2006715日号

05年度ガスコージェネは46.6万kW増加 ガス協会がまとめ
 日本ガス協会は、05年度のガスコージェネの稼働状況をまとめた。全国211の都市ガス事業者のガスコージェネの今年3月末時点での設置状況(稼働状況)を調査した。それによると、06年3月末時点のガスコージェネの設置状況(累計)は359万3千kWとなり、05年度1年間で前年度末に比べて46.6万kWの増加となった。産業用と業務用を合わせた稼働件数は4273件で、1年間で656件の増加。家庭用を加えたガスコージェネ全体では前年度に比べ1万1867件多い2万5641件となった。
 増加件数の内訳は業務用が633件で産業用が23件。家庭用はガスエンジンと燃料電池の合計で1万1211件増加。年度末の累計件数は21368件となった。前年度末に比べて設備容量で14.9%、設置件数で86.2%、それぞれ増加したことになる。
 単年度ごとの増加率では、01年度から05年度までの5年間では、04年度が最も多く、産業用と業務用を合わせて791件、70.8万kWの増加、05年度はピークの04年度に比べると単年度の増加率は件数、容量共に減少している。特に産業用では、05年度の増加件数は23件で04年度に比べて84.2%減、設備容量でも35.9%減と大幅な減少となっており、小規模施設を中心に産業用での増加率が伸び悩みをみせている。
 一方、03年度から導入補助制度が設けられた家庭用の増加は急激で、05年度単年度の増加率は前年度に比べて件数で55.4%増、設備容量でも57.1%増となり、累計の設置件数も04年度末の2倍以上に当たる2万1368件と2万件を超えた。


主任技術者の運用で規制緩和、電気は受託者が見なし設置者に
 電気主任技術者とボイラータービン主任技術者など、電気設備の運用管理を行う主任技術者の選任について規制緩和が行われ、制度の運用内規がこのほど改正された。電気主任技術者の運用では、これまでは、設備の設置者が主任技術者を選任することを原則として2時間以内に到着できることを条件に2カ所までの兼任が認められていたものを、電気設備の管理の実態に合わせて、保守管理サービスを請け負うサービス事業者側が主任技術者を選任してもよいという運用に改められた。
 近年、ビルの運営管理などを専門の業者に委託したり、公共施設でも施設の運営を民間会社に委託したりするケースが増えており、そうした施設や設備の維持管理の実態に合わせ、電気設備の維持管理の主体が、ESCO事業者や設備の維持管理事業を請け負う事業者にある場合は、これを「みなし設置者」として主任技術者を選任するケースも認めることにした。兼任できる発電所の数は従来通り。
 また、BT主任技術者制度では、主任技術者の兼任について、これまでは同一あるいは隣接する事業場に限定して認められていたものが30分以内に到達できる範囲(休止中の発電所の場合は2時間以内)まで認められることになった。兼任できる発電所は2カ所まで。原子力・安全保安院が主任技術者の運用内規を改正、7月1日から施行した。


エネサーブ、スパイラックスに注目集まる、「産業とくらしのグランドフェア」開く
 ユアサ商事(谷慈義社長)は出展メーカーなど500社の協力を得て7月7、8日の両日、千葉市の幕張メッセで「産業とくらしのグランドフェア」を開催、延べ1万7千人が参集し盛況なものとなった。会場では環境、省エネルギー、リニューアルなど16種類のマークが出展商品に貼り付けられ、参集者に分かりやすい配慮がされており好評だった。中でも、省エネコーナーで紹介されていたエネサーブとスパイラックス・サーコには人だかりができていた。
 エネサーブでは「クリーンオンサイト(バイオマス燃料混焼式発電装置)」を紹介。同社の各機種には燃料のA重油に10−20%のバイオマス燃料を混ぜることができ、将来的にはCO2排出権の販売も視野に入れることが可能という係員の説明を、見学者は熱心に聞き入っていた。また、省エネに不可欠な蒸気の活用を提案するスパイラックスのエリアには、工場などで実際に熱管理を行っている管理者の姿が多かった。日頃取り組んでいる問題点などを係員に相談、渦式流量計では測れない“低速”蒸気も確実に測定できるという「可変オリフィス式diva(ディーバ)」などに注目、驚異的な精度測定に感心していた。

