2006年1015日号


再生可能エネ国際会議、新エネ世界展開く
 再生可能エネルギー2006国際会議(主催同組織委員会)が、10月10日、幕張メッセ国際会議場で開催された。これに併設され、「第一回新エネルギー世界展示会」が10月11日〜13日の3日間にわたって同じく国際展示場で開催された。国際会議には、再生可能エネルギーに関係する世界の技術者と産業関係者が、64カ国、932人参加して再生可能エネルギーの最新利用技術に関する663件の論文を発表した。
 また11日からの展示会には、企業151社をはじめ、各種団体、政府機関、大学などから208件の出展があり、最新の新エネルギー素材・製造技術・測定器・周辺機器を展示した。10日の記者会見で組織委員長の黒川浩助東京農工大学大学院教授は「地球環境問題とエネルギー問題が起こっている。これを解決する究極のものは再生可能エネルギーだ。今までの会議は政策的、政治活動がらみの会議が多かったが、今回日本がイニシアティブを取って技術を中心とした会議にした。日本からこのようなメッセージを出すのは京都議定書がどう実現していくのかを厳しい目で見つめていく必要があると考えたからだ。21世紀は再生可能エネルギーの時代であり、持続可能なエネルギーとして、再生可能エネルギーしかソリューションはない」と語った。


電力価格調査、特高は一転値上がり
 経済産業省は05年度下期(05年10月〜06年3月)の電力の価格調査結果を発表した。それによると、特別高圧部門(2千kW以上)での1kW時あたりの平均購入単価は、全国平均で産業用が04年度下期に比べ1.75%上がって9.89円、業務用は0.55円下がって12.62円だった。
 自由化された直後の00年度に産業用11.04円、業務用17.36円だった平均単価は以後、電力会社の料金引き下げもあって下落傾向にあったが、05年度下期は業務用は下がったものの産業用は一転、上昇に転じた。
 業務用は電力会社とPPSの間で需要家獲得競争が続き依然、価格は下落しているが、産業用については、最近の原油高によって自家発電を停止した大手工場が、電力会社からの購入に切り替える「戻り需要」の増加が、その背景にあるようだ。
 一方、高圧部門(50kW以上)では産業用は0.85%上がって13.12円、業務用は2.32%下がって14.71円となっている。
 昨年4月から自由化範囲が50kW以上にまで拡大されたことから調査対象需要家が拡大し、04年度下期との単純な比較はできないものの、それでも高圧部門においても産業用の電力価格は上昇しており「業務用分野でしか競争が起きていない」とされる指摘を、ここでも裏付けた格好だ。
 地区別でみると、特高部門の産業用は北陸、近畿、九州の3地区で値下がりした以外、残る7地区でいずれも値上がりしている、特に沖縄は19.54%上がって11.01円になった。また、業務用は関東地区で上がった以外、残るすべての地区で下がっている。
 高圧部門では産業用は近畿、九州地区のほかは値上がりし、業務用では北海道、中部、北陸、近畿、四国、九州の6地区で値下がりしている。


エネルギー基本計画改定案、分散型の位置づけ後退
 エネルギー基本計画の見直しについて検討を行っている総合資源エネルギー調査会の基本計画小委員会が10月3日、2回目の会合を開き、改正案の全体について検討審議を行った。初回の会合で示された改正案を基に、改正案の全体像が事務局より示され、意見を出し合った。
 改正案は、既報の通り、エネルギーの安定供給とセキュリティー確保に中心がおかれ、1次エネルギーの安定確保と基幹電源としての原子力発電の拡充に主眼を置く形でまとめられている。現行計画では電力供給のセキュリティーの向上につながるとして分散型電源を位置づけていたが、新エネなど不安定電源があることなどを理由に安定供給には資さないとして、分散型を外し、分散型電源は、将来の水素や燃料電池新エネ導入の中で検討すべきとする位置に後退させられている。
 3日の会合では、電力側の委員から風力や太陽光などの新エネ分散型の出力が不安定なことなど分散型の種類や質によって個々に評価を分けるべきだとする意見が出されたのに対してガス側の立場では、高効率で環境負荷のより少なく、安定供給できる分散型についてはきちんと評価すべきであるなどの意見が述べられた。

