2007年115日号

エネ対策特会は374億円の減額
 07年度政府予算案が12月25日に閣議決定され、従来の電源開発促進対策特別会計(電源特会)と、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油特会)を統合してできる「エネルギー対策特別会計」(仮称)は、06年度当初予算比374億円減額の9441億円(経済産業省分は455億円減の7621億円)となった。
 経産省分が大幅な減額となる中、同省では「新・国家エネルギー戦略」関連の施策に予算を重点配分し、原子力立国計画を始め、省エネルギーフロントランナー計画、新エネルギーイノベーション計画、資源の安定供給確保などを強力に進めていく。
 省エネ・新エネ分野では、06年度比で減額となったものの技術開発全般では、いずれも約500億円(省エネ502億円、新エネ508億円)を確保。このほか省エネ分野では、高効率ガスエンジン給湯器など住宅・建築物への省エネ機器の導入で242億円、産業・運輸部門への省エネ設備の導入で286億円と、産業、民生、運輸の各分野で補助金などの予算が認められた。
 また新エネ分野では、太陽光、風力発電の出力安定化やハイブリッド自動車、電気自動車を普及させるための蓄電システムの技術開発と、風力発電施設への同システムの併設に対して補助金を交付するための予算が、06年度の約3倍となる76億円認められている。燃料電池や水素関連の技術開発と導入促進でも324億円を確保した。
 一方、運輸エネルギーの次世代化計画では06年度の518億円から581億円に増額。石油連盟などが試験販売を開始するETBEなどの流通実証や製造支援に102億円、GTLの実証研究に69億円を充てる。
 このほか、CO2冷媒ヒートポンプ給湯器への導入補助を含む電力負荷平準化、分散型電源が大量に連系された場合の系統安定化対策関連も06年度の303億円から336億円に伸びた。


環境省エネ特会分は42%増
 07年度政府予算案で、環境省は地球温暖化防止対策などに用いる石油特会枠として、前年度比41.6%増の337億円を計上した。主な内容は、バイオエタノール等のバイオマスの導入加速、「」自然資本百年の国造り構想」を踏まえた持続可能な都市作り、「ソーラー大作戦」の更なる展開による温暖化対策の推進の3テーマをあげてCO2の排出抑制を中心とした温暖化対策を推進する。
 バイオマスの導入加速については、輸送用燃料の供給確保と流通環境の整備、E10対応の促進や廃棄物処理など地域に即したバイオマス利用技術等の戦略的開発などを重点として、エネ燃料実用化地域システムの実証事業に27億8千万円(新規)、エコ燃料利用促進補助事業8億円)新規、地球温暖化対策技術開発33億200万円(21.6%増)、廃棄物処理施設の温暖化対策事業21億1700万円(40.7%増)などを計上。
 持続可能な都市づくりでは、ヒートアイランド対策として中枢街区における屋上緑化や壁面緑化などの推進や省CO2型の集約型の都市構造の構築などを重点課題として、クールシティ中枢街区のパイロット事業7億円、省CO2型都市づくりののための面的対策推進事業2億5千万円を措置した。
 太陽光発電システムの大規模な普及を支援する「ソーラー大作戦」としては、昨年度に引き続き予算規模を拡大して、地域ぐるみの太陽光発電システムの導入促進、大規模太陽光発電による電力の地域共同利用など点から面への導入支援の拡大を目指すとともに学校を核とした地域モデルとなる省エネや代エネ施設の整備・改修、アジア地域でのCDM事業としての可能性の検討などを主な政策課題として、メガワットソーラー共同利用モデル事業10億3500万円(24.7%増)、学校エコ改修事業18億円(20.0%増)などを計画している。


10年後の東京ビジョンを策定
 東京都は12月22日、都市インフラの整備のほか環境、安全、文化、観光、産業などの分野でより高いレベルの成長を遂げていくためのビジョン「10年後の東京〜東京が変わる」を策定した。
 3選を目指す石原慎太郎知事が2016年のオリンピック招致を視野に入れ、今後の政策目標などを示したもので、@水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活A3環状道路による東京の再生B世界で最も環境負荷の少ない都市の実現−など10年後に向けた8つの目標を掲げた。
 このうち「世界で最も環境負荷の少ない都市の実現」では、分散型電源の普及や下水処理、廃棄物焼却による排熱利用など東京の特性を踏まえたエネルギー戦略を展開するほか、「地球温暖化対策推進基金」を創設し、これを財源として2020年までに、00年比25%のCO2削減を目指すとしている。
 具体的には、世界最高水準の省エネ設備の導入誘導を始め、都市づくりと連動したヒートポンプやコージェネの積極的導入の支援、都バスへのバイオディーゼル燃料の導入、100万`h規模の太陽光発電など再生可能エネルギーの導入、地産地消型バイオマス発電の推進、グリーン電力証書システムやESCOの普及などを挙げている。
 また、ヒートアイランド現象の緩和や空調負荷の軽減によるエネルギー消費減に向けて、都市の緑を1千ヘクタール新たに創出するほか、無電柱化エリアも倍増する。

