2006年105日号


電力取引指針改正案まとまる、常時バックアップの縮小目指す
 電力取引指針の改正案について検討を進めていた総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会の適正取引WG(座長・鶴田俊正専修大学名誉教授)は、9月22日に開かれた会合で、改正案を承認した。改正の骨子は、日本卸売り電力取引所に関する項目を追加し、電力取引所の機能機能強化に向けて指針の整備を図ったこと。また、常時バックアップについて、「電力会社からPPSに対する卸売り電力化している」との現状認識に基づいて、従来望ましい行為と規定されていた「小売りにおける標準メニューと整合的な料金が設定されることが公正かつ有効な競争の観点から望ましい」との記述を項目ごと削除し、取引所を通じた電力取引への早期の移管を図るべきだとする考え方を強くにじませる内容とした。
 卸電力取引所の活性化に向けては、電力会社が余剰電源を取引所に対して積極的に投入することや情報の公開などを求める内容としているが、活性化につながるのかどうか、今後の検証が必要となる。
 指針の改正については、まだ公正取引委員会側の手続きが完了しておらず、パブリックコメントの結果と合わせて、年内をメドに正式に指針の改正が行われる見通し。


エコウィルの発電効率が2.5%向上
 大手都市ガス会社は発電効率を1割以上向上させ、光熱費削減効果を現行機より大きくした新型の家庭用ガスコージェネ「エコウィル」を、10月20日から順次発売する。
 エンジンの圧縮比をアップさせたほか、発電機やインバーターの損失低減に取り組み、発電効率を現行機の20%から22.5%に、総合効率も85%から85.5%に向上させた。また、発電効率の向上によってガス消費量が低減、年間の光熱費削減額は約3千円拡大し約3万円(東京ガスの場合)になるとしている。20日の東京ガス、大阪ガス、京葉ガスを皮切りに東邦ガスが23日、西部ガスが11月上旬、それぞれ発売を開始する。
 エコウィルは東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスとノーリツ、長府製作所が共同開発した貯湯ユニットと、本田技研工業が開発した1kWガスエンジン発電ユニットを組み合わせた。
 03年の発売開始以来、大阪ガスの約2万7千台を筆頭に各ガス会社を通じて現在、全国で約3万4千台が設置されている。発売後3年半が経過したことから全面改良を加えたもので、性能の向上と併せ、ガスエンジン発電ユニットを凹凸のないフラットな側面とし、本体正面には黒ラインを入れるなどデザイン面でも一新している。
 税込み価格は東京ガスが87万450円、大阪ガスが79万5690円と、各社とも現行機と同価格に据え置いた。


省エネ技術戦略中間取りまとめを公表・NEDOとエネ庁
 資源エネルギー庁は9月25日、省エネルギー技術戦略(中間取りまとめ)を公表した。「新・国家エネルギー戦略」で2030年までに少なくとも30%の省エネルギーを目指すという目標が示されたことに対するもので、重要な省エネ技術を@超燃焼システム技術A時空を超えたエネルギー利用技術B省エネ型情報生活空間創世技術C先進交通社会確立技術D次世代省エネデバイス技術の5つの重点分野に整理して開発と導入に向けた課題などを整理している。
 超燃焼システム技術は、エネルギーの燃焼を最大限高効率化するとともに、生成される熱エネルギーを極限まで有効利用するという観点から、化石燃料の持つエネルギーを高効率に利用するため、燃焼の高度化・複合化技術の開発を進めるとともに、プラズマ技術やマイクロ波、化学反応、バイオプロセスなどを活用することで燃焼工程を代替・補完する革新的な技術開発を推進するというもので、特に産業部門でのエネルギーの利用効率を革新的に高めることをねらっている。
 時空を超えたエネルギー利用技術とは、余剰エネルギーとして棄てられる向上排熱などを貯めたり移動することで有効利用が可能になる技術を開発するというもので、エネルギーを熱、電気、化学エネルギーの3形態で、それぞれの貯蔵や輸送を行えることを考える。輸送が困難な熱エネルギーは雪氷などの季節間蓄熱、吸収や吸着、真空パイプラインなどの技術開発。電気エネルギーでは、蓄電の高度化による貯蔵化を追求する。また水素、合成ガス、天然ガスなどを「化学エネルギー」と定義し、高効率利用を図るため、燃料電池やコージェネレーションなどの分散型エネルギー利用技術の革新を目指す。また、ヒートポンプや吸収式冷凍機などにより熱エネルギーの質を高めることやパワーエレクトロニクス技術により電気エネルギーの質を高め、より高度なエネルギー利用技術を追求していく。
 今回まとめられた省エネ技術戦略はエネ庁とNEDOが省エネセンターの協力で有識者による検討会の検討結果をまとめたもので、今後広範囲に意見を聴取して、今年度中に「省エネルギー技術戦略2007」として最終的に取りまとめられる。

