2006年1125日号


小型、低コストのバイオガス製造装置 日本総研らが開発
 日本総研は、主催するバイオネットコンソーシアムの参加企業と協働で吸着技術法を用いた画期的なガス製造装置を開発し、生ゴミや畜産残渣等の有機性廃棄物からバイオメタンガスの製造に成功したと発表した。
 開発した製造装置は、従来、高価な大型機器を必要としたバイオガス中の硫化水素等の不純物の除去やガス熱量を高めるためのメタンの濃縮を、初期設備投資が大幅に削減できる小型でかつ運転管理も容易な1台の機器で行うことができ、小規模な下水処理場や食品加工工場、畜産農家等でもバイオメタンの製造ができる。
 生ゴミや畜産残渣等の有機性廃棄物はゴミ焼却炉の負担や悪臭などの公害対策の観点から処理の軽減が求められているが、有機性廃棄物を嫌気発酵させて得られるバイオガスは燃焼過程でのCO2がカウントされない「カーボンフリーのバイオマスエネルギー」としてその活用が注目されている。
 装置を開発した日本総研らは、小規模の下水処理場や食品加工場などのガス供給源をネットワーク化し、製造されるガスを都市ガスの性状に近づけることで流通性を向上させ、地域の需要家に流通させる「世界初のガス流通システムの構築」を目指すことにしている。


目標達成計画見直しで産構審と中環審の合同審議がスタート
 京都議定書目標達成計画の見直しに向けた経産省と環境省の合同作業が始まった。現行の政府の目標達成計画は、議定書の発効後初めての国の計画として、削減約束期間直前の07年度に計画の見直しを行うことにしている。今回の見直しはこのスケジュールに則ったもの。計画の実効性をあげることを目的に、経産省と環境省が合同で計画の見直しを行うことにした。
 現行目達計画実施後の05年度の温室効果ガスの排出量は90年比8.1%増となり、現行計画に基づいた削減の取り組みを実施してもCO2排出量がマイナスに向かっていないことから、「目標達成は厳しい」と見る見方が大きな流れとなってしまっているが、今回の見直しによる新計画によって08年度から始まるの約束期間中の削減の実効性が求められることになる。
 初会合となった14日の合同会合では、新計画の策定までのスケジュールを確認、07年度中に新計画を策定することを目標として、今年度中はまず、現状認識を共通化するという意味で、各分野毎の削減計画の取り組み状況などについてのヒアリングを行うこと、新計画の策定はその後07年度に行うことなど審議スケジュールを決めた。
 同日の初会合では、現状のCO2などの温室効果ガスの排出状況について事務局側から説明された。説明によると、産業分野の排出状況は、経団連の自主行動計画の進捗もあって減少傾向にあること、運輸部門、業務部門、家庭部門などでは大幅な増加が見られることなどの報告があり、家庭部門の取り組みとしてはトップランナー方式で省エネ効果の高い機器への買い換えを促進すること、ビルや住宅の省エネ化を進めることなどの対策を進めることなどが提案された。
 これに対して委員側からは、省エネ機器への買い換え促進は、まだ使えるものを廃棄していたずらに廃棄物を増やすことにつながらないようになどの懸念が示された。また、中環審側の委員からは削減計画は待ったなしであり、追加措置として環境税や国内排出権取引など実効性のある追加措置が必要などの対策強化を求める意見が述べられたのに対して、産構審側の委員からは、規制の強化は国内産業の空洞化を招きかねないことや京メカの活用を拡大することなどで対策を進める必要があるのではないかなどの意見が述べられ、「合意が得られない場合は両論併記もあり得る」「極力合同で審議するがケースバイケースで単独審議も考えるべきだ」などと両審議会の溝の深さを改めて示す論争が繰り広げられる場面もあった。


