2007年225日号

荏原が下水消化ガス向けにMGTを拡販へ
 荏原は、下水汚泥から発生する消化ガスを燃料とするマイクロガスタービン(MGT)消化ガスコージェネレーションシステムの拡販に乗り出す。
 下水汚泥から消化ガスを製造する「消化槽」を保有している下水処理場は全国に約320カ所あるが、消化ガス総量(年間2億8千万立方m)の約3割が消化槽の加温用に、約1割が発電用に利用されているだけで、半分近くは余剰ガスとして焼却処分されている。
 消化ガス発電の普及が遅れているのは、大規模下水処理場ではガスエンジン発電が行われているものの、これまで中小規模処理場では適当な規模の発電装置がなかったためだ。このため荏原では、年間消化ガス発生量が150万立方m以下の中小下水処理場を対象に売り込んでいく。
 MGTの発電出力は80kWと消化ガス用としては国内最大。発電効率は27%以上、総合効率は75%以上となり、運転によってCO2を年間約550トン削減できる。
 先頃、日本機械工業連合会の06年度優秀省エネ機器表彰で会長賞を受賞したのを機に、本格的な営業活動を開始することにしたもので、出力を約20%アップした95kW機についても、近く販売を開始する。


RPS価値は4.7円で取引(エネ庁の18年度上期調査)
 資源エネルギー庁は、RPS法に基づく06年度上期(4月から9月)の新エネ電力の取引価格(RPS相当量のみ)の調査結果をまとめた。
 期間中に新たに購入を開始したものや取引価格の変更を行ったものについて、1年以内の契約と1年を超える契約のものに分けて調査結果をまとめた。該当する取引件数は1年以内が18件で1年を超えるものが11件。そのうち回答のあったのは1年以内13件、1年超8件だった。
 1年以内の最高価格は1kWh当たり5.5円で最低価格は4.0円。単純平均価格は4.6円。電力量を加味した加重平均価格は4.7円だった。半期毎の価格調査は今回が初めてで前年度との比較データはないが、05年度の年間平均の調査価格と比べると最高価格が4.5円マイナスで最低価格は1.8円のプラスとなり価格差が縮小してきている傾向が見える。単純平均では0.4円のマイナス、加重平均は0.1円のプラスでほぼ前年度並みだった。
 一方、1年を超える契約では、最高価格は6.0円で最低価格は3.0円で、1年以内のものより価格差は大きい。05年度価格と比べて最高価格は1.0円のマイナス、最低価格も1.5円のマイナスと長期契約のものほど価格の下落傾向が見られるといえそうだ。平均価格も単純平均が1.1円マイナスの4.5円、加重平均が1.2円マイナスの4.2円とともに下落し、1年以内契約のものを下回っている。
 RPS取引価格については、昨年度までは毎年1回の調査周期で行っていたが、今年度から直近の価格動向をわかりやすくするため、半年に1回調査することにした


大阪ガスが隣組コージェネや燃料電池を実験住宅に導入
 大阪ガスは、4月から同社の実験集合住宅「NEXT21」において、新たに5年間の第3フェーズ居住実験を開始する。
 環境と共生し、少子高齢化社会に対応した都市型住宅における暮らし方や水素の利用、住宅間でのエネルギー融通といった未来型エネルギーシステムの実証実験を行う。
 都市ガスではなく、水素を直接供給する純水素型燃料電池による住戸間の電力融通実験を始め、5kWガスエンジンを使った「隣組コージェネ」による熱融通実験、集合住宅における電力・熱供給制御システム実験などを行い、集合住宅における近未来の暮らし方を提案していく。 
 純水素型燃料電池による電力融通実験では、東芝燃料電池システム、長府製作所と共同開発した出力500Wの水素供給燃料電池を8住戸に設置し、各住戸に電気と温水を供給する。また、地下に設置した蓄電装置や系統連系などによって制御を最適化し必要な場合、各住戸の電力融通を行う。燃料電池の排熱で作られた温水は、各住戸のセントラル換気ユニットに供給し、夏場の燃料電池の稼働を増やすことで省エネルギー効果を高める。
 同燃料電池は水素を直接供給するため改質器が不要となる。発電効率は46%(燃料水素ベース、HHV)、排熱回収効率33%を達成している。
 電力需要や熱需要は1戸単位では変動が大きいものの、複数戸になると平準化され、結果として燃料電池の稼働時間が増加する。実験では集合住宅全体で10%の1次エネルギー削減を目指す。
 一方、隣組コージェネによる実験では、住宅地下に5kWのガスエンジンコージェネと300リットルの共用貯湯槽を設置。そのうえで、7住戸に蓄熱型給湯暖房機(給湯暖房機内の蓄熱槽に温水を貯湯できる新しい機器)を設置し、共用貯湯槽から送られてきた温水を熱交換して蓄熱槽に貯湯し使用する。温水需要の多いときには、7住戸間に巡らしたシングルループ配管で熱融通する。
 電力・熱供給制御システムの実験では、共用部に700Wの水素供給燃料電池と200リットルの貯湯槽を各3台設置。6住戸に対して電気と、温水はいったん貯湯槽に蓄えた後、供給する。

