2007年 新年特集号
2006年12月25日 2007年1月5日 合併号


日中省エネ・環境ビジネス協議会が設立 省エネ技術で中国と連携
 環境・エネルギーを中心とした中国ビジネスと「戦略的互恵関係」を目指す目的で設立した日本企業の団体「日中省エネルギー・環境ビジネス推進協議会」(略称JC―BASE)の設立総会が12月21日、東京都千代田区の霞が関東京会館で開かれ、会員220社が出席した。
 設立総会では会長に日中経済協会会長の千速晃新日本製鉄会長を、副会長に省エネルギーセンター会長の南直哉東京電力顧問と日中経済協会副会長の藤村宏幸荏原製作所名誉会長を選んだ。来賓として出席した甘利明経済産業大臣は「中国での省エネ・環境問題に民間レベルで積極的に協力することが重要になってきている。政府も連携を取り、支援したい」と祝辞を述べた。
 千速会長は「中国と協力関係を築くには、日本の産業界が情報を共有し、意見を集約する場が不可欠だ」とあいさつ、次いで南副会長も「いま著しい経済発展を遂げエネルギー消費が拡大している中国と、省エネに関して世界一の技術を持つわが国が協力することは地球温暖化防止のためにも大変重要なことだ。日中互恵関係で推進したい」と述べた。このあと藤村副会長が「循環型社会を構築するために基盤整備を担うという意味からも、この協議会の役割は大きい」と役割の重さを語った。
 JC―BASEの設立は昨年5月に東京で開催された「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」で形成された共通認識と期待を具体化したもので、今年は第2回目を中国で開催する予定。


大阪ガスと双日が和歌山で風力発電事業
 大阪ガスは双日と共同で、和歌山県で08年4月から風力発電事業を開始する。発電容量は1万6千kWで、三菱重工業製1千kWの発電設備を16基建設する。大ガスにとって高知県の葉山風力発電所(2万kW)に次いで国内2件目の風力発電事業となる。
 大ガス100%出資子会社のガスアンドパワーインベストメントが51%、双日が49%出資して事業会社「広川明神山風力発電所」(大阪市中央区、資本金4億9千万円)を設立した。12月11日に和歌山県から林地開発の認可を受けたことで建設工事を開始した。建設地は広川町と由良町にまたがる地域。発電した電力は大ガスも出資する関連会社エネットを通じて小売りする計画。
 大ガスは現在、泉北天然ガス発電所(大阪府堺市・高石市、110万kW)を建設中で、09年4月から順次稼働する予定。10年には電力事業においてIPP(独立発電事業)を含む国内自社電源約180万kWの事業規模を掲げている。


日比谷総合設備が温泉水からバイオガスを回収 コージェネで利用
 温泉から得られる水溶性の「天然ガス」を燃料としたガスエンジンコージェネレーションを銭湯に導入するという、全国でもめずらしい取り組みが千葉県柏市のスーパー銭湯「極楽湯・柏店」で採用され、3月の完成を目指し工事が進められ話題になっている。
 このシステムを提案したのは旧電電公社グループの日比谷総合設備(木村信也社長)。極楽湯ではこれまでLPガスコージェネを導入していたが、3年を経過し設備の更新時期を迎えたため、温泉水の副産物として大気放出されていた天然ガス(主成分はメタンガス)に着目、エネルギー源として活用することにしたもので、施設の省エネルギーと温室効果ガス排出削減に有効であるとしている。
 システムは、ヤンマー製の10kW級ガスエンジンコージェネ「ジェネライト」で天然ガスを燃焼し、発生した電力は施設の消費電力量削減に、熱(温水)は浴槽の昇温に用いる仕組み。極楽湯の場合、電力約10kW、温水の熱エネルギー約18kWの供給を行い、施設全体の年間消費エネルギー量の約5%、温室効果ガス年間排出量の約19%を削減する見込み。
 同社は、小規模での天然ガス有効利用を比較的低価格で実現できたため、全国に分布している鉱床を活用し、今後も温泉施設への導入を進めたいとしている(技術研究所横山計三所長)。環境性だけでなく省エネ性も高く、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の06年度エネルギー使用合理化事業者支援事業として受託されている。

新日石らが水島コンビナートに残渣油発電 09年度から
 新日本石油と旭化成ケミカルズ、日本ゼオンは岡山県倉敷市の水島コンビナートで、石油残さを発電燃料として有効利用する事業を09年度から開始する。
 新日石の水島製油所に溶剤脱れき装置を設置し、アスファルトなど重質油から、付加価値の高い灯油や軽油などの軽質油を抽出。その際に発生する石油残さを旭化成と日本ゼオンに販売する。
 2社は同残さを新設する発電用ボイラー(出力5万kW)の燃料に使用。ボイラー燃料として使用していた重油の使用量が減ることで、年10億〜20億円のコスト削減が見込める。一方、新日石も需要が減退している重質油の生産量を抑えることができる。
 NEDOの06年度エネルギー使用合理化事業者支援事業の採択プロジェクト。

