2006925日号


CO2地下貯留、CDMで活用へ 環境省が専門委を設置
 中央環境審議会の地球環境部会が9月13日開催され、新たに小池環境大臣から諮問のあったCO2の地下貯蔵について、専門委員会を設置して検討を進めることにした。
 CO2の地下貯蔵は、炭鉱や油田跡などの地下や海底下にCO2を注入し保存する方法で、実現すれば大量のCO2を閉じこめることができる究極のCO2削減策として注目されている。先頃、廃棄物の海洋投棄について定めるロンドン条約の改定案として欧州数カ国から海底下地層に貯留されるCO2についても海洋投棄可能な廃棄物とすることが提案され、10月に予定されている締約国会議で検討される予定で採択される可能性が高い。採択されると海洋環境保護の観点から、日本も締結に向けて考え方をまとめておく必要があることから、海洋環境への影響の防止について検討を進めることにした。
 地下貯留は、火力発電所などから排出されるCO2を分離・回収し、地中や海底下等に長期的に貯蔵し、大気から隔離するもので、中・長期的に化石燃料の利用を可能とする技術的オプションと評価されている。炭鉱や油田跡また、海底下の地層などにCO2を注入し数百年間にわたってCO2を貯留することが可能で、CDM/JIプロジェクトとして認められれば、エネルギー起源のCO2削減の有効な手段となり、現在、進められている、省エネルギーや再生可能エネルギー利用、エネルギーの効率利用などの取り組みの意欲を削ぐことにもなりかねないとする懸念もある。
 同日の部会では、CO2地下貯留の是非やその技術的課題などについて具体的に検討するため専門委員会を設置し、国際動向のフォローアップやわが国の周辺海域も含めて約1500億CO2トン程度あるとされる貯留ポテンシャル、排出量取引との関係、再生可能エネルギーや省エネルギーとのバランス、CDMとしての利用可能性、コスト面など、地下貯留に対する基本的な方針作りに向けての検討を行っていくことにした。


ヤンマーがバイオエタノール実証試験を開始 滋賀県らと共同で
 ヤンマーは、滋賀県、東近江市と木質バイオマス発電システムの共同研究を今年4月から行ってきたが、9月19日、東近江市内に建設していた試験設備が完成し、運転開始式を行った。式典には、共同研究者である嘉田由紀子滋賀県知事、中村功一東近江市長ら県、市の関係者も列席、「もったいないの考え方をシンボルとなる試験研究といえ大きな成果を上げることを期待したい」(嘉田知事)と挨拶で述べつなど、地域と一体となったバイオマス利用技術の実用化に向けて高い期待が示された。
 実証研究は、東近江市内で発生した製材端材や街路樹のせん定枝、県内に豊富にある竹などの多様な木質バイオマスをヤンマーが開発したガス化設備でガス化、低カロリーガスでも燃焼可能なデュアルフューエルエンジンを搭載した22kWのコージェネシステムで電気と熱(40kW)を発生させる。燃焼を安定させるために補助燃料として液体のBDF(バイオディーゼル燃料)を混焼する。BDFは東近江市が取組を進めている菜の花プロジェクトで製造されるBDFなどを利用する。
 市の資材センター内に試験設備を建設し、バイオマスのガス化技術や燃焼の安定化技術などの確立、効果的な電気・熱の利用方法などトータルシステムとしての最適化研究を実施する。共同研究では、県立滋賀大学も交えた利活用検討委員会を立ち上げ燃料の回収から変換、利用までの一貫した試験研究を通じてエネルギー自給型地域社会の創造と普及を追求する。
 実証試験は09年度までの3年間の予定で、滋賀県と東近江市がバイオマスの収集、ヤンマーが回収資源を利用した燃料ガスの製造と、システムの運転試験を分担して行う。


稲ワラからバイオエタノール ホンダとRITEが製造技術を確立
 地球環境産業技術研究機構(RITE、京都府木津町)と本田技術研究所(埼玉県和光市)は、稲ワラなど食用に適さない植物の茎や葉といったソフトバイオマスから、バイオエタノールを製造する技術を確立したと発表した。
 ソフトバイオマスに含まれるセルロースからのバイオエタノール製造はこれまで、ソフトバイオマスからエタノールを分離する工程で生成される発酵阻害物質が、糖をアルコールに変換する微生物の働きを妨げることから、エタノールの収率が極めて低く、バイオエタノールの原料とするのが難しかった。
 今回両者は、RITEの開発した糖をアルコールに変換する微生物であるRITE菌と、ホンダのエンジニアリング技術を組み合わせ、発酵阻害物質による悪影響を大幅に減少させる「RITE−Hondaプロセス」の開発に成功。これによって、従来のセルロース系バイオエタノール製造プロセスと比較して、アルコール変換の効率を飛躍的に向上させた。
 今回の成果によってソフトバイオマスからのエタノール製造に関して、基礎的な課題がすべて解決したとしており、今後両者はパイロットプラントを建設したうえで、新しいバイオエタノール製造システムの社会適合性や経済性を検証していく。

