200675日号

家庭用給湯器で800Wの熱発電、産総研が開発
 産総研は、発電する熱交換機用パイプ型モジュールを開発したと発表した。100度C以上の高温の加熱蒸気を利用する家庭用の湯沸かし器やコンロなどで、発電と加熱蒸気を同時に発生させることができる。発電モジュールはセラミックス系の熱電材料ステンレス鋼管を被膜した構造のため、ガスの火炎に、熱交換機であるステンレス鋼管が直接触れることがなく長寿命化が期待できる。また、火炎温度を制御し有害なNOxやCOの発生も抑制できる。
 産総研では、天然ガスの火炎で発電し、温度差を取るために利用する冷却水を直接加熱蒸気に変換する発電モジュールの開発を目標に、熱交換部に直接装着できるパイプ型モジュールを開発。これを元止式湯沸かし器に取り付け運転し、給湯と発電加熱蒸気を発生させることに成功した。モジュール付近の温度は1千度C程度になるが、パイプの中に給湯器で発生した温水の一部を流すことによってパイプの両端の温度差を付け、1本のモジュールから0.28W(1.3〜1.5V)の電力と、パイプの終端から水蒸気が発生した。これを、一般家庭で使われている屋外式給湯器(24号給湯器、温水出力41.8kW)に装着すれば、60本の装着スペースがあるため16.8W(90V)の電力が得られる。今後、更にモジュールの性能向上を図ることで800W程度の発電まで可能で、外部電力を必要としない完全自立型の蒸気発生型給湯器ができると共に外部への電力供給も可能となる。
 熱電発電の仕組みは、棒状の導体の両端に温度差を付けると温度差に比例した電位差(電圧)が生じる性質(ベーゼック効果)を利用して熱を電気に変える仕組み。小型の水蒸気発生器の開発は電気機器が先行しており、ガス機器の開発は遅れている。ガス燃焼方式では熱交換を行うステンレス鋼管表面の熱劣化や火炎温度の低下によるCOの発生が問題となるためで、産総研ではセラミックス皮膜でステンレス鋼管を覆う技術を開発し、エネルギー効率、瞬発力に勝るガス燃焼方式で大量の蒸気発生が可能となる装置の開発を行った。今後は、モジュールの信頼性、発電性能、熱交換特性の向上、低コスト化技術の開発を行い熱交換機の製造につなげる。また、ガス機器以外への応用も含め熱電変換によるエネルギー環境問題への解決を探っていく。


ダクトの排気で風力発電、テクノ菱和らが開発
 テクノ菱和は、小型風力発電装置メーカーのウインドパワー(福島市)らと共同で、工場などから排出する排気風で発電するダクト排気風力発電装置「D―FLOW MILL(ディーフローミル)」を開発、これまで難しいとされた低風域での効率発電を可能にした。工場の排気がほぼ一定の風速であるという排気利用発電の安定性に目をつけ、ブレードの形状や大きさ、設置位置のほか排気口に対する風車径の最適値などの研究を進め、平均8b/秒の低風速域でも効率発電が可能となった。風車の直径は1200mm、本体幅360mm×長さ400mm×高さ700mm、重さ約40kg。風速10m/秒で約150W、15m/秒なら500Wを出力する。発電した電力は蓄電池により、照明や表示灯などの安定した独立電源として利用でき、さらに蓄電することにより、非常時でも利用できる。価格は本体、コントローラー、蓄電池の組み合わせで70万円。

ハザマら風力や太陽光利用で屋上緑化へ給水
 ゼネコンのハザマは、昭和電業社、クレアテラネットワークと協力して風力発電と太陽光発電を併用して屋上に敷設した緑化基盤材に自動的に給水する新システム「風力・太陽光・雨水利用完全自立型屋上緑化かん水システム」を開発、ハザマのつくば技術研究所に試作機を設置した。3社は今後、1年間にわたり分散型電源の最適化などを検証することにしている。システムは風力・太陽光ハイブリッド発電で発生させた電力を使い、タンクに溜めた雨水を供給するシステムで、商用電力と水道水を使用しないためランニングコストの低減につながる。
 降雨時にはかん水制御装置と発電制御装置の上部に設置した斜め屋根から流れ落ちる雨水をタンクに溜めておき、晴天時に差し込んだ水分センサーが土壌の水位変化で感知し、水供給する。風力発電装置は垂直のアルミ合金製の羽根5枚を装備した垂直軸型の小型発電機(発電量200W)で、風速1m/秒の微風でも発電が可能。風車下部に配置した太陽光発電機との併用で、より安定した発電ができる。

