200685日号

常時バックアップは継続、WGで結論
 「適正な電力取引についての指針」の改定作業を行っている総合資源エネルギー調査会・電気事業分科会の適正取引ワーキンググループ(座長・鶴田俊正専修大名誉教授)は電力業界が見直しを求めていた常時バックアップ制度について、現行の仕組みのまま継続することでほぼ合意した。7月21日に開いた会合では、新規参入者(PPS)が需要家への電力供給の際、自前の電源では不足する部分を電力会社から購入する常時バックアップは、従来の部分供給と同一という位置づけから、最近ではPPSに対する卸供給になってきているという認識で一致。ただ、現時点で常時バックアップの仕組みを変更することは、PPSの事業存続を難しくする可能性があるとして当面、現行の仕組みのまま継続することにした。この結果、現行指針において、望ましい行為とされている「小売りにおける標準メニューと整合的な料金が設定されること」の文言は削除される。一方で、問題となる行為としての「同様の需要形態を有する需要家に対する小売り料金に比べ高い料金を設定すること」は残る見通しとなった。

エネルギー基本計画、改定議論始まる
 エネルギー基本計画の改定を行うため総合資源エネルギー調査会総合部会(部会長・黒田昌裕内閣府経済社会総合研究所所長)が7月26日、第6回の会合を開き、基本計画見直しの骨子案を審議した。5月末に策定公表された新・国家エネルギー戦略を下敷きとして、エネルギー基本計画の改定を行う。 戦略と基本計画のそれぞれの位置づけについて、戦略は「国家戦略の全体像を2030年という長期の時間設定の中で、特に重要と考えられる施策プログラムに絞って提示しているもの」であり、基本計画は「エネルギーの需給に関する施策の長期的かつ計画的な推進を図るため、今後10年程度の期間を一つの目安としてエネルギー政策について基本的な方向性を示す」ものであると整理、こうした点を考慮して見直しを行うとしている。戦略で示した数値目標については基本計画では採用しない方針。
 また、戦略では特に位置づけのない現行基本計画の項目として、負荷平準化の推進、ガス体エネルギーの開発、導入及び利用、水力及び地熱の開発、導入及び利用、電気事業制度・ガス事業制度のあり方、分散型エネルギーシステムの構築に向けた取組、水素エネルギー社会の実現に向けた取組の6項目については、今後とも取組が必要だとして計画の中に残す方向で合意。分散型エネルギーについては、引き続きエネルギー需給構造についての長期展望を踏まえた取組として「燃料電池、コージェネレーション、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電等の分散型電源や新型電力貯蔵装置の開発・普及を図る」方向で分散型エネルギーシステムの構築に向けた取組を行う。当日の部会では、セキュリティーと市場原理の関係は相対するものではなくセキュリティーは目的で市場原理は手段として用いるものであると位置づけ。また、安全については全体的な安全確保と共に特に原子力についての安全を確保に配慮すること、現行の基本計画の進捗評価に基づいて改訂する姿を示すこと、現行基本計画施行後3年間のエネルギー環境変化に十分配慮した内容とすることなどが話し合われた。
 骨子案に基づいて、今後の具体的な作業は小委員会で行い、10月末を目途に次回の部会で改定案を取りまとめ今年内に基本計画の改定が行われる。


ヤンマーが高島市とバイオ燃料でディーゼル発電を実証
 ヤンマーは滋賀県高島市と共同で、バイオディーゼル燃料を100%使用した9.9kW小型ディーゼルコージェネの実証試験を開始すると発表した。市内の各家庭から回収した廃食油を既設の燃料製造装置によってバイオディーゼル燃料化、軽油代替燃料として3年間、運転試験を行う。発電した電力と排熱を高島B&G海洋センター(運動施設)で使用しつつ、エンジンとシステムの性能や耐久性の評価を行っていく。
 バイオディーゼル燃料は発生するCO2が温室効果ガスとしてカウントされないため近年、全国各地で活用の動きが広がっている。高島市においても99年から廃食油の回収を始めており、この回収廃食油で石けんを製造しているほか、すでに保育園バスやゴミ収集車向けの混合軽油として活用している。両社は今回、100%燃料による利用を目指すことにしており、回収・製造・利用までの一貫したシステムの実証試験を通じて地域分散型のバイオマス利活用方法を構築していく。

