200695日号

05年度の国内常用自家発電設備の導入状況
 05年度の国内常用自家発電設備の導入状況は、93万2191.8kWで、前年度に比べ5.1%の増加となった。原油価格の高騰を背景に設備台数、導入施設数では減少したものの、マイクロガスコージェネや大型ガスコージェネが好調で、導入容量では増加、自家発・分散型発電市場は環境エネルギーを指向したガスシフトが進んでいることが数字的に改めて浮き彫りとなった。調査は日本内燃力発電設備協会が、設備メーカーを対象に導入状況をアンケート調査したもので、昨年度、調査開始以来はじめて導入量が減少したディーゼル、ガスタービン、ガスエンジンの常用自家発電設備は、電気料金の引き下げや原油価格の高騰など市場環境の悪化によって、引き続きディーゼル発電が大幅に減少したもののガスコージェネの大幅な増加があり、設備容量では一転増加した。集計データには家庭用のシステムは含まれていない。
 全体的には減少傾向が続く中で、ガスコージェネは好調。高効率の大型のガスエンジンが石油から天然ガスへの燃料転換を進める産業用需要が拡大、工場などの環境対策としての導入例が増えている。原動機別にみたシェア(容量)は、ディーゼルが42.1%でガスエンジンが44.1%、ガスタービンが13.8%。ディーゼルは26.5ポイント減と大幅な減少となったが、その分、ガスエンジンが増えた格好。ディーゼルのシェアは初めて50%を割り込んだ。
 ディーゼルは、前年度ショッピングセンターなどの市場が急激に縮小したのに続き、今回は工場などの産業用が大幅に減少したのが目立っている。縮小幅は施設件数で43.9%減、容量で38.0%減と大幅。店舗類は小型設備を中心にガスエンジンが増加しており、小規模ディーゼルの件数も増えている。
 常用自家発電設備の最大導入先である工場などの産業用はディーゼルの大幅な減少により、全体でも施設件数は26.2%減と導入件数は減少したものの設備容量では13.3%増で、大型機種を中心にガスコージェネの増加が市場全体をカバーしている格好となっている。
 メーカー別にみると、納入容量の最多はエネサーブの25万45.0kWだが、ディーゼルオンサイトが中心のエネサーブは施設件数、設備容量ともに前年度に比べて減少している。設備容量2位は前年度に比べ5倍近く増加した三菱重工業で、大容量ガスエンジンを中心に大きくシェアを伸ばした。一方、台数、施設件数ではヤンマーエネルギーシステムがマイクロガスコージェネが相変わらず好調でトップ。施設件数で9.0%増、台数では6.2%増とシェアを伸ばしたが、大型のディーゼルの不振から設備容量では減少している。その他、大型ガスエンジンメーカー、ガスタービンメーカーも好調で日立造船や川崎重工業などが件数、容量を伸ばしている。


07年度エネルギー予算は約1兆円を要求
 経済産業省、環境省などが共管する「エネルギー特別会計」の07年度予算概算要求がまとまった。要求額は06年度当初予算比1.5%増の9958億円。「新・国家エネルギー戦略」関連の施策に予算を重点配分し、省エネ・新エネ対策、運輸エネルギー次世代化、総合的な資源戦略の展開を強力に進める方針。
 重点施策としては「省エネルギーフロントランナー計画」(環境省分含む)に1702億円(06年度1649億円)を充てる。省エネ技術開発プログラムを現在、NEDOと策定中で、同プログラムに基づく省エネ技術を推進するほか、住宅・建築物への高効率エネルギー機器の導入、民生・運輸部門での省エネ対策強化に向けた実証事業を進める。また、工場など産業部門や運輸部門での省エネ設備導入に対して補助金を交付する「エネルギー使用合理化事業者支援事業」も298億円(同260億円)に拡充し予算要求する。
 一方「新エネルギーイノベーション計画」(環境省分含む)で目玉となるのが「次世代蓄電システム実用化戦略的技術開発」。太陽光や風力などの新エネの出力安定化やハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などで利用する蓄電池を、産官学連携によって5年間で集中的に開発する。このための予算として50億円(同8億円)を要求している。
 また、今年度から始まった風力発電への蓄電池併設を補助する「風力発電系統連系対策補助事業」では27億円(同19億円)の増額要求を行う。
 このほか燃料電池・水素関連で362億円(同340億円)を要求しており、このうち分散型電源として期待される固体酸化物型燃料電池の実用化に向けた課題抽出のための実証研究に9億円、燃料電池車の航続距離の向上を図ることを狙い、効率的な水素貯蔵が行える材料研究に8億円をいずれも新規に盛り込んだ。
 また薄膜化など新技術を採用した太陽光発電の産業・公共システムへの導入支援に90億円。さらに2010年度の新エネ導入目標達成するため、新型太陽電池の開発やバイオエタノール製造技術開発など、新エネ技術開発で新たに42億円を新規要求している。