自主行動計画フォローアップ21業種が目標達成、電力など7業種は未達
 経済産業省と環境省が合同で進めている産業界のCO2削減に向けた自主行動計画のフォローアップの結果の取りまとめを、2月22日に開かれた産構審・総合エネ調合同小委と中環審の専門部会の合同会議で行った。
 合同会議では、昨年秋から進めてきた各業界の自主行動計画の05年度の実績に基づくヒアリング結果などを基に、対象とした33業種の目標達成に向けてのフォローアップ結果と今後の課題について報告書の形で取りまとめを行った。
 報告書では、自主行動計画に基づく各業種の取り組みについては着実な成果を上げており、フォローアップの対象とした33業種のうち21業種が既に目標を達成し 、そのうち8業種は目標の引き上げを行い、更なる削減努力を開始していることを高く評価している。
 目標を引き上げたのは電気電子4団体、日本ガラスびん協会、日本伸銅協会、日本染色協会、日本電線工業会、日本チェーンストア協会、日本百貨店協会、日本フランチャイズチェーン協会の8業種。目標を達成したのは日本ガス協会、石油連盟など13業種で、電気事業連合会、日本自動車部品工業界など7業種は目標未達となっている。
 また、自主行動計画の実効性をさらに高めるため目標内容の深掘りや、対象範囲の拡大等、CO2排出量の削減を一層意識した取り組みの推進など今後の課題について5項目に分けて提示した。 自主行動計画の進捗にもかかわらず、05年度の国内のCO2排出量は90年度比で8%余りの増加となっており、、対策が進んでいない業務・運輸部門の一層の取り組み強化や市立病院や学校など自主行動計画を策定していない業種に対しても所管省庁を通じて策定を促すなど取り組み範囲を広げテ方針。自主行動計画でなお不足するものについて、07年度に予定されている政府の目標達成計画の見直しに当たっては、自主行動計画外での追加対策が講ぜられるのは必至となるものと思われる。

CO2地中貯留のルール化で報告書−中環審地球環境部会
 環境省は、2月20日、中央環境審議会の地球環境部会を開催し、専門委員会がまとめたCO2海底下地層貯留に関する報告書を承認し、大臣への答申案とした。
 ロンドン条約に基づく海洋投棄できる物質としてCO2を追加することを可能とし、海底下などの地中にCO2を貯留する上での基本的なルールについての考え方をまとめた。
 CO2の地下貯留についてはCDMなどの京都メカニズムとして認められる方向で国際的な議論が進んでおり、中長期的なCO2の大量削減技術として注目されている。
 特に古い油田や炭鉱などでCO2を圧する過程で原油やメタンガスなど追加製造技術となるなどCO2削減と原油など化石燃料の増産技術としても注目されている。
 報告書では、海底下に安定的に貯留を可能とするために、事業を許認可の対象とすることや、貯留開始後や終了後も漏洩がないことを確認するモニター監視を義務づけるなどの安全対策を求めている。
 報告書では、CO2の地下貯留可能量をIPCCの報告書から地球全体で約2兆トン、日本での可能量は基礎データがあるものだけで」52億トンと推定、京都メカニズムとして認定されれば中長期的なCO2削減の有力な手段となると評価している。また、地下貯留事業を安全確実に行い、事後の漏洩等に万全を期すことが必要であるとの観点から、事業は許可制として国際的な評価ガイドライン策定の動向などを見ながら具体的な制度設計を行う必要があること、貯留するCO2の濃度や性状などの判断基準の策定、貯留開始後のモニタリングの必要性を指摘している。また、事業終了後も相当長期にわたるモニタリングや漏洩などの事故に対する対策が必要だとの観点から、事業許可は最長5年程度の更新制として、定期的な更新期間を設けることで、長期間のモニタリングを担保する。

活発化するバイオマスタウン構想−約3分の2がガスコージェネなどで地産地消の取組
 政府は、再生可能エネルギーで、農業生産等が可能なバイオマスの利用拡大に向けて取組を強めている。バイオマスは建築廃材や間伐材、ダムの流木などの木質系バイオマスや、食品残渣、生ゴミ、廃食用油などの廃棄物系、また、下水汚泥や家畜排泄物などこれまで「ゴミ」として棄てられ、その処分について社会的に大きな問題となっている廃棄物を資源に変える取組としても注目されている。
 バイオマス「資源」は、国土にあまねく存在するが、その回収や集積にはコストが発生することなど、資源価値が乏しいこともありこれまでエネルギー化が困難とされていた。しかしながら、ここへきて地球温暖化対策としてCO2フリーのバイオマス資源が注目され、新たなり活用の道が開けようとしている。
 その取組の柱の一つとなるのが政府が進めているバイオマスタウン構想がある。バイオマスの利活用を図ることで地域の活力を高め、「バイオマス利用」を産業へと高めるための地域モデルを創出しようという試みだ。
 目標は300のモデル地区を全国に造ることで、05年2月から認定されたバイオマスタウン構想は現在、今年1月31日に公表された第17回分までで67件が認定されている。
 バイオマスタウンでは、地域内で発生するバイオマス資源を活用して、堆肥や飼料として再生したり木質ペレットやメタンガス発行などを行いエネルギー化することなどが取組の中心となっている。エネルギー化したバイオマス資源は、地域内で消費される他、商品として販売流通も行われる。
 注目されるのは67件のバイオマスタウンのうち、約3分の2の42件が資源化したバイオマスを使ってガスコージェネなどの発電事業を行っているということだ。エネルギーの地産地消の時代の先駆けモデルとして分散型エネルギーシステムの利用モデルの実験としてこうした取組に注目する必要があると思われる。
 コージェネレーションのモデルは、消化ガスなどをメタン発酵させてガスエンジンでコージェネシステムを構成し、タウン内に電力と熱を供給するというモデルが多いが、中には比較的大規模な発電を行い、余剰電力を売電するというモデルも見られる。また、小規模なものではあるが、スターリングエンジンを使って木質系バイオマスを直接燃焼するという先進的な試みを行っているタウンもある。
 活発化してきたバイオマスタウンに分散型電源新たな市場としての広がりが期待できるという意味で、今後とも目が離せない存在になりつつあるといえる。