その他の記事
経団連、自主行動計画フォローアップ
・経産省、次世代燃料イニシアティブ
・戸田建設、風力で新工法
・エネ合理化2次交付先決定
・民生部門モデルと地域新エネ2次決まる
・三菱重工がチリから石炭火力受注
・ロールスロイスがトレントGTを受注
・デンセイラムダがリチウムイオン電池搭載UPS発売
・エネサーブが希望退職者を募集
・3商社がLPG事業を統合
・新日石・八戸LNG基地が試運転開始
・巨化CDM事業で1回目のCDR発行
・オーバルがガス計測用流量計を発売
・三菱重工とDUが業務提携
・劇団四季が太陽光発電導入  etc.
           
新年特集
・新年のエネルギー至上の課題について(柏木孝夫東京農工大学大学院教授)
・関係官公庁・団体・企業の新年の取組
(資源エネルギー庁 環境省 NEDO 新エネルギー財団 省エネルギーセンター LPG振興センター 日本ガス協会 日本コージェネレーションセンター 日本風力発電協会 都市環境エネルギー協会 日本電設工業協会 エネルギーアドバンス 東邦ガス ヤンマーエネルギーシステム 川崎重工業 ハタノシステム 三和システム  順不同 etc.)
 
シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へJ<需要変動に対応できるシステム構成>
・建築計画・工事ニュース
   
コラム
・プリズム<新年早々くらい話で恐縮だが>
・ちょっと一休み<大石泰彦先生の昔話を楽しむ>
・高性能断熱材マイクロサーム<鉄鋼用レードルの永久断熱>
・青空<新年が明けたが


