2006年115日号


次期RPS義務量の見直し、検討開始へ
 総合資源エネルギー調査会の新エネルギー部会(部会長・柏木孝夫東京農工大学大学院教授)は10月26日、第19回の会合を開き、来年度以降8年間のRPS法の義務量の設定について検討を開始した。また、同日の部会では、5月にとりまとめを行った中間報告案についてパブリックコメントなどに基づく若干の修正箇所を加えて報告が取りまとめられた。
 RPS法では4年ごとにそれ以降8年間の利用目標を定め、国内で電力販売を行う電気事業者に販売電力量(前年度の販売量)の一定割合を新エネルギー起源の電力とすることを義務づけている。
 現行の義務量(目標量)は03年の法施行前に定められたもので、4年が経過したことから次期の利用目標を定めるための検討作業が開始されることになった。具体的な検討に当たっては、部会の下に小委員会(委員長・山地憲治東京大学教授)を設け、来年2月を目途に取りまとめ作業が行われる。義務量は、現行基準の最終年度である10年度に販売電力量の1.35%と定められており、それまでの期間は徐々に義務量が増加する仕組みとなっている。今回の見直しでは、実質的に11年度から14年度までの4年間の利用義務量を定めることとなるが、利用義務を負う電力事業者は、10年度の1.35%についても厳しい水準であるとの認識を示しており、義務量の上積には慎重な検討を求める姿勢を示している。


CO2地下貯留、経産省でも検討開始
 経産省は、CO2削減の大きなポテンシャルを持つとして注目されてきているCO2回収・地中貯留(CCS)について研究会を立ち上げ、温暖化対策としてどのような活用法があるのかについて、本格的な検討作業を開始した。
 CCSは、昨年9月に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)で採択された特別報告書で「主要な対策の一つ」として位置づけられ、特に欧州を中心に温暖化対策の重要な選択肢の一つとして具体的なプロジェクトが進展しつつある。CCSは火力発電所や製鉄所など大量のCO2の発生源から分離・回収したCO2を地下1千m程度の地中に閉じこめ、半永久的に貯留するという技術だが、特に、油田跡に圧入することで、更なる石油の回収が行える技術としても注目されている。
 研究会は10月30日に初会合を持ち、CCSの技術開発や活用状況の現状などの紹介や論点整理など委を行った。研究会では、温暖化対策としてのCCSの位置づけ、CCSを巡るG8、IEA、CSLF(炭素隔離フォーラム)、ロンドン条約等における国際的な議論の動向、今後の展望、また、EU、ノルウェー、米国、カナダ、豪州などのCCSプロジェクトの進展状況などについて知見を得ながら、コスト削減等の技術開発や実証、環境整備等のCCS推進に当たっての課題を整理し、温暖化対策技術として施策の展開や国際ルール作りへの参画等の展開を図るための低減を得ることを目的としている。
 CCS技術の活用については、既に環境省も中央環境審議会でCDMなどの温暖化対策技術としての活用に向けた検討を開始している。経産省の研究会は、これに対応して、経産省として今後の温暖化対策に対する施策を進める上での方向を得ることを目的に研究会を設置したもの。研究会は、月1回程度の頻度で開催し、今年度内に報告書を取りまとめる。


熱電発電でエン振協がフォーラム
 2枚の金属板に温度差をつけて発電する「熱電変換システム」の研究開発などを進めているエンジニアリング振興協会(増田信行会長)は10月31日、東京・代々木のオリンピック記念青少年総合センターで「熱電発電フォーラム(プロジェクトの成果を紹介し、熱電発電の未来を考える)」を開いた。
 主催者のあいさつの後、同システムの実用化推進委員長を務める柏木孝夫東京農工大学大学院教授が「エネルギー政策から見た熱有効利用技術としての高効率熱電変換システム」と題した講演を行った。経済産業省資源エネルギー調査会の新エネルギー部会長を務めるなど日頃、政府委員として活躍している立場から「排熱を制する者はエネルギーを制する」とし、同システムは将来の国家的プロジェクトとして、技術進展が期待されていると述べた。
 その後、コマツ、石川島播磨重工業、東芝、ヤマハ、産業技術総合研究所、東京海洋大学から研究成果の発表があった。この中で、コマツの畠康彦・研究本部熱電発電室長が研究内容を説明、高温用と低温用のモジュールを重ねて発電の高効率化を図るカスケードモジュールで変換効率12%、発電システムのシステム効率3.4%という世界最高値を達成した。現在、ディーゼルエンジンコージェネを適用した実用化に向け耐久性、コスト低減などの開発を進めており、「コージェネレーションシステムの排ガスを回収して熱電変換させる用途に応用し、CO2削減に貢献したい」と説明した。
 「高効率熱電変換システム」はNEDOの補助事業として02年度から始められ、今年度は研究の最終年度のため各企業の研究成果が報告されたもので、事業終了後も引き続き、実用化に向けて研究が行われる。