エネの面的利用を重要研究課題に、国交省が07年度で本格取り組み
 国土交通省は、07年度の技術研究開発関係予算要求で「エネルギーの面的利用で飛躍的な省エネの街を実現する都市システム技術の開発」として、4億5千万円を要求した。
 研究開発の目的は、都市部におけるエネルギーの面的利用を促進することにより、エネルギー消費の増大が続く民生部門での省エネルギー化を抜本的に促進し、エネルギー利用効率の高い都市を構築することで、安心・快適な都市生活を実現させようというもの。
 このため07年度から3カ年で研究費総額約14億3千万円を計上し@熱エネルギー利用システム評価診断技術A建物間熱融通技術B下水熱利用評価技術の開発を行う予定。
 エネルギーの面的利用は、京都議定書の目標達成計画でも開発・促進が記述されているなど研究開発の必要性は高く、07年度の技術研究開発の重要課題として取り組むことにした。
 省エネ技術などの要素技術は民間の技術を活用。官はこの要素技術を連携・統合し、整備・普及のための取り組みを行う。さらに大学の先進的な研究を取り込み、産学官でコンソーシアムを立ち上げ、効果的な研究開発を推進することにしている。この技術を民間や地方公共団体などに積極的にPRすることで、全国の都市でのエネルギーの面的利用取り組みへの促進を図る考え。研究開発は、同省の大臣官房技術調査課を中心に進められており、8月8日に開かれた外部評価委員会(委員長・嘉門雅史京大大学院教授)でも「短期間の研究なので、下水熱の利用に絞ったことは理解できる。コスト・経営についても検討し、研究開発後の普及方策を示す必要がある」と外部評価の結果を答申している。

九州の風力連携可能量は70万kW
 九州電力は8月31日、九州本土における当面の風力発電連系可能量が70万kWになると発表した。九州本土10カ所の大規模風力発電所を対象に連携系可能量を測定。その結果、比較的早く小さな発電量変動に対する短周期制約による連系可能量は100万kW、また比較的遅く大きな変動に対する長周期制約による連系可能量が70万kWと算出。
 今回こうした測定値を基に、風力発電事業者などが連系することのできる当面の風力発電連系可能量を、70万kWとした。

産総研が高精度、広範囲の水素センサーを開発
 産総研は0.5ppmから5%までの広い濃度範囲の水素漏れを検知できるセンサーを開発に成功した。
 開発したのは、マイクロ熱電式水素センサーで、水素を燃焼させる高性能セラミックス担持白金触媒をマイクロ素子上に集積化することでセンサ素子の感度と耐久性を大幅に向上させた。電力消費が少なくシリコンチップへの集積化が可能で、水素ステーションなどへの応用が期待できるという。
 水素は空気中に4%含まれると爆発するため、ガス漏れ検知はppmオーダーから4%まで精度良く計測できるセンサーが必要となるが、従来型の接触燃焼式や半導体式などのセンサーでは広範囲な検知が困難だった。産総研が開発した熱電式水素センサーは熱電変換膜とその一部の表面上に形成された白金触媒膜で構成され、水素と触媒との発熱反応によって、発生する局部的な温度差を熱電変換膜で電圧信号に変換するもので、計測可能な濃度範囲が広く、周囲温度の変動を受けにくく、また、ドリフトがないなどの特長を持つ。
 センサーの開発はNEDOのプロジェクトとして実施されたもので、産総研では、今後、開発した水素センサー素子のプロトタイプを水素関連施設などに試料提供し、実用化を目指すことにしている。