ホロニックシンポ開く、分散型エネの系統調和を目指す
 東京大学ホロニック・エネルギーシステム学講座が主催するホロニック・エネルギーシンポジウムが7月10日、東京・本郷の東京大学で開催された。テーマは「系統調和型再生可能エネルギー利用」。ガスや石油などのエネルギー関連会社や学生を中心に約230人の参加者が集まった。
 浅野浩志・東京大学大学院教授は、ハード・パス(大規模集中電源)とソフト・パス(自然エネルギーや小型の分散型電源)を調和させたホロニック型マイクログリッドの実現を目指すための論点を整理。分散型電源が電力系統を補完する電源となるためには「分散型電源を組み合わせ、それぞれの地域や都市に適合した独自のマイクログリッドを作り出し、系統への影響を抑えることがハードとソフトの協調のカギ」と述べた。茅陽一・同大学名誉教授は自然エネルギー普及拡大について、系統側の負担を考えると、新エネ系統連系量は電力会社の全電力量の2〜3割の規模が限界であるため、地中熱ヒートポンプなど系統を利用しない新しい自然エネにも着目すべきとした。一方、わが国で水素エネルギーシステムを構築するには輸送といったインフラ整備などの面でコストが高いため、当分は地域ごとの大規模システムで改質などを行うオンサイト型が現実的であるとの見方を示した。
 シンポジウムではほかに、パネルディスカッションが行われた。NTTファシリティーズや青森県八戸市らが、太陽光や風力発電といった「間欠性再生可能エネルギー」の負荷変動分をバイオマス燃料のガスエンジンで制御するマイクログリッドの導入可能性について議論、低コスト化と制御技術の向上などがマイクログリッドの拡大につながるとした。
 ホロニックエネ講座は東京ガスの寄附講座として昨年4月に創設。分散型エネルギーシステムなどの広域的な活用について、最新研究開発などの情報発信を行うことを目的にシンポジウムを開催しており、今回で2回目となる。

EITがマイクログリッドシンポ、導入事例などを紹介
 政産官学が連携し、石油以外のエネルギーを利用した発電技術に関する調査研究や普及啓発を行う研究機関「エネルギー・情報工学研究会議(EIT・後藤茂理事長)」は7月6日、霞ヶ関ビル(港区)でマイクログリッドシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、マイクログリッドの最新動向や導入事例紹介のほか、事業可能性などを展望したパネルディスカッションが行われた。
 基調講演で同会議の理事である柏木孝夫・東京農工大学大学院教授は、「マイクログリッドは電力供給信頼性、電力品質確保などの課題を克服した上で地域住民・企業が一体となって取り組むべき」と述べ、マイクログリッドを普及させるためには地域エネルギーの活用が重要であることを強調。またシンポジウムでは各地域での取り組みとして、NTTファシリティーズから、愛知万博でのマイクログリッド実証研究で太陽光発電などの変動電力に対し燃料電池やNAS電池で制御、万博期間中は99%以上という高い精度で30分同時同量を達成したことの報告や、京都府からは、京丹後市で展開する「京都エコエネルギープロジェクト」について紹介。太陽光や風力発電などを組み合わせ、周波数など系統電力への影響度を検証中で、マイクログリッドの先端モデルを目指すとしたほか、清水建設は、自社の技術研究所内に設置した小型マイクログリッド実験施設を紹介。ガスエンジンや太陽光発電などを導入している施設に、今後はニッケル水素電池も取り入れ、急激な負荷変動にも対応できるような制御の検証を行っていくとした報告などが行われた。