風速0.8mで始動する小型風車を発売
 建築金物の総合エンジニアリングを手がける杉田エース(東京都墨田区)は菊川工業(同)と提携し、風速0.8m程度の微風で始動する小型風力発電機「微風車」=写真=の販売を開始した。プロペラ型(水平軸型)ではなく垂直軸型風車を採用したことで、風向きが一定でなく、平野部の大半が低風速域の日本に最適な風力発電機だとしている。また風速60mの強風にも耐えることができるほか、発電機はダイレクトドライブ方式で駆動させるので、発電効率が高く機械的騒音も発生しない。
 200W機から5kW機まで取りそろえており、価格は200W機で250万円、1kW機で350万円。1kW機の場合、全高6.2m、ブレード長3.0mという仕様。

関西電力が竹炭で水質浄化試験、CO2固定化の一環
 関西電力は10月26日、舞鶴市内の河川において炭化した竹を用いた水質浄化試験を開始すると発表した。08年3月まで実施し、竹炭の水質浄化材としての有効性を評価していく。
 同社は舞鶴市内に建設した「舞鶴CO2竹炭固定・有効利用実験センター」において、04年11月から、舞鶴地域に生息している竹を利用した竹の炭化によるCO2固定と、竹炭を用いた水質浄化や土壌改良、竹炭たい肥の農業への利用などの研究を行っている。
 今回、水質浄化の試験装置が完成したことで実証試験を開始することにした。1分間に30リットル程度の河川水を、竹炭が敷き詰められた水槽3個に順に流していくことで水を浄化する。装置は24時間運転する。

地域新エネ・省エネ補助先決まる
 NEDOはこのほど、地域新エネルギー・省エネルギービジョン策定事業2次募集の補助金交付先を決めた。新エネビジョン策定事業では、群馬県太田市など5市区町村の新エネビジョン策定調査など合計16件、一方省エネビジョン策定事業では、青森県野辺地町が行う省エネビジョンの策定調査など合計3件の、両事業合わせて19件が採択された。このうち、12件が「次世代エネルギーパーク」のプラン策定調査。
 地方自治体が行う新エネ・省エネ導入ビジョンの策定、または策定したビジョンに基づく事業化可能性調査に対し、必要経費をNEDOが補助する。
 ビジョン策定調査のほか、新エネビジョン・省エネビジョンそれぞれで採択された重点テーマに係る詳細ビジョン策定調査と、事業化フィージビリティスタディ(FS)調査の主な交付先と調査テーマは次の通り。
■重点テーマに係る詳細ビジョン策定調査(新エネ)
 ▼茨城県次世代エネルギーパーク構想▼山梨市次世代エネルギーパーク構想▼次世代エネルギーパーク整備プランの策定(三重県)▼木質バイオマス利活用具体化検討調査(徳島県神山町)▼次世代エネルギーパーク整備調査(福岡県北九州市)
 ▼次世代エネルギーパーク構想の実現化の重点調査(佐賀県玄海町)▼次世代エネルギーパーク整備可能性調査(長崎県産炭地域振興財団)▼次世代エネルギーパークのプラン策定調査(沖縄県糸満市)▼観光振興地域における次世代エネルギーパーク事業詳細ビジョン策定調査(沖縄県うるま市)
■新エネ事業化FS調査
 ▼温泉ホテルにおける木質バイオマスボイラー転換によるエネルギー有効活用事業(天神閣=北海道東川町)▼木質バイオマスの効率的なペレット化の推進について(Petex=栃木県那須塩原市)
■省エネ事業化FS調査
 ▼千葉臨海コンビナート地域エネルギー効率化に係る調査▼胎内市市有施設ESCO事業導入可能性調査(新潟県胎内市)

