2006年125日号


日本の風力導入可能量は1180万kW 風力発電協が試算結果
 日本の風力発電のポテンシャルは2030年頃には1180万kWが導入可能であると、日本風力発電協会(森輝幸代表理事)は、同協会がまとめた試算結果を11月29日に開かれた第2回RPS法小委員会(山地憲治委員長)のヒアリングで発表した。
 RPS法に基づく次期利用目標量(義務量)の検討を行っている小委員会は11月29日に第2回の会合を開き、風力発電と太陽光発電、バイオマス発電について関係者からのヒアリングを行い、風力発電については日本風力発電協会の森輝幸代表理事と中村成人委員、太陽光発電については一木修資源総合システム代表取締役社長と富田孝司委員、また、バイオマスについては松村幸彦広島大学大学院助教授と筒見憲三委員から現状と普及導入に向けた課題などについて、それぞれ意見を聞いた。
 風力発電について発表した森代表理事によると、国内の風力発電のポテンシャルは約1020万kW、海上では1060万kWで、合計2080万kW程度のポテンシャルがあるが、系統連系などの制約やこれまでの導入実績などから勘案して、2030年頃には陸上620万kW、洋上560万kW合計1080万kW程度の導入が可能との見通しを示した。このうち、RPS法の次期目標策定の最終年度に当たる2014年には陸上480万kW、洋上14万kW、合計494万kW程度と、現状の3倍以上の導入が可能であるとの見通しを述べた。
 また、太陽光について発表した一木社長は、太陽光は日本やヨーロッパでいずれも政府の導入政策に則る形で普及しており、日本の市場規模は05年には約290万kWに達していること、太陽電池の生産規模では日本メーカーが最大で約半分のシェアがあるが、外国メーカーの参入も盛んで、国内産業の育成の必要性についても触れた。また、太陽光発電システムの価格は現状住宅用で1kW当たり約65万円であり、自律的な普及はまだ困難な状況で、当面はRPSなどの政策支援が必要だが、将来的には新材料や進行増などの技術開発が進めば7万円程度までのコスト削減が可能で、自立できるとの見通しを示した。
 バイオマスについては、松村助教授が、石油などの他の燃料価格の動向などによっては自家発燃料として利用されるケースが多くRPSとの相殺関係にあることやエネルギー価格が上昇すれば未利用バイオマスの活用が進むとの見通しを示した。小委員会は12月13日に第3回の会合を開く。


マイクロガスタービンで揮発性有機化合物を燃焼処理 トヨタタービンらが対応機を開発
 トヨタタービンアンドシステム(TTS)、トヨタ自動車、日本電技、藤森工業の4社は、TTS製300kW級マイクロガスタービン(MGT)コージェネを応用した揮発性有機化合物(VOC)処理システムを開発し「マイクロガスタービンVOC処理システム」として、11月28日から販売を開始した。
 工場などから大気中に放出される酢酸エチル、トルエンといったVOCガスを、MGT内でガス燃料と混焼することで、VOC処理装置を不要とし、その分がコスト削減につながる。VOCは燃焼処理によって約98%除去できるほか、MGTの運転によって285kWの電力と1.7トン時の蒸気も得られる。
 今年4月から改正大気汚染防止法が施行され、VOCの排出規制が始また。塗装、接着、印刷、化学品製造、工業用洗浄など6分野の工場・事業場がVOC排出量が多い施設として指定されたうえで、10年度までに総排出量を00年度(年間150万トン)比で約3割抑制することになっている。
 TTSらは、こうしたVOC規制をMGTの新たな市場と捉え処理システムを開発した。販売を担当するTTSと日本電技は、まず印刷と接着関連工場を中心に営業を開始、順次他のVOC規制対象工場などにも販路を拡大し、年間20台の販売を目指す。システム価格は8千万円。


フィルム型太陽電池の生産を開始 富士電機システムズの熊本工場が完成
 富士電機システムズは11月24日、フィルム型太陽電池の初めての生産拠点である熊本工場(熊本県南関町)がこのほど竣工、同日から生産を開始したと発表した。
 年内に出荷を開始し、07年度から本格操業に入る。07年度は1万2千kWの生産予定だが、09年度には年産4万kWにまで引き上げる。将来的には10万kWまで増強する計画だ。
 国内メーカーで唯一、フィルム型を手がける同社の太陽電池「F WAVE」(エフウエーブ)は、シリコン原料を極力使用しないアモルファスシリコンと、基板にはガラスではなくプラスチックフィルムを採用。発電効率でこそ7〜10%と、単結晶シリコンや多結晶シリコンタイプに劣るものの、厚さは製品段階で1mm弱と薄く、軽量で簡単に曲げられるというメリットがある。
 この特長を活かし住宅などの屋根材用だけでなく、テントや自動販売機、高速道路の防音壁といった新しい分野にも用途を広げていく。すでにこうした分野の国内企業10社以上と開発を進めている。またドイツを中心に欧州からの引き合いも多く、欧州やアジア地域でも拡販する。
 熊本工場は敷地面積約5万4千平方m、建屋面積約1万平方m。従業員は10月末現在で50人。富士電機グループとして九州地区における最初の工場となる。