「創」エネルギーの時代へ向かう【新年の分散型エネ市場展望】

 06年は分散型の市場が大きく変化した年だった。原油価格の高騰を背景に、自家発やオンサイト発電などの燃料費の高騰が長期化する中で、コスト問題からオンサイト発電の停止や自家発の停止などが相次ぎ、電力価格の引き下げのカウンターパートとしての自家発、オンサイト市場は大幅な縮小撤退を余儀なくされた。電力料金コスト削減の切り札的アイテムとして一世を風靡したオンサイト発電サービス事業は、その役割を終えたかのように見える。
 しかしながら、オンサイト発電サービス事業が切り開いた「自家発電設備を販売する事業から、オンサイト電源設備を使用して電力供給サービスを行う」という新たなビジネスモデルの提案が、今ではオンサイト型の総合エネルギーサービスとして、熱電併給やその他のユーティリティーサービスを加えた事業へと進化してきている。
 京都議定書の第1約束期間の開始を目前に控えて、各事業体ごとにますます環境対策の強化策が講ぜられることが予想され、CO2排出負荷のより少ない天然ガス系燃料やバイオマス系燃料への転換が進められることになる。
 この面で一つの懸念材料になるのが天然ガスの供給不足問題である。現在、特に西日本地区を中心に原料ガスの調達が困難になってきているといわれ、天然ガスへの燃料転換を進める工場などでの原料ガス不足の問題が顕在化してきている。こうした中で、サハリン2プロジェクトの問題もとりあえず一段落となり将来の供給不安はひとまず回避されたが、事業が計画通りに進展するのか、国内でのガスコージェネの導入にも大きな影響があると思われるだけに注意を払う必要がある。
 新年の課題の一つにバイオマス市場の拡大がある。エネルギー市場は一段と環境対策が求められてくることは必定で、そうした観点から石油代替エネルギーとしてのバイオマスへの期待が高まっている。バイオマス燃料はまず、CO2対策の遅れている乗用車やトラック・バスなどの輸送用燃料への取り組みが本格化しつつある。ガソリンにエタノールを混ぜるE3やETBE燃料、また軽油にエタノールを混ぜるバイオディーゼルなどの利用が法制面での整備も終わり、本格的に始まろうとしている。発電用燃料としてもバイオマスの利用の取り組みが本格化しつつあり、実用プラントの建設がいつどこでどのような形で始まるのか、注目されるところである。
 そのほか新たな動向として注目されるものには、新エネとのコラボレーションやマイクログリッドなどの発展型の地域分散型システムの試みもある。電力料金の低減や石油燃料価格の高止まりなどで新たな市場拡大は困難視されているが、次世代に引き継ぐ高効率で環境性に飛んだエネルギーシステムをどのように構築していくかという取り組みが真摯に進められることを期待したい。
▽新エネルギー
 現在、RPS法の次期義務量の設定作業が進められている。現在10年度を最終年度とする義務量が定められているが、4年ごとに次の8年間の義務量を定める法律に基づき、14年度までの義務量を定める作業が行われている。
 電力事業者の販売電力の一定割合を再生可能な新エネ電力とすることで、国内の新エネ導入の下支えをするという制度の目的は理解されているといえるが、現状の利用目標量の的確性については議論のあるところ。10年度目標が販売電力量の1.35%という現状の目標値がRPS制度の目的に合致しているのかどうか、また、適正な目標量がどの程度のものなのか、再生可能エネルギーの利用や建設を電力事業者だけにゆだねていいのかという問題が提起されている。
 RPS制度の問題として電力事業者側からは@新エネ購入のコスト負担が大きく、さらなるコスト負担は慎重にすべきことA電気だけに義務を課すのではなく熱利用についても同様に扱うべきBCO2対策であれば、CDMなどの方がはるかにコスト負担が軽いことなどが提起されている。これに対して、最終需要家がきちんとコスト負担できるような仕組みを整えることを求める声が電力事業者以外からも起こっている。再生可能エネルギーの利用拡大としてRPS制度の意義は大いに認めながらも、それ以外の対策を求める声が強まっているのが現実。
 新エネの問題としては長期の導入目標がなく、事業計画が立てにくいという問題も提起されている。本年見直しが予定されている長期エネルギー需給見通しの改訂作業の中でこれらがどのように取り込まれるのか、これも注目点の一つになる。
▽自由化
 電力自由化については、本年から家庭用までを含めた完全自由化のあり方について検討が行われる。また、ほぼ3年ごとに行われている長期エネルギー需給見通しの改定の年にも当たる。電力自由化については、自由化拡大を求める声は現在ほとんど聞かれないというのが現状。
 家庭用需要を対象に新規参入を果たすという考えはPPSサイドからも聞かれないし、全く新たな新規参入者が現れるということも考えにくい。また、電力会社側からもこれ以上の自由化拡大を要望する意見もないのが現状であり、これで打ち止めというのがおおかたの見方であるが、形式的に家庭用まで含めた自由化市場の形を整えるということは考えられる。
▽政策展望
 昨年、新・国家エネルギー戦略が策定され、わが国のエネルギー政策は市場原理を導入した自由化拡大路線からエネルギーの安定供給確保セキュリティー重視に大きくかじを切った。
 さらに、新戦略を下敷きにしたエネルギー基本計画の見直しが行われ、原子力発電を中心にエネルギー供給の安定化を進めるとともに、CO2対策も進めるという戦略に大きく政策転換が行われた。本年は、そうしたエネルギー新政策の下で長期エネルギー需給見通しの改定が行われる。
 3年前の現状見通しの策定では、自由化拡大の旗印の下で、ネットワークのぜい弱性を補完し、エネルギーの高度利用を図り、さらに新エネ利用拡大のアイテムとしても利用できる分散型エネルギーシステムの導入拡大が初めて国の政策の一つの柱に据えられたとして大いに盛り上がった。その後分散型エネルギーは、石油需給のひっ迫や資源のピークアウト問題が顕在化する中で急速に影が薄くなり、今回の基本計画では長期的な取組技術や新エネの普及アイテム、天然ガスなどの高度利用技術としての位置づけに役割を大きく後退させることとなった。
 これはエネルギー政策的な支援が後退するということを意味しており、ガスコージェネなどの分散型システムはこうした中、どのように市場性を高めていくか業界全体で受け止めることを余儀なくされる。
 また政策課題としては、前述のRPS法の次期義務量の設定、また、長期にわたる新エネ導入の長期プログラムやロードマップの策定、太陽光発電では打ち切りとなった家庭用システムの補助支援の再開やガスコージェネの補助支援の再開など、充実を求める要望は強い。
 技術開発面では、燃料電池の実用化開発が待たれるところだが、画期的な劣化対応技術やコスト削減についてメドが立っていない現状で、当分の間はこうした課題解決技術の研究開発が続けられることになる。
 その他、都市再生の観点からエネルギーの面的利用の取り組みが始まっており、その進捗も新年の課題の一つとして注目される。
        ◇    ◇    ◇
 新年の分散型市場での変化要因としては大きなものは考えにくい。昨年市場環境の変化から市場を大きく縮小させたオンサイトエネルギーサービス市場をどのように建て直すのか、また石油系に代わるアイテムの開発と、深刻化する環境対策に熱電併給型の分散型システムを普及させ、次世代の環境負荷の少ない「創」エネルギー型システムとしてどのようにモデル形成をしていくのかなど、原点からの取り組みが進められる必要がある。
 省エネルギーから創エネルギーへ、そういう時代の始まりだった。将来07年を振り返ってそういう評価がされることになることを期待したい。