経産省がガス市場の競争評価を開始
 経済産業省は6月19日、産業構造審議会・競争環境整備小委員会のエネルギー・ワーキンググループ(座長・鶴田俊正専修大名誉教授)を再開し、ガス市場の競争評価を開始した。7月下旬までに報告書案をまとめ、小委に報告する。小委は今年1月に電力分野の競争評価報告書をまとめており、今回のガス市場はそれに続くもの。
 同日の会合では経産省がガス市場の競争状況調査結果を報告した。調査結果によると、東京ガスなど大手3社の供給区域内で新規参入者がこれまでに獲得した需要家へのガス供給について、05年度1年間の販売量ベースでみた場合、既存ガス会社からの変更が50%で、他エネルギーからの燃料転換が31%、工場立地などに伴う新規需要が18%という内訳になった。また、04年度と05年度のそれぞれ単年度における新規参入者の需要家獲得傾向についてみると、04年度に新規参入者が供給開始した需要家の内、99%(販売量ベース)とほとんどが既存ガス会社からの変更だったのに対し、05年度は既存ガス会社からの変更が11%、他エネルギーからの燃料転換が86%とここ1年、新規参入者が燃料転換需要を大幅に拡大しつつある姿が浮き彫りになっている。新規参入者の大口供給先は工業用需要が大半で、1需要家当たりの販売量もガス会社の4倍と効率のいいガス供給が行われている。
 さらに、新規参入者の販売量の58%は大手3社の供給区域内で近年、その割合は増加傾向にある。具体的に、大手3社の供給区域内での新規参入者のシェアは大阪ガス管内で11.8%、東邦ガス管内5.2%、東ガス管内0.3%となっている。全国ベースでの新規参入者のシェアは8%で、今年2月時点での新規参入者による供給件数は108件という状況。

中小企業対象のCO2削減認証事業参加者を募集
 経済産業省は06年度「中小企業に対するCO2排出削減量認証委託事業」の公募を開始した。排出権取引の前提となる第三者認証を受けるためのコストや、排出権取引自体を実施する際に必要となるコストの負担能力が小さい中小企業を対象に、CO2排出削減量の第三者機関による認証を受けることを条件として、コージェネレーションシステムなど省エネ設備導入に対して補助金を交付する。これによって中小企業のCO2削減量の計算方法と、簡易化された削減量認証方法を構築し、中小企業のエネルギー起源のCO2を削減していく。また、中小企業が第三者認証を経たCO2削減量に基づき自ら排出目標値を定め、排出量取引の実証事業を行うことで、クリーン開発メカニズム(CDM)への適用可能性を探っていく。
 補助対象となる省エネ設備はコージェネレーションシステムのほか、燃料転換、照明設備効率化、断熱強化、ボイラー効率化の5分野。予算総額は約3億円で、1件あたり1億円の範囲内で補助金を交付する。採択された中小企業は、07年3月までCO2削減量を基にした排出量取引の実証事業を行うことになる。排出量取引実証事業で目標を達成できなかった場合でも、補助金の返還を求められることはない。

政府認証CDM/JI事業が54件に、京メカ活用で活発化
 京都メカニズムに基づくCDMプロジェクトの開発が活発になってきている。6月23日付で、三菱商事が申請していたフィリピンにおけるエタノール工場での排水からのバイオガス回収事業が日本政府の承認案件となり、これで日本製から承認を受けたCDM案件は54件(JI3件含む)になった。
 CDMプロジェクトは、京都議定書の枠組みに参加している発展途上国で温室効果ガスの削減事業に取り組む事業を対象に日本などの投資国側政府と事業実施側の政府の承認を受け、国連のCDM理事会の運営組織が承認した案件が温室効果ガスの削減量をクレジット化できる仕組み(排出量の拘束を受ける先進国間のプロジェクトはJI=共同実施)。CDM理事会の事業実施状況の検証と認証により排出削減量が認証される。
 日本政府が認証したCDM案件は02年度の末にカザフスタンでのコージェネ導入事業が第1号で、現在まで54件が承認されている。CO2削減量の合計は年間約3908万トン。このうち、CDM理事会に承認/登録済みのものは19件で、排出削減量の合計は約3332万トン。CDM案件はアジア地区が31件、中南米が17件で、この2地区で大部分を占めている。国別ではブラジルが7件で最多。