次世代エネルギーパークを全国で10カ所整備
 資源エネルギー庁は、太陽光発電や風力発電などの新エネルギーに国民が実際にふれることができる機会を増やし、次世代エネルギーのあり方について国民理解の増進を図ることを目的に新エネ設備を整備した「次世代エネルギーパーク」を全国10カ所程度建設する。パークの建設と運営主体は自治体に任せ、国はプラン作りや施設の整備費などを支援する。支援の財源には、地域新エネ導入促進事業費、新エネ事業者支援、太陽光FT事業、バイオマス関係補助等の既存の関連予算を活用する。また、自治体のプラン作りを支援するため、1千万円程度を補助する。自治体から提出のあったプランを下に国が審査し推薦プランを絞り込み来年度から順次整備を進め、採取的には全国で10件程度の次世代エネルギーパークを整備する。
「自由化はこれで打ちどめではない」。就任会見で北畑事務次官
 経済産業省の北畑隆生事務次官は8月2日、資源記者クラブで就任会見を行い、電力とガスの自由化について「今のところ自由化の効果は出ている。自由化はこれで打ち止めではない」と語り最近、エネルギーセキュリティーに重きを置いた議論が急速に浮上し、自由化拡大の流れが終息しつつあるのではとされる見方にクギを刺した。
 自由化の行方については同日、就任会見を行った望月晴文資源エネルギー庁長官も「目標はエネルギーの安定供給だ。それを達成するために政策がある。自由化はその選択しの一つで、きちんと政策評価を行う必要はあるが後退はあり得ない」と語った。
 また最近の原油高について北畑事務次官は「80ドルを超えるとは思っていない」としたうえで、原油高に対するわが国の対応としては「中期的には省エネ型社会に転換していくことが重要で、この中期的対策が短期的対策にもなる」と、当面の対策が手詰まりになっていることを明らかにした。ただ一方で「バイオエタノールと石炭液化を今後、強力に進めると中東にメッセージを発信することで、これが対抗力となっていずれ価格は下がっていくだろう」と、これまでコスト的に見合わなかった石炭液化などが相対的にコスト競争力を持つことが、原油価格の引き下げに有効である点を強調した。「石炭液化は原油価格が40ドル時代に立てた対策で、70ドルを超えたことで世界各地で石炭液化事業が動き始めている」としている。

環境・エネルギーで日中交流シンポ
 公共建築協会(照井進会長)、空気調和・衛生工学会(鎌田元康会長)、建築設備コミッショニング協会(中原信生理事長)の3団体は8月2日、東京都文京区のすまい・るホールで「環境・エネルギーシステムに関する日中技術交流シンポジウム」を開いた。
 シンポジウムは、都市の環境向上を図る上で建築設備分野の役割が増大している中、地球環境に配慮したエネルギーシステムの方向性を示すことを目的に技術課題を話し合い、中国とわが国の技術交流の場にしようと開かれたもの。
 中原理事長や吉田治典京都大学大学院教授、時田繁公共建築協会常務理事らが環境に対するわが国の取り組み事例などを紹介。中国からは江億清華大学建築学部教授が、大型公共建築でエネルギーの消費削減に取り組む例などを紹介した。
 この後、伊香賀俊治慶応大学大学院教授や、国土交通省の伊藤誠恭氏らが参加し、「地球温暖化防止ヘのコミッショニングと評価システムの現状と課題」と題したパネルディスカッションが開かれた。

