブ、解約交渉が終了
・自民党政務調査会が温暖化対策で合同部会
・CDM支援募集(事前審査)交付決まる
・使用合理化支援、省エネ対策促進と民生地球温暖化実証モデル募集
・1月のRPS設備認定状況  etc.
               
シリーズ連載
・電力自由化と分散型発電A<再生可能エネルギーの市場を見つめよ>
・今を考える@<構造物並びに、製品の安全性と検査の考え方>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<電力自由化は省CO2に役立つか>
・プリズム<「環境」がかっこいい時代に>
・ちょっと一休み<江戸城の再建を目指す会でチャンコ>
・青空<管理的な風潮、わが周辺も>


電力自由化は省CO2に役立つか【発電論評】

 07年度は電力自由化について、家庭用までも含めた全面自由化について検討が行われることになっている。約10年がかりで段階的に進められてきた電力自由化は、結局目立った成果を示せないままに推移。そのためか、全面自由化に向けた議論はいっこうに盛り上がらない。たとえ全面自由化になったとしても改めて新規参入しようとする事業者は現れないだろうというのが大方の見方だ。
 原因は電源不足と、高額で弱体な電力流通網ということにつきる。どちらも自由化の制度設計が始まる前から指摘されていた事項であり、こうしたことに配慮されないままに終始したということに原因はある。国内の発電設備は旧電気事業法の下で、地域独占企業に電力の安定的な供給義務を課し、充分な予備力を持つことを求めてきた。市場が自由化されたこの10年間の電力総需要の伸びはわずかであり、電力会社のもつ発電設備量で充分まかなえるだけの需要量しかない市場に、新規の発電設備投資を行ってまで参入するだけの市場がなかったということである。市場に新規参入者を迎えるためには、どの程度の市場を引き渡すのかという制度設計が不可欠のはずだが、公平な市場づくりという理念の下で、新規参入者への優遇策などは一顧だにされなかった。
 自由化実験の10年間の唯一の成果は電力料金の引き下げという形で現れたが、燃料費の上昇やオンサイト電源の縮小などの競争環境の減退によって、電力価格は上昇へと転じようとしているように見える。
 また、エネルギー業界の近年最大の問題といえる環境対策、CO2抑制策についても、新たな対策を構築できない電力業界は、最大の対策を原子力に置こうとしている。CO2ゼロの環境電力として原子力を位置づけその最大化を図るという戦略であるが、立地が計画通りに進まないことや、計画から実際の電力供給までのリード時間が長すぎること、また、今でも対策に悩む夜間余剰電力の問題等、多くの課題が残され、計画通りの実効には大いに疑問が残る。
 CDMやCO2地中貯留など、ここへきて国内でのCO2削減策が進まない場合の代替措置として京都メカニズムの活用が真剣に語られている。もちろん、CO2抑制は地球規模の問題であり、国内対策だけで解決できないのは分かり切ってはいるが、原子力やCO2地下貯留にしても当面はよいが、やがて限界がくる技術である。原子力の燃料のウランも無限にあるわけではない。その点、コージェネなどの省エネ技術や自然エネルギー技術は次世代に確実に残せる省CO2の技術手段であるといえる。
 電力自由化に大きな期待ができない今、こうした省エネ技術や環境電力を広く普及させるために、既存の電力ネットワークの形にはとらわれないマイクログリッドや地産地消ネットワークを、自家発などの新たなエネルギー供給システムとして構築するための技術開発が重要な政策テーマとして推進される必要があるのではないか。