その他の主な記事
NEDOが新年度から新規に3プロジェクト
・出雲市に国内最大規模のウィンドファーム
・大和ハウスが風力事業に進出
・東レが国内2工場で燃料転換
・環境立国戦略特別部会を設置
・環境省の国際戦略専門委が再開 
・環境省学校エコ改修計画を公表
・環境対応型ボイラー導入事業
・経産省がガス入札を実施
・三菱重工が中国に舶用エンジン技術を供与
・三菱重工、新キャタピラーの出資縮小
・日産が燃料電池車のハイヤー仕様車を納入
・LPGセミナー2007を開催
・中国四国バイオマス利活用セミナー
・風力次世代技術開発調査決まる
・省エネ連携推進補助先を募集
・太陽光未来技術開発で追加公募
・次世代蓄電システム実用化技術開発を募集
・西日本SAの次世代サービスモデルで新エネ活用
・グリーン・サービサイジングのモデル事業募集
・九段第2合同ESCO調査
・大阪プールにESCO導入
・島根中央病院ESCO導入  etc.
               
シリーズ連載
・電力自由化と分散型発電@<系統電力一人勝ちに死角はないか>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<新エネ拡大に電源のブランド化を>
・プリズム<ガス事故報告と製品安全性の考え方>
・ちょっと一休み<論語と安岡正篤さんの本の勉強会>
・青空<ふるさとの山に向かいて思う


新エネ拡大に電源のブランド化を【発電論評】

 シャープの亀山工場で製造された液晶テレビが売れているという。それを見てヤマハ楽器がピアノ製造を掛川工場に集約し、「亀山モデル」を見習って「掛川モデル」として売り出すことを検討しているという新聞記事を目にした。野菜や果物、食肉、海産物などの生産地表示がブランド化しているのを見習って、工業製品にも地域名を付してブランド化を図る動きが活発化するのではないかというのが記事の趣旨だった。かつては、日立や三菱などの企業名がブランドだったが、製造工場が海外展開しており、日本の企業の製品だからといって必ずしもメイド・イン・ジャパンではなくなっている。国内の地域名を付すことで、日本製品としてのブランド価値をつけるということのようで、おもしろい試みだと思った。
 エネルギーの世界でも、うまく取り入れることができるのではないか。新エネルギーの国内での普及がなかなか思うようにならないが、新エネとしてのブランド価値を付することができれば、導入拡大の弾みになるのではないか。
 現状では、電力需要家はエネルギー源を選べない。電力会社が提供する電力は、電源種別ごとに分かれておらず、原子力、水力、火力、新エネなどで作られた電気がごちゃ混ぜになった、いわば「ごった煮」の電力として需要家に届けられている。
 例えばそれを、電源種別ごとに分けて販売するというメニューを創れないかということだ。そうすれば、風力発電の電気を使いたい人は風力の電気を、太陽光が良ければ太陽光の電気が、原子力が良ければ原子力起源の電気が注文できる。そうなれば、発電コストや需給動向によって料金が決まることになる。風力や太陽光などの自然エネルギーは、使いたいという人がたくさんいると思われるが、供給力が乏しいので、品切れ状態が多くなり、必然的に料金は高くなる。人気のない電源種の電気は安くなる。需要家は料金と電源種別を見比べて自分の使う電源が決められる。
 風力や太陽光、バイオマスなどの環境に優しい電気は高くても売れるということになれば、それに見合った開発コストがかけられるので、現状ではコスト面での制約からなかなか導入拡大が図れない新エネ開発の後押しになる。新エネ電気が高くても売れるということになると、電力会社が「大きな負担」としているRPSのコストも外部化できることになるので、電力会社自身が新エネ電源の開発に積極的になることも考えられる。
 各電源ごとの発電状況の記録は簡単なので、不足する人気の高い電気は、発電した分だけ使ったことにすれば需給がミスマッチすることもない。新エネ拡大の一つの提案として考えて欲しい。