三菱重工が風力、太陽光など3事業を事業ユニットに
 三菱重工業は、市場の拡大に伴い競争が激化している風力発電、太陽電池、舶用ディーゼルの3つの事業において、10月1日付けで「製品事業単位」でマネジメントを行う事業ユニット(BU)制を導入する。
 これまでの組織体制では対応できない局面も出始め、国内外拠点の整備も緊急の課題になっていることから、新規投資や人員配置、アライアンスなど必要な事業戦略を立案、強力に推進する体制を構築し事業基盤の確立を狙う。各事業を率いる事業ユニット長に、受注から損益に至るまでの全ての経営責任を持たせ、市場の変化に合わせてタイムリーに事業運営を展開していく。
 今回、BU制の対象となった3事業はいずれも急成長する市場を抱えている。風力発電は税制優遇措置の延長などによって米国市場が好調で、2010年には20Ghの2兆円規模に、また太陽電池も年率30%を超える大幅な需要増で、同様に10年には3〜4Gh規模に市場が急拡大すると予測されている。舶用ディーゼルも世界的な荷動きの拡大により海運マーケットは拡大基調にある。
 同社は04年以降、すでに地中建機(トンネル機械)、ITS(高度道路交通システム)、運搬機などの事業にBU制を導入、製品単位で事業を運営・管理することで製品ごとの一貫したマーケティングと戦略の下、事業規模を拡大している。

その他の記事
大阪で11月にFCEXPO
・都の05年度CO2削減量は3%
・経産省、高温超電導プロジェクト立ち上げ
・三洋電機とヤンマーが中国でガスコージェネ事業
・松下と物産が中国の省エネエンジ事業に共同参入
・JFEエンジが環境分野を分割
・バイオマスカスケード利用調査委託先募集
・日本ファーネスが木質バイオのガス化に成功
・LPG振興センターが研究成果発表会を開催
・JHIFが第4回会議
・コージェネシンポ゚2006、テーマは分散型普及
・太陽光系統安定化調査、北電とNファに
・ブリヂストンインドネシアに川重のGT
・排気ガスでゴミ収集車の火災を消火
・8月の発受電、過去最高を更新
・広島市が環境協定
・千葉市がESCO導入調査委員会を開催
・バーゼル法物質も廃棄物再生利用認定制度対象に
・新出雲風力発電所、11月着工へ
・大ガス、泉北発電所、着工へ
・千葉県県民プラザESCO
・大阪府警PFI着工
・宮城県消防学校PFI
・川崎多摩PFI導入調査
・神戸市民病院PFI
・京都市立高校PFI
・7月分建築着工統計
・西宮市ESCO
・国交省が蓄熱導入へモデル事業
・エコステ協会解散へ
・静岡ガスがLNGをスポット購入
・三菱樹脂が一体型クーリングタワー
・関電が地域家庭と連携し省エネ事業展開
・北大とIHIが包括提携
・三菱重工、スペインからGTCC受注
・三菱重工、ターボの生産能力増強
・8月末のRPS記録量と認定設備  etc.
     
シリーズ連載
・分散型エネルギー再生へA<電力自由化の成果>
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評<CO2地下貯留で変化するもの>
・プリズム<サハリン2事業停止、問われる新国家エネ戦略>
・ちょっと一休み<阿部候補が勝った自民党総裁選>
・青空<基準地価に見る「地域間格差」>
・新刊紹介<エネルギーオセロゲーム


サハリン2事業停止、問われる新国家エネ戦略【プリズム】

 英蘭シェル、三井物産、三菱商事の3社が参画するロシア・サハリン沖の資源開発事業「サハリン2」が当面の事業停止という事態に追い込まれた。ロシア天然資源省が9月18日、環境対策の不備を理由に、サハリン2の工事承認を取り消すことを決めたのだ。これにより、サハリン2側は事業計画の見直しが不可欠となり、08年にも予定されている日本向けのLNG出荷が遅れる可能性が浮上している。
 この背景には、自国資源の国家管理強化をもくろむロシア政府の強硬姿勢があると見られている。プーチン政権が事業主体の「サハリン・エナジー社」に圧力をかけ、政府系ガス企業「ガスプロム」を有利な条件で事業に参加させるのを狙っている〉(読売新聞9月19日付朝刊)、〈サハリン2はLNG輸出開始を控え、工事のほぼ8割が完成している。ここに来ての承認取り消しはロシアの外資に対する圧力の一環であるとともに、同国最大の天然ガス会社ガスプロムを本格的に参加させるためとの見方が支配的だ〉(日本経済新聞19日付朝刊)
 問題は、こうした緊急事態に、事業出資社であり主要買い主でもある日本側がどう対応を図っていくかだ。この点について、マスコミは19日現在では情報不足のためか、明確な言及を避けている。関係者の話や報道を総合すると、ロシア政府部内には、ソ連崩壊直後に締結された生産物分与協定(PSA)への不満が多く、最終的な狙いはPSAの破棄にあると見る向きもある。
 ロシア側は国益の観点から、サハリン2の問題に挑んできている。であれば、日本側も国益の観点から政府が側面支援する形で対応を図っていく必要がある。今こそ、新国家エネルギー戦略で打ち出された資源外交の強化が求められている。   (魁)