2006年1215日号


三井造船とダイハツディーゼルが高効率大型ガスエンジンを開発
 三井造船とダイハツディーゼルは12月13日、世界最高レベルとなる発電効率46%を達成した大型ガスエンジンを共同開発し、2800〜8100kWまでをカバーする新型ガスエンジンコージェネ「MD36Gシリーズ」として、07年度から本格的に市場投入を開始すると発表した。
 三井造船が大手ガス会社や三井グループ企業を中心に営業を展開、またダイハツは親会社、トヨタ自動車の関連企業を始め、ダイハツ製ディーゼルコージェネ導入企業の代替需要を吸い上げていく。初年度、両社で20台の受注を目指す。
 大型ガスエンジンは、すでに100台以上の納入実績がある「ダイハツDK36ディーゼルエンジン」をベースに開発した。
 先行する三菱重工業の「マッハ30G」や新潟原動機の「AG」といった大型ガスエンジンが、着火時に少量の液体燃料を使う副室式パイロット着火方式を採用。また、フィンランド・バルチラ社製ガスエンジンが、着火用の液体燃料を不要とするプラグ点火方式としているのに対し、MD36Gは着火時に少量の軽油を使うものの、副室を設けない直噴パイロット着火方式としたことで、シンプルなうえプラグ交換などを必要としない長耐久性を実現した。
 開発したガスエンジンはシリンダー径が360mm。シリンダー数6、8、12、16、18の5機種を取りそろえており、2800〜8100kWまでの広範な電力需要に対応できる。来春からの販売を前に、11月から三井造船玉野事業所(岡山県)で、2800kW機(6シリンダー機)を使った実証試験を始めており、三井造船では、千葉県でのガスタービン発電設備を使ったPPS事業に続く、2件目の小売り電源としての活用も視野に入れ実証試験を続ける。
 両社はすでに、800kW級と1100kW級のガスエンジンコージェネ2機種を04年度から市場投入しており、これまでに7台の販売実績がある。


北海道ガス、寒冷地仕様のエコウィルを高効率化
 北海道ガスは、家庭用ガスエンジンコージェネシステムの「エコウィル」で更に高効率化を図った寒冷地仕様の改良型エコウィルを11日、発売を開始した。
 05年6月から販売を開始しているエコウィルの発電効率を、エンジンの圧縮比や発電機・インバーターの損失低減などを見直し、従来の20%から22.5%にアップ。排熱利用も含めた総合熱効率では85.0%から85.5%へと更に向上、1次エネルギー消費量が約1%、CO2削減量は2%低減させた。
 また、環境への貢献度や毎日のエネルギー使用量の表示、発電中の電力を上手に使用できるよう知らせる新機能を省エネナビゲーションに追加するなど、更に効率的な仕様が図れるよう工夫している。寒冷地仕様として、排熱利用給湯暖房ユニットが屋内設置タイプのFF式で、新型は内蔵する給湯の補助ボイラー能力を20号(約35kW)から24号(約42kW)へと大型化した。
 新型エコウィルの発電出力は1.0kW、排熱出力は2.8kW。貯湯温度は約70度Cで、タンク容量は150リットル。価格は84万2940円。
 北海道ガスでは、旧型エコウィルを05年に発売以来、約400台の販売実績がある。


電中研が銀ナノ粒子分散付着でSOFCの出力密度を大幅に向上
 電力中央研究所は、産業技術総合研究所と共同で、多孔質セラミックス部材に均一かつ均質に銀ナノ粒子を分散付着させる技術を開発、SOFC(固体酸化型燃料電池)の大幅な出力密度の向上に成功したと発表した。
 酸素を酸素イオンに還元する高い能力と低い電気抵抗を併せ持つ銀のナノ粒子を燃料電池セルの空気極表面に均一に分散付着させることで、従来単セル当たり0.25W/平方cm程度だった出力密度を、その1.8倍の0.45W/平方cmまで大幅に性能向上できることを確認した。
 開発した銀のナノ粒子分散付着技術は、環境性に優れる水系溶剤として、硝酸銀、クエン酸、エチレングリコールの混合溶液を使用する。硝酸銀の水溶液中にクエン酸を混ぜると銀は錯体(分子化合物)化し、その中に多孔質のセラミックスを浸すことで多孔質の内部まで銀錯体が付着する。溶液中のエチレングリコールは、加熱すると銀の錯体をナノサイズの大きさを維持したままで分解・還元させて金属の銀粒子が表面に均質に付着した状態になる。従来の白金などの蒸着に使われているスパッタリング装置などの特別な装置も不用で、銀を付着する対象物にも制限がなく非常に簡単にセラミックス部材に銀粒子を付着することができる。このため、SOFC部材以外の用途でも幅広く応用が可能となる。
 開発した付着技術はNEDOのプロジェクトの一環として開発したもので、電中研と産総研では、今回開発した銀ナノ粒子分散技術を電極や集電対に応用してモジュールの高性能化を進めていく。
 650度C級のSOFCは従来のSOFCの運転温度が800度C程度であったものを低い温度で運転できるもので、作動温度が低いため、急速起動や停止がやりやすくなるほか長寿命化、周辺材料の低コスト化などが図られることからSOFCの実用化を早めるものとして期待されている。