六本木ヒルズでセミナーと見学会、都市環境の地域冷暖房がテーマ
 都市エネルギー環境協会(旧日本地域冷暖房協会・尾島俊雄理事長)と日本熱供給事業協会(安西邦夫会長)は7月7日、六本木ヒルズで「都市環境における地域冷暖房」と題したセミナーと、特定電気事業と地域冷暖房事業を組み合わせたことで注目が集まっているヒルズ内のエネルギーセンターの見学会を行った。セミナーでは服部卓也・国土交通省市街地整備課課長補佐が、今年度から創設した新規補助事業「エコまちネットワーク整備」について、都市開発と一体的に熱供給プラントを設置するといった環境負荷低減への取り組みに対し国が補助することで、効率的・効果的に都市環境の改善を行っていくとした。
 また、吉田聡・横浜国立大学大学院助教授が、東京や大阪などの都心部を対象に地域冷暖房を始めとするエネルギーの面的利用ポテンシャルのある地区を調査した結果、合計4万ヘクタール以上の事業可能性面積があることを明らかにし「今後は自治体主導の取り組みが重要」と期待を寄せた。
 セミナーは、地域冷暖房のより一層の普及・促進を目的に両協会が合同で開催したもので、04年の横浜ランドマークタワーに続き、今回が2回目。今回は地方自治体など約50人の参加者が集まった。

東京電力が2カ所でオンサイトエネルギーサービス、電気は系統電力
 東京電力は、需要家の工場にボイラーを設置して工場内に熱供給する新たなエネルギーサービスを開始した。日本製紙グループのクレシア社の開成工場(神奈川県)とメルシャンの日光工場(栃木県)で、天然ガスや重油を使った熱供給と燃料の一括供給サービスを行う。ガスコージェネや石油コージェネを使ったオンサイトエネルギーサービスに対抗する新たなエネルギーサービスの形で、電力は系統電力を供給する。両工場への熱と燃料を供給するについては、オンサイトエネルギーサービスの手法で、熱供給するボイラー設備は東電の関連会社が保有したまま工場にリースし、発生した熱エネルギーを工場側に供給する。こうした、「エネルギーサービス」事業は東京電力では初めてのケース。
 クレシアには天然ガスを供給し、ガスボイラーで熱供給する。ガスボイラーは東電の子会社の東電工業が提供する。メルシャンの工場の燃料は重油で、ボイラー設備は東電子会社のテプコーユが提供する。国内工場では、省エネ、省CO2対策として天然ガスへの燃料転換投資が活発化している中、系統電力を利用する新たなエネルギーサービス事業として東電は電力以外のエネルギーも含めた提供を行うことで、電力からの顧客離れや、ガス需要家の取り込みも図る。

その他の記事
・<特集>海外視察団レポート
・新日鉄が多結晶シリコン製造会社を設立
・地冷協が名称変更
・コージェネセンターが優良コージェネ募集
・NEDOが燃料電池でCDM
・NEDO、地域新エネ省エネ決まる
・石油コージェネ補助事業者決まる
・大阪府一貫校PFI
・大阪府ESCO2件選定
・みやこめっせESCO
・関西電力がCDM2件
・三菱電機がチラーとチリング
・神戸製鋼が石炭改質
・旭化成延岡にIPP用火力
・中部電力がサハリン2から調達
・6月末のRPS記録量と認定設備
・05年度RPS義務履行状況
・国内排出権取引参加企業決まる
  etc.
     
シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線(24)
・新エネルギーのパラダイムシフト(9)
・建築計画・工事ニュース
・分散型発電用語の栞

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


オーガニック・ランキンサイクル発電への期待【分散型エネルギーの最前線】

 最近バイオマスのエネルギー利用が論じられるようになった。中でも、トウモロコシやサトウキビをエタノールなどの液体燃料に変換して、主に自動車用に使おうとするものに脚光があたっているように見える。確かに移動体用のエネルギーが化石燃料消費の大きな部分を占めていることを考えると、世界的には早期の実用化が望まれるものだ。しかし、技術開発は別にして、これが平地面積の少ない日本で応用するのに適した技術であるかどうかは別問題だろう。しかも液化精製プロセスに必要なエネルギーも問題だ。
 同じバイオマス利用でも、直接燃焼させて発電するプロセス、特に小規模分散型のものの方が日本には適しているのではないかと思っている。その一つが先に本欄で述べたスターリングエンジンであるが、これよりも規模の大きな発電が可能なオーガニック(有機流体)・ランキンサイクル発電も検討の対象になると考えている。
 ランキンサイクルは、高圧水蒸気を発生させてタービンを回す熱機関であるが、この場合、水蒸気は外部に放出してしまう。それに対してオーガニック・ランキンサイクルは、これを閉じたループの中で行うもので、水ではなく比較的低温で液状から気化するフロン、ブタンなどの有機熱媒体を使用する。液状の熱媒体が入った容器を外から加熱してやると、急激に気化して高圧の気体となる。これをノズルから噴出させてタービンを回し、タービンと直結した発電機を回す。次いで、この高温高圧気体を外部から冷却してやると元の液体に戻るので、それをポンプで加圧して加熱部分に戻してやる。この加熱の熱源は必ずしも燃焼によるものだけではなく、高温の地熱、太陽熱なども利用できる。どの程度の温度差で発電できるかとか、発電規模、発電効率は、有機流体の選択によってきまってくる。海洋温度差発電もこの応用だろう。
 欧米、特にヨーロッパで実用化に向けた動きが盛んだと聞く。ネットで調べたものだが、1999年からオーストリアのクラーツ大学がテストしている発電規模400kWのユニットは、木材工場のボイラー設備に組み込まれている。設置されてからほぼ連続運転、しかもほとんど無人で稼働させて問題もないらしい。このテスト機の発電効率は15〜18%、総合熱効率は80%というから、熱利用対象さえあれば、地域対象のエネルギー設備としては極めて有効なものだろう。
 ドイツのハイデルベルグ・セメント社では、セメント製造のキルンから出てくる摂氏275度の廃熱を回収利用するために、オーガニック・ランキンサイクル発電設備をやはり1999年に設置した。発電規模は1500kWで、レンフルト(Lengfurt)工場が消費する電力の12%をまかなっていて、年間7千トンの炭酸ガス排出削減効果を発揮しているとのこと。このプロジェクトはドイツ環境省、ババリア環境局の支援を受けていて実績評価がなされているが、これまでの運転にはまったく問題はないそうだ。この2つの設備は、経済性の問題もある程度の公的支援策があればクリアできるそうだ。
 日本の森林保護、林業振興、木質ごみ処理、廃熱有効利用可能性などを念頭に置くと、このシステムがほぼ既存の技術を利用することで実現できるだけに、ある程度の振興策さえ導入すれば、地域の木質バイオマスを中心にした分散型発電システム、あるいはコージェネレーションシステムとして有望なものとなるだろう。
 上記の事例では、オペレーションにほとんど人手がかからないとのことだから、地域で普通の市民が運転できるエネルギー設備としては最適かも知れない。規模別に標準ユニット化することによって量産し、経済性も出せるようになってほしいものだ。問題は熱の利用先であるが、ボイラー利用や暖房だけでは限界があるだけに、経済性のある熱貯蔵、熱移動のシステムを考案する必要があろう。しかし、十数%の発電効率が得られるのであれば、熱は一部さえ利用できれば良いという発想も必要かもしれない。なにしろ熱源はカーボンニュートラルなのだから。エネルギーの有効利用という面では、日本が世界の先頭を走っているとよく言われる。しかし、だからといってエネルギー効率向上の余地がないということではない。知恵を絞り、小さなエネルギー源を積み上げることによって、意外な量の化石燃料消費削減が実現できるはずだ。<完>
山藤 泰/関西学院大学大学院客員教授