2006825日号

エネサーブがオンサイト発電事業から撤退を発表
 エネサーブは8月18日、A重油を燃料とするオンサイト発電事業から撤退すると発表した。同日以降、自家発電装置の新規の販売は停止、設置済みの約7800台についても、10月末をメドに顧客との間で維持管理や燃料供給の契約を解除し原則、系統電力への切り替えを進めていく。これに伴って06年度、1576億円の特別損失が見込まれるが、一部を除き商品スワップや商品キャップを解約することで生じる特別利益1850億円で相殺する。
 同社は原油価格の高騰を受け、すでに昨年末から一部顧客に対して、系統電力への切り替えなど、A重油の消費量抑制に向けた発電設備の運転パターンの変更を実施してきたが今回、原油価格の高止まりによって、A重油の調達がさらに難しくなるなど経営環境が悪化したことで、事業の継続が困難と判断した。
 今後は、電力小売り事業と、電気設備の保守点検などセキュリティー事業を収益基盤としながら、新規事業の拡大によって経営の立て直しを図る。今年度から本格的に事業展開している廃食油などを燃料とするオンサイト発電装置による省エネ事業や、ガス・バイオマス燃料へのエネルギー転換などエネルギー合理化・環境保全ビジネスを中心に事業を再構築する。
 撤退に伴って同社は同日、07年3月期の業績予想(非連結)を、売上高327億円(期初予想574億円)、経常損益217億円の赤字(同5億円の黒字)、当期損益1億円の黒字(同1千万円の赤字)に修正した。
 同社のオンサイト発電事業は、84年の事業開始以来約20年にわたり主力事業として業績に貢献してきた。その事業モデルは「エネサーブ方式」として注目を集め、新たな電力供給スタイルを国内に定着させた。180kW機と495kW機を中心に、顧客に設置された発電装置の総容量は、原子力発電所1基分に相当する約150万kWにも上っている。今年6月には会長に退いていた深尾勲氏が社長に復帰、前年度決算で創業以来初の大幅減益となった事業の見直しを陣頭指揮していた。


川崎重工が木質バイオガス化コージェネシステムを納入
 川崎重工業は、独自開発のガス化技術による木質バイオマスガス化発電・熱供給システムを積水ハウス浅井工場(滋賀県長浜市)に納入したと発表した。発電出力175kWのガスエンジンコージェネシステムで、日量2.2トンの製材くずから1750kWh/日を発電、工場内の電力需要の約30%をまかなうとともに、ガスエンジンから発生する排熱を熱交換機で乾燥用熱風や事務所の暖房用温水として利用する。
 納入したシステムはタール発生量の少ない同社が独自開発した固定床ガス化炉を採用、木造住宅の原材料を製造する過程で発生する製材くずをこぶし大に固形燃料化し、熱分解によりガス化、精製したCOとH2の合成ガスでガスエンジン発電を行う。また、ガス生成装置を小型化してシンプルな機器構成としたことでメンテナンスコストの低減を図っていることやガス化炉を含めたプロセス全体を負圧化し安全性を高めたていること、高効率ガスエンジンの採用で低カロリーガスを高効率に燃焼できること、起動時間が30分以内と短く、DSS運転が可能などの特長がある。
 川崎重工業は70kWの同システムの初号機を同社明石工場内に設置して実証試験を行っており、70kWと175kWの2タイプのガス化発電システムとして市場への供給を開始する。2タイプともガスエンジンは独・シュミットエネテック社製を採用。積水ハウス浅井工場に納入したシステムはNEDOと積水ハウスの共同実証試験事業用として使用される。


前川製作所が小型風力発電市場に参入
 前川製作所(東京都江東区・岩出功社長)は10月から、10、5、1kWそれぞれの風力発電システムの販売を開始、本格的な小型風力発電機事業に進出する。これは昨年、広島県の「05年度ひろしま産業創生事業」の一環として、同社の「小型風力発電装置の高効率発電システムの開発」が採用されたことから、県の支援を受けて開発に取り組んでいたもので、10月1日から3機種の販売を本格開始する。
 今回生産・販売する小型風力発電機の最大の特徴は、高効率な揚力型のダリウスローターと、機動性の良い抗力型のサボニウスローターを組み合わせた「ダリウス・サボニウス併結型」。デザイン性に優れているため周囲の景観を損なわず、風向きの変化や風速の低下にも効率を落とさず発電できるという。
 他にも@風切り音が非常に低いため、市街地やビル屋上への設置が可能A発電部が風車支柱の最下部に位置しているため、メンテナンス作業が安全に行えるB補助電源や独立電源として使用できるほか、災害時などの停電中でも非常用電源として使用できる―などの特長がある。
 この3機種は全て、同社の東広島工場で生産し、販売開始前にはデモンストレーション機を同工場と茨城県の守谷工場の敷地内に建設する予定。価格は10kW機が1500万円、5kWが1200万円、1kWが750万円。3年後には10kW機で100台の販売を目指す。

