2007年215日号

風力発電の環境保全でエネ庁と環境省が共同研究会を設置
 環境省と資源エネルギー庁は、風力発電設備の導入促進や環境問題などへの対応を検討することを目的に、「風力発電施設と自然環境保全に関する研究会」を設置することにした。
 風力発電は新エネルギー設備の中でも発電規模が比較的大きいことからその導入拡大が期待されているが、風況の良い場所は自然公園であったり渡り鳥のルートや希少な野生動物の生息・生育場所であったりするため景観問題やバードストライク問題などで事業者と地域住民、環境団体などとの間で軋轢が生じる例も報告されるようになっているという。
 こうした問題を解決するため、風力発電の必要性と自然環境の保全に関する課題・問題点を一体として議論・把握する場として研究会を設置し、風力発電と自然環境保全について議論し、今後の必要な対策等を洗い出すことにした。自然公園内への風力発電の設置については03年度に環境省が検討会を設置し、導入基準を定めたが、稜線を侵さないなどの設置基準が厳しく導入が進んでいない。今回の研究会ははエネ庁と環境省の共同開催となるため、具体的な導入促進策に結びつくのかどうかが期待されている。研究会は18年度内に2回程度開催され留ことが決まっており、6月を目標に意見交換を終える。
 研究会の委員は次の通り。
◇大野正人日本自然保護協会保護・研究部主任 大村昭一日本風力開発執行役員開発本部長 岡安直比WWFジャパン自然保護室長 鹿野敏鹿島建設環境本部新エネルギーグループグループ長 古南幸広日本野鳥の会自然保護室長 下村彰男東京大学大学院教授 長井浩日本大学助教授 中村哲雄葛巻町長 祓川清ユーラスエナジージャパン代表取締役社長 原科幸彦東京工業大学教授 松田裕之横浜国立大学大学院教授 由井正敏岩手県立大学教授
 黒田大三郎環境省大臣官房審議官 星野一昭環境省自然環境局野生生物課長 神田修二環境省自然環境局国立公園課長 上田隆之資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長 安藤晴彦資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課長 市川類資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー等電気利用推進室長<オブザーバ> 環境省総合環境政策局環境影響評価課 環境省地球環境局地球温暖化対策課


太陽エネルギー利用で東京都、民間と検討会立ち上げ−100万kW導入目指す
 東京都環境局は2月7日、太陽エネルギーの大幅な利用拡大に向けた取り組みをするため、3月にも「太陽エネルギー利用拡大会議」を設置すると発表した。
 温暖化対策プロジェクトの一環として、民間企業、電気・ガスのエネルギー事業者、学識経験者などとともに、戸建て住宅やマンションなどを主な対象に、都内への100万kW相当の太陽エネルギーの導入を目指す方策を検討するため立ち上げる。
 会議の議長には村山寛司環境局長が就き、下部会議として太陽光発電と太陽熱の2つの利用拡大検討会を設け、課題を検討する。環境局のほか都市整備局も協力し、住宅、エネルギー、システム設計を専門とする民間企業と学識経験者らで具体的な方策を探る。検討会は月1回のペースで開き、07年度の早い時期に方向を見出し、秋にも方策をまとめる予定だ。
 太陽エネルギー利用拡大会議のメンバーは次の通り。
 【学識経験者】▼末吉竹二郎(国連環境計画持続可能なエネルギー金融イニシアティブ特別顧問)▼飯田哲也(環境エネルギー政策研究所代表)▼中島康孝(工学院大学名誉教授)▼大野二郎(太陽エネルギー学会ソーラー建築デザインガイド編纂委員会委員長)
 【企業】▼東京ガス▼東京電力▼エックス都市研究所▼積水化学工業▼大和ハウス工業▼矢崎総業▼京セラ▼シャープ


日本製紙が岩国工場に国内最大規模のメタン発酵設備−製紙排水からメタン生成
 日本製紙は、国内最大規模のメタン発酵処理設備を、1月から岩国工場で本格稼働させたと発表した。クラフトパルプの製造工程で発生する有機物を含んだ排水をメタン発酵処理して、重油換算で年間2千キロリットル分(約1千世帯分の消費エネルギー)に相当するメタンガスを作る。
 従来の処理方法では最終的には主にCO2を排出するのに比べメタンを生成するためにCO2の排出量が少なくなることやエネルギー消費量が少ないこと、さらに、排水中の有機物をメタンガスに変換して重油代替として利用できることなど多くのメリットがあるが、製紙工場の排水は有機物が低濃度であり、効率的な処理が難しく、導入が進んでいなかった。