電力・ガス技術開発に優先順位 エネ庁の検討会が方針
 資源エネルギー庁の電力・ガス技術検討会(事務局・エネルギー総合工学研究所)は11月27日、06年度第1回の会合を開いた。検討会は、世界的なエネルギー需要増大に伴う資源枯渇や地球温暖化と、わが国の社会経済動向などに適切に対応した電力・ガス事業関連の技術開発戦略ロードマップを策定することを目的としている。
 05年度は、分散型電源と系統電力を調和させるための電力系統制御技術や、電力貯蔵といった将来の電力あるいはエネルギーの需給構造を効率よくすることに貢献すると想定される技術開発項目を整理し、それぞれの項目ごとに必要な個別の技術開発テーマを一体化させ、「技術パッケージ」としてまとめていた。
 同日の会合では06年度、こうした技術パッケージごとに@実用化までのコストA開発の難易度B開発目標が達成できた場合の効果−の3点を評価項目として検討結果をデータベース化し、各技術パッケージに開発の優先順位などを付けることを決めた。
 検討会は今年度あと3回の会合でさらに、海外の未活用資源の活用やCO2の分離・回収といった評価項目も付け加え、06年度末には2030年までを見通した技術開発戦略を策定していく。

豪のエネ政策とバイオマスからの燃料製造などテーマにJHIFが第5回会議
 水素エネルギー社会の実現を目指し産・学・官・政の連携の場として設立された日本水素エネルギー産業会議(JHIF)は11月22日、東京・有明の東京ビッグサイトで「第5回会議」を開催した。会議では、再生可能エネルギー利用に積極的に取り組むオーストラリアのより一層の普及拡大に向けた政策の紹介や、バイオマスからの燃料・水素製造に関する技術の説明が行われた。
 開会のあいさつで金田武司・JHIF事務局長=写真=は「水素エネルギー社会構築に向けた前段階として、太陽光や風力、バイオマスなど再生可能エネルギーの地域での導入を考える時代が来た」と、地域での再生可能エネへの取り組みが、水素社会の到来を促進するという見方を示した。
 続いて行われた講演では、豪クレイトン・ユッツ法律事務所の加納寛之弁護士が、同国で01年に立法化された「再生可能エネルギー強制目標制度」を紹介。同制度において、電力供給事業者に、2010年度までに累計で9500GW時の再生可能エネによる発電所を新設する法的義務を課すとされたことについて、「世界初のユニークな法律である」と評価した。ただこれにより、再生可能エネの急速な拡大が期待できるものの、2020年までの時限立法のため、逆に20年度以降は普及が停滞してしまう懸念があるとした。
 また、東京工業大学大学院の吉川邦夫教授は、生ゴミや産業廃棄物などのバイオマスからガス燃料や水素を製造する熱処理技術について説明。この中で、含水率が高いバイオマスは取り出せる熱量が少ないが、高温水蒸気で加熱処理を行えば臭気低減、滅菌が可能な上、少ないエネルギーで破砕・乾燥させることが可能であるとして、「このような技術を活用し、民間でバイオマス事業を成り立たせなければ頭打ちになる」と、技術開発促進の必要性を強調した。

新エネ大賞は大臣賞、長官賞とも風力に 新エネシンポで表彰式
 新エネルギー財団は06年度「新エネ大賞」を決め11月27日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催した新エネルギーシンポジウムで表彰式を行った。
 経済産業大臣賞には櫻井技研工業の「風力発電タワー用メンテナンス装置」が、また資源エネルギー庁長官省には富士重工業の「ダウンウインド型風力発電システム」が選ばれるなど、9件が受賞した。
 大臣賞に輝いたメンテナンス装置は、風車タワーの外周にラックレールを固定し、レールに取り付けた昇降機でメンテナンス作業を行える分解型構造が特長。従来の大型クレーンや重機を使ったメンテナンス作業に比べ、運搬しやすく、強風にも耐えられるといった作業性の向上などが期待され、受賞した。
 また長官省の風車は、ブレード(羽根)などが分割して運搬できることで、山岳地でも2MW級の大型風車が建設でき、さらに日本初のダウンウインド形式の採用で、丘陵地などでの出力増強が図れる点が評価された。
 一方、新エネルギー財団会長賞には優秀サービス部門として、地方自治体の小水力発電開発を、設計から運転保守までワンストップで請け負うビジネスを実現する東京発電の「マイクロ水力発電システム」が、そうしたビジネスモデルの開発と合わせ受賞した。
 会長賞にはこのほか導入部門として▼日本初の漁港内風力漁港内風力発電施設(波崎漁業協同組合)▼国内最大級の鶏ふん燃料バイオマス発電所(みやざきバイオマスリサイクル)▼小水力市民発電所(山梨県都留市)が、普及啓発部門として▼新エネ導入社屋「エコオフィス」の体験型普及啓発活動(豊国工業)▼大学内での新エネルギー導入による普及啓発活動(フェリス女学院大学)の5件が選ばれている。
 ほかに、クリーンエネルギーライフクラブが行う太陽光発電システム導入後のデータ収集・分析によるメーカーとの情報交換活動が審査委員長特別賞を受賞した。