シャープが太陽電池モジュールでエコマークを取得
 シャープは、太陽電池モジュールで日本環境協会が認定するエコマークを取得したと発表した。エコマークは同協会が今年3月に太陽電池を使用した製品をエコマークの対象製品としたことを受けて、太陽電池モジュールとしてシャープが初めて取得した。
 エコマーク認定を受けた太陽電池モジュールは寄せ棟屋根対応タイプで、今後、グリーン購入法に適合する特定調達品目「太陽光発電システム」を選択する際の目安として、普及拡大が期待できるとしている。

エコ燃料普及拡大で推進会議が報告書
 環境省のエコ燃料利用推進会議(座長・大聖泰弘早稲田大学教授)はこのほど、バイオマス資源を原料とする燃料(エコ燃料)に関する導入シナリオ支援策などについて提示した報告書「熱利用エコ燃料の普及拡大について」をまとめた。
 報告書では、バイオガスやバイオエタノールなどの熱利用エコ燃料に関するわが国の取り組み状況の評価や、普及拡大に向けたシナリオなどを提案している。普及目標として、エコ燃料の導入量を短期(2010年度)で原油換算258万klとし、中長期(30年度)では同約1260klと設定した。エコ燃料の普及拡大に向け、必要となる施策として@技術開発・地域実証の促進A広域的収集拠点における熱利用の拡大B地域内での熱利用の導入促進C小口需要家におけるエコ燃料の需要の喚起―を挙げている。
 この中で、技術開発・地域実証の促進では、バイオマスの種類や、それぞれの地域特性に応じた最適な熱利用システムを構築することが必要であり、これらの要素技術の開発促進と、地域でのモデル事業実施や事業化に向けた支援が必要とした。また、バイオエタノール製造にコージェネを組み合わせるなどの高効率型システム技術の実用化開発を行った上で、システムを地域のモデル事業に活用し、他地域への波及を促すとした。
 地域内での熱利用では、食品工場や商業施設などへのバイオマスオンサイトエネルギー供給・廃棄物処理型のビジネスモデルの開発や、林業地域での効率的な収集に関するモデル事業などに関する支援が必要としている。また地産地消型のバイオマス利用を展開させ、異なる種類のバイオマスを組み合わせた高効率の収集運搬・処理システムを具体化させることが重要と提言した。

06年度版エネルギー白書を発刊
 経済産業省は「05年度は原油価格が史上最高値を更新するなど世界のエネルギー情勢が急速に厳しさを増し、エネルギー安全保障への関心が世界的に高まった年」との書き出しで始まる「06年版エネルギー白書」を、このほど発刊した。
 国際的なエネルギー市場の構造変化を踏まえ、多くの国でエネルギー国家戦略の見直しが進められる中、わが国においても「エネルギー安全保障を軸としたエネルギー政策の再構築に取り組んでいる」として、05年度中に講じた施策の概要などを紹介している。
 この内、分散型エネルギシステムについては、「エネルギー需給構造についての長期展望を踏まえてた取り組み」の中で取り上げ、05年度は「燃料電池、コージェネレーション、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等や新型電力貯蔵装置の開発・普及に取り組んだ」と記述。
 また、分散型エネルギーシステムの利点については「防災対応等の緊急時に既存の系統電力に依存しない自立型エネルギーシステムとして活用が可能であること、需要地と近接して設置可能であり送電時等のエネルギー損失の低減が可能である」ことを挙げ、「発電の際にはコージェネレーションによる排熱の有効利用が容易であり、条件次第ではエネルギー変換の総合効率が高まる可能性がある」と結んでいる。