新日石とJエナジーが燃料電池などで提携
 新日本石油とジャパンエナジーは6月20日、上流、精製、物流、燃料電池、技術開発の5分野で業務提携すると発表した。原油高で厳しい経営環境が続く中、水島地区で製油所の一体的運用などを進め競争力を強化する。燃料電池分野では、新日石がメーカーと共同開発したLPガスと灯油燃料のそれぞれの燃料電池について、両社が協力して市場開拓を行うとともに、機器の共有化も進める。また、両社が合意する分野で共同開発を推進する。提携期間は10年間(自動延長条項付き)。
その他の記事
・06年度省エネ大賞募集
・第2回優良ESCO事業募集開始(省エネセンター)
・環境省が主体間連携モデルで23件採択
・環境省が地域協同抑制対策13件採択
・東邦ガスらが水素ステーションを移設
・三洋電機が太陽光事業をの3倍拡大を目指す
・日揮が米国でバイオエタノール生産
・経産省、エコプロダクツ参加企業募集
・京セラが省エネ投資でターボ冷凍機11台導入
・三菱重工がハノイに事務所
・NEDOがバイオマス転換要素技術で募集
・太陽光FT委託先と地熱開発事業者決まる
・電設工業展の製品コンクール受賞者決まる
・大阪府が優良ESCOを表彰
・05年度海外プラント成約実績
・みずほ総研が中国のCDMで承認
・国交省が排ガス対策エンジン・建機・低騒音建機の追加指定と認定
・神戸新市民病院PFI
・加古川市クリーンCPFI
・大阪府精神医療PFI
・金沢市市場PFI
・野村が衆議議員会館PFIで資金調達
  etc.
     
シリーズ連載
・分散型エネルギーの最前線(23)
・新エネルギーのパラダイムシフトG
・建築計画・工事ニュース

コラム
・発電論評
・プリズム
・ちょっと一休み
・青空


逆風下でも増えるガスコージェネ【発電論評】

 石油価格の高騰が長期化し、常用自家発電など分散型発電市場が厳しさを増す中で、ガスコージェネだけは増加している。特に大型のガスコージェネが好調だ。省エネルギーや省CO2を目的に石油から天然ガスへの燃料転換を進めている工場などの産業用需要が中心になっている。こうした大型のガスコージェネ市場の好調ぶりは、高効率ガスエンジン開発が相次いだことによる。ガスエンジンは2千kWを超える機種が少なく、単機容量で数百kWの業務用の市場を中心に市場拡大を続けていた。ところが、近年5千kWを超える大型機種の開発が進み、一気に大型市場への展開が進んだ。大型のガスエンジンの効率は45%にも達し、ディーゼルを上回るものも開発されており、原油高とCO2削減を目的に燃料転換を進める工場などで、高効率のガスコージェネの導入が進められているのだ。
 ガスコージェネの導入は、石油代替効果とともに、省CO2、省エネ効果が期待できる。このため、国も天然ガスコージェネの導入支援を行ってきた。しかしながら、今年度から天然ガスコージェネについては、3千kW以上の大型ガスコージェネの導入支援が打ち切られることになった。まさに、高効率システムの開発によって、ようやく市場が形成拡大されてきた大型ガスコージェネを狙いうちしたかのような突然の政策変更である。
 省エネ、省CO2は今後のエネルギー政策の中で、特に喫緊の課題として取り上げられているものであるが、その一つの有力なアイテムとして市場が期待している大型ガスコージェネの支援策を、しかもこのタイミングで市場から取り上げるかのような支援打ち切りにはどのようなメッセージが込められているのか、読み取ることが難しい。
 ガスコージェネには、このたびの政策転換で、新たに革新的エネルギー技術開発という支援枠が与えられ、従来の導入目標を受け継ぎながら、普及支援が継続されることになった。石油代替エネルギー、省CO2エネルギー、省エネルギーを可能とするガスコージェネの役割は、むしろこれからますますその重要度が増してくるものだ。系統利用の困難度が増している風力発電の調整用電源や、地域社会でのバイオマスや風力、太陽光システムなどと一体となった地域分散型ネットワークの中核・調整用、また、小規模コージェネも高効率のエネルギー利用によって家庭などでも省CO2が可能になる。小型の風力や、太陽光システムなどと組み合わせれば、さらに、省CO2のハイブリッドシステムが組みあがる。従来の視点にとらわれることなく、せっかく磨いてきた省CO2技術を大切に育てる取り組みが期待される。