電力取引の指針を改定
 公正取引委員会と経済産業省は、自由化市場での電気事業者の行為などを規制するガイドラインとして定めている「適正な電力取引の指針」の改訂を行い12月21日付で公表した。主な改訂箇所は、前回改訂後取引市場が開設された卸電力取引所における独占禁止法や電気維持業法上の問題となる行為についての記述を行ったこと。自家発の余剰電力など電力の卸売りを行う自家発卸事業者の取引市場への参加を妨げるおそれのある@自家発補給契約の解除・不当な変更A需給調整契約の解除・不当な変更B余剰電力購入契約の解除・不当な変更C卸供給契約の解除・不当な変更などを独占禁止法に触れるおそれがあるとされた。
 また、PPSなどの新規参入事業者が一般電力事業者から販売電力の一部を購入する常時バックアップについて、従来指針では「望ましい」行為として記述されていたものについては、常時バックアップの機能は本来的には取引市場に移管するべきという考え方に基づいて削除された。これについては常時バックアップは依然として一般電気事業者以外には見いだすことが困難な状態が続いているとして、常時バックアップの拒否は「問題となる行為」としての位置づけることについては変更がないとされている。
 改訂指針は、昨年10月に改訂原案を公表しパブリックコメントの手続きを経て、原案どうり改訂された。

CDM/JI支援事業3件決まる
 NEDOは、06年度「CDM/JI実施支援事業」の助成金交付先3件を決めた。
 京都メカニズムであるCDM(クリーン開発メカニズム)とJI(共同実施)を活用した温室効果ガスの削減に貢献する技術の海外への導入や実用化開発事業を行う企業に対し、NEDOが必要経費の2分の1以内を補助する。事業を行う企業と概要は次の通り。
 ▼中国電力=インドネシアで小水力発電(約3千kW)を開発、建設▼農業技術マーケティング(千葉県市川市)=マレーシアでパームやし焚きバイオマス発電所(1万1500kW)を建設▼清水建設=グルジアの廃棄物埋め立て処分場で発生するメタンガスを回収、燃料にして発電を行う。

東ガスが託そう料金改定を届け出
 東京ガスは12月28日、託送供給約款(小売り託送)などの変更を経済産業大臣に届け出た。4月以降、年間契約ガス使用量で10万以上50万立方m未満の需要家が新たに自由化対象となることから、この自由化範囲の拡大に対応した。主な変更点は@低圧託送料金の新設A簡易な計量方法の導入B空調需要家向け選択的託送料金の新設−の3点で、4月1日から実施する。
 自由化範囲拡大に伴って、低圧導管から供給を受ける需要家が増加することから、低圧託送料金として「東京地区他」では1立方mあたり2.44円、「甲府地区」では同1.79円、「群馬地区」では同0.96円、それぞれ中圧導管までを利用する場合の託送料金の従量料金単価に加算する。
 この結果、東京地区他での標準託送供給料金(1種)は、基本料金が定額で月額17万9700円、流量で同786.70円/立方m、これに中圧導管利用の従量料金単価2.82円/立方mと低圧導管利用の従量料金単価2.44円/立方mとなる。
 また契約年間託送供給量について、計画値を実際の送出量と見なす簡易計量方法を導入したのを始め、東京地区他では導管利用形態の多様化を踏まえ、「空調用高倍率小売り託送供給料金」(基本料金月額6万4800円、流量同1400円/立方m、従量料金単価4.02円/立方m、低圧従量料金単価1.30円/立方m)を新設した。

その他の記事
バイオ燃料でシンポジウム
・大阪ガスグループのLPG事業を再編・統合
・規制改革第3次答申で電力・ガスの全面自由化を提言
・三菱総研が荷主.com
・国交省07年度の官庁営繕予算
・06年度第4四半期発注予定営繕工事
・荏原がバイオマス施設を受注
・川重がオンサイト事業用GTコージェネを受注
・リチウムイオン電池技術開発、エネ工研へ
・チッソなど太陽電池用ポリシリコンで新会社  etc.
           