その他の記事
青森県、11月にフォーラムとエコタウン大会開催
・青森県、水素プロジェクト調査3件決まる
・エネ工研、省エネワークショップ開催
・NEDO、福岡で新エネシンポ開催 
・新日石が燃料ヘッジ利益の追徴課税に反論
・都内供給電力のCO2排出係数を公表
・扇島パワーで環境大臣が意見書
・目達計画見直しで経産省と環境省が合同会議
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・ガスの記念日で式典
・シャープ太陽光セルの生産能力増強
・新日石、燃料電池をTDLに設置
・矢野経済が太陽光発電で調査結果
・新日鉄エンジ、プラットフォームを連続受注
・FESCOが木炭製造事業開始
・富士フィルムなどのCDCF、日本政府から承認
・住友化学が米社と次世代太陽電池開発へ
・東電の新彊CDMプロが国連で登録
・京セラ、2工場にターボ冷凍機導入
・ガス3社の中間決算
・GEのH型ガスタービン東電富津火力に設置
・王子板紙日光工場でバイオマスボイラー導入
・FESCOの大田発電所が商業運転
・東邦ガス、LPG事業を統合
・大阪ガス、近畿幹線滋賀ライン開通
・日立金属が機器接続ガス栓発売
・ビルの使用合理化シンポ全国10地区で
・12月のJPIセミナー  etc.
         
<特集記事>
◇エネルギーの面的利用を考える 
=第13回都市環境エネルギーシンポジウムから=
・人に優しい地球環境、暮らしやすい都市環境
 <パネルディスカッションレポート>
・地域冷暖房事業の最新事例紹介
 <東京・豊洲3丁目地区の地冷事業>
・尾島敏雄都市環境エネルギー協会理事長に聞く
 <地域冷暖房事業の新たな役を利と協会の取り組み>

シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へE<新規参入の必要理由>
・建築計画・工事ニュース
 
コラム
・発電論評<RPS義務量の見直しは始まったが>
・プリズム<RPS法小委員会で審議されるもの>
・ちょっと一休み<平凡な手が一番と羽生将棋王座>
・青空<建設職人の生活水準


RPS義務量の見直しは始まったが【発電論評】

 電力事業者に再生可能エネルギーの利用を義務づけるRPS法の利用義務量の見直し作業が始まった。RPS法に基づく義務量は、4年ごとにそれ以降の8年間の利用義務量を定めることを国に求めている。
 今回決められるのは、07年度から14年度までの8年間の義務量であるが、10年度の義務量は販売電力量の1.35%と決まっているため、それ以降をどの程度まで増やせるのかが焦点になるが、義務量の増加にはきわめて慎重な電力事業者の姿勢もあり、大きな期待はできないのではないかと見る向きが多い。
 RPS法は日本国内で消費する電力エネルギーの一定割合を再生可能なエネルギーとすることを目的としている。法制定当時は、新エネ利用拡大の後押しになると期待されたものだったが、法の趣旨とは裏腹に、関係者の間では新エネ利用抑制法ではないかという評価が定着してしまっている。
 どうしてそうなってしまったのか。問題はいくつかあるが、まず現行の義務量があまりにも低すぎて、新エネ拡大の後押しとは決してならなかったこと、実電力と新エネ価値を切り離した取引を認めたため、自社の利用量に加味できもしない不安定な新エネ電力の系統への引き受けを、迷惑だと電力会社が感じる結果となっていること。また、国内の電力需要の伸びが頭打ちとなる中で、新たな電源の必要性が薄れており、割高、不安定な新エネ電源の必要性が低いことなどの原因が考えられている。
 こうした中で始まった義務量の見直しだが、義務量についての議論は、始まる前から大きな伸びは考えられる状況にはない。問題は、新エネ電力の利用が伸びないのは、電力会社が引き受け量の拡大に消極的であるということにあるのではなく、電力需要家が新エネ電力を使いたくても、使える環境が整備されていないということにあるのではないか。例えば、自分が購入している電力の1%は新エネ電力であるということを知っている需要家がどれほどいるだろうかということである。
 自分の使う電気を風力や太陽光の電気にしたいという需要家は結構多いのではないか。現在の料金メニューには、高圧、低圧の種別はあるが電源種別ごとのメニューはない。例えば、そこに風力や太陽光、一般火力、原子力、水力などの電源種別ごとに販売単価を決め需要家が購入する電源を選べるということになればどうだろう。風力の電気が品薄になれば風力発電所を増設し、需要に応えるということになるのではないか。新エネルギーの拡大は電力会社に引き受けてもらうのではなく、最終需要家が新エネルギーを利用できる環境を整えるということ、その方が新エネ拡大には力になると思うのだがだがどうだろう。