下水汚泥から高効率でメタンとリンを回収、三菱電機が技術開発
 三菱電機は、下水処理場で大量に発生する下水汚泥からメタンガスとリンを高効率で回収できる技術を開発したと発表した。
 開発した処理技術はオゾンとアルカリの相乗効果などによって下水処理の過程で発生する固形物を濃縮した最終沈殿汚泥の溶解率を従来の50%程度から90%以上に高めることができ、500分の1のスケールでのテストプラントで連続処理した結果、メタンガスの回収量が従来比約2倍、リン回収率も約90%以上という高い回収率が得られることを確認している。
 下水汚泥はわが国では年間約4億立方m発生しており、焼却や埋め立てによって処理されているが、下水汚泥の乾燥重量の約80%が有機物であるため、エネルギーとしての回収利用が期待されている。従来の回収型の処理方法として一般的なのは微生物で汚泥を処理しながらメタンガスを回収する嫌気性消火法であるが、現状では下水汚泥の内約50%程度しか回収利用できていないのが現実だった。
 開発した回収技術ではメタン回収率が従来に比べ約2倍、リンの回収率はは汚泥含有量の90%以上という限界値に近い処理性能が得られる。

次期エネルギー基本計画案、部会で基本合意
 総合エネルギー調査会の総合部会が12月6日、開かれ、エネルギー基本計画の改定案について審議した。
 部会では、小委員会がまとめた改定案について、大筋で合意し、原子力の位置づけ強化や、環境対策、京都議定書と次期枠組みの方向性などについて表現を改めること、また、原子力を基幹電源として位置づけることなどを基本認識として一部修正を加えることで承認した。基本計画改定案はこの後、パブリックコメントを経て新年早々にも部会案として取りまとめ新計画として閣議決定される。
 新計画案の見直しのポイントとしてあげられているのは、第1に自立した環境適合的なエネルギー需給構造を実現するため、原子力発電を積極的に推進し新エネルギーの着実な推進を図ること、第2にわが国の重要なエネルギー源である石油等化石燃料の安定供給に向けて資源外交の積極的な展開、強靱なエネルギー企業の育成等戦略的・総合的な取組を強化すること、第3に世界のフロントランナーとして省エネルギー政策の一層の充実・強化を図るとともに、地球温暖化問題に係る実効ある国際的な将来枠組み作りを主導すること、第4に、技術により国内外のエネルギー・環境問題の制約をブレークスルーするため、わが国の優れた技術力の一層の強化及びその戦略的な活用を図ることを中心に、基本計画の見直しを行うことなどとされ、原子力を中心に安定的な電力供給の確保などエネルギーの安定供給とセキュリティーの供給に主眼をおいた内容となっている。
 新エネルギーの導入については引き続き導入拡大を目指すものの、エネルギー源の量的な面からはそれほど大きな期待は置かれていない。また、分散型電源については、従来の電力供給システムの信頼性の向上のアイテムの一つとしての位置づけが削除されるなど大きく比重を軽くさせ、新エネルギーの導入普及や天然ガス需要拡大の推進策、エネルギー需給構造の長期的取組のなかで安定供給を図るインフラとしての位置づけなど大幅に位置づけを後退させている。

その他の記事
第3回RPS法小委員会で経済分析などヒアリング
・北海道が新エネ導入目標を拡大
・ホンダが太陽電池で新会社設立
・自然エネルギー協会が講演会
・ループウィング風車がグッドデザイン賞を受賞
・中部電力がアフリカの地方電化でコンサル業務
・ヤンマーが中間決算、産業用エンジンなどが好調
・バイオマスタウン構想を募集 農水省
・NEDOがインドの石炭灰事業調査委託先を募集
・NEDOが水素安全教育実態調査委託先を募集
・NEDOが住宅・高効率エネシステム導入補助説明会
・中小水力補助先2次分2件決まる
・NEDOがバイオマスエネ地域システム報告会開く
・NEDOがアジア地域でESCO調査
・NEFが2月に中小水力研修会
・1月のJPIセミナー
・NEDOの新エネ・省エネ実施事業の効果調査委託先を募集
・東根市学校給食PFI
・沖縄県ESCO決まる
・岸和田市民病院ESCO
・北大病院ESCO決まる
・葛飾区PFI
・宇都宮市庁舎ESCO
・墨田区体育館PFI
・墨東病院ESCO
・江戸川区ESCO
・広島県東部免許CPFI
・呉市音戸PFI  etc.
           
