2006815日号

川崎重工がガスエンジンに参入−8000kW級、発電効率48%、低NOxエンジンを開発
 川崎重工業は8月9日、世界最高レベルとなる発電効率48%、NOX排出値120ppm(O2=0%)を実現した8千kW級ガスエンジンを開発、07年度上期から受注活動を開始すると発表した。年間20台以上を販売し、早期に100億円規模の売上高を目指す。
 5千kW級以上の大型ガスエンジンは、フィンランド・バルチラ社製や三菱重工業の「マッハ30G」が市場で先行する中、今年に入って、JFEエンジニアリングが7200kW機と9600kW機を開発、10月から営業を開始するほか、エネルギーアドバンスがバルチラ社製9千kW機を導入し現在、設置工事を進めている。今回、川崎重工が大型ガスエンジン市場に参入することで、今後は8千〜9千kWクラスの需要獲得を巡って、競争がますます激化することが予想される。
 川崎重工が開発したガスエンジンは、ミラーサイクルの採用に加えて、他社製ガスエンジンよりもストローク/ボア比を大きくとっている点が特徴。これによって耐ノッキング性と燃焼効率を改善させ、サイクル効率の向上を図っている。また、副室式電気着火方式とし着火用の液体燃料を不要としたことで、工場などに対してオール天然ガス化を提案しているガス会社が、ガスコージェネとして採用しやすいガスエンジンに仕上げている。
 開発したガスエンジンはシリンダー径が30cm。シリンダー数12、14、16、18の4機種を取りそろえており、5千〜7800kWまでの広範な電力需要に対応できる。
 今後は、単筒機による耐久試験を継続して行い信頼性を検証するとともに、07年度上期には社内にデモンストレーションも兼ねた7500kW機の実証プラントを建設し、受注活動を本格化させる。150〜2万kWクラスまでを製品化し、国内外で豊富な納入実績がある産業用ガスタービンに、発電効率に優れたガスエンジンを加えることで、電気リッチの需要家も獲得していく。


産総研がスターリングエンジンで家庭用コージェネを開発−事業化へメーカーと協業
 産業技術総合研究所はスターリングエンジンを採用し、発電と給湯バランスを自在に調整できる寒冷地向け1kWクラスの家庭用コージェネシステムを開発した。
 灯油や都市ガスを燃料とするシステムで、作動ガスにはヘリウムガスを使用。これまでに841Wの発電出力と、30%という従来のスターリングエンジンを大きく上回る発電効率を達成した。今後、2〜3カ月後をメドにベンチャーを起業し、事業化に向けたメーカーとの協業を進めていく。
 開発したスターリングエンジンコージェネの目標性能は、発電出力800W(補機動力は200W)、温水出力10kW、総合効率80%と、寒冷地の家庭用に適した出力バランスのシステム構成となっている。これまでのところ発電出力は目標値を下回っているが、ヘリウムガスの高圧化によって1kWまで容易に向上できるという。
 外燃機関であるスターリングエンジンは、灯油や都市ガス以外にもさまざまな熱源を燃料として利用できる点が大きな特徴だ。このためバイオマス燃料の使用や、燃料電池の排熱を利用する複合システムへの応用が期待されている。


石油連盟が燃料電池の設置基準を策定、公表
 石油連盟は石油系燃料電池の設置基準を策定、家庭用燃料電池などの設置工事に関する実務指針として公表した。近い将来の燃料電池の本格的な市場投入に備えて統一的な設置基準を示し、設置工事の安全確保、工事の円滑化、作業者等施工能力の向上を図り、行政の規制や指導への対応の円滑化を図る。基準は既存法令や関連基準との整合化を図るとともに外国基準も参考に策定している。
 設置基準は、石油系燃料を使用する10kW未満の燃料電池システムを対象としたもので、設置工事に関する安全対策、設置及び接続、屋外設置、屋内設置、屋上設置、燃料遮断、配管等、騒音、施工(アンカーボルト、電気工事、水道管接続等)、連携協議、引渡検査などについての基準を定めている。設置基準は1月に策定、8月7日付で公表した。

太陽光発電付き住宅が5万棟を突破−セキスイハイム
 セキスイ化学工業は、太陽光発電システムを搭載した「セキスイハイム」住宅が7月末で5万棟に達したと発表した。98年に搭載住宅の販売を開始以来、約7年半で5万棟を達成した。内訳は新築住宅が約4万500軒、既築が約9600軒でほぼ4対1の割合。1軒あたりの平均出力は3.84kW。
 セキスイによると、太陽光搭載住宅は年々増加してきており、05年度は同社が販売した新築住宅1万1580棟の約55%が太陽光搭載住宅だった。同社は光熱費ゼロ住宅のキャッチコピーで販売し実績を伸ばしており、5万棟のCO2削減効果は、クールビズによるエアコンの1ヶ月の消費電力の削減効果とほぼ同様の約10万トンの削減効果があると試算している。