特報記事
・重機・造船各社が競う大型ガスエンジンの開発
 昨年末、三井造船とダイハツディーゼルが大型のガスエンジンを07年度から市場投入すると発表した。発電効率46%を実現したガスエンジンで、5機種で2800〜8100kWまでをカバーする。その他、昨年はJFEエンジニアリング、川崎重工業も大型ガスエンジンの開発を終え、07年度からの市場投入に備えることを明らかにした。JFEエンジが発電効率46%を実現した7200kW級と9600kW級の2機種を、川崎重工は発電効率48%を狙った5千〜7800kW級までの4機種を投入するという。燃料となる天然ガスの供給不足がささやかれる中で、カタールなどでLNGプラントが稼働を開始する08年以降には天然ガスの供給力は増加すると見られており、各社は08年に照準を合わせた拡販を図ろうとしている。先行する三菱重工やバルチラと提携する日立造船も交えて、活発化する発電用大型ガスエンジン市場を展望した。(詳細は本紙で)

燃料電池新聞の主な記事
・開幕迫るFCEXPO2007の概要
・07年の燃料電池開発の市場展望
・NEDOプロジェクト歴史と概要
・燃料電池ニュースフラッシュ
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産総研がビタミンC燃料のPEFC開発に目途
 - 米社が使い捨て燃料電池で安全マークを取得
 - バラード社が電動駆動部門を独シーメンスに売却
 - プラグインハイブリッド車をGMとフォードが公開
・燃料電池インフォメーション
・季節風<正月の風に舞う凧>  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へK<ネットワークの価値−マイクログリッドへの期待と可能性>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・発電論評<電力自由化拡大の検討課題>
・プリズム<モーターショーに見るリチウムイオン電池の開発状況>
・ちょっと一休み<感じの世界に浸る>
・青空<参院選の年の賀詞交歓会の風景


電力自由化拡大の検討課題【発電論評】

 今年の重要なエネルギーに関する政策課題として、自由化拡大に向けた検討がある。最近ではすっかりと色あせた感がある自由化問題ではあるが、自由化の最終ステージとして家庭用まで含めた小売市場の完全自由化に向けた議論が行われることになっている。
 現在は高圧需要家である50kW以上について自由化の対象となっているが、自由化の成果といえるものは目立ったものがなく、新規参入事業者数こそ数十社に上っているが、販売電力量では市場の1%程度にすぎない。自由化の成果が市場内で乏しいままに、対象が拡大されても、得られる結果に大きな変化は期待できないということで、今回の議論再会も大きな話題となっていないのが現状のようだ。拡大によって果たして何が獲得できるのかということがはっきりとは見えてこないということに問題の本質が隠れているような気がする。
 これまでの自由化の成果として語られるのは電力料金が引き下げられたことだが、そもそも自由化の最大の目的は市場を適切な競争環境下に置くということにあるはずだが、参入1%という現実が、これまでの自由化政策の行き詰まりを如実に表している。現実を素直に受け止めれば、今後の議論が単に対象範囲の拡大に終始してはならないということは明白だ。
 これまでの自由化政策が成果に乏しかった最大の原因は、従来の地域独占形態の電力会社を残したままで、新規参入のみを認めるという中途半端な形がとられたからに他ならない。自由化以前の電力供給市場はは公共インフラである電力ネットワークを全国にあまねくカバーして必要な電力需要に応えるということを目的に特別会計を制度化して国費を投入しながら電力事業者と一体となって電力供給システムを形成してきた。電源設備は各地域、各電力会社ごとの供給計画の中で厳密に管理され、国と共同作業の下で数年ごとに策定された供給計画に基づく電源開発計画によって必要最低限の電源設備が整備されてきた。
 自由化後も、電力事業者が総需要をまかなうだけの電源を囲い込んだままで、このため、新規参入者は新たに電源設備を自ら整備することから始めなければならなかった。その結果が実績1%ということなのであれば、当然、次の検討課題の中に、それを解消するための方策が講ぜられなければならない。
 その中には、当然発送電分離や原発の所有、運用問題などの電力供給全般にわたる根本的な問題についても議論の対象とされるべきだ。例えば原発は国の管理の基で安全に配慮した管理を行い、RPS的な利用義務制度を講ずればPPSのCO2抑制対策にも資することになる。真剣な議論を期待したい。