東京都が新日石らとバイオディーゼルで共同プロジェクト
 新日本石油、トヨタ自動車、日野自動車および東京都は2月6日、バイオ原料油の水素化処理油(BHD、第2世代バイオディーゼル燃料)の実用化に向けた共同プロジェクトを開始すると発表した。
 先月26日に東京都が立ち上げた「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」の第1弾として、07年度中にBHDを10%混合した軽油を都営バス2台程度の燃料として供給し、温暖化対策の有効性を確認する。
 BHDはトヨタと新日石が05年から水素化処理技術を開発してきた。プロジェクトでは都営バスによるデモ走行のほか、トヨタと日野がディーゼル燃料としての環境性能を確認する。また国内での供給体制も検討する。
 一方、都は今回のプロジェクトと併せ、すぐに使える第1世代バイオディーゼル燃料(FAME))を5%混合した軽油を順次、07年度から都営バスに導入してい。

横浜ゴム工場でコージェネが稼働開始
 横浜ゴムはタイヤ生産の主力工場である新城工場(愛知県)で、1月から天然ガスを燃料とするガスタービンコージェネシステムを稼働させたと発表した。
 出力は7230kWで、ガスタービン発電設備には吸気冷却装置を、排ガスボイラーには追い焚き装置を採用し発電効率33%、総合効率87%を見込む。また、コージェネシステム稼働前に比べて22%のCO2排出量削減を計画している。
 すでに平塚製造所、三島工場、三重工場にコージェネシステムを導入済みで、今回の新城工場への導入で、国内タイヤ生産の主力工場への導入を完了した。
 同社はCO2排出量を06年度は90年比8%、10年までに同12%以上削減することを目標としている。新城工場のコージェネが稼働したことで、06年度の目標値の達成が可能になった。

RPS小委が報告書案−グリーン電力証書など制度枠外で新エネ活性化提言
 RPS法小委員会は2月6日、第6回の会合を開き、14年度までの次期義務量(目標量)について、前回の議論通りに最終年度の義務量を160億kWhとし、11年度から毎年9.5億kWhずつ増加させるとする報告書案をまとめた。太陽光発電についても骨子案で示された内容のままで、発電量を2倍にカウントできることも盛り込まれている。
 前回骨子案から政府の取組部分の加筆があり、@グリーン電力証書の活用を含む国民全体での取組の推進A風力発電の更なる普及のための施策B太陽光発電のコスト削減のための技術開発及び発電量評価手法の確立の3項目が「特に、当面、確実に取り組む」べき課題として盛り込まれた。
 グリーン電力証書の推進時ついては、民間での取組ではあるものの、「RPS法等の政府の枠組みでは支援が困難な発電に対する柔軟な支援」であり、RPS法との関係を整理しつつ、官民一体となって検討する必要があると位置づけられた。
 風力発電の普及施策については、蓄電池併設などの出力安定措置の助成策の充実など従来の支援措置に加え、系統連系対策を検討するため対策小委員会を再開させることや風力発電設備本体に対する助成支援の継続、一層の充実、また野生生物保護や景観問題への対応を進める必要性などがあげられている。
 太陽光発電のコスト削減対策としては、政府として引き続き新規技術開発を推進することや太陽光発電の発電量の評価手法を改め、従来単一の設置条件での発電出力により表示されていたものを温度や日射量などの異なる設置環境下でも発電量の推定が行える評価手法に改めるための研究開発を行うこととし、09年度を目途に標準化に向けた評価技術の確立が目指される。
 また、RPS法の枠外の事項として、新エネ設備の導入コストの削減対策を新エネルギー事業者に求めるとともに、次々期義務量の設定時には「市場メカニズムを活用し導入コストを低減しながら新エネルギーの普及拡大を行っていく」というRPS法本来の趣旨に沿うよう求めるなど次期検討にも注文をつけた。また、熱利用部門についても「エネルギーセクター間の公平性に充分留意しつつ」取組が行われるよう政府としても最大限の努力を行うべきであるとの意見も注記されている。