特別取材記事
・エネルギーアドバンスの新戦略を聞く
 <エネルギーサービスから総合ユーティリティーサービスへ>

燃料電池新聞の主な記事
・FCEXPO IN 大阪開く
・.燃料電池ニュースフラッシュ
 - 日立製作所のナノインプリント技術
 -
舶用水素エンジンを開発
 - 加バラードが米社と2900台のスタック供給契約
 - 米フォード新型燃料電池車を出展
 - 米社が東陶SOFCセルの燃料電池を発売
 - 薄膜材料の改質を効率化
 - BMWが水素自動車の製造開始へ
・電気化学会が電池討論会
・カシオ計算機が携帯機器用燃料電池のサンプル出荷へ
・米国、燃料電池バス開発に4900万ドル
・燃料電池インフォメーション
・.米燃料電池バスプロジェクト
・季節風<冬の放鷹>  etc.

シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へI<分散型を維持するために その2>
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電実務の話題<電力システムその2>
   
コラム
・発電論評<激変の1年を経た分散型エネルギー市場>
・プリズム<原子力立国時代の分散型電源>
・ちょっと一休み<吉沢さんと開高健氏のつきあい>
・青空<現場職人さんたちに会って


激変の1年を経た分散型エネルギー市場【発電論評】

 2006年も押し詰まり、本年最後の新聞になる。今年1年を振り返ってみると、分散型市場にとってはまさに波瀾万丈の1年であったということがいえる。前年からの石油高騰を引きずったまま、常用自家発電型のオンサイトエネルギーサービス事業が行き詰まりを見せ、後発の電力会社系のオンサイトサービス事業がまず事業縮小や撤退を発表、年央にはオンサイトエネルギーサービスのパイオニア企業でシンボル的存在であったエネサーブが事業撤退を発表、市場は一気に後退ムードが高まった。一方で、市場は石油系からガス系へと燃料転換が進む中で、天然ガスを燃料とする大型ガスコージェネが好調さを示す。ガスコージェネは、CO2対策として工場の省エネ、環境投資の一環として導入される例が増えた。市場拡大に合わせて、ガスエンジンの技術開発も活発に行われ、特に5千kWを超える、大型機種で高効率エンジンの開発競争の様相が出てきている。欧州などからの輸入エンジンや三菱重工、新潟原動機が先行した市場に、川崎重工業やダイハツディーゼルが、対抗する大型の高効率エンジン開発を行い市場参入を図ってきた。ガスエンジンの高効率化はめざましいものがあり、高効率エンジンの代名詞であったディーゼルの熱効率を凌駕するような勢いを示している。
 また、環境対策の一環としてバイオマス系燃料の利用に向けての技術開発が盛んに行われてきている。内燃機関やガスタービンのどの原動機は、多様な燃料に対応できるという優れた特徴を有している。こうした、優れた特徴がようやく発揮できる時代環境が整いつつある。
 バイオマス由来の燃料は、低カロリーであったり、燃料の絶対量が不足していたり、それ自体コスト高であったり、そのままでは利用しにくいものが多い。自動車用燃料ではいち早く、ガソリンや軽油に少量混ぜるという方法で利用を始める体制が整えられてきているが、発電用燃料としても従来型の石油系、ガス系燃料にバイオマス燃料を混焼するという形での利用拡大が期待され、各地で試みが始まっている。技術的には目新しいものは余りなく従来技術で十分対応できるものであるが、例えばVOCの燃焼処理など環境対策機器としての新たな市場も出現し始め、従来から進めてきた業界の排ガス処理技術と合わせることで環境対策型発電システムとしての方向の可能性も見えてきたといえる。
 波乱の1年間を経て、エンジン発電を中心としてみる分散型エネルギーの市場は新しい市場開発の準備期間を経て、大きな転換点を迎えている。新たな年に、新たなステージに向かえるか、その真贋が問われることになる。