農水省が木質バイオマスの利用状況を報告
 農林水産省はこのほど、製材所などから生じる樹皮、端材、おがくずといった木質バイオマスの05年の利用実態調査結果を公表した。それによると、発生量は1年間で1078万2千立方m(丸太需要に対する約4割)となり、この内、有効利用されたのは94.6%、廃棄されたのは5.4%だった。
 有効利用の内訳は木材チップ向けが43.2%と最も多く以下、エネルギー利用が22.8%、畜産敷料22.1%、たい肥・土壌改良材5.7%、その他3.5%、木質ボード製造2.5%。この中で、エネルギー利用された木質バイオマスについてのみみると、22.8%という割合は利用量にすると233万立方mとなる。
 具体的にみてみると、まず工場別では、単板工場では発生した木質バイオマスの74.8%がエネルギー利用されているほか、普通合板工場で69.3%、特殊合板工場で67.2%となっているが、木質バイオマス発生量が817万9千立方m(全体の75.9%)と最も多い製材工場でのエネルギー利用10.2%。ほとんどが木材チップなど他用途に振り向けられている。
 また、エネルギー利用の内訳は、各工場とも自工場での木材乾燥施設熱源用がいずれも80%前後と高いが、発電施設用は10〜20%程度。

原弘産が中国で風力発電機を製造へ
 分譲マンション販売の原弘産(下関市)は、中国で風力発電機の製造・販売事業に乗り出す。すでに今年5月、湖南省に地元企業と合弁を設立しており、このほど同地区の工業団地内に建設する風力発電機製造工場の規模などを公表した。
 工業団地内に約16万5千平方mの用地を購入、組立工場とブレード工場を07年8月までに建設する。組立工場は年間300基の組み立てが可能、またブレード工場では30m級と40m級の2種類のブレードを製作する。工場竣工後、早急に中国の風力発電市場に参入するとともに、すべての部品を中国国内で製造できる体制に移行していく。
 中国政府は昨年11月、2020年までに現在の30倍に相当する3千万kW(2千kW機で1万5千基)、市場規模にして約3兆円の風力発電の導入計画を発表。この内、07年度は385万8150kW(同1929基)が予定されている。原弘産はこうした中国政府の計画に対して入札資格を得るため、電車車両などを製造する現地企業と合弁を設立し受注体制を整えた。
 中国政府の発注は今年度についても、12月までに約20万kW(同100基)の入札が行われるほか、発電事業者の大唐国際電力が8万kWを発注する計画だ。原弘産は大唐国際からすでに2基を受注しており、これについては原弘産ヨーロッパで製造した風力発電機を納入する。新工場の稼働までは原弘産ヨーロッパ製で、日本製鋼所室蘭製作所への設置が日本国内第1号機となったZ82タイプを投入する。

NTTFと北杜市がMW太陽光の事業会社を設立
 NTTファシリティーズは山梨県北杜市と共同で、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究事業「大規模電力供給用太陽光発電系統安定化等実証研究」に着手する。「人と自然が躍動する環境創造都市」を目指す北杜市にMW級の大規模太陽光発電システムを設置し、発電した電力を電力会社の系統に安定的に供給する実証研究で、研究終了後はこのシステムで発電事業を行う予定だ。
 大規模太陽光発電システムは、出力の不安定性があり系統へ大量に連系することによって系統側に悪影響を及ぼすことが懸念されており、大量導入の場合は系統対策が必要とされていた。北杜市での実証では、国内外の先進的な太陽光モジュールを使用して総計2MWの大規模太陽光発電システムを構築し、モジュールの運用評価とともに、系統安定化制御が可能な大容量パワーコンディショナー(発電した直流電気を交流に変換する装置)を開発、将来の大規模太陽光発電技術の普及・コスト低減に奇与する技術開発を行う。実証研究終了後はシステムを継続運用し電力会社への売電を行うほか、環境観光、環境教育の拠点としてエコエネルギーパークにすることも検討している。
 研究期間は10年度までの5年間で、NEDOの委託事業で同時に採択された北海道電力(稚内市で実証)とも連係をとり、実証実験を行う予定。

石油コージェネ補助、第2次は雪国まいたけなど2件
 石油連盟は10月5日、「石油コージェネレーション導入補助事業」の06年度第2次の補助金交付先を決めた。今回は、グリーンパワーソリューション(GPS、東京都港区)と雪国まいたけが共同出資したコージェネ事業会社「パワーステーション新潟」が手がける、雪国まいたけの第3・第5バイオセンター(新潟県魚沼市)向けのコージェネ2件が採択された。いずれも590kWのガスタービンコージェネを導入する。今回の採択による省エネルギー効果は、原油換算で年間約1千klが見込まれている。
 GPSと雪国まいたけの事業では、PPS向けの卸供給も含めた2万5千kWの設備の内、五泉バイオセンターのディーゼルコージェネ(1万2950kW)分が06年度1次分として補助金の交付を受けている。