非常用自家発電設備の排ガス冷却装置を採用−東京メトロが松下エコシステムズ製
 東京地下鉄は、松下エコシステムズが開発した「ディーゼル発電機用排出ガス冷却システム」を導入した。停電時などに備える非常用ディーゼル発電設備の排気排熱を冷却し、安全に排気することが目的。ディーゼル発電設備を稼働すると、400度C〜500度Cの高温排気ガスが発生するため、高温排ガスをそのままでは排気できない場合には、冷却用に多量の水を使用していた。今回、開発・採用した冷却システムは、松下エコシステムズが有する水破砕技術を応用したもので、冷却筒内に水を0.5μm以下に微細化して噴霧し、筒内を通過する高温の排ガスを瞬時に50度C以下に冷却し浄化、安全な温度で排気できる。さらに、噴霧した水を循環再利用するため水量も削減でき、高温集塵装置セラミックフィルターの採用で排ガス中の黒煙も除去できる。
 東京地下鉄は、路線ごとに3〜6カ所の拠点を設け非常用ディーゼル発電設備を設置している。採用した排ガス冷却システムの効果が確認できたことから、必要箇所に新システムを導入していく。松下エコシステムズは、地下鉄や鉄道事業者、また、常用、非常用のディーゼル発電設備を設置している店舗や医療機関、ホテルなど向けに販売活動を強める。

その他の記事
・温暖化処理プログラム募集
・新エネ人材研修会
・シャープ亀山第2工場に複合型分散型エネシステムを採用
・風力蓄電池補助事業を募集
・環境省がCDMでシンポ
・日本水素エネルギー産業会議が第4回会議
・東電が発電所排熱で熱供給
・熊本でバイオマスシンポ
・バイオマスアドバイザー研修
・三菱重工がSOFCとMGTで複合発電化
・05年度省エネ実施調査結果を公表−エネ庁
・東邦ガスが大口で赤字−経産省が公表
・北ガスと室蘭ガスが資本提携
・ホンダの太陽電池工場9月着工
・国内風力が100万kWを突破−NEDOの風力導入状況調査から
・清水建設がマイクログリッド実証を拡大
・日本総研が分散型で新会社創設
・川崎黒川小中がPFI
・佐賀県がESCO可能性調査
・環境省、温暖化対策ビジネスモデルで3件採択
・CO2削減第三者認証事業開始
・商船三井がふ頭に太陽光発電
・栗本トランスヒートコンテナ
・日本製紙ケミカルが石炭ボイラー新設
・東ソーが22万kWの自家発建設
・栗本鐵工所が潜熱搬送システムの実証開始
・バイオマス先導技術15件決まる
・地域新エネ・省エネビジョン、導入促進、太陽光アンケート募集
・エネ使用合理化と民生モデル2次募集
・中小水力決まる、2次募集も
・超電導の風力用発電機調査決まる
・東京臨海リサイクル完成
・オール電化の満足度調査
  etc.
     
シリーズ連載
・グリーン電力で復活するエネルギーサービスA
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞(毎月15日紙面に掲載)

コラム
発電論評<バイオマス燃料普及に仕様の標準化を>
・プリズム<自由化進展はまだ道半ば−経産省幹部会見で>
・ちょっと一休み<漢字の話で暮れた一日>
・青空<刹那的経営にセンスは窺えない>

バイオマス燃料普及に仕様の標準化を【発電論評】

 バイオマス燃料の利用開発の取組が活発化してきた。高止まりしたままの原油価格の問題もあって、バイオ燃料の開発が世界中で競い合われる雰囲気が出てきている。関係省庁が連携し合うバイオマス・ニッポンで、国の地域エネルギーの開発利用の取組も本格化してきた。
 バイオ燃料は、廃食油や建築廃材、間伐材などの木質系バイオマス、下水汚泥や廃棄物処理に伴う食品残さなど様々なもがあり、こうした多様な原料から燃料を製造する。そのまま燃やせるものもあれば、ガス化や液化など加工が必要なものもある。
 各地域で、バイオマス利用の取組が始まっているが、国も普及を目指す取組の手始めとして、ガソリンにエタノールを3%混ぜるE3やバイオ燃料を軽油に10%混ぜるバイオディーゼル燃料を基準化し、その普及に本格的な取組を見せ始めている。E3やバイオディーゼルには税制面などでまだ解決しなければならない問題点も残っているが、とりあえずバイオマス燃料の普及に向けて国が本気で取り組むという姿勢を見せたところに大きな意が見いだせる。
 発電分野でも、バイオマス燃料の利用に向けて様々な取組が行われている。家畜の排泄物をガス燃料化してマイクロガスタービンやガスエンジンを回したり、自治体と一緒に廃食用油を回収した燃料でディーゼルを回したりする試みが各地で始まり、実用化が目指されている。
 バイオマス燃料は、原料の性状が一定でないことから標準化が難しく、利用するエンジン側でも対応が難しい。規格化されたE3やバイオディーゼルなどは性状が一定なので利用しやすいが、それぞれの場所で発生する原料から一定の基準を満たす燃料を作り出すのは困難で、また、そのための手間とコストを考えると現実的ではないと思われるが、排ガス性状の問題や燃焼技術の問題などを解決するためには、ある程度の燃料仕様の標準化が必要になる。
 石油など化石燃料の利用率の低減、CO2削減の観点からも環境負荷のより少ないという意味でバイオマスのエネルギー利用技術の開発は今後ますます重要になってくる。そうしたバイオマス燃料の普及を目指す上で、バイオマス燃料化技術開発の円滑化を図るには、燃料性状のある程度の標準化が避けられないと思われる。CO2は低減できても、その他の排ガス性状が決してクリーンといえなければ普及する上での障害となる。排ガス性状が石油や天然ガスなどの既存の燃料と少なくとも同様かそれ以上のクリーンさがなければ、環境エネルギーとしての魅力は薄い。発電用やボイラー燃料としてのバイオマス燃料の仕様に関する指針の必要性を指摘したい。