環境省がつくば市に風力補助金を返還命令
 環境省は、9月25日、茨城県つくば市が国の補助を受け設置した風力発電設備が計画通りに発電できていない問題について、つくば市に対して補助金の全額返還命令を行った。返還される補助金は1億8500万円。同省は、返還命令を出したことについて「風車の制御装置などが消費する電力量が発電量を上回るなど、補助金の目的を達していない」としている。同日、市は、10月中に返却する方針を明らかにした。 
 つくば市は04年度に環境省の「環境と経済の好循環のまちモデル事業」に選ばれ、早大に委託して計画を作り、国の補助金の他市が1億5千万円を支出して、市内の小中学校19校に風力発電23基を設置したが、計画と違う風力発電設備が設置されるなどで発電量が見込み量を大幅に下回り、問題となっていた。このため、同市は、早大と風車の製造会社を相手取り、事業費約3億円の損害賠償を求め提訴している。

ホンダが画期的なディーゼル用NOX触媒を開発
 本田技研工業はガソリンエンジン車並みのクリーンな排ガスを実現するディーゼルエンジン用のNOX触媒を開発したと発表した。米国の排出ガス規制「TierU Bin5」排出ガスレベルを社内試験でクリアした。
 開発した触媒は、アンモニアを触媒内部で発生するアンモニアを利用してNOXをN2に浄化するという画期的なもの。排気ガス中のNOXを吸着してアンモニアに転化する層と、触媒内で転化されたアンモニアを吸着して排気ガス中のNOXをN2に浄化する層の2層構造を持つ。酸素が多いリーンバーン状態でNOXと反応する最も有効な物質であるアンモニアが触媒内で発生するため、コンパクトで軽量な装置が実現できた。現在、ガソリンエンジン用の3元触媒は浄化率99%程度を達成しているが、ディーゼルエンジンに使うと排ガスの酸素量が多いため10%程度の浄化率にとどまってしまっていた。
 本田技研では、3年以内にこの廃合す浄化システムを搭載したディーゼル車を米国で販売するとしている。

明電舎が国内2箇所目の風力発電所を運開
 明電舎は100%出資する子会社で風力発電事業を営むエムウィンズが秋田県三穂町の日本海沿いに建設を進めていた八竜風力発電所がこのほど完成したと発表した。10月1日から東北電力への売電を開始している。発電所の総出力は2万5500kWで、独・リパワー社製の1500kWの風車を17基建設した。
 明電舎は、風力発電に関しては風況精査からシステム設計、電力連系協議、実施設計、建設及び運転開始後のメンテナンスまでの一環サービスを事業として展開するとともにエムウィンズを通じて風力発電事業も行っている。八竜風力発電所の運開によってエムウィンズでは銚子しおさい風力発電所の3千kWと合わせ、2万8500kWの発電容量となった。