その他の記事
<特集 05年度常用自家発国内導入状況>
・中小水力NEF
・07年度バイオマス予算は351億円
・風力や排出権取引など温暖化対策を強化、環境省の概算要求
・川重がギガセル電車、電池駆動に成功
・SESが太陽電池事業に本格参入
・コージェネセンターがミッション参加者募集
・オール電化住宅は温暖化防止に逆行
・エン振協が10月に熱電発電フォーラム
・9地区で省エネ事例発表会
・商業施設の今後で三井不動産が発表
・住宅エネシステム調査委託先を募集
・新エネ財団が中小水力研修会
・京メカプロジェクトなどでJPIがセミナー
・丸紅が米国で分散型エネ事業   etc.
     
シリーズ連載
・グリーン電力で復活するエネルギーサービスC
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評<常用自家発ガスシフトの理由>
・プリズム<エネサーブの新たな挑戦に期待する>
・ちょっと一休み<岩倉使節団の米欧亜回覧を2回みる>
・青空<社会基盤の優劣が国際競争の勝敗を分ける


常用自家発、ガスシフトの理由【発電論評】

 05年度の常用自家発電の導入状況がまとまった。データをみるとディーゼルからガスコージェネへ、予想以上に市場がシフトしているという印象を受ける。かれこれ3年越しとなる原油価格の高騰によってオンサイト型の自家発は急速に市場性を失っているといわれていたからだ。
 第3次オイルショックともいうべき今回の石油価格の高騰は長期化するばかりで未だ出口が見えない状況である。こうした中で、石油系オンサイトは市場の大半を奪われつつある。コストの6割以上を占めるといわれる燃料費の高騰がオンサイト型自家発市場を奪った格好だが、それをカバーする格好でガスコージェネ市場が拡大し、石油からガスへ、という市場の流れがはっきりと見えてきている。ガスコージェネは05年度1年間の導入件数が893件、設備容量の合計では約41万kW。これは前年度に比べて件数では17.5%増、設備容量では139.1%増と大幅な伸びとなり、ディーゼルの減少を件数では及ばないものの容量的にはほぼカバーしている。この統計には、いわゆる家庭用のコージェネは含まれていないので、実際にはガスコージェネの導入はさらに1万件以上多かったことになり、家庭用という新たな市場も獲得している。
 ガスコージェネの伸びを細かく分析してみると、家庭用や100kW未満の小規模業務用、いわゆるマイクロガスコージェネと単機容量が3千kW以上の大容量のものだけが増加していることがわかる。大容量の産業用需要は、地球環境問題に対する回答であり、石油系燃料から天然ガスへの燃料切り替えが急激に進展する中で、高効率ガスエンジンが開発され市場に供給されてきたことが大きい。昨今のガスエンジンは各社が大型機種の開発を進めた結果、5千kW以上の大容量機種が相次いで開発され、熱効率が45%を超えるという極めて高効率のエンジンによって急速に市場形成が図られてきている。従来の小型はガス、大型はディーゼル、ガスタービンという形態から、ガスエンジンでカバーできるものはガスコージェネという図式ができあがりつつある。
 これまで、ガスコージェネの普及を妨げていたのはコストの壁だった。石油価格の高騰によって相対的にガスにも割安感が出ていることも導入のハードルを低くしている。何よりもまた、石油に比べてCO2の排出が少ないというガスの特質が、温暖化対策機器としてガスコージェネの人気を高めてもいる。エネルギーを複合的かつ効率的に利用し、コストとCO2削減を図るというコージェネの特長の理解が進んできた。コスト重視の市場から環境性重視へ、市場の流れが明確になってきている。