その他の記事
製造業環境エネ展を開催分散型システムも展示
・四国電力が風力を追加募集
・07年度の目達計画関連予算の概要まとめ
・資源エネ庁、BDFで説明会
・FCEXPOIN大阪開く
・全銀協が電力使用量で目標値設定
・ホンダがオール電化対応の発電機
・ループウィングが風力発電キットを販売
・高性能断熱材のマイクロサーム
・横河電機がエネ管理システムを開発
・森永乳業神戸工場が自然エネを積極採用
・関西電力らが安価な遠隔監視集中管理システム
・タクマが欧州で廃棄物発電プラントなど連続受注
・JFEがヒートアイランド対策用保水ブロックを開発
・10月末のRPS記録量と認定設備
・CO2分離・回収技術など調査委託先募集
・アジア諸国のバイオマスエネ調査報告会
・太陽光国際共同開発委託先を募集  etc.
           
シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へH<分散型を維持するために>
・建築計画・工事ニュース
 
コラム
・発電論評<オール電化住宅に非常電源を備える>
・プリズム<活発化するリチウムイオン電池開発の可能性>
・ちょっと一休<日比谷高校時代の天野君を偲ぶ会>
・青空<福岡を訪ねて


オール電化住宅に非常用電源を備える【発電論評】

 オール電化住宅が何かと話題を集めている。電力会社の膨大なCM出稿もあって目にする機会も多い。そんな中で、ホンダがオール電化住宅向けの発電機と銘打ってガソリンエンジンのポータブル発電機を発売した。独自開発のインバータを採用し商用電力並み高品質の電力を供給し、しかも単相の100V/200Vの電力が取り出せるということで、オール電化住宅で停電に備える非常用電源として使えるということをアピールしている。
 それで思い出したのが、8月14日朝に発生した東京大停電。電車は止まり、エレベータは動かず、道路信号も停止、現代社会を大混乱に陥れた真夏の出来事だった。その時、人気のオール電化住宅ではどうだったのかについては特段のレポートもないので詳しいことはわからないが、一体オール電化住宅の停電対策はどうなっているのだろうかということに疑問がわいた。現代社会、とりわけ日本では、幸か不幸か停電がほとんどない。このため、電気のない生活など考えたことがない。ましてや停電があることなど考えたことがないというのが現状ではないか。オール電化住宅というものは、「エネルギーは全て電気、しかも電力会社から買う」ということを前提としているものなのだから、停電があれば、エネルギー皆無状況になってしまう。阪神大震災とはいわないが、災害時の停電や事故停電の可能性だって少ないとはいえ、考えられないことではない。でもオール電化住宅に自家発やバッテリーなどの非常電源が備えられているという話はあまり聞いたことがないから、停電があればお手上げなのだろう。阪神大震災などの大規模災害時は、電気だけでなくライフラインが閉ざされ、不自由になるのは仕方がないということが前提で非常時のエネルギー供給のことが考えられていないのか、それとも、はじめから停電することは考慮されていないのか。どちらにしても、オール電化住宅の停電対策というのは発想の盲点をつかれたようで、必要性に着目したメーカーの眼力に感心した。
 オール電化住宅には他のエネルギー手段を持たないという意味で非常用電源の必要性が高いといえるような気がする。ホンダのポータブル発電機は5.5kVAだから、容量的には充分だが、家庭用電源として使用するには、商用系統との遮断や連系が必要で、それはそれで複雑な手続きが必要なので購入してすぐ使えるというわけにはいかないが、オール電化の停電対策という新たな課題提起したことの意味は大きい。停電対策を進めるために非常用電源を設置しようとするオール電化住宅居住者が簡易な手続きで設置できるような連系ガイドラインその他の整備が必要なのではないか。