その他の主な記事
出光とコロナが量産タイプの改質器開発
・三菱ガス化学らDME製造会社を設立
・目標達成関連予算は2.7%増
・バイオマス関連予算は36%増
・シャープが欧州で太陽電池モジュールを増産
・デンヨーが新型エンジン溶接機
・富士経済が環境関連分野の調査レポート
・大阪ガスが託送約款届け出
・06年度優秀省エネ機器表彰式
・名古屋の水素エネフォーラム
・官公庁の蓄熱セミナー
・水素安全教育実態調査委託先は岩谷瓦斯
・関東バイオマスシンポ開催
・高効率エネとBEMS支援募集、説明会7地区で
・エネ使用合理化技術戦略的開発募集
・宮城県ESCO導入方針
・千葉市ESCO導入
・仙台市給食CPFI
・豊洲新市場PFI
・都立精神医療センターPFI
・神奈川県立がんセンターPFI
・横浜瀬谷区PFI
・清水駅前PFI
・豊橋市保健所PFI
・伏見区総合庁舎PFI
・堺市廃棄物PFI
・下関武道館PFI
・那覇空港管理棟PFI  etc.
             
燃料電池新聞の主な記事
・バルチラが燃料電池で日本市場参入
・燃料電池自動車の展望
・FCEXPOの会場レポート
・NEDOが水素貯蔵材プロジェクトの概要を公表
・燃料電池フラッシュニュース
 -京セラと大ガスが高効率の家庭用SOFC
 -電中研と産総研が銀ナノ粒子の分散塗布技術を開発
 -フォードがプラグイン燃料電池ハイブリッド車を発表
 - NEFがFC大規模実証の成果発表
・季節風<寒風に咲く水仙の花>
  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へN<エネルギー政策への問いかけ>
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞<ESCO事業@>
   
コラム
・発電論評<バイオマス燃料の発電用への展開は>
・プリズム<相次ぐガス事故で信頼性の回復を>
・ちょっと一休み<ナチスドイツを思い出した夜>
・青空<異常の常態化を愁う


バイオマス燃料の発電用への展開は【発電論評】

 今年の冬は記録的な暖冬で、地球温暖化の影響を身をもって感じられるということなのだろうか、温暖化防止の話題が急激に膨らんでいる。そうした背景もあってか、エネルギーの世界でも話題や関心は温暖化対策に集中している。温暖化の原因はCO2増加にありということで、つまりはCO2抑制対策に集中している。
 今年は、京都議定書の第1約束期間入りを1年後に控える重要な年にあたり、政府の京都議定書目標達成計画の見直しの年にも当たるということで、全産業に対して有効なCO2排出抑制策を講ずるための方策が講ぜられる。今年度から改正省エネ法、温対法が施行され、温室効果ガスの業種別、事業所別の排出状況の把握がすでに始まっており、業種ごとの省エネ、省CO2の取り組み状況を可視化する方策が講ぜられている。
 CO2排出原単位を20%低減することを目標にしている電力業界の取り組みは、原子力発電の稼働率の向上を中心に達成されるということになっている。製造業の取り組みは、エネルギー利用効率の向上と天然ガスなどのCO2排出量の少ない燃料への転換などが中心となる。
 こうした中で、最近急速に注目が集まっているのは、バイオマスである。バイオマスは食品残渣や畜産排泄物、建築廃材、間伐材などの有機性の廃棄物などから生成されるほか、資源作物として製造された穀物などからも生成される。環境負荷の少ない石油代替燃料として注目され、温暖化対策の切り札として世界的な注目を集めるようになってきた。
 日本でも、すでにバイオマス・ニッポンが戦力として掲げられ、国内300カ所を目標にしてバイオマスタウン構想が進められている。バイオマスのエネルギー利用は、メタン発酵などによるガス化や液化のほか、木質チップなどによる直接燃焼など、幅広い活用法で対応される。
 最近の話題は、E3やETBE、バイオディーゼルなどの自動車用燃料としての活用が本格的に始まろうとしていることで、CO2抑制がなかなか進まなかった運輸分野でのCO2抑制策として期待感が高まっている。
 発電用燃料としてのバイオマスの利用は、自動車用ほどにはまだ進んでいない。先進的なESCO事業者などが、ようやくバイオマス発電所の建設を始めたり、自家用発電設備メーカーや事業者が、バイオマスタウンなどで実証設備を建設し、実用化への取り組みを開始している。
 資源の集中度が低いバイオマス資源をエネルギーとして活用するには、高効率の分散型エネルギーシステムをいかに有効に活用するかがポイントになる。そうした視点での技術開発を政策的に取り組む必要がある。