RPS義務量上乗せには反対、電事連会長が見解
 電気事業連合会の勝股恒久会長は、11月17日の定例記者会見で、電事連としてRPS法の義務量の上乗せには反対していく姿勢を明らかにした。会見の中で勝股会長は、新エネの普及促進に電力だけが利用義務を負うRPS法制度は疑問であり、熱利用を含めて公平・公正な負担となるよう求める姿勢を強調するとともに、10年度の利用目標である122億kWの達成も容易ではなく、それ以上の利用目標量の上積みには反対であることを明言した。
 RPSクレジット価格はCDMクレジット価格の5倍以上の高コストであり、地球温暖化防止とエネルギー持久力の向上という新エネ導入の推進目的からは、原子力の推進やCDMクレジットの購入などコスト的に優位な他の手段が取りうること、また、国の定める新エネ導入目標の6割近くを占める熱分野における利用義務の設定がないことなどをその理由としてあげ、RPSありきの議論ではなくバランスのとれた検討を求める姿勢を明らかにした。

石油連盟がエネルギー高度利用促進法の制定求める
 石油連盟の渡文明会長は11月16日の定例記者会見で、改めて石油代エネ法や新エネ法に代わる「エネルギー高度利用促進法」の制定を石油業界として働きかけることを明らかにした。石油代エネ法や新エネ法などで、石油依存度の低減に向けた政策が実行されている中で、エネルギー基本法や新国家エネルギー戦略の制定など、最近まとめられた新たなエネルギー政策を実施する上では、石油を含めたあらゆるエネルギーの潜在的可能性を引き出す法制度に改めるべきだとして、エネルギーのベストミックスを実現するとともにセキュリティーの強化と環境問題への対応を目的とした高度利用促進法の制定を石油業界として求めて行くことにした。
 エネルギーの高度利用の定義としては、「技術開発を通じ、未利用・低利用の資源を有効利用することでエネルギーを創出し、または高品質なエネルギーに転換する」、「技術開発を通じて供給・需要の双方におけるエネルギーの効率的利用を実現できる技術や設備」を想定し、そうしたエネルギーの高度利用技術の開発普及を支援する仕組みをを目指す。具体的には、新法制定によって代エネ法は廃止、新エネ法は再生可能エネルギーの普及促進に特化するものに改正する。来年の新エネ法の改訂作業に合わせ新法の制定に向けて働きかけを強めていく方針。

石油連盟がバイオマス燃料輸入組合を設立へ
 石油連盟は、バイオエタノールとバイオETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)の輸入・供給を共同で行う新組織「バイオマス燃料供給有限責任事業組合」(仮称)を、石連加盟各社の出資で来年1月に設立すると発表した。
 石油業界は京都議定書目標達成計画に盛り込まれたCO2削減対策の一つとして、2010年度にバイオエタノールを原料にしたETBE約80万kl(バイオエタノール約36万kl)を、ガソリン添加剤として7%程度混合させることにしている。これはガソリン需要量の20%に相当する。
 10年度には国内生産に切り替えるものの、それまでは海外から調達することにしており、新組織が輸入業務などを行う。今後、早急に新組織の構成や出資金などを決めていく。

中部電力が管内2地区で風力発電所を建設
 中部電力は、静岡県御前崎市の沿岸部と愛知県豊橋市から静岡県湖西市にかかる沿岸部の2地点で風力発電所を建設すると発表した。
 御前崎市には2千kW×4基、合計8千kWを建設、年間約2千万kWhを発電する計画。豊橋・湖西地区には2千kW×13基、合計2万6千kWの風力発電を建設、年間約6千万kWhの発電量を見込んでいる。両地区とも来年10月に着工し、09年2月の運転開始の予定。RPS義務量の増加などが求められている電力会社が自ら新エネルギーの電源開発を行う例が増えており、風力発電の建設導入が遅れている本州中央部でも、今後、風力開発が活発化することが期待される。