防災用自家発は3.8%増、6千台を回復
 日本内燃力発電設備協会(竹野正二会長)がまとめた05年度の防災用自家発電設備の国内導入状況によると、防災用専用機は6045台、81万6062.0kWで、前年度に比べ台数で3・8%増、容量では15.5%増と台数、設備容量ともに増加した。台数は6千台の水準を回復し、容量でも80万kW台を回復するなど好調だった。台数、設備容量ともに増加が目立つのはMクラス(100kW〜500kW以下)のもので、台数では8.4%増、容量では13.4%増と大幅な増加を示した。また、1000kW超のクラスのものも好調で、台数で24.3%増、容量では48.4%増と顕著な伸びを示した。
 同協会が発行している防災用自家発認証マークの使用状況をまとめた。05年度の認証マークの使用報告を行ったのは26社だった。
 設置されている施設用途別にみると、設置台数が増加している主な施設は旅館・ホテル、病院、遊技場、工場・作業場などが目立っている。公会堂・集会場、学校、福祉施設など公共施設関連の項目では減少しているものが多い。
 メーカー別に見ると、台数、容量ともに最多だったのはヤンマーエネルギーシステム(ヤンマー分含)で、2452台、23万1546kWと、前年度に比べ台数で15.2%増、容量では34.2%増と大幅な伸びを示した。ヤンマーのシェアは台数で40%を超えた。第2位は前年度と同じ東京電機で887台、8万3516.2kW。第3位は三菱重工業の644台、5万6794.2kWで。容量の第3位は川崎重工の8万5340.0kW(96台)。川崎重工はガスタービン発電設備メーカーで、特に容量の伸びが41.7%増と目立っている。
 一方、常用電源としても使用する常用・防災兼用機の設置台数は前年度よりも58.8%の大幅な減少となる35台。設備容量でも61.3%減の1万7338.0kWと大幅な減少となった。原油価格の高騰を背景に、常用市場が大幅に縮小、非常用専用機へ移行している様子がうかがえる。

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シリーズ連載
・グリーン電力で復活するエネルギーサービスB
・建築計画・工事ニュース

コラム
発電論評<時代を駆け抜けたオンサイト発電>
・プリズム<東京大停電リスク拡大の対策を>
・ちょっと一休み<永富さんの話から試写会へ>
・青空<天満敦子さんが「そうね、職人です」>

時代を駆け抜けたオンサイト発電【発電論評】

 オンサイト発電事業からエネサーブが撤退を決めた。先週発表されたこのニュースは強いインパクトで業界を駆け抜けた。エネサーブの主力事業であるディーゼル発電設備を使ったオンサイト発電事業は、A重油を燃料とすることで、長期化する原油価格の影響をまともに受けた格好。エネサーブを追って同様のオンサイトエネルギーサービスを行っている事業者でも、既に撤退を決めたり撤去された設備も多いという。
 オンサイト発電はユーザーの施設内にディーゼル発電設備を設置して発電し、電力供給サービスを行う。設備は自家発電設備で、ユーザーが保有したり事業者側が保有しリースする。いずれの場合も運転代行サービスの形を取る。電力自由化が始まる以前に、自家発を使って電力供給するという斬新なスタイルで急激に市場を獲得した。
 エネサーブが開発し常に先頭を切って走り抜けたオンサイト発電ビジネスは、安価な電力を求める電力ユーザーの期待に応える形で急激にマーケットを広げてきたが、社会的に担っていた役割には、さらに重要なものがあった。オンサイト発電は、ユーザーの業務時間に合わせて毎日起動と停止を繰り返すいわゆるDSS運転を基本としている。そのため、電力の負荷平準化にも大きな役割を果たしていた。
 エネサーブのオンサイト用の自家発はエンジン台数で7800台、設備容量で150万kWに達していたという。事業撤退によってほどなく、この150万kWの大半の「発電所」が撤去されることになる。他事業者の撤去分も考慮すると、社会はその数倍の負荷平準化用電力も失うことになる。
 今月14日に起きたばかりの東京大停電で、あらためて明らかになったことは、現代社会がもはや停電が許されない社会になっているということであった。電気があることを前提に社会機能が構築されている今、市場が20年あまりをかけて整備してきたオンサイト電源の多くを失ってしまうことは将来に大きな禍根を残すことになるのではないか。
 さて、オンサイト発電の縮小は嘆かわしいことではあるが、既に、市場は「安価な電力」から「環境エネルギー」へと大きく変化してきている。必要なときに必要なだけ必要な場所でというオンサイト発電によって培われ、完成されてきた事業スタイルは、エネルギー産業に環境性を求められる時代の今、天候に左右されやすい自然エネルギーの補完やバイオマス燃料の利用手段としてなど、多様なエネルギーを利用する熱供給も含めた総合エネルギーサービスとして花開こうとしている。こうした新しい芽を如何にはぐくみ拡大させていくのか。衆知を集める仕組み作りが必要な時期になっているといえるのではないか。