その他の記事
北電がバイオエタノールの調査研究
・環境省が水島1号改造計画で大臣意見提出
・エア・ウォーター、新日鉄光のガス事業買収
・大阪ガスが小口料金引き下げ
・JHIFが第5回会議11月に
・川重がパキスタンにGT4基
・舶用ディーゼルで三菱とバルチラが中国で合弁
・富士電機システムズが減肉調査をサービス化
・三菱重工、G型ガスタービン米国から6基受注
・三菱重工、ドバイに事務所開設
・11月にHOSPEX JAPAN2006
・分散型最前線など講演・コージェネセンターフォーラム
・ETBE、来年から試験販売
・佐久咲くひまわりがスタート
・広島ガスが自社株譲渡
・スズキが燃料電池の車いす開発
・デンヨー、第3次規制適合の可発を発売
・排ガス対策エンジンと建機、初の第3基準値認定、低騒音建機指定
・太陽光調査、超電導、高効率エネ(住宅)委託先決まる
・日内連が講演会
・水素安全利用国際委託先公募
・神奈川県ESCO3件
・石川県ESCO2件
・岸和田市立病院ESCO
・坂地区警察PFI
・県立宮崎病院ESCO
・概念打ち破る断熱材、マイクロサーム  etc.
     
シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へB<セキュリティーを考える>
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評<新エネルギーの新たな視点>
・プリズム<原子力と省エネの推進>
・ちょっと一休み<砂漠化が深刻な中国での植林運動>
・青空<建築家、宮本忠長さん>
・新刊紹介<中国エネルギービジネス


新エネルギーの新たな視点【発電論評】

 わが国のエネルギーを取り巻く環境が何だか様変わりしてきているように思える。今年に入ってから特にそれを感じる機会が増えているように思う。5月には新・国家エネルギー戦略が示され、自由化拡大路線からセキュリティー、環境重視へとその舵取りが大きく方向転換することが宣言された。それが全てというわけでもないのだろうが、原子力と省エネでエネルギーの安定供給が果たして確保できるのか、疑問に思わざるを得ない。内閣も代わり、エネルギー政策も変わる。変わったものの中に、新エネルギー政策もある。更にいえば、分散型エネルギーの位置づけも後退気味だ。しかし、変わるものだらけの中で、変えてはいけないものもある。
 その最たるものは、新エネルギー政策ではないか。新エネルギーは風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーだけが脚光を浴び、それ以外は新エネルギーではないといわんばかりの昨今の風潮には、国の政策転換が大きな影を落としているのだが、そもそも新エネルギーは、従来利用していなかったエネルギーという意味であるのだから、何も再生可能エネルギーだけを新エネ扱いするということにはいささか抵抗がある。
 例えば、都市の未利用エネルギーなどはどうなのか。都市内部には排熱として棄てられる熱エネルギーが膨大にある。こうした余剰の廃棄エネルギーがヒートアイランド現象を招いている。これをうまくエネルギープラントに取り込んで利用しようという取り組みが「エネルギーの面的利用」などとして始まっている。こうした一度利用されたが、利用尽くされないまま余剰エネルギーとして棄てられるエネルギーを回収して利用するという試みは「新エネルギー」として目が向けられる機会がない。こうした事例は、日常生活の中にあふれている。
 一度作り出したエネルギーを棄てることなく使い尽くすという視点が必要で、棄てるエネルギーを利用することは新たなエネルギーを作り出すことと同じだ。発電した排熱を利用するのがコージェネレーションだが、大規模火力発電所や原子力発電所から大量に海洋投棄される熱エネルギーをうまく回収利用できれば、その分、新たな熱を作り出すエネルギーが節約できることになる。このように、棄てていたものを再利用することで新たなエネルギー源とするという試みは、創エネルギーであり、今まで利用していなかったという意味で立派な新エネルギーだといえる。
 再生可能エネルギーだけが新エネルギーではない。身の回りを見渡せば、無駄に見過ごしている新エネルギーが身近にある。そのような新エネルギーの開発に目を向けられるような政策を求めたい。