その他の記事
温暖化防止活動で34件を環境大臣表彰
・CO2海底貯留専門委がルール案を審議
・自然エネネットワークがRPS検討委
・川重がインドネシアでGT受注
・シャープが薄膜太陽電池を発売
・有機資源協がバイオマスシンポ開催へ
・NEDOがリチウムイオン電池技術開発調査へ
・NTTFがよさこいメガソーラーを設立
・都が太陽光でバス停を照明
・丸紅、ベトナムから石炭火力受注
・伊藤忠、バイオエタノールで基本合意書締結
・東邦ガス、ガス空調が400万kWに
・伊藤忠が米国で初の天然ガス販売事業を開始
・デンヨーが本社を移転
・電設工業展2007出展者を募集
・エリーパワーにエネサーブらが出資
・規制改革で電力市場の継続改革を盛り込む
・コラボが機器の安全対策強化策を発表
・1月にGTセミナーを開催
・太陽光実証2次研究先決まる
・エネ合理化戦略開発2次も決定
・戸田建設がESCOに参入
・60周年ボイラ大会を開催
・佐賀県がESCO調査委を設置
・西尾市民病院ESC0
・公共建築の日でシンポ開く
・千葉市ESCO調査結果  etc.
           
シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へG<再生可能エネルギー利用に不可欠な分散型>
・建築計画・工事ニュース
 
コラム
・発電論評<待ったなしのCO2対策、切り札は新エネとコージェネ>
・プリズム<APECでのエネルギー安全保障の成果>
・ちょっと一休み<経済学の変化にびっくり>
・青空<「日本ゼロ年の発想」に思う


待ったなしのCO2対策、切り札は新エネとコージェネ【発電論評】

 COP12が閉幕したが、13年以降の次期枠組みについては2年間の先送りとなり、次期枠組みが決まらないままに08年度からの第1約束期間に入ることになった。日本やEUなど排出枠の制約は全世界の排出量の30%程度に過ぎないわけで、議定書の実効性がますます疑われる事態となった。地球規模での取り組みの難しさが改めて感じられることとなったが、とりあえず、目先の削減努力を減じるわけにはいかない。
 CO2などの温室効果ガスの削減は、その大半がエネルギー起源ということもあり、結局は省エネとエネルギーの効率利用、CO2排出が極めて少ない、あるいはカウントされない新エネルギーの利用拡大や原子力の利用拡大ということが現実の対策となる。原子力などの大規模施設は建設までに相当の時間がかかるため、現状から14%余りも削減しなければならない08年度からの約束期間中には間に合いそうもない。立ち直りかけた経済と環境の両立という看板を下ろさないためには、現実的には、国内対策としてはエネルギーの効率利用の実現と新エネルギーの活用促進にかけるしかないということになる。
 エネルギーを効率利用ということで、最も現実的な方法はコージェネレーション技術の活用であろう。熱と電気を同時に発生させ、1次エネルギーの80%以上の効率利用が現実化できるコージェネレーション技術は、CO2削減対策のますます重要なアイテムであると認識されなければならない。最大のメリットは石油や天然ガスなどのエネルギー使用量を単純にいえば半分にできる。逆に言えば同じエネルギーで2倍のエネルギーが利用できる。その利用増分は「純国産」エネルギーということになる。
 ヒートポンプ技術も、投入するエネルギー以上のエネルギーが使える分だけ「増エネ」になるが、どちらも利用できるエネルギーを増やすことで1次エネルギーの利用量を減らせるという意味で共通性がある。
 一方、新エネルギーの利用拡大も欠くことはできない重要な取り組みだ。その取り組みの一つの柱であるRPS制度の拡大に、電力会社が消極的な姿勢なのは残念である。
 拡大の反対理由としては、コスト負担増があげられ、「CO2削減だけが目的ならば、京都メカニズムであるCDMを活用すればRPSよりもコスト負担が5分の1ですむ」という見解が示されている。CDMとRPSを同じ土俵で論じるという姿勢もどうかと思うが、新エネのコスト負担を一方的に電力会社に押しつけるということも考えものだというのも事実。そうしないためには、新エネやコージェネ利用者には、減税などの経済的メリットがある現実的でうまい仕組みを考える必要があるのではないか。