その他の記事
 ・電力市場より競争活発、ガス市場評価WGが報告書
・自由化継続に前向き、経産省幹部が就任会見で
・JFEが太陽電池シリコンを増産
・中部電力がマレーシアでバイオマス発電事業
・バイオマスマーク制度本格運用へ(日本有機資源協会)
・住友電工が米国で超電導ケーブルでの送電開始
・NAS電池、海外で初採用
・シャープが業界初の太陽光モニタリングサービスを開始
・風力FT20件、太陽光未来技術35件、温暖化モデル事業39件、NEDが選定
・業務用CO2モデル事業8件も決まる
・NEDOが太陽光FT2次とデータ検証委託先募集
・新日石が10キロワットキロワット灯油燃料電池を九州大学に設置
・新エネ導入促進129件決まる、ガスコージェネは17件
・エネ合理化戦略開発決定と2次募集
・省エネセンターがESCO事業説明会、9月から
・BDFや光触媒などでJPIが9月にセミナー
・エネ合理化交付先決定、事業者支援は271件
・蓄熱フェアに2万3千人
・川崎市省エネでビジョン策定へ
・神戸市環境評価制度がスタート
・鹿児島市新鴨池PFI
・仙台宮城野PFI
・宮崎県免許センターPFI
・静岡県新構想高校PFI
・山形市給食CPFI
・大阪府ESCO2件
・都が下水汚泥発電の可能性調査
・太陽日酸が移動式水素ステーション開発
  etc.
     
シリーズ連載
・グリーン電力で復活するエネルギーサービス@
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


分散型活用にエネルギー設計士の考え方【発電論評】

 エネルギー基本計画の見直しが始まった。5月に策定された新国家エネルギー戦略を引き継ぐもので、基本法に基づく3年ごとの見直し。基本計画改定に続いては、長期エネルギー需給見通しの改定へとつながる。「戦略」と「見通し」の狭間で、基本計画の存在そのものが疑問視されかねないが、「戦略は2030年までの長期の時間設定の中で、特に重要と考えられる施策プログラムに絞って提示しているもので、基本計画は今後10年程度の期間のエネルギー政策について基本的な方向性を示すもの」だと説明されている。基本計画の後に需給見通しの改定が予定されているため、戦略にはあった数値目標は基本計画には盛り込まれない。見通しの改定内容によっては、それに合わせてさらに基本計画の見直しを行うという方向が示されており、ますます基本計画に形見が狭い思いをさせている。
 昨今の原油価格の高騰によって世界的なエネルギー獲得競争が厳しさを増す中で、環境対策と安定供給の確保を大前提としたエネルギー需給のあり方が問われており、戦略で軸のぶれない政策を打ち出した手前、戦略の大枠が踏み越えられることはないという前提に立てば、今後のエネルギー需給は、原子力をベースとして環境と安定供給の両立が目指されることになる。環境対策としては新エネルギーとエネルギーの高効率利用が中心となり、安定供給の確保はエネルギー源の多様化が重要で、どちらにも分散型エネルギーシステム技術の活用が効果的になる。
 新エネルギーは自立の難しいシステムである。供給の安定性が乏しいのである。太陽光には日照時間の制約があり、風力は風況の影響を受ける。バイオマスもまた、それだけで必要な燃料を確保することが難しい。それを解決する技術が既存のコージェネレーションなど分散型システムなどとのコラボである。日照が不足するとき、風が吹かないときに、コージェネシステムを調整電源として使う。量が不足するバイオマスは石油や天然ガスなどと混焼し必要なエネルギーを確保する。こうした既存の技術をうまく組み合わせることで、相当の省エネや省CO2が図れることは様々な導入例によって実証されている。
 問題は、うまく組み合わせる技術である。システム選定を誤れば、せっかくの高効率システムの利点が発揮できない。エネルギーの需要には標準はなく、個々の施設で需要パターンが異なる。必要なときに必要なだけ上手にエネルギーを作り出す。そういうシステムを可能にするエネルギー設計士とでもいうべき個人や事業者をどうすれば育てることができるのか。仕組みづくりを考えてみる必要がありはしないだろうか。