その他の記事
都市環境エネシンポジウムを開催 
・産構研が世界の太陽光市場調査レポート
・経産省が石油高騰の影響調査8回目
・ハイブリッド・エコ・コンビナート構想
・消防設備の点検簡素化で消防庁が検討委
・省庁の4〜6月のCO2排出量調査結果
・市原ニューエナジーが建設工事に着手
・国際石油開発らGTL技術で組合設立
・エネットが北海道で初の電力販売
・Fエスコ、関東で小売り事業開始
・石油コージェネ導入2次、雪国まいたけ2件決まる
・三和システムの工場竣工
・三井不動産、ららぽーとなどコージェネ施設2件
・中国電力、RPS対象水力発電が運開
・NEDOが風力調査委託先2件募集(洋上風力とフィールドテスト効果)
・NEDOが1月末までCDM支援募集
・PEFC次世代技術開発9件決まる
・東ガスのマイホーム発電などでセミナー
・三井不動産レジデンシャル設立
・東武が新東京タワー地区で熱供給会社
・京都みやこめっせESCO
・さいたま市ESCO
・大阪府がPFI2件
・大阪水と緑の健康都市PFI
・木更津PFI
・沖縄科学大学PFI  etc.

燃料電池新聞の記事
ホンダが次世代燃料電池車のコンセプトを発表
・06年度定置用大規模燃料電池の補助交付先決まる
・ガソリン、ディーゼル車改造で水素自動車
・KRIと大阪大学が低コスト水素分離膜を開発
・GMが2種類の燃料電池車を発表
・栗本が燃料電池車いすを実証試験
・スズキが燃料電池車いすを開発
・経産省が米国立研と水素貯蔵基盤研究を共同で
・潜水艦用燃料電池をUTCパワーが製造へ
・バラード社が中国に車用燃料電池を供給  etc.
       
シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へC<再生可能なエネルギー>
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電実務の話題<温室効果ガス>

コラム
・発電論評<安定供給に必要な「国産」エネルギー>
・プリズム<「原子力立国」時代の分散型の役割>
・ちょっと一休み<バブルの韓国にびっくり>
・青空<しなやかで抑制的な対応を


安定供給に必要な「国産」エネルギー【発電論評】

 今年5月に策定された新・国家エネルギー戦略であるが、早くもその見通しが危ぶまれる事態が起きている。新・戦略に基づいて基本計画の改訂作業が行われている最中だが、計画は策定前に早くも見直しを迫られる事態になるのかもしれない。
 原油価格の長期にわたる高騰という、かつてない事態を受けて、新・戦略は1次エネルギーの安定確保を大前提に、原子力の拡充とエネルギー資源確保という20世紀型のエネルギー戦略に舞い戻ることを宣言した格好だが、その当面の具体的な「国産」エネルギー資源確保例として期待されていたサハリンやイランの資源開発に相次いで黄色信号が点滅している。こうした事態に、引き続き海外エネルギー資源確保に重点を置く新・戦略が今後数十年にわたりエネルギーの安定確保に向けた我が国のエネルギー政策の方針としてふさわしいものであるのかどうか再考してみる価値がありそうだ。
 大規模集中型の発電所を臨海部に建設して、需要地である都市部に運ぶ。これが我が国の電力政策の基本として戦後20世紀の国家プロジェクトとして推進されてきた電力政策の基本で、その結果、国内にあまねく電力が行き渡り、電気は今や空気や水と同様にあることが当たり前の存在となっている。これは素直に政策の成功例として評価されるべきものであるが、環境の時代といわれる21世紀にそのままふさわしいものとして継続されるべきものなのかどうかは問題がありそうだ。
 その一つの問題は、再生可能エネルギーとしての新エネルギーや利用効率の高い分散型電源の普及・導入の拡大に極めて消極的になっていると読み取れることである。議論されるべきことは、分散型か大規模集中型か、あるいは、原子力か新エネルギーか、さらにいえばガスか電気かといった2者択一のい選択ではなく、環境とエネルギーの時代にふさわしい供給・利用システムのベストミックスを如何に考えるのかということであり、それぞれの長所を生かし弱点を補い合うシステムを整備するという視点であるはずである。
 エネルギー資源の脆弱な我が国では、国内でいかにエネルギーを作り出すかという視点が欠かせない。
 エネルギーの利用効率を上げることは、エネルギーを作り出すことになる。また、再生可能エネルギーの大半も国産エネルギーであり、エネルギー自給率の向上につながる。都市内部から排出される排熱の有効利用、建物や工場などで棄てられる熱エネルギーの回収利用など、「国産」エネルギーを生み出す道が手つかずのまま放置されている。新たなエネルギー戦略や計画を講ずる上で、こうした視点をもっと取り込むことが不可欠だと思うのだが。